GOD EATER ~転生してもコミュ障は治りません~ 作:石井
ーKanbara's viewー
気がつくと、俺は見知らぬ屋内のソファーで横たわっていた。
(……何処だここ?)
現状に至るまでの経緯を思い出そうとするが、学校を出た辺りで記憶が途切れている。考えられる可能性といえば刑事ドラマよろしく薬を染み込ませたハンカチの使用による誘拐ぐらいだが、それも何か違う気がする。手足が縛られていないし口にテープも貼られていない。
(何よりもこんなにふかふかなソファに人質を寝かしておく訳がない!人質といったら倉庫と相場が決まってるんだ!)
犯罪に巻き込まれている可能性があるにも関わらず脳内でふざけて根拠とは言い難い根拠ばかりを並べていられる余裕があるのは、まあ俺の危機管理能力が乏しいからだろう。しかし、こんなことをしていても
(こういう時は先ず……現状確認だな。)
気だるさ残る上体を起こし、寝ぼけ眼で周囲を見回す。
オレンジの明かりを基調としたロビーのような場所で、一階と二階にフロアがわかれている。一階は隅に俺が今いるソファーと四角テーブル、中央にカウンター、その両脇に二階と一階を繋ぐ階段が確認できた。二階についてはここからだとよく見えない。
(お、可愛い女の子発見!)
カウンターではディーラーのような服装の、赤い髪を両サイドで纏めた女の子が手元をせっせと忙しなく動かしていた。
このとき、俺の脳裏に何かが引っ掛かる。
(この光景何処かで……)
思い出そうと腕を組んで唸っていると、女の子が此方に気づいた。
「あ、おはようございます。」
若干あどけなさが残った声だ。18歳位だろうか。こんな可愛い女の子から話しかけられるなんて、早くも一生分の運を使いきってしまったのか。
「大変お待たせ致しました。適性試験の準備が整いましたので訓練所に向かって下さい。訓練所は二階の出撃ゲートを通って直ぐの場所にあります。」
(適性試験?なんの話だ?)
いまいち状況を飲み込めないが、女の子が笑顔で頑張って下さいねとか言うものだから場の空気を濁すわけにもいかず、愛想笑いをして渋々二階へ上がる。あの子に聞けばここが何処か、試験とは何か、あわよくばあの子の名前さえもわかるかもしれないが、コミュ障の俺には自分から声をかける選択肢は存在し得なかった。
二階は階段登って右手奥にエレベーターの扉、一階と繋がる二つの階段に挟まれる位置に四角テーブルとソファー、正面奥に仰々しい扉、その両脇に変な形をした機械が二台ずつある。女の子の言う出撃ゲートとはこの仰々しい扉のことで間違いないだろう。俺が近付くと、扉は重厚な音をたてながら自動で開いた。
(うーん、なんかよくわからんが取り合えず試験は受けといた方がいいよな。)
「流れに逆らうのは大変だから、流れるままに身を任せるのさ。」俺が以前プレイしていたゲームの中にある台詞だ。世の中いろんなことがあるわけだが、それに歯向かっていたらいつかは疲れてしまう。だから、なるようになるさとある程度は割り切ってしまった方が楽できるだろうという話だ。俺は突然放り出された謎の状況に困惑しながらも、流れに任せて扉の奥へと歩みを進めることにした。
何話かをいっきに投稿することが殆どと思います(まだどうなるかわかりませんが)。気長にお待ちくださいませ。