ただ人でありたくて   作:メめ

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六話 レッツ盗賊ハント。倫理観どこいったん

 

 

 

「い、嫌だ! 死にたく」

「はいはい。なら、悔いて来世でがんばりやー」

 

 ……ふぅ。今日はこんなもんかね。

 

 辺りを見回せば死屍累々。盗賊さんらの屍が転がっとる。

 

 ミノルこと、シドと再開して二年。

 それからと言うモノ、シドからしばき回された。

 

 夜な夜な剣の修練と称して剣で打ち合い。

 別の日には盗賊狩りっちゅうことで、盗賊を探して殺戮に参加させられ。

 また別の日には、実験と称していろんな素材を持ち込んで魔力伝達率100%の素材を求める。陰の実力者に相応しいアイテムの制作と物色に駆り出される。

 

 そんな生活をしていた結果。ボクはショートスリーパーになった。そして、目が死んだ。

 

 盗賊を殺すのにも慣れて、できるだけ苦しまない様に。人が即死する位置を把握する様になってしもうた。

 初めはしんどかったが、慣れってのは怖いもんで。痛くないように殺すことだけ考えるようになってしもうた。人間ってすごいんやね。

 

「さて、仏さん達火葬しましょか」

 

 殺した盗賊の亡骸を集めて即席棺桶を作り、高温で一気に燃やす。

 運のいいことに、即席で棺桶にできる馬車とかいう便利もんが盗賊さんの近くには大抵落っこちとるんで、馬車を使って火葬する。

 灰にしたら全部一箇所に集めて埋めて土に還した。

 

 今日はだいぶ早めに終わった。ボクがかなり強くなったってのもあるけど、今回はシドから渡された陰の実力者アイテム。スライムスーツとスライムソードなるモノだ。

 スライムスーツ。スライムソード。名前からわかる様に、あの異世界定番のモンスター。ド◯クエでお馴染みスライムが魔力伝達率100%の素材だった。

 そして、そのスライムを使ったのがこのスーツと剣。色合い、質感、硬度。さらには伸縮性さえも魔力の通し方で変幻自在とかいうホンマに夢のようなアイテム。

 

 使い心地やら使用感のレポートを書くように言われたが、それは試作品ができるたびに書くモノなのでもう慣れた。読まれた事も提出するように言われた事もないけど。

 ボクはシドよりはマシな人間でありたいのできっちり書いてある。

 

「使い心地はかなりいい。自分で好きなように扱いやすく、手足の延長としても使えるので、慣れればとても便利。ただし、魔力操作をミスると上手く動かん。せやから、最低でもかなり高度な魔力操作能力が必須と思われる。……こんなもんでええか」

 

 さて、スライムソードを棒状に伸ばして仏さんらの焼け具合はどんなもんかねーっと。

 ……まだまだかかりそうやな。

 

 ゴウゴウと燃える巨大棺桶を見ながら、ボクは昼読みかけだった本の続きを読んだ。

 

 ……焼ける臭いは相変わらず臭かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 夜。

 盗賊狩りに行く気にもなれず、自室で最近趣味にならないかと始めたボトルシップの製作をしていた。

 ちまちまと作り続けて暫く経ち。だんだん組み立てるのにも慣れて楽しく感じてきた。初めは上手く組み立てれんくてイラついてたけど、慣れて上手く組みたれられるようになれば楽しく思える。

 

 ……もうちょいしたら完成やな。

 

 コンコン。

「……ヒツギー」

 コンコンコン。

 

 ……せっかくええとこやったのに、邪魔しに来よったか? 

 まあ、無視でええか。──カチャリ。……。

 

 窓の鍵をスライムで開けてシドが部屋の中に入って来た。

 

「やあ、ヒツギ。しばらくぶりだね」

「一ヶ月ぶりぐらいか? どうかしたん? 金目のものはボク興味ないから、全部隠れ家に置いといてるはずやけど」

「ああうん。知ってるよ。まあ、そんなことはどうでも良くて、隠れ家に悪魔憑きが居たじゃん」

「……ああ、あの」

 

 隠れ家に金目の物を持っていくときにいつも隅っこに居た肉体が腐って死ぬという病、『悪魔憑き』。

 体がぶくぶくに腫れ、腐っていく。なかなかグロテクスな見た目をした肉塊。

 

 シド曰く、魔力暴走とかいう現象の波長に酷似しているらしく。一応生きてとるらしかった。

 

 体が腐っていく痛みなんてボクにはわからない。常に腫れ続け。痛むなんてボクも想像も絶する苦行やろう。楽にしてやろうと思った。せやけど、シドは殺さんといてくれと言っていた。

 せやから、ボクは金品を置いていく時には昼間に探した薬草で腫れや痛み止めになる軟膏を作って持っていき、様子を見ながら塗って声をかけていた。

 

 痛みの中で聞こえとるかなんてボクにはわからんけど、声をかけ続けた。少しは前向きになれるように。

 

「……なんや、逝ってしもうたか?」

 

 ボクのとこ来るなんて、そんぐらいやろうしな。

 ボクは火葬しかしてられない。それに、死んだら伝えるように言ってあるしな。元は人間言うんなら、ちゃんと最後は人間らしく弔ってやりたいし。

 

「いや、違くて。金髪のエルフになってた」

「………………は?」

 

 なんて? 

 

「ごめん。聞き間違いか? もっかい言ってくれへん?」

「悪魔憑きが金髪のエルフになってた」

「…………マジかいな」

「うん。大マジ」

 

 待ってくれ。……悪魔憑きがエルフになったて。どないなマジックや。奇術というか、それはもうそれは奇跡やで。

 

「ボクの知識が間違いやないなら、悪魔憑きって治らんはずやけど」

 

 パパンの医療系の本には悪魔憑きは治らんって書いとったし。医者のパパンも悪魔憑きは治らんから、教会に引き渡すしかない言うてたなぁ。

 

「まあ、魔力暴走だからね。外から魔力弄って元の波長になるようにしたら元に戻ったんだよ」

「お前、それ人体実験言うんやで。マジで倫理観どこ置いてきた」

「まあまあ、一旦置いといて」

「置いとけると思うか?」

 

 全然置いておけないが? まずはお前を叱ってからやが? 

 

「置いておいてよ。近くで待たせてるんだから。着いてきて」

「……しゃあないなぁ。ええよ。着いてったるから、ちょいと待ち」

 

 スライムスーツで着替えるから。

 体に纏わせて、……よし。いつもの感じになったな。

 

「案内頼むで」

「ちゃんと着いてきてね」

「安心せい。足ならシドよりも早いから」

 

 ボクの自室である二階から飛び出して、先に闇夜に紛れて見えなくなったシドの後を追って夜の外を駆け出た。

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