ありふれてない回復術師の憂鬱~しがない、病院の医院長だった俺がいかにして最高の嫁を手に入れたのか   作:kuroe113

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第2話 ライオンハート

 エレナの聖者発言で、俺は改めて、自分の力のやばさを実感した。

 

 後ろ盾だ、この力を思う存分使って、ぜいたくな暮らしをするためには間違いなく太い後ろ盾がなければならない。

 

 

 そうでもないと、俺のことを聖者の再来だと持ち上げる輩だとか、それを認めない狂信者が俺を暗殺しに来るかもしれない。

 

 

 なので、それが手に入るまではしがない町医者として過ごそう。

 

 

 幸いなことに、手を抜いたところで、俺の治癒能力は圧倒的。

 この冒険者の町、ラビリンスでも随一の治癒者として名をはせている。

 食うに困らないどころが、豪遊できるくらいの金が簡単に手に入る。

 だが、こんなもんで満足するわけにはいかない。

 チャンスがどこかに転がっていないものか。

 

 

 

「おい、聞いたか」

 

「聞いた聞いた、姫騎士ヴィクトリア様がダンジョン探索から戻らなかったんだってよ」

 

「それマジかよ」

 

「いや、本題はここからだ。

 国王がもしも迷宮からヴィクトリアさまを救出したら、望むものを与えるって」

 

 

 姫騎士ヴィクトリア。

 その名は、俺でも何度も聞いたことがあるほど、公明なものだった。

 

 

 社交界の華となるほどの美しさはむろん。

 幾多もの魔道具を身にまとい、戦場をかける姿は多くの兵と民を勇気づけてきたという。

 

 

 

 だからこそ、彼女は迷宮探索を任された。

 

 この世界は、ゲームのようにダンジョンがあり。そこには、現代日本の技術であろうとも再現できないほどの特別なアイテムが存在しているという。

 

 

 どんな病でも直せる秘薬。

 金の卵を産むダチョウ。

 自由に空を飛べる絨毯。

 数秒であるが、時を止めることができる時計。

 

 

 もう何でもありである。

 そんな調子であるのだから、迷宮探索はもう国策のようなものになっている。

 

 なので、国のお偉いさんが精鋭部隊を率いて、ダンジョンに挑戦するっていうビッグイベントが数年に一度の頻度で行われる。

 

 

 で、それがすべてうまく行くというわけではなく、中には今回のように、帰らぬ人や、不幸な目にあうことがある。

 

 

 今回もそれだろうなと、俺は考えていた。

 有名人が死んじゃうと、いろいろと面倒が生まれるから、あえてぼかしているのだろう。

 

 

 そう思っていたのだが……。

 

 

 

「俺は、国のため、皆のために、ヴィクトリア様を救出したいんだ。

 そのために、医療スタッフとして、君も僕たちと同行してくれないか」

 

 

 こちらに手を差し出したのは金髪のとげとげ頭の好青年。

 

 S級冒険者である、レオン。

 そんな彼らを従えている冒険隊、ライオンハートのメンバーである。

 

 

 国が全力で当たったとしても、失敗するときは失敗する。それがダンジョン探索である。

 

 

 当然ではあるが、どんな強者であろうとも、単独で挑むなんて無謀なことはしない。

 

 

 国の方では大規模な部隊で挑むのだが、ダンジョンというのは難所の連続だ。

 人海戦術が全くの無意味になる事などざら。

 

 

 しかも、大人数だと、ダンジョン内のモンスターを刺激してしまい、絶えず襲撃されることもある。

 

 

 なので、少人数で挑む場合は最大でも10人くらいで挑もうというのが定石となっていた。

 

 

 でだ、短期の任務ならば、強いやつだけを同行させればいいのだが、長期の任務になってしまうと、途中で引き返すこともできないので、前世でいうところの衛生兵を始めとした補助要員が重要になってくる。

 つまり、町一番の治癒術師、つまり、俺に白羽の矢が立ったのだろう。

 

 

 他にも、同じような依頼が何件かあった。

 そして、こいつらは依頼があった中でも最高の相手だ。

 

 

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