NewガンダムブレイカーLie   作:プランB

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新庄 雷(シンジョウ ライ)の章
チュートリアルまで


 意識を取り戻した時、視界に広がったのは花畑だった。目の前には地面に座り宙に浮かぶウィンドウを眺める少女がいる。彼女はこちらに気づくと近づきながら話しかけてくる。

 

「いらっしゃい、新しいお客さんね?」

 

「ここは?君は誰?」

 

「その反応は見飽きたわ。困惑する気持ちはわかるつもりだけど、向こうでちゃんと説明してくれないのかしら。」

 

「私はチュートリアル用のナビゲーターとでも思っておいて。あなたがすることは1つだけ。それだけ済ませたらすぐにあっちに送られるから。」

 

「あっち?」

 

「ガンダム、乗ってみたいでしょ?新庄 雷(パイロット)君?あっちにいけばすぐにでも叶うわ。…もういいかしら?さっさと終わらせてしまいましょう。」

 

「あなたがするべきこと、それは…服を選ぶことよ!」

 

 目の前にウィンドウが表示される。画面にはあらゆる種類のパイロットスーツがヘルメット、服装に分かれて表示されていた。

 

「本来はキャラクリと洒落込むところだけど、これはクローズドアルファ。実際のあなたと異なる姿で遊べる機能はないわ、それに、もっと試作段階で他の子がそれで酷い目にあったの。」

 

「だから服を選ぶだけ、おしゃれしたいなら向こうで買いなさい。ここで選べるのはそれだけよ。」

 

「なにか違いはあるか?」

 

「ないわ。強いていえば露出がデザインに伴ったものになるくらいよ。ヘルメットのバイザー上げたときにどこまで見えるかってことね。それにヘルメットにはブラインドがデフォルトだし視界は遮らないように設定されている。着心地も同じだし見た目以外の違いは全くないわ。」

 

「ならどれでもいいな。デフォルトのやつで構わない。」

 

「へぇ〜?なら私が決めてもいいわね?」

 

「あぁ、どれも一緒だろ?宇宙世紀のやつでもアナザーのやつでも、酷いデザインのものなんてない、どれも素晴らしいものだ。…ヘルメットを被るならファイティングスーツは辞めてほしいが。」

 

「なら私が選んであげる。なにが選ばれたかは向こうに着いてからのお楽しみ。」

 

「それじゃあいってらっしゃーい!一度っきりの命、せいぜい楽しんでね?」

 

「は?ちょっと、待て!」

 

 制止の声もむなしくライの身体がホログラムのように透け、転送される。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 再び意識を取り戻した時、目に入ってきたものは銃口だった。サングラスをかけた男がこちらに拳銃を向けている。

 

 どうやらここはコックピットの中らしい。身動ぎしたのを見咎め、声をかけてくる。

 

「動くな!両手を開いて頭の横まで掲げろ!お前は誰だ!?なぜここにいる!?」

 

(おいおい、こんなことばっかりじゃないか!どうして誰も説明してくれないんだ!)

 

 一先ず指示に従い両手を挙げる。そして質問に答えようとしたところで気づく。

 

(そもそもお前は誰だ!?…ここはどこだ!?…声が…でない…?)

 

 手を挙げて沈黙しているのに痺れを切らして男はもう一度口を開く。

 

「お前も俺たちと同じ送られてきた側だろう!?その服装を見ればわかる!なぜ話さない!?」

 

(無茶言うな!喋れないのにどうしろと!?)

 

 様子がおかしいライを見て、何かを察したのだろう、拳銃から少し顔を挙げ、怪訝な顔で問いかけてくる。

 

「お前…声がでないのか?」

 

 頷くことで肯定を示す。

 

「本当に?怪し…」

 

 不自然に途切れた言葉。同時に俯き少しの間動かなくなる。気まずい空気が流れる…。

 

 次に動いたとき、急に男はサングラスを外し始めた。男の目は明らかに異常である。赤く、そして文字通り光を放っているからだ。そして先ほどとは違う、少し前に聞いていた研究者の声で話しかけてきた。

 

「…繋がりましたか。少し触診させてください。…バイザーのブラインドも指示を受け付けない。自覚症状を確認します。不明なら左手を握ってください。」

 

 そう言って拳銃を納め、ライの手を繋ぐ。もう片方の手は絶えずヘルメットを触っている。

 

「声はここに辿り着く前までは出ていましたか?」

 

 頷く。

 

「あなたはここで目覚めた。あっていますか?」

 

 頷く。

 

「声がでないのはどんな感覚でしょうか。声帯の感覚がない?…無理やり締め付けられている?…口が開かない?…声を出そうとしている感覚はありますか?」

 

 わからない、否定、否定、肯定。

 

「では、音がでないと?出そうとして息を吐くだけになっているということでしょうか?」

 

 肯定、わからない。

 

 男は自身の首に手を回し、もう片方の手で何やら操作し始める。

 

「…ヘルメットが外れません。非実体の機能も無効、ひとまずシミュレーターは中断です。申請を…はぁ!?上級権限で拒否された!?その権限を持ってるのは現在あの子だけ…」

 

「全職員に通達!シミュレータが暴走しています!上級権限のアクティベートを確認しました!繰り返します、上級権限のアクティベートを確認!」

 

「…不味いことになりました。ひとまずあなたのシステムステータスの栄養、飲料のパラメータを固定、同時に空腹と渇きの感覚を止めました。」 

 

「…これは応急処置にすぎません。シミュレータの上級権限、これはこの仮想空間の持ち主がこの状況を望んだことに他なりません。つまり、戻ることは一旦諦めてもらうことになります。」

 

「もちろん、中断の方法は模索していきますが、当てにしないでください。それより、あなたの制限に対処する必要があります。」

 

「おわかりでしょうか?このままではあなたは元に戻ったとき、空腹が感じなかったり、声が出せなくなる恐れがあります。何らかの形で早急に対処させていただきます。」

 

「ひとまず、必要な情報を伝えておきます。まず、この身体の持ち主はあなたの味方です。そうなるように指示を変えておきます。」

 

「ああ、指示というのはあなたと同じシミュレータを使っている人間に与えられたこの世界での目的です。半分ロールプレイ用ではありますが、強制力を持つものもあります。」

 

「シミュレータ起動には終了条件があります。指示はこの条件に対する攻防であり、今回の場合あなたに与えられているのはシステム上ガンダムのタグが与えられた機体の全機停止です。」

 

「つまり逆の指示を持つ人間と戦う必要があります。また、指示を共有することは認められています。が、真偽を確かめる方法はほぼありません。この男を除いて信じるかの判断は任せます。」

 

「ガンダムの定義について、大雑把ですが、感情を観測、利用できるシステムを持つ機体です。全部で22機あります。」

 

「察したかもしれませんが、指示を持っている人間はタロットの名前でこのガンダムたちを呼びます。それ以外はシミュレートされた人間だと考えて構いません。」

 

「最後にこの機体の動かし方を。ペダルで移動やスラスター、残りは全てこれです。腕の前後で振り向き、先のボタンで攻撃、この機体は右が格闘、左が射撃になっています。詳しくはこれに聞いてください。メカニックですので設定もしてくれます。」

 

「一度お別れです。近いうちにまた報告させてもらいます。生き残ってください、こちらも微力ながら尽力します。それでは。」

 

 そう言い残すと目の光が消え、赤から碧に変わる。男が真っ先にしたのはサングラスをかけることだった。動揺しながら口を開く。

 

「……?…!?な…なん…なにが起きた?…ってあんたに聞いても話せないんだったな。」

 

 自問自答した男は1つため息をついて言葉を続ける。

 

「…はぁ〜……いいだろう、これからあんたをサポートする。俺の名前はアバカス。クスートス・アバカスだ。便宜上お前のことはパイロットと呼ぶことにする。よろしくな、パイロット君?」

 

 そう言ってアバカスは手を差し出す。2人が握手を交わしたあと、アバカスが続ける。

 

「これの動かし方はわかるか?…たぶんこれが起動ボタンだな。…よし、動いた。」

 

 動くことを確認したアバカスはコックピットから出て声をかけてくる。

 

「よし、少し待ってろ。俺は自分の機体を持ってくる。…撃つなよ?」

 

 しばらくして目の前に現れたのはRX78-1、プロトタイプガンダムだった。接触回線で通信が届く。

 

「いい子にしてたか?俺の機体にはダミーバルーンが積んである。少し慣らしていかないか?そうだな…肯定なら前へ、いらないなら後ろへ移動してくれ。できるだろう?」

 

 前に移動して振り向くと、即座に追ってきて通信が届く。

 

「よし、なら適当にバルーンを撒いてくる。自由にやってくれ。俺の横にそれぞれ1つずつバルーンを置く。十分なら両方割ってくれ。補充が必要なら片方だけだ。」

 

 プロトタイプガンダムが飛び回る。そこでようやくライはここがどのような場所なのか把握するのだった。

 

 そこは広い基地のような場所だった。ただただ広いだけの空間は、すでにこの施設が放棄されていることを雄弁に示している。

 

「よし、オッケーだ。俺はお前の機体との回線を解析してるからな。ある程度遊んでくれれば助かるよ。」

 

 最初はおっかなびっくり動かしていく。移動だけで思ったように動かせるようになるのにかなりの時間を使う。

 

(これ、思ったより、キッツいなぁ!全身を使うのってこんな辛いのか!)

 

 そして攻撃を試そうとして気づく。ロックオンの方法を聞いていない、と。そもそも火器管制システムの仕様を知らない。

 

(これ…どうすりゃいいんだ?…正面目掛けて攻撃する。…それだけか?こんなの当たらないぞ?格闘は…まぁこっちの方が確実か?それでも戦えるとは思えないが?)

 

 ダミーを壊すのに四苦八苦する。なんとか3つを壊した段階で通信が届いた。

 

「はは、ひっどい腕前だな?そうだな…レーダーの近くにボタンないか?どれかがロックオン…のはずだ。拠点についたらキッチリ合わせてやるからひとまずどうにかしてくれ。」

 

 ロックオンが有効になる。ロックオンの強度はかなり強く、対象が常に正面になるように補正される。

 

(確かにこれなら当たるが…。アバカスを信じるなら弄ってくれるらしい。少しの我慢だ。)

 

 結局ダミーのおかわりをもらい、10個と3個壊して慣らしを終える。

 

「もういいのか?まぁ調整の結果大幅に変わるかもしれないしな。大体は俺が片付けてやる。ちゃんとエスコートしてやるから任せとけ。」

 

 プロトタイプガンダムの後ろにつき、施設を脱出する。いくつかのゲートをくぐったあと、外に出るとどうやら森林の中にあったようだ。




 服装はバトオペ2の私立ガンブレ学園パイロットスーツでした。機体はガンダム(リサーキュレーションカラー)です。
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