「さてと、それじゃあ始めるとしましょうか。」
「?ユカリ様。」
「一体何をなさるつもりですか?」
牙狼族との決戦の翌日、ひょんなことからゴブリン達の名付けをすることになったリムルから一旦離れ、村の近くにある拓けた場所に移動した私に対し、同行してきたランとカゲロウは首を傾げながらそう尋ねてくる。
「ちょっとした『実験』をね……」
バラララララララララララララララララララララッ!!
対する私はそう言いながら、百枚近くのヒトガタを展開する。
「んでもって……」
クパァ
シュパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパッ!!
続けて私はスキマを開き、そこから昨夜、遺骸と共に回収した死んだ牙狼族達の魂を放出する。
「!?」
「!?ユカリ様……一体何を!?」
「さぁ、彷徨える牙狼族の魂達よ。私のヒトガタを依代に私の式として転生しなさい……『オオカミ霊』!!」
パァァァ……パキィィィンッ!!
「「!?」」
次の瞬間、放出した魂達は一斉に私のヒトガタと一つになり、全員揺らめく赤い炎のような毛色の狼へと姿を変える。
但し、全員幽霊のように浮き、地に足を付けていない。
〈確認しました。死んだ牙狼族達の魂は新たな精神生命体、『
「『実験』は成功ね。」
【?ここは……?】
【我らは確かにあの時……】
「あ、貴方達……!!」
【!?姫様!?】
【そのお姿は一体……!?】
「彼女は私の式として妖怪『
【!?甦らせた!?一体何故……!?】
「そうね……ただの気紛れよ。それに空からも警備できる者がいれば、私も楽だしね。」
クパァ
驚愕の表情でそう尋ねる一匹のオオカミ霊に対し、私はそう言いながらスキマから今度は三匹の牙狼族の骨を取り出す。
「悪いけど、三匹分だけ骨を使わせてもらうわよ。」
「ユカリ様。今度は何を……」
「……貴女のお父さんも甦らせてあげる……罰を受けた状態だけどね。」スッ
首を傾げながらそう尋ねるカゲロウに対し、私はそう言いながら一枚のヒトガタ…昨夜、スキマでこっそり回収した死んだ族長の魂を封入したヒトガタを取り出す。
「さぁ、三匹の同胞の骸を依代とし、私の式として新たな生を受けなさい……『
パァァァ……
私がそう言った瞬間、族長の魂が封入されたヒトガタは光り輝きながら三匹分の牙狼族の骨と一つになっていく。
〈確認しました。個体名『エノコ』は新たな種、妖怪『
パキィィィンッ!!
「「【【【【【!?】】】】】」」
「………」
次の瞬間、ヒトガタは前髪の片方に大きめの紫のメッシュがある白髪のボブカットに犬耳、紫のオフショルダーにフリルの付いたローズピンクのスカート、両足首に赤いアンクレットを付け足元は裸足、両腕には赤いトラバサミを付け、三本の尻尾がある美少女へと姿を変える。
「ち、父上……なのですか?」
「……そうなのだが……何故、
「村を襲おうとした罰よ。」
【【【【【ギャハハハハハハハハハッ!!】】】】】
「うっさい!笑うな!おまえ達!!」
「父上……っ!!」ガバッ!!
「!?」
カゲロウはそう言いながら、生まれ変わった父親…エノコに抱きつく。
「良かった……また、こうしてお会いできて……っ!!」
「……娘よ……」
「ユカリ様。死んだ一族の者達や父上を甦らせて下さり、感謝します……っ!!」
「……私も性別こそ変えられましたが、我が子と再び会う機会を頂き感謝します……ユカリ様……」
「私がやりたくてやっただけだから、気にしないで良いわ……エノコにはオオカミ霊達の指揮を取って頂戴。カゲロウはその補佐を。」
「「ハッ!ユカリ様!!」」
「ユカリ様!リムル様が……っ!!」
そんななか、赤バンダナゴブリン…リムルからの名付けで兄の名を引き継ぐことになった『リグル』が大慌てで呼びに来る。
どうやら『紫様』曰く大量のゴブリンとエノコの息子…『
魔物への名付けって魔素を消費するのね。
因みに三日もすれば目を覚ますとのことなので、そのことを皆に伝えるとホッとしていた。
「それは良かったです。」
「しかし、このまま放置する訳にはいかないわね。」
見た感じ、どろどろに溶けたみたいになってるし。
「誰か、村長さん…『リグルド』の家にリムルを運んでくれないかしら?」
【我が運びましょう。しかし……姉上は昨夜、進化したそのお姿を見たからわかるとして……本当に親父殿なのですか……?】
そう言いながら低位活動状態になったリムルを頭に乗せた後、ランガは怪訝な表情で見ながらそうエノコに尋ねる。
「うむ……正真正銘、おまえとカゲロウの父だ……」
【……生き返ってくれたのは嬉しいのですが……随分と変わられてしまいましたね……】
「うっさい!言うなぁぁっ!!」
「あ、あはは……」
何とも複雑な表情でそう言うランガに顔を真っ赤にしながらの涙目でそう言うエノコの姿にカゲロウは苦笑いを浮かべる。
そんなことがあった日の翌日、リムルから名付けを受けた雄のゴブリンは『ホブゴブリン』に、雌のゴブリンは『ゴブリナ』に、ランガと彼と『繋がり』を持つ牙狼族の生き残り達は『
やっぱり妖怪化するのは今のところ、私やランの『式神使い』を使った場合だけのようね。
まぁ、それでもヨボヨボのお爺ちゃんだったリグルドがムキムキのマッチョになったのは流石に驚いたけど……魔物って不思議ね。
「まぁ、確かにリグルドや皆の進化には驚いたけど……なんで
ゴブリン達への名付けから三日後、低位活動状態から目を覚ましたリムルはエノコとオオカミ霊達を見ながらそう困惑の声を上げる。
「彼らはあの夜の決戦で死んだ子達を私の式として甦らせたの。エノコは貴方が倒した牙狼族の元ボスよ。」
「はあぁぁっ!?」
私の説明にリムルはそう困惑の声を上げる。
こうして妖怪『山犬』として甦った牙狼族の元族長エノコと同じ戦いで死亡した牙狼族達の魂の転生体である多数のオオカミ霊達も仲間に加わったのだった。
エノコ
見た目:東方の三頭慧ノ子(当然ながら性別は雌)
種族:妖怪『
所持スキル
スキル『思念伝達』
スキル『影移動』
ユニークスキル『
エクストラスキル『スペルカード』
スキル『弾幕』
詳細
カゲロウを気遣ったユカリが密かに回収していた死んだ牙狼族族長の魂を封入したヒトガタと、三匹分の死んだ牙狼族の骨を用いてユカリの式神(妖怪)として甦った姿。生者と死者の『境界』も『
オオカミ霊
見た目:東方のオオカミ霊(イメージ)
種族:
スキル『思念伝達』
スキル『実体化』
スキル『霊体化』
ユニークスキル『
詳細
戦いで死亡した牙狼族達の魂をユカリが密かに回収し、ヒトガタを依代に式神として転生させた姿。妖怪というより動物霊の類いである。が、ユカリが『
ユカリがリムルと一緒にドワルゴンに行くのはアリかナシか?
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アリ
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ナシ