GOD EATER ~転生してもコミュ障は治りません~ 作:石井
―Kouta's view―
ヒバリちゃんから短い通信を受けて、俺は詳しい説明も聞けないまま言われた通り神機を格納庫に戻した。
(ヒバリちゃん焦ってたな……、一体何があったんだろう?)
ここで考えてても仕方ない。一先ずエントランスに戻ろうと足を格納庫出口に向けると、急に人影が飛び込んできた。
「うわあっ!」
驚いて思わず情けない大声を上げちゃったけど、よく見るとそいつは俺とほぼ同時にゴッドイーターになった神原ユキとかいう新型神機使いだった。こいつとは一度しか会話したことがないから細かい人柄とかはわからない。それでも、こんなアクティブなことをするやつには思えないという印象はあった。寧ろ人とは余り関わりを持ちたくなさそうな、そんな引っ込み思案なやつだと思ってた。
ユキは両手を膝について、肩で息をしながら顔を上げた。
「コウタ!今すぐ神機を持ってついてこい!」
突然のことに俺は戸惑う。話がいまいち見えない。
「え?でも、ヒバリちゃんが神機は格納庫に戻してくれって……。」
「いいから早く!説明は後だ!」
ユキは息を整えると新型の神機を格納庫から取り出した。よくわからないが、以前とは違うこいつの鬼気迫る口調から考えるに悪ふざけではないと思った俺は、今しがた戻した旧型神機のアサルト『モウスィブロウ』を手に取った。
ユキの後についていくと、いつの間にかヘリポートにたどり着いた。ヘリのプロペラはもう回っていて、辺りに強風が吹き荒れている。
(どういうことだ!?)
ユキは躊躇せずヘリに乗り込もうとする。すかさず俺はユキの手を引いてそれを阻止した。
「待てよ!出撃命令は出てないぞ!」
「知ってる。」
「なっ!?」
ユキは何も悪びれもせずさらりと言ってのけた。
「お前、命令もなしに勝手にこんなことして許されると思ってんのか!?」
「思わない。」
「じゃあなんで!?」
命令違反は厳しい罰が下される。減給だけならいいけど、クビになることだってある。それがわかっててやっているということは、何か特別な理由があるとしか考えられない。
「…………。」
質問に答えないまま、ユキは俺の腕を掴んでヘリに放り込んだ。上手く受け身を取れなくて、頭をヘリの中でぶつけまくる。
「いってぇー!何すんだよ!?」
そんなことなどお構い無しという
「すいません!ツバキ教官は外部居住区住民の混乱対応に追われているので、私達が代理として行きます!離陸お願いします!」
緊迫感あるユキの雰囲気に気圧されたのか、パイロットは疑うことなくヘリを離陸させた。浮遊感が体を襲うものだから、倒れないように近くの手すりに掴まる。ユキはヘリのドアを閉めると神機を抱き抱えて俺の前に座った。耐えかねて若干苛立ちながら事の詳細をユキに問いかける。
「どうして俺をまきこんだんだ!?いい加減説明してくれ!」
ユキは一呼吸置くと静かに口を開いた。
「外部居住区、E26エリアがアラガミに襲われている。」
「…………え?」
自分の耳を疑った。E26エリアは俺の家族、母さんと妹のノゾミが住んでる場所だ。
「アナグラのゴッドイーターは俺たち以外全て出払っていて直ぐには対応出来なかった。」
「……被害は?」
「まだわからない。ただ、とんでもない数のアラガミが侵入したらしい。」
「そんな…………。」
最悪だ。ゴッドイーターになったのも、訓練を頑張ったのも、全て母さんとノゾミのためだった。
(二人の為に今まで頑張ってきたのに……ここで全てを失ったら俺は……おれは……)
失意の底に沈みかけた俺にユキは口調を強くして続けた。
「だから、今から助けに行く。これはそのためのヘリだ。」
「……え?」
本気かと疑うと同時に、もしかしたらと希望を見出だした。こいつの言っていることが本当なら、母さんとノゾミだけでも助けることができるかもしれない。なんと言われようと構わない。せめて俺の家族だけでも救ってみせる。
「そろそろ着きます、準備してください。」
パイロットの声にユキと俺は神機を抱え、ヘリのドアを開けた。
小さな掘っ立て小屋で埋め尽くされた居住区の路地はアラガミがはびこり、彼方此方から黒煙と悲鳴が上がっている。
「……今です、飛び下りて下さい!」
ヘリの床を思いきり蹴り、ユキと共に俺は空中へ躍り出た。
―out of Kouta's view―
戦闘シーンまで持ち込めませんでした……。次は流石に書けると思います、というより書きます。そろそろおまけもはさみたいなぁ、と考えている今日この頃です。