超かぐや姫!の世界に転生してしまったので...   作:大塩tune八郎

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お久しぶりです。
お待たせいたしました。


EX 故郷に舞う 話

「めぐみ。故郷に行こう」

 

「どした。急に」

 

水曜日、お昼休みにわけの分からないことを言うこの元かぐや姫。

月にどうやって行くというのだ。

N〇S〇の宇宙飛行に成りに行くというのか。私は同行しないぞ。

 

「あー違う違う。めぐみの故郷に行きたいって話」

「あぁなるほどなるほど」

 

ん?私の故郷?

この場合この肉体()の故郷か...?それとも精神のほうか...?

 

「ちなみになんで?」

「それは...なんとなく?そこはかとなく?」

 

どうゆうこっちゃ。

 

「最近遊び行けてなかったから行きたいなぁ〜…的な!」

「えぇ〜...」

 

別に行かなくても....。家居たいし....。ゲーム溜まってるし....。

怪訝そうな顔をする私と上目遣いで可愛くお願いしてくるかぐや。

くっ.......ッ。

そんな状況に痺れを切らしたのは.....、

 

「しょうがないなぁ....いいよ、行こ」

「いいのぉ!!っっやったぁ!!」

 

白衣の裾と跳ねながら全身で喜びを表すかぐや。

 

甘いなぁ、私。

なんだか毎回この手にやられている気がする。

いつか耐えてみせる..!

 

「じゃ、メンバーと日程の調整しといて、私行くとこ考えとくから」

「任されたし〜☆」

 

ヤチヨよろしくのポーズで返事をしたかぐやは準備に取り掛かりに休憩室の扉を颯爽と開け放って出て行った。

 

....何年振りだろ。

 


 

 

 

ということで来ました。

我が故郷がある都道府県、それは...!

 

 

「新潟、来たぁぁああ!!!」

 

「飯食うぞぉぉぉおおー!!!」

 

「「2人ともうるさい・静かにして」」

 

 

現在いるのは新潟空港。

メンバーは私、月姫コンビ、彩葉の4人。

というか久しぶりに来たなココ....。こんな小さかったっけ?

 

「今更だけど、わざわざ仕事休んでまで来るような場所でも...」

「いやー、暑いねぇ!!」

「暑過ぎんだろ...!!ツ-」

「まだ序の口ってほんと...?」

 

新潟って蒸し蒸しするから同じ気温でも結構体感変わるんよね。

 

「とりあえず今日は観光で、海は明日行くぞ」

「OKェーーー!!!」「極上ぅ....!!」

「実はちょっと楽しみだったんだよね」

「なんか君たちテンション高くない??」

 

何気にここにいる全員そろっての旅行は初めてだからかな。

そんなこんなで、なんだか様子のおかしい2人、ウキウキの1人、懐かしさを全身で浴びている1人の4人による2泊3日の新潟旅行が始まった。

 

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──

 

 

「と言っても新潟って観光する場所ないんですけどね(笑)」

 

「えーー....」

 

空港からバスで移動して現在新潟駅バス停、どんな場所があるんだろうとウキウキのかぐやに無慈悲にもそう言い放つ。

新潟だぞ?田んぼと山しかないんだぞ?

そりゃぁないことには無いけど.....。

他県に比べたらどう考えても観光する場所が少ないのが新潟。

老後に山などの自然や神社・寺周りを楽しめる人ならそこそこ楽しいと思うけど.....。

まぁ、現代に染まりきったナウいかぐや姫からしたら面白くないだろう。

 

「ま、気ぃ直してラーメンでも食べに行きましょうや」

 

「ラ゛〜メ゛ン゛!」「ていうか8000年振りのラーメンかも」

 

そういやヤチヨはボディを手にしてから初めての旅行だった。

今まで旅行に行く時はヤチヨ用のタブレットを携帯して一緒に行っていたけど場所によっては電波の問題で来れないことが度々あった。

それにツクヨミ内にもまだラーメンみたいな複雑な味は上手く出力されないらしい。

よかったね。ヤチヨ。

 

「で、どこのお店行くの?駅中?」

「いや、レンタカー借りて少し離れたとこ行くよ」

 

今から行くお店はよくお母さんと行っていたところだ。

地元からは結構離れていたけど美味しいからとわざわざ行っていたくらいthe新潟って感じのラーメンを出してくれるお店だ。

 

「じゃ、借りてくるから2人は駅中見てきたら」

「オッケー☆」「ヤチヨ早く行こ、早く」

「お土産はまだ買うなよー」

 

一時二手に別れ、準備を進めていった。

 

 

ーー

 

 

「新潟って米菓子めちゃめちゃ美味しいね..!」

「昔来た時とは全然違ってて感動」

「歴史を生きてきた者の言葉だ。重みが違う」

 

無事レンタカーは借りることが出来、今は私が運転する車に乗り込んでお店に向かっていた。

あ、こら。レンタカーなんだから菓子のカスこぼすな!

 

「ていうかあるかどうかわからなく無い?」

「調べてありやす」「うぃす」

 

運転しながら見覚えの深い街並み、道、景色が次々と出てくる。

 

中学時代の友達はこっちでも元気だろうか。

夢を叶えられただろうか。

恩師は今もまだ墓周りをしているんだろうか。

お母さんは元気にしているだろうか。

.....私って意外と前の世界に思い入れあったんだなぁ..。

 

人間数百年もやっていると昔とは違う言葉が思い浮かぶもんらしい。

地元でもない場所なのにこんな感想が出てくるんだ、と感心しながらシャッター街になっている商店街を走っていく。

 

寂れたなぁ...。昔よりももっと....。

 

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30分ほど車を走らせ着いたのは郊外の外れにあるラーメン屋さん。

見た目も暖簾も変わってない。

 

「ふー着いた着いた」

「うっp...ちょっと酔っちゃったかもぉ.....」

「身体いてぇーー!」

「お菓子食べすぎ」

 

借りたのが軽だったから後部座席に座っていたかぐやと彩葉は背を伸ばしている。

ヤチヨは....見ての通りって感じだ。

ん〜、これはヤチヨのボディの性能が如何に高性能かがわかる出来事だねぇ!!

 

「助けでぇーいろはぁ、めぐみぃ....」

「だからリハビリやろって言ったのに...しょうがないなぁ」ガシッ

「え、ちょっと待って、なんで服脱がそうとするの!?恥ずかsっうp」

「はいはいじっとしててね〜」

 

ヤチヨが可哀想なので脇下にある神経系制御盤的なやつをいじくって自律神経を再起動する彩葉。あんまやんない方が良いんだけどね....。

なんか....えっちだな....。これ見えてて大丈夫か?

 

「う〜ヤッチョ、もうお嫁に行けないよぉー....」

「ヤチヨって住民登録してあるの?」「確かに」

「はい、3、2、1、」「そりゃもt...................」

 

あぁ声出なくなっちゃった。

口をパクパクと動かして喋り続けているヤチヨ。

実状は何も聞こえてないけど。

 

「.........したんだよ!」

「おかえり〜」

 

さ、早くお店中行きましょね〜。

 

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──

 

 

「フィ-オイシカッタァ-」「美味しかったー♪」

「もう1回来たいね」「.......」

 

みんな、店を出て一言目に言ったのはラーメンを絶賛する言葉。けれど私は絶賛すること無く口もごんでしまった。

そんな様子の私に気付いたのはかぐやだった。

 

「めぐみ?どうしたの?」

「......違った...」「え?」

 

「味が......違ったんだよ.......」「!!」

 

そう、私が口ごもった理由は私が知っている味と違っていたから。

確かに近い味はしていたが、もっとコクがあってスルリと入っていくような麺を使ったラーメンだったはずだ。

悲しきかな、これがバタフライエフェクトちゃんですか....。

 

「う...うぅ.....」「あーその〜....そういう時もあるって!」

 

トホホ、私がいないだけでこうも味が変わるとは...。

時間の歴史線とはなんと複雑で繊細か.....。解せぬ。

 

「元気出しなよめぐみ。まだ変わってないところもあるかもしれないじゃん」

「うん...ありがとう....」

「お菓子あげるから元気出しな」

「ありがとう...ヤチヨおばあちゃん....」「お?」

 

みんな優しいなぁ....でもね....、

 

「私ここのお店あんま想い入れ無かったんだけどね☆」

「「「???」」」

「選んだ理由、『美味いラーメン屋百選』だからだし」

「あげた優しさ返せ」「大袈裟野郎」「お菓子買って」

 

みんな優しいなぁ()

 

────

─

 

その日はそのまま車で市内の色々な場所を周った。

翌日は海やBDシティ、白山神社など、まぁメージャーなところを。

 

そして、最終日。

 


 

早朝、

山際から顔を出した陽光の隙間風に目を覚まされる。

隣のベットにいる彩葉はまだ起きていないようだ。スヤスヤと寝息をたてている。

 

「....なんだか、懐しいな...この感じ」

 

カーテンから外を覗くと普段なら既に明るくなっている空は、まだ暗闇が残っており、夕日のように淡く焼けたコントラストを作っている。

この景色は日本海側の特権だな。

 

「にしても...いつも通り起きちゃったな...」

 

みんな意外と楽しんでいたのか昨日も随分早く寝ていた。

彩葉もそんなに遅く起きるとは思わんけど......。

 

「よし、先に準備しちゃうか!」

 

彩葉のことは起こさず放置。

先ずは朝風呂行って気持ち良くなろ。

......色落ちしてる所、ないといいけど。

 

────────────────♨

 

フィ-、さっぱりした〜。

まぁ常に清潔だけどね〜。

朝食行きたいし戻ったら彩葉さっさと起こそ。

 

なんて考えながら部屋に戻ると、

 

「あ、おはよ」

「ん、おはよ」

 

既に起床済みでしたか。

なら色々都合がいい。

 

「彩葉、お腹すいたからはよmorning食べいこ」

「私も行きたいけど...もうちょい待って」

 

このお化粧野郎め。可愛いな畜生ぅ...!

そして彩葉は化粧をしに洗面台へ、私は暇つぶしに姫達の部屋へ。

 

「うぃーっす。起きてるかー」

 

「おはよう....ござい─ますみなさい───....」

「おい待て寝るな」

「おはよぉ〜めぐむぃ〜」

 

こいつら絶対あの後夜更かししてたな。

まぁ旅行だし良いんだけどさ。

あ、そうだ。

 

「朝食のビュッフェ始まっちゃうけどいいの?起きなくてー」

「行く!!!」

「うるさ」

 

ご飯で一本釣りなんてのも粋なもんかも()

釣れた大物は凄まじい速度で身支度を整え、先に準備していたヤチヨの手を引いて*1さっさと行ってしまった。

 

「はやぁ...」

 

1人残されてしもうた。

そろそろ彩葉も準備終わるだろうし、ちょうどいっか。

 

部屋に戻ると彩葉は身支度を済ませようとしていた。

 

「かぐや達先行っちゃった」

「やっぱり、走っていったでしょ」

 

苦い顔しながらため息を吐く彩葉。

かぐや達のビュッフェへの想いは廊下全体に響いてしまったらしい。

あとがこえー。

 

「そろそろ行ける?」

「後ちょっと待って...ここだけ.....」

 

納得出来ていないのか洗面台の前で前髪を調整している彩葉。

もう、しょうがないなぁ。

 

「ヒューってやってヒョイ♪」

「おぉ....」

 

ふっふっふ、私にかかれば彩葉の前髪を完璧にするのなんて朝メシ前よ。

 

「お褒めに感謝申す」

「読むな、心を」

 

勝手に読んじゃうんだからしょうがない。

そうだそうだと1人納得していると、彩葉が雰囲気を変えてひょんな事を聞く。

 

「変なこと聞くけど、後悔してないの。今回来たこと」

「どした?急に」

「いや、その、なんとなく」

 

既視感のある会話すぎる。

 

「ふーん。別に後悔はしてない...と思う、かな?」

 

少し迷ったがこの言い方が正しい気がする。

自分の気持ちにはもうある程度整理つけてるし。

 

「けど.....ちょっと怖いかも」

「それは、なんで?」

 

食い気味にさらに質問する彩葉。

私は真剣な表情よりも困ったような顔をしながら言った。

 

「懐かしさって凄くて、自分が当時嫌だったこともなんだか不思議と素晴らしいことの様に見えてくるんだよね」

「それのせいで、自分の居るべき場所が分からなくてなりそうで、」

「彩葉達を見捨ててしまうんじゃないかって、そんな感じ〜」

 

少し誤魔化すように話終えた私に、彩葉は向かい合うようにベットへ腰を下ろしてホッとするような、優しく包むような声でこう言った。

 

「良かった。あんたも私と一緒で」

 

..え?

 

「海行った時、私にあんたは『もっと頼って』って言ってくれたでしょ」

「自分勝手な後悔を認めてくれて、それでも良いよって言ってくれて凄く嬉しかったし、凄く救われた」

 

過去に自分がかけた言葉。

言葉選びも慎重さもなく言い放ったあの時は、知らぬ間に彩葉を海面へ救い上げていたらしい。

 

「だから、今度は私が言うよ」

 

 

「めぐみ」

 

 

「もっと贅沢に自分を愛して、もっと私たちを粗末にして」

 

 

.....彩葉は優しいなぁ....。

 

「いいの?私、頑張らなくて」

「めぐみから沢山貰ったんだから次は私が沢山あげなきゃ」

 

そんなの考えなくていいのに。

 

「これからも私から彩葉にあげることはやめないけどねぇ〜ウリウリ~可愛いヤツめーー!」

「!?横腹を刺すな!」

 

....あ。

 

「…ねぇ彩葉、ちょっとふt「フンッ!!」ブハッ」

 

事実なのにぃ.....思いっきり叩かなくてもぉ.....。

 

「何も無かった.....いいね?」

「YES....MY MASTER.....」

 

床に倒された私に、彩葉は圧をかけながら手をさし伸ばす。

 

「よっころせ、っと」

「よし、行こっか」「うぃ」

 

握り返した手の体温は確かに感じる。

いずれ思い出すことはなくてもこの一間は深く心に染み込み消えない。

 

 

きっと、居場所となった自分を離さない奇跡になって。

 

 

 

 

 

〜EX 故郷に舞う 話 [完]〜

 

*1:
「ちょまッ..」




この後かぐや達は鍵を部屋から持ち出してないことが発覚し、彩葉に叱られます。
可哀想は可愛い。
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