だから付き合ってないってばよ   作:冬乃菊

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【注】捏造、独自解釈


作戦会議

 忍の足での移動であれば里から短冊街まで、そう時間はかからない。

 通行人の目を避けて住所の宿を探す最中、短冊街の大通りに並び立ついかにもくノ一が好みそうな小洒落た茶屋の前に、大勢の人が詰めかけていた。中には奉行所の制服を着た者も見受けられる。誘拐、などという単語も聞こえ、今回の任務と関連するようだ。

「……物騒だな」

 ライドウが呟く。

 路地裏に入った色町などでならまだしも大通りでそれも白昼に起こるとは、以前の短冊街とは異なる様相を呈している。

「火影のお膝元でありながら、なぁ……」

 奉行所の者と話している女性は、涙ぐんで落ち着かない様子だ。

 火の国は小国と比較すると圧倒的に治安が良いと言えるが、ここ最近はそうとも言えないらしい。戦争の前になると、静かに国が荒れる。そしてある日突然、「戦争」という言葉が降ってきて、後になってようやく、あれは前兆だったのかと思うのだ。

 

 

 増援が来るとの報せを受け、ナルトは宿の部屋で待機していた。

「おっ、来たってばよ」

 宿の窓を全開にし身を乗り出しブンブンと手を振るナルトの姿をとらえ、その実に忍らしからぬ振る舞いにゲンマたちは下忍だし、子どもだし仕方ないか、と苦笑する。

「ゲンマさん、ライドウさん、イワシさん、よろしくお願いします」

 シスイが手を前に出すと、ゲンマも応じて手を握り合った。

 イタチとナルトもシスイに倣って会釈する。経験年数でいえばゲンマ班の方が上であるが、シスイとイタチの実力は里の忍全員が知るところだ。

「任務で組むのは初めてだな。敬語はいい。指揮とってるのはどっちだ。上忍のシスイとイタチのどちらかだろ?俺たちは従う側だ」

 ゲンマは二枚の任務依頼書をシスイとイタチに向ける。

 指揮。という言葉にシスイとイタチは顔を見合わせる。

「……シスイ、頼む」

「ああ、わかった」

 さも今決めましたといったやりとりに、ゲンマ班は閉口しながらもシスイに任務依頼書を手渡す。

「それにしてもイタチ……やけに暗くないか」

 明るいイタチなど見たことがない(アカデミーでは見れるらしい)が、今日はやけに浮かない表情をしていた。

「いや、いつも通りだ」

 そういうイタチは生気のない眼をしている。

「どこがだよ」

 ゲンマはすかさずツッコミをいれる。

「そこの喫茶店が閉まっていて、食べたかったケーキ……甘い焼き菓子にありつけなくて少し沈んでいるだけだから」

 シスイは苦笑する。

 宿の近くという立地からあの喫茶店は朝早くから焼き菓子類の購入ができるようになっており、女性客の視線を心配したサスコも連れ立って向かったはいいが、閉まっておりイタチの気分は地に落ちていた。

 あの異才イタチが類をみない甘い物好きだと?と、三人の視線が突き刺さる。

「……その店、大通りに面した場所にないか?奉行所の者と通行人がすごくてな。どうもそこの店の娘さんが誘拐されたとか」

 道中目にしたことも共有したほうがいいだろうと、ライドウはその様子を語った。

「そういうことか……」

 あの喫茶店は母親と二人の娘で切り盛りしているようだった。誘拐されたのはテーブルに紅茶や菓子類を運んできたあの二人の少女に違いない。ナルトも「あー」と言っており、思い出したようだ。袖振り合うも多生の縁と、顔見知りとまではいかなくとも知っている者が囚われているとなれば俄然任務に身が入る。

「ところで、サスケはどこに?大蛇丸様から釘を刺されていて……」

 ずっと気になっていたらしく、会話が切れたところでイワシが尋ねる。大蛇丸の言葉を本気にして余程気にしているらしい。影レベルの忍が来ない限りサスケは傷一つ負わないだろうに、大蛇丸も可哀想なことをするものだとナルトは内心呆れていた。

「サスケなら偵察に出てるだけだってばよ」

 A、Bランクの任務の偵察に下忍が一人で?と疑問が浮かぶが、サラリと言ってのけるあたり本当にそうなのだろうと、ゲンマたちは言葉を飲み込む。

 「おつかい」が「任務」に変わってすぐに挙がった偵察の必要性。ナルトは昨晩一人で働いたのだから休めと言われ、シスイとイタチが偵察に名乗りを挙げたが、「オレの瞳力はリスクがない」と、サスケがその一言で押し通して出て行った。写輪眼は使いすぎると視力に影響するため、使用は必要最低限に留めてほしいというサスケなりの思い遣りだ。言葉を返せば瞳力を使っての偵察をする気満々で出て行ったということでもある。「任務」となったためお構いなしだ。

 シスイは広い用紙を座卓の上に広げた。増援が来るとあって、情報共有のために元々ナルトが殴り書きしていたものを写し替えたものだ。

「……確かに、大体分かっているな。診療所がホシか。さすがはうちはだな」

 瞳力をもってすれば、情報を聞き出すのも容易だろうとライドウは言葉をこぼすが、シスイは手を振って否定する。

「いや、情報を集めたのはナルトだ。……本当に凄いよ。色んな意味で」

 いかにも偵察に向かなそうなナルトに視線が集まる。

「……そもそも影分身の術は二代目火影が作った偵察用の術だ。オレの十八番だから当然だってばよ」

 影分身の術だけでそうはならんだろうという三人の反応を見兼ねて、シスイが説明を加えるとまた違った意味で三人の視線がナルトに突き刺さり、ナルトの情報収集ノウハウ講座が始まった。

「はー。……どうせ話すなら相手は美女のほうがイイに決まってるだろ。相手が気分良く話せるようにしてやってるだけだ。別に男に変化してもいいんだけどさ、イケメンの立ち居振る舞いとか言葉遣いとかわかんねーし、対象の女心もわかんねーし、かといってフツメンだと女は塩対応だろ。明らかに美女ンなって男相手に情報収集する方がラクなんだってばよ。それに男は女と違って視覚に頼りすぎるから単純でいい」

 男は視覚、女性は聴覚・雰囲気で恋をするともいい、ナルトの言い分には説得力があった。

「正直なところ、お前の言う美女変化に興味がある。ライドウもイワシもそうだろ」

 同じ忍として、いや、男として気になるところだ。ライドウとイワシは静かに頷く。

「別にいーけど」

ーーボフン

「可愛い系のA子」

「清楚系のB子」

「セクシー系のC子」

 それぞれポーズをとって名前まで教えてくれた。

 人口密度が高すぎるため、ナルトはすぐに解術する。

「……ツッコんでいいか。未成年のくせに完成度高すぎるだろ。エグいわ。……俺はC子が好みだ」

 誰も好みなど聞いていない。

「俺はB子だな」

「俺も」

 と、ライドウとイワシ。

「ふーん、忍相手ならB子かC子が良いってことか。……断定には早ぇけど」

 ナルトはすかさず統計を取る。

 飲み会の様相を呈してきて、シスイはこの状況をどうしたものかと思案していたが、サスケの帰還によりそれは収束した。

「随分と楽しそうだったな。……まあいい。これを見ろ」

 サスケは座卓に巻物を転がし開く。

 例の診療所の詳細な見取り図と、その地下に施設と子どもたちが捉えられている場所、さらに地下通路が短冊街の外まで続いていることが記されている。

 おおよそ下忍の仕事の範疇を越えている。

「えらく詳しい内容だな……どうしたんだ?」

「診療所の医師を眠らせている間に、口寄せした蛇を使って探らせただけだ。……念のため、子どもたちの元には護衛として猛毒の神経毒を持つ小型の蛇を数匹向かわせた。あと、厄介なことに街長の平カネモリは暗黒街の忍とも繋がっているらしい。正確な人数までは掴めなかったが」

 暗黒街。それは抜け忍や隠れ里に登録のない忍たちが集う概念としての言葉でその拠点は世界各地に隠れている。かつてサスケも身を置いたこともあり、その内情はよく知るところだ。金と犯罪の温床ともいえ暁との繋がりも深い。そこに集う者たちの力量は少なくとも中忍以上。

 暗黒街と聞いたゲンマの表情が険しくなる。

「大丈夫だってばよ。感知したらそれほどデカいチャクラのヤツいねーし。明らかに格上なら退くのも手だ。子どもたちはオレとサスケでゼッテー守り抜く」

「それなら、ナルトとサスケが潜入、救出の手引きをするってことで。他は平カネモリとその他忍の拘束。及び敵の引きつけ役ってところかな」

 

 メンバーが揃ったところで、任務の依頼主である奉行所に向かうこととなった。

ーーボフン

「よし、行くぞ」

 額当てを着けている状態で宿の正面から出ることは憚られ、ナルコは窓の方に向かおうとする。額当ては可愛さを優先し額ではなく首に付けてみた。

 ゲンマ班のお前なんで変化したん?みたいな視線が痛い。

「……今回短冊街ではコレで通ってんだよ。んでもって助けるのは女児。ぜってー怖い思いしてるし同性のほうが良いだろ。ったくエロ仙人もくノ一の一人くらい寄越してくれたらいいのによ」

「くノ一の人材不足は慢性的だ。仕方がない」

 サスケもそういうことかとサスコに変化した。

 その姿にゲンマ班は目を疑った。

(((ミコトさん……?!)))

 四代目護衛小隊として勤務するようになった頃、何度か四代目の妻であるクシナとその親友のミコトが共にいるのを見たことがあった。クシナは黙っていれば可愛かったが、その立ち居振る舞いの乱暴さと口の悪さは時に女性とは思えず当時のゲンマ班は四代目が妻としてクシナ選んだことが不思議でならなかった。その点、ミコトは慎ましく大和撫子のようでまさに理想の女性であり憧れでもあったのだ。

 ゲンマは声を落として隣に立つイタチを突つく。

「変なこと聞くが、イタチ、お前の母親の名前って……」

 本当に変なことを聞いてくる先輩だなと思いつつもイタチは表情を変えずに返答する。

「……ミコト、ですが」

 やっぱり、そうか。この異才兄弟を産み落とすとは、ミコトさんはやはり女神だったのかもしれないとゲンマ班は密かになんともいえない感傷に浸っていた。ミコトの姓も知らず、かといって四代目に聞けるはずもない。あの嫋やかな女性が「うちは」とは結び付かなかった。しかし、言われてみれば確かに黒髪に黒い瞳はうちはの特徴である。




 ミコトさんはものっすごい美人でマドンナだったよ。

今後物語の進行上、とある事情でサスケは家を出ることになり、ナルトの側にいた方がなにかと都合がいい状況になります。さてどうしましょうか。選択肢の大半は遊んでいます。

  • シングルベッド1つ追加。
  • キングサイズベッドにする。
  • パーテーション購入。
  • 二人で新居物件探し。
  • ナルトの隣の部屋に引っ越す。
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