GOD EATER ~転生してもコミュ障は治りません~ 作:石井
―Kanbara's view―
ヘリから飛び出した俺は、落下中に真下で闊歩している鬼の面をした二足歩行の小型アラガミ『オウガテイル』を捉える。幸いこちらにはまだ気づいていない。この好機を逃す手は無く、俺は神機の剣先を対象に向ける。瞬間、盾が収納された剣と柄の連結部を突き破って黒く巨大な
神機の最大の特徴はこの顎『捕食形態』にある。旧型の近接型神機と新型の神機に取り付けられている機能で、ゴッドイーターの意思に応じて生み出されるものだ。神機に多大な負荷がかかる形態だが、この顎に生きたアラガミの肉を喰わせることによって、ゴッドイーターは一時的に『バーストモード』と呼ばれる状態へと移行し、ただでさえ常人を遥かに凌ぐ身体能力に更なる驚異的な向上を得ることが出来る。
重力加速によって距離が詰められる中、タイミングを見計らって思いきり叫ぶ。
「……喰らえっ!!」
脳から発せられた電気信号は瞬時に腕輪を通して神機に伝達される。
信号を受けた神機は顎を大きく開き、
「グォオオォォォオオオォンッ!!!」
獣のごとき咆哮を上げ、落下速度も相俟ってオウガテイルに勢いよくかぶりつく。アラガミの丈夫な体表を食い破り、強靭な肉体を引きちぎり、堅牢な骨を噛み砕く。オウガテイルは鮮血を全身から吹き出すと、断末魔を上げることも許されずに絶命した。
顎にオウガテイルの肉を含ませたまま俺は舗装の行き届いていない地面に着地し、神機を捕食形態から剣形態に戻す。アラガミの肉片を取り込んだことでバーストモードへ移行した体からは、何処からともなく爆発的に力が溢れ出す。それに伴って神機からは輝きが放たれ、新たに『アラガミバレット』が装填される。
アラガミバレットは捕食形態と銃形態を兼ね備えている新型神機使いのみが入手できる特殊なバレットだ。捕食した刹那に取り込んだ肉片の細胞からそのアラガミの技を神機が解析し、同一の技を消費型バレットとして使用できるようになる代物。非常に強力だが隙が大きいのが難点である。
もっとも今回のような乱戦が予想される戦場では、基本的には剣形態と捕食形態を上手く使い分け、バーストモード維持に専念するのが安全な戦い方であるためにアラガミバレットに用はない。というのも、銃形態のままでは盾を展開して攻撃から身を守ることも、捕食形態にしてバーストモードになることもできないからだ。
俺はバスターを体の後方下段に構え、周囲に視線を巡らす。
(オウガテイルがいち、にい、さん、しぃ……ん?コウタのやつ何処いった?)
目の前の敵に集中するあまり、肝心な仲間の存在を失念していた。好ましくない事態に冷や汗が全身から吹き出す。
(ヤバイ!早く捜しに行かないと!!)
直ぐ様アラガミの包囲から離脱を試みるが、今いる居住区の路地は道幅が3メートルもなく、場所が場所なだけに瞬く間に前後をオウガテイルに塞がれてしまう。
(……これは俺もコウタも初陣で死ぬかもしれないな。)
思い浮かぶ質の悪い冗談に苦笑を浮かべつつ、前傾姿勢をとって体重を前足に乗せる。土むき出しの路から舞い上がる砂に汚れた掌で神機を強く握り締める。一思いに地面を後ろへ蹴り飛ばし、地上すれすれを飛行するように一瞬でオウガテイルとの間を詰める。ぶつかる寸前で足を地面にめり込ませ、上半身は勢いそのままにオウガテイルを三体まとめてバスターで凪ぎ払う。相手は血飛沫と呻き声だけを残してその体を大地に沈めた。
少しだけ道は切り開かれた。が、割り込む隙もなく別のオウガテイルに塞がれてしまう。
(……まさかゲームの方がイージーだとは。)
キリがないのは明白、戦況は絶望的だった。仕方なく、俺はフェンリルのロゴが入ったウエストバッグに手を突っ込む。生きてアナグラに帰りたくば、この状況を打破してはぐれたコウタと合流し、互いの死角をカバーし合いながら戦いでもしないと難しい。ならば、こんなところで足止めを食ってる時間はない。
「ええい、ままよ!」
俺は半ば自棄糞に取り出したアイテムを足下に叩きつける。直後、目を潰しかねないほどの閃光が戦場を支配した。
―out of Kanbara's view―
戦闘って書くの難しいですね。書いてて楽しいんですけどね。
「投稿ペースおせえよ!もうヤル気なくしたか?」と思われてる方がいらっしゃるかも知れませんが、ただ単に私のリアルの方が忙しいだけでヤル気はあるので、お茶でも飲みつつお待ちください。