超かぐや姫の世界に転生してしまったので...   作:大塩tune八郎

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これはpixivで連載しているものです
オリジナルの設定が含まれるので苦手な方はご遠慮ください
解釈違いという方もご遠慮ください


#8 彩葉、ほんとうに起きたことなんだよね?

 

~side彩葉~

 

数日ぶりに学校へ登校し教室に入ると、芦花と真実の2人が手を引き黙って私を人通りが少ない廊下へ連れてく

これ、怒ってるな〜..

 

「...彩葉、連絡するの遅すぎ」

「めぐみが居なくなったってどういうこと?」

「連絡返すのが遅かったのは一旦いいとして、なんで1週間も休んだの?」

 

グイグイと詰め寄ってめぐみのこと、休んでいた時のことを聞いてくる

当たり前だろう、つい数日前まで一緒に過ごしていた友人が意識不明になったのだから

それに加え、私が1週間も休むなんて周りからしたら考えられないだろうし

 

「ええっと....」

 

まず何から話せばいいだろうか

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「まあ、その前に私は学校に行かないとだけど」

「えぇー」

 

2030年9月15日午前5:00過ぎ

 

と言ったが2日間音信不通だった理由、どうしよう。

素直に言うべきか...?

それにやることが大量だ。スケジュールを見直さないと。

あと、バイト先にも連絡入れなきゃか....

やることが湯水のように湧いてくる。だが関係ない、めぐみを助けるためだ。

 

「...彩葉!」

「ん?何かぐや」

「色々考えてるみたいだけどさ。まずは朝ごはん、食べよ。腹が空いては何とやらって言うでしょ」

 

それもそうか。私は実質2日間ほとんど食べ物食べていなかった、体が先にダメになったら元も子も無い。

 

「うん、そうしよ」

 

久しぶりにかぐやと2人だけで食べる気がする

めぐみが居ない食卓は、ぽっかりと家に穴を開けたような虚しさを生み出していた

 

 

パジャマから夏用制服に着替え、少し早めの朝食をとってる途中かぐやが、

 

「かぐや、勉強する。彩葉と同じ大学入ることにしたから」

 

....?

ふむ....

.....?.........!?!?!?!?!?!?!?

 

「はぁぁあ!!!??」「彩葉うるさい」

 

何を言ってるんだ、かぐやが、大学..?しかも、同じ...?ってことは東大.....

どういう風の吹き回し..?

 

「ち、ちなみに理由を聞いても...?」

 

かぐやは私の目を真っ直ぐ、真剣な表情で見つめる

 

「私って今、ライバーとして活動できないじゃん」

「はい」

「現実的に考えて、めぐみを連れて帰ってくるには地球の技術じゃ無理なわけで」

「だから大学いって勉強して、月に行くための技術を開発して、めぐみのこと助ける」

 

.....かぐやは、

 

「それに、ハッピーエンド。3人で見るって約束、守らないと....罰当たっちゃうし」

 

シスターのような、薄い笑みをしながらそう言い切る

かぐやは、責任を感じてるんだ。

もう、子供じみた前のようなかぐやじゃない。大人になったかぐやに応えなきゃ。

 

 

「時間ないんだから、急いで準備するよ」

「.....いいの?」

「かぐやがやりたいこと、私が否定したことある?」

「あるけど..」

 

....。

 

「と、とにかく、一緒に頑張ろ。めぐみのためにも」

「うん!」

「やるからにはビシバシ教えるからね」「....頑張るね」

 

 

 

 

ーーーーー

 

「って感じでかぐやが東大受験することになりました」

 

「「.....」」

 

ん?どうしたんだろう2人とも、そんな呆れたような顔して

 

「彩葉、続けていいよ」「うん、大丈夫。気にしなくていいから」

 

そう、じゃあ遠慮なく

この後はたしか....

 

 

 

ーーーーー

 

 

「酒寄さん、おはようございます。体調の方は大丈夫ですか?」

 

学校1番に登校し、2日間休んだ理由を説明しようと教務室にいる担任の立花先生の元へ行くと予想外なことを言われた

 

「えっと、なんのことですか...?」

「?彩紬さんと諫山さんが体調不良と代わりに連絡してと頼んだじゃなかったんですか?」

 

芦花と真実が....

 

「ああ、すいません。たしかに頼みました」

「....そうですか。友達は大切にしてくださいね」

 

先生にはお見通しらしい、ありがとうございます立花先生...!

 

「それと、和副さんの件。大丈夫ですか?無理なようだったら休んでも構いませんよ。欠席には含まないよう先生方には説明しときますので」

「!」

 

少し、というか大分悪いことが頭の中に浮かぶ

 

(.....)

 

スゥ-フゥ--

めぐみのためだ。

目の笑っていない笑顔を顔に貼り付け

 

「今週いっぱい、休ませてください」

 

「わかりました。その代わり、家から遠出するなどの.....」

 

嘘をついた。

そのまま臨時休日の過ごし方について最低限説明された。終わり際に、

 

「酒寄さんなら破らないとは思いますが」

 

と、言われた。ごめんなさい、立花先生!

 

 

 

ーーーーー

 

「これが1週間も休んでた理由...かな」

 

とりあえず休んだ理由を説明した。

2人はにっこりとして、

 

「良かった、病んでたわじゃなくて」

「心配だったんだよ」

 

納得してくれたようだ。2人には本当に心配をかけた上に、無断で休んだ理由付けまでしてもらって頭が上がらない

 

「芦花、真実、ありがとう」

「...私たちは彩葉が無事だったらなんでもいいから」

「うんうん」

 

本当、優しい友達だ。

 

「で、めぐみに何があったの」

「聞かせてくれるまで今日は返さないよ」

 

それも含めて話すね

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「かぐや、ヤチヨにメール送れた?」

 

学校から家に帰り、ヤチヨとコンタクトを取ろうと躍起になっていた

 

「ううん、こっちもダメだった」

 

大きくバッテンポーズをしながらヤチヨと連絡が取れないことを教えてくれる

かれこれ30分メールを送っては更新を繰り返しているのだが一向に届く気配がない

 

「....探さなきゃ」

 

ヤチヨが忙しいのは知ってる。だがヤチヨの相談部屋までもが拒否を示すエラーメッセージを出してくるのは流石におかしい、意図的なものを勘ぐるのは自然なことだろう

 

「ツクヨミなら..」

「私、待ってるね」

 

かぐやはもう暫くはツクヨミには行けない。卒業した身なのだから、ひとまずは行かないようにした

 

〜〜〜

 

一縷の望みにかけてツクヨミに来たはいいものの探すアテはない

ツクヨミ内のスクリーンに映し出されているのはヤチヨの配信。どじょうすくいの踊りをしているようだけどあれは過去配信の再放送だろう。全てを追ってる私にはわかる

 

「!」サッサッ

 

あの小さな白いやつって..!

 

「待って!なんであんただけでッ!」

 

普段はヤチヨの肩に乗っているFUSHI、そそくさと逃げて行くウミムシ。

ああもう、妙にすばしっこいな!

追いかけて行き裏路地のような人気のない袋小路のところに追い詰める

 

「ヤチヨの居場所、教えて」

 

FUSHIは黙ったまま振り向いた。口を噤んで話す気は無いらしい

なら、結構だ。

 

「自分で探すよ」

 

そう言い捨て去ろうとすると、

 

「どこを探すって」

「教えてくれないなら、世界中」

 

答えるとFUSHIは小さな目で私を見つめる

 

「......目を開けてみろ」

 

一瞬どういう意味かわからなかったが、言われた通り瞼を開けると

部屋にFUSHIがいた。いつの間にかONになっていたAR機能。だがそんな事を気にしてる場合じゃない、

 

「ついてこい」

 

道標を残しながら素早くFUSHIが走り出している。

ちょっと待って、まだ準備が

 

「かぐや、今すぐスマコンつけてついて来て!」

「え、どゆこと」

「いいから早く、見た方が早いから」

 

スマコンをつけたかぐやは、FUSHIを見たとき驚いていたが察したようでそれ以上は何も聞かずにFUSHIを追いかけた

 

FUSHIは現実世界を知り尽くしているかのようにスイスイと街を駆け抜けた。角を曲がって、坂を下り、横断報道を渡り

電車まで使ってある街のマンションの一室まで導いた。

ドアノブに手をやると招き入れるように鍵が開く、ゆっくりと扉を開くと

 

「何、ここ?」

「......!」

 

ヒヤッとした空気、水槽に入った巨大たけのこを中心としたサーバーのような機器の数々、それらを繋ぐ配線でびっしりな床、とても異様な光景に妙な感覚を思い出す

 

「水槽...?」

 

この感覚は初めてではない。これは月の奴らが初めてきた時と同じ....

 

「それがヤチヨだ」

「え.....」「........」

「ここから、ツクヨミに入れ」

 

FUSHIに言われた通り、瞼を閉じ再びツクヨミに潜る。少し時間がかかる、いつもとは違う、まるで裏口から入るような感覚.....

 

「......」

 

その部屋は初めて見る部屋だった

灯篭が静かに部屋を明るくし、窓から聞こえる風音でこの部屋が高層階であることがわかる。

特別で居心地が良さそうで、どこか寂しげな部屋。

誰かの私室なのだろうか。今目の前で背を向けて座っている、誰かの

 

「かぐや...?」

 

長い髪を床に広げた姿がかぐやに見えた

かぐやに似ていた、かぐやは隣にいるのに

でも、振り返ったのは

 

 

「ヤチヨ」

 

 

だった。

なぜ、そう思ったのだろうか。勘違いをした、とは少し違う気がする。これは勘でしかない。論理も理由も無い、でも、言わなければいけない気がする

 

「ヤチヨは、かぐやなの....?」

 

「.........」

「馬鹿げたこと言ってるのはわかってる、でも....」

 

ヤチヨは目を丸くして驚くように私を見つめ、薄く微笑み口を開く

 

「今は昔」

 

そして語り始めた。いつも通りのヤチヨの話し方で

 

「月に帰ってバリバリ社畜してた、えらえらかぐや姫のところに歌が届きました。それはかぐや姫に作られたかぐや姫だけの歌」

 

歌....?

 

「かぐや姫は大喜び。それでもういっかい地球行こ〜〜って、お仕事爆速で片付けて引き継ぎも完了。ただ、地球の時間では大遅刻。でも、安心。月の超テクノロジーは時間も越えられます。時を超えて、地球に向かうかぐや姫。でも、もう少しのところででっか〜〜い石に当たっちゃったの」

 

何を.....

 

「いや〜〜、やっぱりタイムトラベルとなるとさすがに超テクノロジーでも制御が激ムズだったんだよね〜。....舟は致命的なダメージを負って難破寸前。ヘロヘロになりながらたどり着いたのは、ざっと8000年前の地球でした」

 

言って......

 

「壊れた舟の僅かな力で、同行していた犬DOGEだけが身体を得ました。たまたま近くを泳いでいたウミウシになれたのです。かぐやはウミウシを通してだけ、世界と交流をもてました」

 

------私は、何を聞かされているかもわからず立ち尽くしていた

 

「時は経ち、人は見えないものを形にし、多くの人と繋がる力を手に入れた。それは月の世界と少し似ていて、かぐやは初めて、魂だけの自分が世界と関われる可能性を知りました。そして、仮想世界ツクヨミの歌姫として再び彩葉と出会うことができたのです」

 

.......私と?なんで------

 

「うん、彩葉と」

 

そう言うと、ヤチヨは大失敗とばかりに額を打って、

 

「っっってぇー、これじゃあ手放しでめでたしめでたしとはならないか〜〜、やっぱ♪」

 

おちゃらけたように笑った。

いつものヤチヨの笑い方で。

 

「かぐやは月に帰ってないのに.....ヤチヨは何者なの..?」

 

少し微笑みを崩し悲しさを感じる声で言う

 

「そうだな〜、正確に言うならめぐみが居なかった世界線のかぐやかな〜」

 

世界線....あのファイルと関係する話だろうか

ありえない話では無い。それにめぐみが居なかった場合かぐやは連れていかれただろうし

....ヤチヨが言ってることが全て本当なら、ヤチヨは....

 

「ヤチヨ」

 

今まで静かにしていたかぐやがいきなり口を開く

 

「ヤチヨがめぐみに月の技術を流したの?」

 

少し圧がある、今までかぐやから聞いたこともない声色でヤチヨに語りかけるかぐや

 

「......うん、私があげた」

「そっか...」

 

かぐやはヤチヨの答えを聞いて立ち上がり、ヤチヨに近ずく

そして、

 

バチィィィィンッッッッッ!!!!!

 

本来なら叩くことも痛みを感じさせることも出来ないはずの頬を思いっきり叩いた

 

「............ぇ?」「何やって....!」

 

「...っ!バカ!!なんで、なんで月の技術を渡した!」

「あれは人類には早すぎるものだって、私ならわかったでしょ!!」「....ッ」

「それのせいでッ!もう、めぐみは...ッ帰って来れないかも....ッッ」「......」

「帰って、来れない...」

 

......かぐやがこんなに怒りの感情を露わにしたのは初めてだ。眼には涙を我慢して、悔しそうに拳を強く握っている

ヤチヨも反発するように言い返す、

 

「.......ッ!私だって!こんなことしたくなかった!」

「あいつが!あいつ言ったんだ!ラストライブ後に彩葉が死ぬって.....!」

 

....は? 「...ぇ?」

私が、死ぬ?

 

「彩葉は、私のために歌を完成させた反動で倒れて死んじゃうって!あいつが言ったから....だから、死んで欲しくないから....ッ彩葉の、ためだったんだよ.......」

 

「めぐみは......未来を知って....」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤチヨとかぐやは悲しさが溢れ出てきたのか怒りのボルテージが下がっていき段々落ち着きを取り戻す

 

「........。めぐみは、この世界の人間じゃない」

 

 

さっきからずっとわけが分からない

めぐみがこの世界の人間じゃない?じゃあ、急に現れたとでも言うのだろうか

ヤチヨに笑顔の無い、疲れた表情をしながら語り始めた

 

「めぐみ自身が言ってた。『私は転生してきたんだ』って」

 

そんなことが有り得るのだろうか

いや、電柱から赤子が出てくるんだ。何も不可思議ではない

 

「外の世界だとね、私たちの物語があって、映画や小説で大ヒット。凄く人気のある作品だったって....」

「めぐみも読んで凄くハマって、グッツも沢山買って」

「でも.....駅のホームで線路内に落とされて、死んじゃった」

 

「目が覚めたら、この世界の和副 恵として蘇ったんだって、......転生したんだよめぐみは」

 

膝から力が抜ける

....嘘を言ってるようには見えなかった。

じゃあ、めぐみは....かぐやが家に来た時も、初ライブをした時も、花火を見に行った時も、全部、全部分かってたんだ

私を、かぐやを、本来あるべき結末とは違うものにするために。ずっっっと独りで抱えてたんだ....

 

「ヤチヨ」

 

かぐやが口を開く

 

「ヤチヨがやったこと、私は許せない。でも....」

 

かぐやはヤチヨの前に正座し、頭を床に当たるまで下げる

 

「お願いします。めぐみの計画のこと全部教えて下さい」

 

かぐやが土下座してる..?

 

ヤチヨは目を丸くし動揺した表情をしながらかぐやを見つめる。

 

「かぐや、頭をあげて!そんなことする価値、私には....」

「ヤチヨ!かぐや!彩葉!」

 

すると突如今まで居なかったFUSHIがビャンっと現れる

 

「いい加減見てらんないぜ、教えてやるよ。そもそもそのつもりでヤチヨは待ってたんだ。ヤチヨ」

「...ッ、うん」

 

FUSHIに名前を呼ばれたヤチヨは指を鳴らして、今いた部屋から前のアパートに瞬きする間もなく移動した

私とかぐやはアバタースキンではなく、現実世界の姿に変わっている。

驚いた、ツクヨミの管理人はこんなことまでできるのか

でも、無理矢理明るく振る舞っているように見える歌姫に意識が割かれる

 

「懐かしいな〜、2人はそんなに懐かしい感じしないか〜」

 

ちゃぶ台の上にはお菓子やジュースが沢山置いてある。いつものかぐやなら断りも入れずに手を伸ばしそうだが…

 

「ヤチヨ、話して」

 

気にもせず、ヤチヨから情報を聞き出そうと座った

そんなかぐやを見ると少し寂しい気持ちになる。

 

「.....めぐみはね、彩葉が死ぬ結末を阻止したかった」

「そのためには輪廻を壊さないといけなかったんだ」

「壊す" だけ "なら簡単なんだ。でもね、彩葉を生かすためにはかぐやがこの地球に残る必要性があった」

「だからめぐみは、自分自身がかぐやの代わりになって月に連れてかれる....そうなるようにしたの、月の超テクノロジーを改造して....」

 

そういうことか、ようやく腑に落ちることが出来た

めぐみが良く睡眠不足だったのは、深夜勉強をしていた訳ではなかったのか。

 

「じゃあ、めぐみは今....」

「うん。姫として月に居る」

 

かぐやが曇った表情をする。その顔に太陽は無い

 

「....ファイルのパスワード、ヤチヨだったら開けれるよね」

「もちろん。でも、いいの?....ここから先はきっとかぐや、見るのも辛くなることばっかり書かれてるよ」

 

かぐやに迷いは無く直ぐに言い切る

 

「関係ない、見せて」

 

 

「..そっか。じゃ、かぐや手出して」

 

そうヤチヨが言い、かぐやが手をのせた瞬間2人はどこかに消えてしまった

 

 

 

「.....」

 

1人残された私、ちゃぶ台の上にいたFUSHIに声をかける

 

「FUSHI。ヤチヨが隠してること、まだあるよね」

 

直感でそう尋ねる。

FUSHIは小さな目を涙で崩しながら警告する

 

「......でも、人間じゃ耐えられないかもしれない...」

「それでも、かぐやの全てを知らないと」

 

パァアアと嬉しそうに口角を上げながら口をあけ、

 

「わかった...。いくぞぉぉぉおおお!!!!」

 

目からビームを出してアパートを積み木を崩すようにバラバラと崩壊させながら私をヤチヨの、かぐやの記憶に飛び込ませる

 

 

 

~~~~~~~~

 

『ヤチヨ、どっかにいるんでしょ!出てきて....助けて.....』

「かぐや..!」

 

あっという間にかぐやの意識と同化して、8000年前の地球へと飛んだ

 

 

~~~~~~~~

 

砂浜で男の子に歌を歌ってあげる

毎日遊んでた。目に前に苦しそうに横になっている男の子に

男の子が苦しくなくなるまで

 

~~~~~~~~

 

上手く丸め込まれ結局元の3分の2の値段で買われてしまう

市井でで客に値切られる続ける行商人を慰めるために一緒に歌う

夜と更けながら

 

~~~~~~~~

 

墨で指先を黒く染め、

頭に浮かぶ物語を書き続け人々を喜ばせる文人に

私の物語を書いてもらって

 

~~~~~~~~

 

恋の歌だけをひたすら読み続ける歌人

月を一緒に眺めながら、私の歌を読んでもらう

 

~~~~~~~~

 

税と戦ばかりを考え、

周りから信頼と恐怖の目線を集める官吏と

自分たちの信念を語る

 

~~~~~~~~

 

戦のたびに旗印を変える将軍

肩に乗りながら絶景の景色を共に見て

 

~~~~~~~~

 

都を牛耳る豪族たちにも

それらしい理由があることを熱弁されたり

 

 

そんな色々な人達も、みんな等しく、せいぜい50年そこらでふっと画面からフェードアウトするみたいに死んでいく。

 

 

好きになった人もたくさんいた。

 

私に恋した優しい歌人

 

燃える城の中で私だけを逃がしてくれた姫とその娘

 

二人三脚で太夫を目指した気の強い花魁

 

空襲で母親を失った街で花を売りつずけた少女

 

病に犯されながらも小説を描き続けた作家

 

命を賭して生きる人たちの覚悟を、私は必ず愛してしまったから。

 

助けられなかった人々を思い出す度、内側にかき傷ができて消えなくなる。

私がうまく伝えられていたら。どうにか導けていれば。

あー、あの頃は、嫌なことがあったって、すぐに忘れられたのに。

なんでもできる最強だったかぐやは、もういなくなってしまった。

 

人は戦争と共にどんどん科学技術を発展させていった。電話、冷蔵庫、ラジオ、ブラウン管、コンピューター。

そしてついにワールドウェブを作り出した。

 

 

ここから更に発展して、もと光る竹をネットに接続して仮想空間を作れば誰も殺し合わなくていい、楽しくて、歌って遊べる、誰も孤独にならず、いつでも返事を貰える場所。

そうだな、名前は-------

そこで私はハッとする。

 

.....馬鹿だなぁほんと、なんで今まで気づかなかったんだろ。私がなるんだ、ヤチヨに

 

きっと、今までもずっと繰り返されて来たんだこの世界は

それと同時に自分が彩葉と再開できることを、確信した。ほんの、あと数十年後の間に。

 

 

バーで知り合ったその男は、ウミウシの私の最後の友人になった。たどたどしい発音をしっかり解読するばかりか、自分がCIA職員であることを明け透けに言ってのけた。私には今、協力者が必要だ。彩葉と再会するために

笑われる覚悟で素性を打ち明けると『そうだと思った』と癖のある笑顔で返される。

作戦を練り上げ、入念に準備を重ねて彼に頼み込んだ。

 

「正倉院に保管されている『もと光る竹』を盗み出してくれ」

 

と。彼はやはり真顔で頷くだけだった。彼には彼の仕事があっただろうに

 

「一緒に来ないか」

 

全てが終わったあと、彼は空港で私に言った。『もと光る竹』を人質に、無理矢理連れて帰ることも出来たろうに、

 

「約束があるの」

 

そう答えた私を残して、彼は1人母国へ飛んだ。

 

「極上のワインは時間が経つほど深まる。悪いことばかりじゃないさ」

 

その言葉と、彼の誤魔化すときに片方の口角を上げる笑い方が私の中にずっと残った。

 

 

 

~~~~~~~~

 

さぁ、準備は整った。仮想空間ツクヨミのプロトコルを作り上げた私はローンチと同時にライブを敢行する。曲はもちろん、いつも歌い続けていたあの曲。8000年の間に何度も変奏した、彩葉たちと一緒に戦ったあの時の曲。

初めてのライブは、記憶の中のヤチヨのライブとは比較にならないほど人が少なかったけれど、歌えることが嬉しくてたまらなかった。そこから何度もライブを開いて、飽きることなどなかった。今日、あの子が来てくれるかもそう思うといつだってヒリヒリだった。

毎回、お客さんの中にあの子を探した。あの初期アバターの女の子がそうかもしれない。最初はお兄ちゃんのアカウントでログインしているかも。友達の可能性もある。もしかして、あの猫が?

 

いつもいつも、群衆の中にあの子を探しながら歌っていた。

そうやって、ついにその日はやってくる。

 

-------彩葉。

 

きっと泣くんだろうなそう思ってたけれど、私は最後まで笑って歌っていた。

 

......そうか、だからいつもヤチヨはあんなに楽しそうに、笑ってたんだ

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「彩葉、彩葉!」

 

頭の外から声が聞こえた。私の声だ。私の声があの子の名前を呼んでいる

 

「彩葉!」

 

ああ、違う。この声は私じゃない

瞼を開くと目の前にヤチヨがいた

 

「ヤチヨ....」

「馬鹿.....壊れちゃうよ.....」

 

今にも泣きそうなヤチヨの顔があった

こんな事が前にもあった気がする。無理をして倒れた私の身を案じて泣いていたかぐや。8000年経っても同じことしちゃったね

 

「.....かぐや」

 

抱きしめずにはいられなかった

 

「ごめんね、ずっと気付いてあげれなくて」

「彩葉」

「ずっと待っててくれたのに。ずっと探してくれてたのに」

「.....彩葉」

「ごめんね」

 

8000年、泣きたかったんだよね

 

大好きなかぐや。私のかぐや。長い長い時間をかけてヤチヨになっていったんだよね

気の遠くなるような孤独と絶望を共にして、数え切れない出会いと同じ数に別れを繰り返して、その優しい笑顔を覚えていったんだね

 

「彩葉。私、頑張ったんだ。」

 

ヤチヨが泣いていた。儚く、綺麗に

 

「もう終わってもいいって、何回も諦めようとして」

「でも、彩葉が居てくれたから、何度も立ち直れた」

 

ヤチヨが私の手を握る

 

「私もヤチヨの歌に何度も救われた」

 

いつの間にか頬に涙が巣立っている

 

「私、やりたいことが見つかったんだ」

「ヤチヨとかぐやとめぐみと、一緒にライブしたい」

「まだまだこの物語は終わらせないから。ついてきてよね。ヤチヨ!」

 

ヤチヨは優しい笑顔ではなく、

 

「うん...!」

 

太陽のような笑顔で頷いた

 

 

 

 

ーーーーー

 

「ってことが3日前ぐらいにありました」

 

放課後、学校近くのカフェに入り、朝の朝礼前だけでは話しきれなかった内容を2人に話し終えた

 

 

「....えっと??????」

「?????????」

 

芦花も真美も完全に理解できていないようだ。うん、話してる途中で私も思った。これ理解できる話じゃないって

 

「まあ、簡単に言えば」

・めぐみは未来を知ってた上で自ら犠牲になった

・ヤチヨは月に帰った場合のかぐやの成れの果て

・かぐやが実質2人いる

 

「こんなとこかな」

 

そう分かり易くまとめたが、

 

「「...???」」

 

これは時間かかりそうだなぁ...ハハ




感想・評価お待ちしております
あと、2話程で終わります。
最後までお付き合いしていただければ幸いです。
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