だから付き合ってないってばよ   作:冬乃菊

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大蛇丸の軟禁生活

 大蛇丸は形式上、木ノ葉警務部隊で軟禁されていることとされている。しかし実際は違っていた。

「ミコトさん、洗濯物は干したわ」

「いつも助かります」

「あら良いのよ」

 大蛇丸の割烹着姿には初めこそ戸惑ったうちは一家であったが、今では日常風景となっている。そこには奇妙な共同生活が繰り広げられていた。

「いってきます」

「サスケくん、行ってらっしゃい」

 サスケは弁当をひっ掴み家を出た。夏休みが終り、アカデミーではまた授業が再開されていた。

 ナルトと共同で提出した自由研究は、エリート上忍カカシと火影候補筆頭の自来也の写真つきということも相俟って夏休み終了後からしばらく注目を集めていた。地域の植生や、実際の任務を想定したような道中の地形図、旅程の計画など教員からの評価も高かった。

 

「サスケ、おはようってばよー」

「おはよう」

 サスケはナルトの隣りに座った。

「大蛇丸は変わりないか?」

「ああ……怖いくらい家に馴染んでいる」

「……マジか」

「これで音隠れなんて隠れ里もできないし、風影暗殺もない。木ノ葉崩しも未然に防いだ」

「けど、大蛇丸がうちはに寄生したな。……なんてこったい」

「……今のところは実害はない」

「なら良いけどよ」

「それより、今度火影が代替わりすることで何か起きなければいいが……」

「大丈夫なんじゃねーか?カカシ先生もイタチの兄ちゃんもいるからな」

 自来也の帰還は里の多くの者が望んでいたことでもあり、あの夏休みの一件以来、里の者のナルトに対する対応は明らかに柔らかくなった。また、大蛇丸も共に帰還したことについては賛否両論であるが、自来也が次代火影の器たることを皆に知らしめるものとなっていた。

「ナルト、おまえのところはどうだ?」

「特に変わらないってばよ。エロ仙人と同居ってのはヘンな感じだけど」

 自来也が里に戻るなり目にしたのは、ナルトに対する明らかな偏見。ナルトが産まれてすぐに里を出た自来也は、里の者のナルトを見る目がどのようなものかを知らなかった。身内を持たない自来也にとって、ナルトは孫のような存在であり放ってはおけなかった。

 

「ナルトくん、サスケくん、おはよう」

「おはようってばよヒナタ」

「おはよう」

 ヒナタはふわりと微笑み、定位置のナルトの隣に座った。ヒナタがナルトのことを好いているのは、いつの間にかクラス公認となっている。アカデミーでは三人が一緒にいることが多いが、ヒナタは他のくノ一嫉妬の対象にはならなかった。というのもヒナタの眼中にはナルトしかいないことを知っているからだ。

 サスケはふと教室の後方を振り返った。くノ一たちが集まっており、そこには幼い頃の元妻の姿があった。アカデミーに入学したてのサクラは人見知りが激しく長い前髪で額を隠していたが山中いのとつるむようになった最近は赤いリボンをつけ始め、以前よりも明るくなった。サスケは知らず知らずのうちに笑みを浮かべていたらしい。くノ一のグループから黄色い声が上がって我に返った。

「サスケくん、もしかして……好きな子がいるの?」

 サスケの目線の先を追って、ヒナタはこっそり声を落として尋ねる。

「いや、今はいない」

 今のサクラに対する感情は、どちらかといえばサラダに向けるような質のものだ。いくら元妻であったとしても、子どもに対して恋愛感情など抱けるはずもない。それはナルトとて同じだろう。

 いつの間にか教室がシンと静まり返っていることに気がつき顔を上げると、サスケは絶句した。ナルトのほうをチラりと見ると、丸く見開かれた目と視線が合う。

「私は大蛇丸。今日から生物と化学の授業を担当するわ。よろしく」

「コホン……みんな、新しい先生には失礼のないように。では大蛇丸先生、あとはよろしくお願いします」

 イルカは大蛇丸と共に教壇に並んでいることに耐えきれず、黙視で生徒の出席を確認するとそそくさと教室を出ていった。大蛇丸は里の忍装束に身を包み、長い髪を一つに結い上げている。多くを語らずとも、アカデミー生たちは目の前の人物が只者でないことを理解しているようだ。いつになく背筋が伸びている。

「……家に帰ったらエロ仙人をどやすってばよ」

 ナルトは声を落としてサスケに耳打ちした。

「そうしてくれ」

 その日の授業で、大蛇丸はサスケに見惚れているくノ一を中心に質問し、吊し上げた。分かりやすい公私混同の例だ。

 

 そしてその日の二限目、さらに事件は続く。

「今日から国語と歴史の授業を担当します。うちはイタチです。よろしく」

 イタチは愛想良くにこりと微笑んだ。黄色い声が上がる。その瞬間、サスケ派とイタチ派でくノ一の人気が二分した。

「どういうことだ……」

 イタチは任務に出ていたはずだった。サスケには何も知らされていない。目が合うと、イタチは少し困ったような表情をした。

 

 その日ナルトは帰宅すると、サスケと話した通り自来也を問いただした。

「なーんで大蛇丸がよりにもよってアカデミーのセンセーなんだってばよ!」

 ナルトは自来也の持っていたいかがわしい写真集を取り上げ、テーブルをバンバンと叩いて喚いた。

「これには深ーい訳があってのぉ……」

 

 事は大蛇丸の我が儘に始まったという。ヒルゼンに呼び出された大蛇丸が、おもむろに要求を突きつけた。

「一つ頼みがあるのよ。あなた方にとってもきっと悪くない話だと思うのだけど……」

「うむ、聞こう」

「アカデミーの教師になれないかしら?アカデミーでのサスケ君を見ていたいのよ……。フフフ」

 建前もなにもない私利私欲のままの要求に、ヒルゼンは閉口した。しかし、目的が分かりやすいのは正直助かる。それにこの頃、病気のため教員が病欠で人員が不足していた。

「……うーむ」

「私を野放しにしているよりは、アカデミーという分かりやすい場所にやる方が良くないかしら?ずっと家にいるのも気を使うし、そろそろ飽きてきたのよ」

 今の環境は、大蛇丸が逃げ出そうと思えば簡単に逃げ出せるに違いない。そのような状況で彼は一ヶ月近く大人しくしていた。ヒルゼンはそれらを鑑みて判断を下した。

 

 一方、サスケも学校から帰ってきたイタチを問いただしていた。

「兄さん、どういうことだ。教師なんて聞いていない」

「任務から帰ってきたら、もう赴任が決まっていたんだよ。大蛇丸さんの監視を兼ねた、ね」

 大蛇丸の監視ということであればイタチの抜擢も頷ける。

「そういうことなのよ。私の反骨精神も大概丸くなったから要らないんだけど。監視役なんて。でも、イタチ君でよかったわ。仲良くしましょうね」

「はい……こちらこそ、よろしくお願いします」

 家でも大蛇丸。アカデミーでも大蛇丸。アクが強くて胸焼けがする。

(なんなんだこの状況。一族のクーデターを防いで、自来也と大蛇丸が里に戻ったらこうなるのか……。想定の範疇を越えている)

 サスケは小さくため息をついた。

結界強化するところまで詳しく書いたほうがいいですか?

  • くわしく!
  • このままでおけ。
  • 歯ブラシどうなった
  • 泊まった時のフガクとイタチの反応は
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