百万回超生きたねこ   作:百万回死んだねこ

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心のうちの、あらぬ思ひに

「はい」

 

「え」

 

 

 

 不機嫌だという態度を如実に表している彩葉がボクに突き付けて来たのは。

 

 

 

「スマコン、あれ一回家に戻ってたのかい?」

 

「それならよろずたちを待たせるわけないでしょ、新しい奴買って来たの」

 

「え」

 

 

 

 ちょっと?

 スマコンってすごく高いんだけど。

 

 

 

「自分の分買ってないんでしょ、前に残高問い詰めた時絶対二個は買えなさそうだったし」

 

「そんなことはな」

 

「よろず」

 

 

 

 こちらを見つめる彩葉の表情が、とてもじゃないが誤魔化されてくれる感じじゃなくて。

 勝てない気がする。

 

 

 

「そろそろ撫でるよ」

 

「……? ボクは別に構わないけど」

 

「そう、なら遠慮なく行くからね」

 

「! かぐやも!」

 

 

 

 スッとボクの頭に手を持ってくる。

 なんだか攻めっけが強いね、今日の彩葉。

 彩葉たちに撫でられること自体は好きだけど、少し怖いね。

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「さらさらだ〜」

 

 

 

 気持ちよさそうに撫でるかぐやと、ただひたすらに撫でる彩葉。

 ……むず痒いな。

 

 

 

「ねえ、一旦家に帰らないかい? こんなところだと暑いからね」

 

「……そうだね、じゃあ」

 

「?」

 

 

 

 ご主人はボクを自分の前に持って来て……。

 

 

 

「撫でながら帰ろう」

 

「え」

 

「撫でて良いって言ったもんね、よろず」

 

「い、言ったけれど……その」

 

「じゃあ行こ?」

 

 

 

 あの、ちょっと待って欲しい。

 撫でられ続けるのは    

 

 

 

「よろずが悪いんだからね」

 

 

 


 

 

 

「っ!」

 

「着いた……ってよろず?」

 

 

 

 拘束が緩んだところでさっと逃げ出る。

 むず痒過ぎて大変どころじゃないんだけど!

 

 

 

「にゃ、にゃぁ……!」

 

「……やり過ぎちゃったかな、ほら怖くないよ〜?」

 

「よろず、猫みたい!」

 

 

 

 ……ほんとは猫なんだけどね!

 恥ずかしさというか身体のうちの何かが爆発しそうになる感覚に襲われるんだけど、何したのかなご主人サマは!

 

 

 

「いっつも飄々としてるから誉め殺しにしようかなって、撫で続けてみた。猫ってこうされたら恥ずかしがる、的なこと書いてたからさ」

 

「にゃ……!」

 

「すごく猫みたいになってるし……まあ、これに懲りたら1人で解決しようとしないでよね」

 

「……ん」

 

 

 

 ものの見事にお仕置き? をされてしまった。

 うん、流石にこの額は見逃してくれなかったね。

 反撃の仕方が予想の斜め上方向だったけど。

 

 

 

「わははー……!」

 

「ほら、かぐやも準備してよ。ご飯食べたりしたあとにスマコンの使い方教えるから」

 

「! はーい!」

 

「もちろんよろずもだよ」

 

「うん」

 

 

 

 ……ボクってばああなった彩葉に勝てる気がしないんだけど、飼い猫の弱みと言うやつなのだろうか。

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