GOD EATER ~転生してもコミュ障は治りません~ 作:石井
―Kouta's view―
俺は居住区の路地に降り立つと、一目散に自宅の方へ走り出した。ここは小さい頃から育ってきた場所だから土地勘には自信がある。道中、何度となくオウガテイルの尻尾から射出された針が体に刺さったけど、構わず荒神達の間をすり抜けた。道を塞いでいる荒神は神機で殴り付けて強引に退ける。いちいち狙いを定めて引き金を引くほど心の余裕はない。勿論、遠距離型神機は鈍器じゃないから、何回か殴るとアサルトの銃身がひしゃげてしまう。でも、そんなことはどうでもよかった。俺は、ただ一心不乱に居住区を駆け抜けた。
降下地点から三分足らずで自宅に着く。ゴッドイーターの脚力だからこそなせる技だ。運がいいことに、荒神はまだこの区画には来ていなかった。だからといってのんびりとはしていられない。ここが襲われるのも時間の問題だ。俺は思いきり玄関扉を開け放つ。
「母さん!ノゾミ!」
返事はない。家の中はもぬけの殻だった。慌てて出ていったのか、電気はつけっぱなしで、やかんの湯気はまだ立ち上っている。テーブルの上には一枚の走り書きが置いてあった。母さんの字だ。俺は自分の血で汚れた左手で紙を取り上げる。
“優しいコウタのことだから、家に来ると思って書き残しておきます。母さんとノゾミは近所の方々と一緒に避難するから大丈夫ですよ。コウタは自分に今出来ることをやりなさい。それが、母さんとノゾミの願いです。頑張ってね!”
「母さん…………。」
読んだ途端に胸が締め付けられた。視線をおもむろに神機に落とす。あちこち凹んでいて、修理をしなければ使い物にならいのは明らかだ。
俺はふと、自分の今までの行動を思い返してみる。
「……ユキを荒神の群れの中に置き去りにして、後先考えず神機を振り回して、自分勝手に家に戻って……。俺、ゴッドイーターなのに、何も出来てないな……。」
家族の無事を確認できた安堵と、無力な自分への悔しさに、今まで堪えていたものが自然と涙になって溢れだした。
「俺は、優しくなんかないよ、母さん…………。」
紙を握り締め、独り呟く。
その時、真後ろからドスンと大きな音が聞こえ、大地が縦に揺れた。
「なんだ!?」
俺は反射的に振り向いてひしゃげた神機を構える。開け放たれたままの玄関口から見える路地には、巨大な獅子の顔が覗いていた。
(荒神!?いつのまに!?)
「ギャオオォォオオオォォォ!!!」
獅子は雄叫びを上げると、一瞬の内にマントのような赤い
(殺られる!)
俺は体を強張らせて、目を瞑る他なかった。
「…………………………。」
十数秒たった。未だに衝撃が体を襲う気配はない。不思議に感じた俺は恐る恐る目を開ける。視界に飛び込んできたのは、見覚えのある後ろ姿だ。
「……え、なんでお前、ここに……?」
そこには、タワーシールドを展開したユキが立っていた。
―out of Kouta's view―
文才を、俺に文才を分けてくれえええ!!
それはさておき、後数日で大晦日です。皆さんお体には気を付けて下さい。風邪引いて、布団の中で一人寂しく年越すなんて辛いですからね。
……私の年越しは風邪引いてなくても独りですけどね!