超かぐや姫!の世界に転生してしまったので... 作:大塩tune八郎
この回には人によっては気分を害する表現を用いています。
要望があったifバージョンの#10です。
EX if#10 話
頭....痛っった......
それになんかすっっごく気持ち悪いんだけど.....
かぐや!どういうこと?! 騙したの!
え?名前?私の名前はわかんないって言ってるじゃん!!」
~sideかぐや~
「......そうだよね。ごめんね」
私は必死に涙が溢れるのを抑えながらそう答えた。
電子体の錆びつてしまった記憶を再生・修復・補助するためのスマコン型記憶再生プログラム。
それが発動したのに、めぐみの記憶は全くと言っていいほど欠片も戻らなかった。
これが...駄目なら。もう、めぐみは.....
「かぐや!聞いてるの?かぐや!」
絶望の中、自分の背筋に寒気が滲む。
目の前のめぐみが何か言っているのにうまく聞き取れない。
落ち着け.....まだ...まだ、どうにかなるかもしれない..
苦し紛れの
大丈夫。絶対大丈夫だ。時間をかければ..まだ..
.....よし。大丈夫だ。
「かぐや!どうゆう事か....説..明....?」
めぐみが私に説明を求めて目を合わせようと覗き込むが、動揺して止まってしまう。
「.....かぐや、なんでまた泣いてるの?」
「...ぇ?」
手を頬に当てて気付く。
抑え込めたはずの感情が溢れ、零れ、滴っていることに。
.....
....あぁ
強くなったと、我慢できる様になったと、思ってたのに
結局私は、成長できてなかったのか
独り、自己嫌悪が自分に寄り添う。
その反対側にはめぐみが優しく慰めてくれていた。
「ごめんね。怒っちゃったからびっくりしちゃったんだよね」
違う...ッ
「私のせいだよね...」
違う....ッ!
「かぐやは悪くないからね...!」
「違う!!!」
「ううぇ!?」
声を荒らげてしまった。もう、止まらない。
「悪いのは私なの!!だから、めぐみは....私が...わたしがぁ.....ッッ」
「.....」
限界を越えた罪悪感のプレッシャーに、私は崩れてしまう。
そんな私を見て何かを感じたのか、めぐみが私の頭に手をのせて言った。
「かぐや。ありがとう。」
「ッッ!!」
なんで...? めぐみの記憶は戻ってこなかったのに....
「私にはなんで泣いてるのか、苦しんでるのか分からないけどさ.....」
膝をついて崩れている私を包み込むように抱きついて、
「かぐやは私のために頑張ってくれたんだよね」
「だから、ありがとう。」
あぁ....あ゛あ゛あぁ.....!!
涙がよりいっそう溢れ止まらない。
絶望と救済がごちゃ混ぜに私のことを染めていく。
記憶の中のめぐみはいつも、かぐやのことを応援してくれていた。
そして、今。記憶を失っためぐみもまた、私を応援した。
なんでこんなにも優しいめぐみが、こんな目に合わなければいけないのか。
なんで諦めて、逃げようとしなかったのか。
なんで
真っ直ぐな目で私を見つめるのか。
そんな都合のいい、願望の混じったその問に答えてくれる人はいない。
『また、一緒にゲーム配信しよ!ヘヘッ』
....そうだ、一緒にゲームするんだ。
ハッピーエンドまで私が連れていくんだ
決意を固める。
顔をあげ、めぐみと向き合う。
「.....ありがとう。元気..でたよ。これからについてお話するね」
「...!うん、わかった!」
無邪気にそう返事するめぐみは、私の知っているめぐみとは程遠い。
それでも、まだめぐみの記憶が残っていると、そう思い込んで...
────────
~side彩葉~
「.....やっとだね」
私は興奮と自信に満ちながらヤチヨに語りかける。
「ここまで来るのも大変だったねぇ」
めぐみを連れ帰るため、苦難と壁を何度も何度も何度も..!乗り越えてきた。
研究所の所長としての仕事はもちろん、外部への出張や研究成果の報告、ヤチヨとのミニライブ活動etc.....
それに並行して人造身体の開発、記憶再生プログラムの作製もやっていたのだ。よく死ななかったな、私。
「ブラック企業も肝冷やすぐらい忙しかったもん」
「かぐやがデータ飛ばしたこととかあったよね〜」
「うわ、あったね。あれはもう経験したくないな....」
「フフ、彩葉、今までで一番怒ってたもんね」
「誰だってああなるよー」
かぐやとめぐみが帰ってくるまでの時間、私とヤチヨはこれまでの苦労を思い出のように楽しく話して過ごしていた。
その時の私は、まさか失敗するなんて思いついてすらいなかった。
ー
10数分後、
ヤチヨの私室の中央に渦を描きながら黒く小さな球体が湧いて出てくる。
...帰って、きた....!!
めぐみがすぐそこに居る。
舟の扉が開けば、すぐそこに。
扉の中心からポロポロと小さなブロックが消え、近未来的な開き方をする。
「やっと、全員で集まれたね....」
ポツリと呟いて口角が気付かず上がり、扉の奥に焦点が合う。
そこに居たのは.....
「すご〜い!!かぐや!ここがさっき言ってたツクヨミ?」
「...うん!そうだよ」
まるで、ツクヨミに初めてログインした子供のような反応をするめぐみと、
暗い笑みを顔に無理やり貼り付けているかぐやだった。
「ぇ...?」 「...は?」
笑みが消える。
ツクヨミのこと、覚えてない...?
違和感が私を襲う。
かぐや、顔が暗いけど....どうして..?
彼女が現実だけを持ってくる。
うそ...だよね....?
夢が、醒める。
「かぐや...めぐみは、戻ったんだよね...?」
かぐやは今にも泣きそうな顔で返答する。
ただ、俯いて。
目を逸らした。
たったそれだけで、私は何が起こったのか、理解した。
......理解してしまった。
『めぐみは、記憶が戻らなかった』
「ッッはぁ.....ッはァ...!」
息が苦しくなる、胸を抑えてうずくまってしまう。
目の前にいるのに、めぐみは何処か遠くにいる。
『まだ会えない』
その事実だけが、私を支配した。
「彩葉!いろはぁ!」「彩葉!」
周囲が離れる。
視界が歪んでいく。
この場に似合わない黒い感情がグツグツと沸き戻ってくる。
忘れようとした......
私は...
いつから....
勘違いしてしまったんだろう....
私のせいで、めぐみが死んだんだ。
めぐみが口を開いて私に言う。
『お前のせいで私は苦しんでるんだ。』
あぁ..........
『お前がいるから皆が不幸に会うんだ』
やめて...
『お前がのうのうと生きてるのが憎い』
やめて....!
『お前となんて、出会わなければよかった』
「や゛め て゛ッ ッ!!!!」
〜〜〜
「.........」
目を覚ますとツクヨミではなく、現実の私室。
私たちの家に戻っていた。
「あぁ.....いたんだ。かぐや....」
いつの間にかいたかぐやを見て心無い言葉が零れてしまう。
それでも、かぐやは気にもせず今までと変わらず話しかけてくる。
「....彩葉。もう、やめにしよう.....身体、壊れちゃうよ...」
何を言っているんだ。
確かにめぐみの記憶が戻ってなくて、動揺で気絶しちゃった。
でも、まだ記憶を再生できる可能性は残ってるかもしれない。
「まだッ..めぐみの記憶、直せてなんだから辞めるわけないでしょ」
少しふらっとしたが関係ない、1秒でも早く装置を...
「彩葉.....。めぐみはもう......」
「は?まさか、かぐや諦めるの?」
「........」
流石にそれは、かぐやだろうと許せない
「めぐみは私たちを救ってくれたんだよ?」
「なのに諦めるの?」
「見捨てるの?」
「そもそもなんでこんなことになったと思ってるの?」
「ねぇ?聞いてる?」
「ねぇ!」
いくら言っても大きな声を出しても一言も喋ろうとしないかぐやにイライラが溜まる。
かぐやは悲しそうに絶望した目で私を見つめるだけだ。
時計の針が1周するまで沈黙が続き、かぐやが疲れた目で口をあけた。
「彩葉。めぐみは、もう、死んだよ」
は?
「死んだんだ」
何を言ってるの..?
だって、ついさっきまで目の前に...................ッ!
突如、脳内に
「...ぅう゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛ぇ ぇ ぇ ぇ」
足から力が抜け、吐瀉物の臭いがツンと鼻につく。
嘘だ....うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだあっ!!!
こんなこと....起きてない....
悪い幻夢だ....そうなんだ......
~sideかぐや~
「彩葉、ゆっくり呼吸して。大丈夫だよ。かぐやがいるからね」
彩葉の背中を擦りながら落ち着くように促す。
.....彩葉がこうなってしまったのは、いつからだっけ。
めぐみがツクヨミに帰ってきたあの日。彩葉は倒れてしまった。
.....それからだった、おかしくなってしまったのは。
めぐみの記憶を再生するために寝る間も無くしてプログラムを組み続けて、めぐみに試して失敗して、組み直して失敗して、また組み直して失敗して、何度も何度も繰り返して.....
何回目だったろうか。
いつかの時、めぐみの動きが止まった。
声をかけても、ヤチヨが揺さぶっても、あの技術を使ってめぐみを強制的に起こそうとしても、
目を覚ますことは、無かった。
.......殺した。
私たちが、殺してしまった。
めぐみを想っていた気持ちは、いつの間にか自分たちの納得を得る気持ちに変わってしまっていた。
だから、気づかなかった。
誰もが、自分は限界だと信じて止まなかった。
その所為で、殺した。
殺した。
彩葉も。ヤチヨも。そして、私も。
全員が壊れてしまった。
壊れて、崩れて、逃げた。
私も現実から目を背けようとした。
逃げようとした。
でも、
彩葉を見て、踏みとどまってしまった。
罪を償えるなら、なんでもする......
だから、彩葉だけでも.....生きて欲しい....
たとえ、生き地獄だろうと.....
「大丈夫だからね。今、水持ってくるね」
彩葉の元から立ち上がってキッチンに向かった。
彩葉に聞こえない場所で息を吸うように、
「....はぁ」
ため息を洩らした
ーー
水の入ったペットボトルと、吐瀉物を片ずけるための掃除道具を持って彩葉の自室に向かった。
彩葉の部屋の扉に手をかけると心の鼓動が早まる。
緊張.....するようになってしまった。
「....彩葉。入るよ」
取っ手に力を込めて、開ける。
ツンとした酸性の臭いが鼻につ...く..........
「彩葉...?」
そこには微動だにしない彩葉が椅子に腰掛けていた。
あの日からよくあることだった。けれど今回はなんだか違う気がする。
「彩葉?....彩葉!ッッぅッ!」
手に持っていたものを床に落とし彩葉の元へ駆け寄ろうとする。
が、彩葉の吐瀉物でバランスを崩し転んでしまった。
「いろは...!」
ゲロまみれになりながらも彩葉に声をかけ続ける。
だが、返答はない。
「い゛ろ゛ は ぁ .....ッ!」
返答を求めた頃には既に、彩葉はもぬけの殻だった。
気づかなかった。また、気づけなかった。
彩葉の顔に触れる。
あんなに綺麗だった肌も、こんなにボロボロにして。
彩葉の手に触れる。
あんなに暖かった手も、冷たくなって。
彩葉の身体に触れる。
あんなに優しく包んでくれたのに、音もしなくなって。
「.........」
「もう、終わってもいいよね」
「命で償ってもいいよね」
涙はもう、溢れなかった。
彩葉の身体を綺麗し、布団に寝かせ、私はベランダに向かった。
ふと、このマンションに来た時のことを思い出す。
あの時と全然違う風景。変わってしまったのは私だけでは無かった。
.........寒いなぁ
まだ、9月だと言うのに。
今の私は寒気が止まらなかった。
1本の電話を入れる。
彩葉だけでもちゃんとしたお墓に入って欲しいから。
『かぐやちゃんどうしたッ!?なんかあったか!?』
繋がったことを確認し、リビングへ適当に投げ捨てる
リビングから帝の声が聞こえる。
「.....バイバイ」
リビングとベランダを隔てる窓を閉める。
「良ぃ景色だなぁ....やっぱりここで良かったぁ....」
私の死装束は.....めぐみに初めて買ってあげた服じゃん♪
めぐみと最後まで一緒だなんてね〜。
いやはや運命的ですなぁ〜☆
..............今、私もいくよ。
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『先日、立川市内のマンションの一室で、衝撃的な2つの遺体が発見されました。
警察によりますと、発見されたのは同じ部屋の中で、1人は窓から飛び降りた状態でマンションの敷地内に落下した女性の遺体、もう1人は室内で発見された、脳の神経が焼ききれたとみられる女性の遺体です。
2人の遺体は、ほぼ同時に見つかり、現場は同一の部屋とその直下でした。
警察の初期捜査では、飛び降り自殺とみられる遺体については、室内からの落下の痕跡が確認されており、自殺の可能性が高いとされています。
一方、もう一方の遺体については、頭部に明らかな外傷はなく、脳内の神経組織が広範囲に「焼ききれた」ような損傷が見つかっており、通常の自殺や他殺では説明しにくい極めて異様な状態であることがわかりました。
2人の関係性や、事件の経緯については現在捜査が進められていますが、現場からは目立った争った形跡は見当たらず、不可解な点が多いとして.......』
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ねぇ彩葉。どこにいるの?彩葉ぁ....
寂しぃよ....寒いよ.....温めてよ.....いろはぁ....
苦しぃよ.....
助けてよ.....めぐみぃ......
かぐやを、助けてよ.....................
~EX if#10:壊したのは私か、貴方か 話~ [完]
ヤチヨはめぐみの記憶が戻ってなくても大してショックは受けてません。しかし、壊れていくかぐやと彩葉を見てだんだんヤチヨ自身も壊れていってしまった...ってイメージです。
だから最後いなかったんですねぇ〜。今頃部屋に籠って現実逃避してます。そして、2人のニュースを見てさらに絶望してることでしょう。
ほら、笑顔が足りてないよ。ヤチヨ。
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