「さてと、そろそろお
「だねぇ~。」
「了解でやんす。」
翌日、カバル達三人はそう言いながら身支度を整える。
が、シズだけは何もせずに見守っている。
「国に帰るのか?」
「あぁ、森の調査結果とシズさんがこの町に残ることをギルマスに報告しなきゃならねぇからな。」
そう。シズはツカサ共々、この町に残ることに決めたらしい。
なんでもまだまだリムルと私に恩を返しきれてないからだとか。
リムルはともかく私は別に良いのに……
「ギルドがあるのか?」
「おうよ。自由組合って言ってな。殆んどの冒険者がそこに所属してんだ。」
私がそう思っているなか、そう尋ねるリムルに対し、カバルはそう説明する。
「勿論、此処のことも報告させてもらう。
なに悪いようには言わないさ。」
「そうじゃなかったら三人とも今頃、スキマ送りにでもして証拠隠滅してるわよ。」
「おいっ!!」
「あはは……」
「スキマっていうのはあの奥からたくさんの目玉が覗き込んだあの裂け目か?」
「そいつは勘弁してほしいでやんす……」
「だね……リムルさんとユカリさんのこともちゃんとギルマスに話しておくから安心してね。」
「リムルの旦那とユカリの姉さんも困ったことがあれば、ギルドを頼ると良いでやんすよ。」
「あぁ、そうさせて貰うよ。」
「………」
「あっとそうだ。最後にシズさんにお話があります。」
「?どうしたの?」
カバルの言葉にシズは首を傾げながら三人と向き合う。
「「「シズさん!今までありがとうございましたっ!!」」」
「「「!?」」」
すると次の瞬間、三人は一斉にシズに頭を下げながらそう感謝を述べてくる。
「俺……貴女に心配されないようなリーダーになりますっ!!」
「貴女と冒険できたこと……生涯の宝にしやすっ!!」
ガバッ!!
「!?」
「ありがとう……シズさんのこと、お姉ちゃんみたいって思ってました……っ!!」
「……うん。三人とも元気でね。
抱きしめながら、泣きながらそう言うエレンに対し、シズもそう言いながら抱きしめ返す。
「それにしても貴女達三人とも、装備がぼろぼろよね。」
「「「
「おいおい……」
「あはは……」
「ふむ……」
リムルSide
「おぉぉぉっ!?憧れのスケイルメイル!!」
「凄いっ!!この服、軽い上に頑丈、それにめっちゃ綺麗っ!!」
「い、良いんでやすか、あっしには勿体無い代物でっ!?牙狼の毛皮まで使われてやすよ!!?」
「餞別よ。うちの職人達の力作。」
「紹介するよ。右からカイジン、ガルム、ドルド、ミルドだ。」
その後、ユカリの提案で鍛冶工房に移動して渡した装備品に興奮している三人に対し、ユカリと俺はそう言ってカイジン達を紹介する。
「力作ってもまだ試作品のやつだけどな。」
「着心地はどうだい?」
「細工は隆々ってね。」
「………」コク…コク…
「喋れよっ!!」
「あはは……」
「カイジンってあの腕利きで有名な鍛冶職人のっ!?」
「一緒にいるのはあの『ドワーフ三兄弟』のっ!?」
「うおおおおおっ!家宝にするでやす!!」
「……思ってた以上に有名人だったのね。カイジン達って……」
「シズさんの新しい装備も今、作ってるからもう少し待っててくれな。」
「うん。ありがとう。リムルさん。」
「さてと……」
クパァ
俺とシズさんがそう話しているなか、ユカリがそう言いながらスキマを出現させる。
「森の入り口とまではいかないけど、比較的入り口に近い地点までスキマで送り届けるわ。」
「え?それってつまり……」
「この裂け目の中に入るって……」
「ことでやんすか……?」
出現させた後、そう言うユカリに対し、三人はスキマを指差しながら『マジで?』と言いたげにそう言う。
「まだまだ狂暴な魔獣が行き来している森の中を突っ切るよりマシでしょ。私も一緒に行ってあげるから早く入った入った。」
「ちょっ、ユカリの姉御!?」
「お、押さないで……!?」
「ち、力強いでやんす……!?」
「それじゃあリムル。私は三人を送り届けてくるから、後はお願いね。」
「お、おう。」
「あはは……三人とも、頑張って……」
「「「シズさぁ~ん……」」」
ユカリに無理やり押し込められた三人の悲鳴も空しくスキマがそのまま閉じて消える。
「「「「「「………」」」」」」
「……え~と、とりあえずこれからよろしくな。シズさん。」
「うん。こちらこそよろしくね。」
四人を見送った後、俺とシズさんはそう言葉を交わす。
が、この時の俺もシズさんも、そしてユカリもまだ気付いてなかった。
『
第三者Side
「はぁ……はぁ……」
とある場所、大地がひび割れ、草木が枯れている地を一人の
ドサッ!!
が、限界がきたのか、力尽きて倒れる。
「おまえに食事と……名をやろう。」
そこに鳥のような仮面、所謂ペスト仮面を着けた者がオークに語りかける。
「……貴方は……?」
「ゲルミュッド……俺のことは父と思うがいい。」
「………」
「ここで死ぬか?」
「……名を……そして、食事を……」
「おまえの名は『ゲルド』。やがて『ジュラの大森林』を統べる
ゲルミュッドは名付けをするや否や血の
「けっひゃっひゃっひゃっ!なかなか良い食いっぷりだなぁ。
「!?」
「!?き、貴様……何故、此処に!?」
そんなゲルドの様を嗤いながら現れた、赤と白のメッシュが入った黒髪に小さな二本角、矢印が連なったような装飾があるワンピースに腰には上下逆さのリボン、素足にサンダル、右手首にブレスレットをした少女に対し、ゲルミュッドは杖を構えながらそう尋ねる。
「あぁ、そんな身構えるなよ。ゲルミュッド。私は『ご主人様』からあんたをちょっと手伝ってやるよう言われて来ただけさ。まっ、下剋上を狙う私の目的のためでもあるけどね。」
対する少女はそう言いながらゲルドに近寄る。
「その角は……
「オーガ?あぁ、
首を傾げながらそう尋ねるゲルドに対し、少女はそう言いながら『漆黒のヒトガタ』を取り出す。
「受け取りな。『ご主人様』と私からの
「!?グおぉオおぉオオおぉォおぉォぉオォおオォおおオォぉオォおぉオおぉオオおぉォおぉォぉオォおオォおおオォッ!!!」
少女がそう言いながらヒトガタをゲルドの額に当てた次の瞬間、ヒトガタはそのまま入り込み、ゲルドは黒い
同時に筋肉が発達していき、その目が赤く染まっていく。
「ッ……」
「けっひゃっひゃっひゃっ!そうだ!その意気だ!『弱者』であるあんたは豚頭魔王となり、『強者』である古き魔王共が作ったこの世界をぶっ壊せ!けっひゃっひゃっひゃっ!!」
そんなゲルドの変貌ぶりにゲルミュッドが息を呑むなか、少女は赤いその瞳でゲルドを