ただ人でありたくて   作:メめ

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作者です。
息抜きで書き始めたものなので、設定が荒かったり。更新が不定期になるとは思います。
ご理解ください。





一話 訳もわからず……。って、右も左もわかる訳ないやん

 

 

 転生という言葉をご存知だろうか。

 

 ボクの知るアニメやライトノベルではトラックに轢かれて剣と魔法のファンタジーな世界へ行く。

 そんで、そんなファンタジーな世界で女の子とキャッキャウフフしたり、チヤホヤされる。そんな感じのラノベでよく使われのてるのが転生というジャンル。

 

 今のボクが女の子にチヤホヤされとるとからでは全くないし、そないな気配は一ミリもない。

 でも、どうやらボクはその転生なるものをしてしまったらしい。

 

「もっと腰を入れろ!」

「そんなこと言っても」

「全く、まともに触れんのか!」

「ひぃん」

 

 転生して、生まれて四歳で木剣持たされて振り回させられてます。いや、ちゃんと持てなくてもしゃあないやん。ボク四歳やで。

 

「まともに木剣も振るえんとは」

「ごめんなさい」

「……まあ、いい」

 

 そんなあからさまに呆れんでも……。流石に傷付きますわぁ。

 

 パパンこと、ヨアシュ・カソウ男爵は小さな領地を運用する領主であり、若い頃は優秀な魔剣士とかいうやつだったとか。そして、ダンディなイケメン。

 

 ボクはパパンからそんなに期待されてないし、それにはそれなりの理由があるわけで。

 

「ヒツギはダメダメだなぁ」

「ヒツギ。ちゃんと剣のお稽古やらなきゃ」

「ヒツギー。剣を振る時はね──―」

「ちょっと、ヒツギ! 今の剣は何よ!」

 

 ボクが四男坊だからだ。

 

「エレク兄さま。クレール兄さま。サンジ兄さま。テリーナ姉さま。いっぺんに話かけられると、わからないです」

 

 父親似のイケメン、エレク・カソウ。茶髪で切れ長の目が特徴。パパンと似て、魔剣士として優秀なんだとか。ボクの九つ上。

 ママンとパパンのいいとこ取りしたらしいイケメン、クレール・カソウ。茶髪で切れ長。色っぽい涙ぼくろをもつ美男子。頭が良くて官僚を目指しているらしい。ボクの八つ上。

 のほほんとしたおっとりイケメン、サンジ・カソウ。ママンの遺伝子なのか黄色味のかかった茶髪で、ゆるーい雰囲気のイケメン。めっちゃ気がきく。ボクの六つ上。

 そして、お転婆お姉さま。テリーナ・カソウ。黄色味の強い茶髪で、気が強く。頭がいいらしい。ボクの五つ上。

 

 魔剣士として優秀なエレク兄さまとクレール兄さまは、ボクを出来損ないと言うし、テリーナ姉さまはボクに必死に剣を教えようとする。

 

 サンジ兄さまはボクに対して何かするということはないが、怪我をしたら手当てをしてくれる優しい兄だ。

 

 ママンは……わからんが、ボクを産んでから行方不明になってしもうたらしい。なんで、行方不明になったんかは知らんけど。今はパパンとボクら兄姉は使用人たちと屋敷で過ごしている。

 

 ちょっとだけ怪我をしたのを誤魔化しながら、人目を避けて部屋に戻って傷を確認する。……うわー、真っ黒になっとるやん。痛いなぁ思っどったけど、こら痛いわぁ。

 

 パパンに手加減されながらも打ち込まれた木剣は二の腕に黒い内出血を作っている。よく泣かんかったな、ボク。えらい! 

 

 与えられた勉強机の椅子に腰掛けて、内出血に触れる。

 自分の体に巡るエネルギーを丁寧に操作しながら細胞に溶け込ませ、内側から活性化させるようなイメージで────はい、治った。

 

 痛みが引いてきて手を退かすと。……完治とは言えないけど、いっきに内出血は治った。腫れも、痛みもだいぶ弱くなったし。もう一度やれば完治するやろう。

 

 ボクが転生したここには魔力っちゅうものがあった。

 パパンやエレク兄さまみたいな魔剣士は、その魔力を使って自分の身体強化をしたり、怪我をその場で治したりすることの出来る戦闘職。……いや、まだエレク兄さまは魔剣士やないけど。

 

 まあ、そないなことはさておき。

 四歳にしてなんか置いてあった本から知識を蓄えているボクは、そんな不可思議エネルギーについての本を読み漁っていた。

 

 魔力があれば割といろんなことができる。

 

 身体能力の底上げの他にも、自己治癒とか。感覚の強化。魔力を身に纏うことで鎧のようにすることも出来るという。

 

 しかし、ファンタジー小説御用達の魔法は扱えない。

 ボクも試してみるたけど、操作がかなり難しい。

 

 魔力は身体から離れれば離れるほど操作と維持が困難になる。

 そのせいで、ボクが知ってるような魔法、メ◯ゾーマとか、マ◯ャドは使えない。いや、膨大な魔力と繊細且つ緻密な遠隔での魔力操作技術があれば理論上可能。

 ただ、実用化されても正直ビミョい。不意打ちなら強いかもしれんけど、相手が常に戦闘状態だった場合、どっちにせよ防がれて終わり。まあ、込める魔力量とかでだいぶ変わりそうな気はしなくもないけど。そうなると規模が大きくなると予想される。となれば、家の近くでは練習できひんから、やっぱり試行錯誤は夜中やな。

 

 ……魔力伝導率の高い糸とかを伝って擬似的に魔法の発生に似た現象って出来たりするんやろか。

 出来るんならちょっと試してみたいなぁ。……クレール兄さまか、サンジ兄さまに本借りるか。どうせ、クレール兄さまは貸してはくれんのやろうけど。

 

「……ミノルのやつが求めてたのに、ボクがこんなん持ってもなぁ」

 

 影野ミノル。

 ボク永遠の胃痛と頭痛の種。そして、ボクがなんやかんや目が離せなくて大切にしてた幼馴染。

 陰の実力者とかいうキャラに憧れて全力で頑張っていた頭のおかしい奴。せやけど好きなもの、憧れに対して全力で走れるすごい奴。

 

 彼奴は頭がおかしいから。核に対抗するかには魔力だとか、チャクラだとかいうスピリチュアル系エネルギーが必要とか口走ってよくわからん修行をしていた。

 

 そんな友人の願いだったこの魔力とかいうエネルギーがボクは持って異世界に生まれ直した。

 ……とても複雑な気分や。ホンマに。

 

「……ミノルも、この世界のどっかに転生して来たりせんかなぁ」

 

 そんなありえもしないことを考えながら、ボクは魔力を練って遊んでいた。






一話目でした。楽しんで読んでくれていれば幸いに思います。
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