カイジン達と一緒に呑んでた店で腹黒大臣のベスターが起こした『俺への水ぶっかけ事件』で逮捕されてから三日後、ベスターを殴ったカイジンと俺達は裁判に掛けられることになったんだが……
「こうして被告人達は店で寛いでいたベスター氏に因縁をつけ、複数人で暴行を働き―――」
おいぃぃっ!?発言が許されない俺らの代理人!
「………」ニヤニヤ
くっ……ベスターの野郎、これ見よがしに包帯巻いてニヤニヤしやがって……殴られただけでそこまで怪我してなかっただろ!!
牢屋内で『ベスターも別に悪人って訳じゃない』とかカイジンが言ってたけど、やっぱり悪人だろ!こいつ!!
「……カイジンよ。」
「……ハッ!!」
「久しいな、息災か?」
「はっ……王に置かれましてもご健勝でなによりでございます。」
お。王からの問いかけには発言して良いんだな。
「良い。それよりも戻ってくる気はないか?」
「……申し訳ありませんが王よ。私は仕えるべき“主”を得ました。“主”を裏切り、再びお仕えすることはできません。」
「……であるか。」
「………」
「判決を言い渡す。カイジン及びその仲間達は国外追放とする。日付が変わって以降の滞在は許さん。即刻立ち去るが良い。」
こうしてドワーフ王、『ガゼル=ドワルゴ』の裁決により、俺らの国外追放が決定した。
ベスターSide
「さて、ベスターよ。」
「は、はいっ!!」
「……これを見よ。」
王からの裁決を受け、カイジンやあのスライム達が法廷から去った後、王はそう一瓶の
「?そ、それは……」
「警備隊長から余ったものを預かった。鉱山夫達の傷を完全に癒したそうだぞ。」
「!?まさか、
知りたい……その製造方法を……っ!!
「惜しいな……そのような“目”ができる臣を失うことになるとは……」
「!?王よ、お待ち下さい。私は」
「その回復薬をもたらしたのはあのスライムだ。」
「!?」
「おまえの行いがあの魔物との『繋がり』を絶った……ベスターよ。何か言うことはあるか?」
「わ、私は……」
私は何故、王に問い詰められているのだ?
思い起こすは幼き日に見た、凱旋する王の姿。
あれを見て私は幼いながらも誓った。
必ずあの方に仕えるのだと、お役に立つのだと。
「もう一度問おう、ベスターよ。何か言いたいことはあるか?」
あぁ、そうか。私は『道』を誤ったのだ。カイジンに嫉妬したあの時から……
「……何も……何もございません。王よ……」
「そうか……王宮への立ち入りを禁ずる。二度と余の前に姿を見せるな。」
「………」
「しかし、ベスターよ。これまでの働き、大義であった!!」
「ッ……うおぉおぉぉおおおぉおおぉぉぉぉっ!!?」
王が最後にそう言葉を残し去った後、私は一人法廷で後悔の涙を流した。
そんなことをした所でもうカイジンも、あのスライムとの『繋がり』も、王からの信頼も帰ってこないことはわかっている。
それでも私は涙を流さずにはいられなかった。
ガゼルSide
「暗部よ、あのスライムの動向を監視せよ。」
「ハッ。」
ベスターに沙汰を下した後、直属の暗部にそう命ずる。
「気取られるなよ。」
「この命に代えてでも。」
「………」
アレは一種の化け物だ。まるで
俺の
「王よ!」
「ん?どうした?余は先程、スライムの動向を監視せよと命じた筈だ。」
「それが……
「なに?」
「つい先刻、国を出たカイジン達と例のスライムは森の入り口付近でスライムの仲間と思しき複数のホブゴブリンとゴブリナ、狼の魔物と合流したかと思えば突如、“奥から不気味な目が幾つも覗く”奇怪な『裂け目』が出現し、それに呑まれて消えたのです……っ!!」
「!?なんだと!?」
「幸いカイジン達とスライムの魔力は追えていますので現在位置は特定できておりますが……」
「何処なのだ?」
「……『ジュラの大森林』、その中でも
「!?ジュラの大森林……」
彼の暴風竜が眠っていた地だ……これは偶然か?それとも……
「直ちに暗部を何名か送り、改めてスライムを監視せよ。今度こそ、気取られぬようにな。」
「ハッ!!」
奇怪な『裂け目』か……恐らく空間魔法かスキルによるものだろうが、そのような芸当ができる使い手があのスライムの背後に潜んでいたとは……真に警戒すべきはスライムではなく、その使い手かもしれぬな。
神隠しの犯人、まるわかりな件について……(^∀^;)