ユカリSide
「……それで?私に何か用かしら?」
シズ達四人が町に来た日の夜、リムルも含めた皆が寝静まるなか、町の中央の広場に出た私はそう尋ねながら振り返る。
〔〔………〕〕
そこにいたのはシズをずっと見守っていた、狐の幼獣の動物霊を抱える少女の霊……
〔……お願いします。シズを……友だちを助けて下さい……っ!!〕
「……それは私が『人間嫌い』の妖怪だとわかった上での依頼かしら?」
〔わかってます。けど、シズにはもう時間がないんです……っ!!〕
「確かに今のままじゃ明日にでも取り込んだイフリートが暴走するでしょうね。
〔ッ……やっぱりわかるんですね……〕
「生憎なことにこの世界に転生してくる前から
〔お願いします。私はもうシズにあの時のような苦しみを味わって欲しくないんです……お願いしますっ!!〕
前世でもこんなことあったわね。残してしまった親や友人に自分の『想い』を伝えるのに協力してほしいと必死に頼み込む子どもの幽霊。
「……助かる見込みは五分五分。それにこの方法を取るには貴女達にも『代償』を払ってもらうことになる……その『覚悟』はある?」
我ながら少し意地悪な問いかけね。
そう思いながら私はそう少女の霊に尋ねる。
〔〔………〕〕
対する少女の霊と彼女に抱き抱えられている動物霊は真剣な表情で頷いた。
リムルSide
「シズさぁーん。あれ……?」
翌日、俺はそう言いながらシズさんを起こしに客人用に建てた家に立ち寄る。
が、何処にもシズさんの姿がない。
何処に行ったんだ……?
「リムルの旦那ぁー。」
「オハヨー。」
「おはようでやんす。」
「カバル、エレン、ギド。シズさんが何処行ったか知らないか?」
「いや。俺が起こしに来た時には既にいなくてよ。探してたところなんだ。」
「私もぉー。」
「あっしもでやんす。」
「そうか……何処に行ったんだろうな……」
ボオオオォォォーーーッ!!
「「「「!?」」」」
俺達四人がそう話しているなか、町の外にある丘の上から火柱が上がるのを同時に目撃する。
何が起きた……っ!?
第三者Side
「やっぱりこうなったわね……」
「………」
町の外にある丘の上にて、ユカリが真剣な表情でそう言いながら、炎に包まれたシズを見つめる。
その雰囲気は昨日までの穏やかなものから一変し、ユカリ以上に冷たい雰囲気でユカリに対し、殺意すら向けている。
「殺る気満々ね……良いわ。遊んであげるわ。
対するユカリはそう言いながら、何枚かのヒトガタを手にする。
「!?ユカリ!シズさん!!」
「あれは……シズさんか?何がどうなって……」
そんななか、ランガに乗ったリムルがそう言いながらカバル達と共にその場に駆けつける。
「……ん?」
「どうしたの?ギド。」
「シズ……シズエ?シズエ=イザワ?え?まさか、あの……??」
「………」
ドォンッ!!
「「「「【!?】」」」」
ギドがそう言っているなか、シズさんが右手の人差し指でクイッとした瞬間、地面から火柱が噴き出し襲いかかってくる。
クパァ
「「「!?」」」
が、カバル達の前に開いたスキマが火柱を呑み込んで閉じる。
「大丈夫かしら?三人とも。」
「あ、あぁ……」
「よくわからないけど、ありがとう……」
「けど、これではっきりしやした。間違いありやせん……彼女は『爆炎の支配者』、シズエ=イザワ……イフリートを宿した最強の
「イフリートォッ!?めっちゃ上位の精霊じゃねぇか!!」
「冗談でしょ!?伝説的英雄じゃない!!」
「ユカリ……一体何が起きているんだ?」
「見ての通りよ。彼女と同化していた
カバル達三人がそう困惑の声を上げるなか、そう尋ねるリムルに対し、ユカリは真剣な表情でそう答える。
「あんたら、危ないから逃げ」
「冗談じゃねぇ……あの人がなんで殺意剥き出しにしてんのか知らねぇが……」
「あの人はあっしらの仲間でやんすよ……」
「放っておけないわ!!」
リムルの言葉を遮りながら、そう言いながらカバル達三人は
「……良い仲間を持ってるわね。シズ……羨ましいわ……」
「おいおい……おまえだって今は俺や式神達、町の皆がいるだろ?」
「フフ……そうね……」
「ハナ……レテ……モウ……オサエキレナ……イ……」
そんなカバル達三人の姿にユカリとリムルがそう言うなか、シズが苦しそうにしながらそう言ってくる。
「安心しろ。シズさん……あんたの『呪い』は俺達が解いてやる……」
「それに貴女に会わせたい
そんなシズに対し、リムルとユカリはそう言いながら戦闘体勢を取る。
「あんたは十分頑張った……後は俺達に任せてくれ。」
「………オネガ……イ……」
「目標はイフリートの制圧とシズさんの救出だ。」
「ハハッ……まさか、過去の英雄と戦う日が来るとはね……」
「人生何が起こるかわかりやせんね……」
「足を引っ張ったら、スキマで町の結界内に強制送還させるからね。」
「「「ッ!!」」」
そう言いながら飛び上がるユカリの言葉にカバル達三人は気を引き締める。
「行くぞ。」
「さぁ、弾幕ごっこの始まりよ。」