GOD EATER ~転生してもコミュ障は治りません~   作:石井

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コミュ障の真髄

気がつくと、俺は見知らぬ部屋のベッドで横たわっていた。

 

(何処だここ?)

 

至極当然な疑問が浮かぶと共に、既視感に似たものも沸き上がる。というのも、俺はアナグラのエントランスで同じような体験をつい最近したばかりだった。

 

(あのときはソファーだったが、今回はちゃんとベッドで寝てたのか。……そういや、サカキ博士が次目覚めるのは自分の部屋だとか言ってたな。てことは、ここが俺の部屋か。)

 

これから寝食共に御世話になる部屋を観察する。室内にはベッド、テーブル、ソファー、その他生活に必要なものがあるだけで特筆すべきようなところは無い。一点を除けば。

 

(……『ターミナル』か。)

 

画面を四角から円形にしたタッチパネル式自動券売機のような形をしているそれは、馴染み深い日用家具・製品とは違い、部屋の一角で異質な空気を放っていた。とりあえず弄くってみる。

大まかな扱い方はゲーム知識で心得ていた。まず、本人確認のために右腕に取り付けられた腕輪をターミナルの画面の右下にある穴に右手ごと突っ込む。すると、小さな起動音の後に画面にいくつかの項目が標示される。

 

(アイテム倉庫、装備、バレット、データベース、出撃記録、その他諸々か……。)

 

ターミナルを使用することでアイテムを倉庫に出し入れしたり、携行する神機を変えたり、バレットやアイテムを作製したり、アラガミのデータを調べたり、メールのやり取りをしたり、自分の出撃記録を確認したりと色々できる。職場内で連携をとれるようになっているパソコンと思って差し支えないだろう。

 

(じゃ、早速……。)

 

俺は装備を巨大な刃をもつ『バスター』、遠方から援護できる『スナイパー』、広い守備範囲と高い防御力を誇る『タワーシールド』に変えた。バスターは攻撃間隔が遅く、タワーシールドは盾の展開速度が遅いというデメリットがあるが、バスターのみが使える『アドバンスガード』という特殊な機能が攻撃直後の隙を盾展開時に限り無くしてくれるので、立ち回りに気を付ければ特に問題は無いだろう。

 

(早く初期装備から解放されたいな。……後はアイテムを整理して、疑似三点バーストのバレットを作って、メールを確認して、それから……)

 

なんだかんだでその日の残りの時間はターミナルに張り付いて終わってしまった。

 

因みに、出撃ゲートの両脇に二台ずつ置かれていたのはターミナルだ。任務出撃前に(わざ)(わざ)部屋に戻らなくても済むのでゴッドイーターに重宝されている。

 

~~~~~~~~~~

 

翌朝、目覚直後で脳が覚醒しきらぬままに自室を出ると、廊下でラッパーに黄緑のジャンパーを羽織らせたような格好をした少年と出くわした。こういうチャラそうな人間は俺の最も苦手な人種のひとつである。

 

「よお、新入り。」

 

存在を無にしてやり過ごそうとしたが残念ながら声をかけられてしまった。流石に無視するわけにもいかない。気乗りしないが初対面のチャラ男に挨拶する。

 

「ど、どっどどどどうも、はじっ、はじめもすっ、はじめまし、て、きゃんばら、じゃなくて、神原雪と申しもす、よろひくおながします……。」

 

案の定、苦手意識と初対面の緊張と寝惚けた思考能力が絡み合って、どもりまくり噛みまくりの自己紹介となった。羞恥で顔が熱くなる。

 

「……お、おう、小川シュンだ。ロングブレードで前衛を張ってる、よろしくな。」

 

シュンが表情筋をひきつらせながら一歩下がって距離をとる。間違いなく最悪な第一印象を与えられたようだ。

 

「あー、ツバキさんに頼まれてお前を呼びにいくところだったんだ。すぐにエントランスに行ってツバキさんに話しかけろ。」

 

「ふぁい!あ、ありゃりゃがとうごじゃましゅ!」

 

俺はシュンに頭を下げ、逃げるようにエレベーターへと乗り込んだ。

これで向こうから話しかけられることは無くなっただろう。

 

(……いや、苦手な人から話しかけられなくなる分には問題ないだろ。寧ろプラスだ。)

 

このままでは駄目だと薄々感じつつも、自分に言い訳をして問題から目を背ける。

エレベーターの扉が閉まるのをこんなにも長く感じたことはなかった。

 

 




シュンはゲーム上では新人にいいアドバイスをくれる人なんですよ。ただ、大先輩のゲンさんやソーマ(後々登場するゴッドイーター)の愚痴を溢してたりもするので、たぶん人の好き嫌いがはっきりしてるタイプなんだと思います。なので、コミュ障の主人公とは距離をおくのでは?と考えました。シュンに非は無いのでそこのところよろしくお願いします。
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