「へぇ……焼き入れん時の温度は勘なのかい?」
「んだ。火色を見れば、だいたいわかるだよ。」
「俺ぁ計るなぁ……」
「オラも戻しの時はキチッと計るだよ。」
「あぁ、外が寒いと粘りが出ねぇもんなぁ……」
翌日、工房にて、カイジンと黒髪の中年男性…もとい鬼人であるクロベエは鍛造について、盛り上がる。
「なるほど……勉強になります……っ!!」
そんな二人の間に座る、水色のショートヘアに右が水色、左が赤のオッドアイ、白い長袖シャツに水色のベスト、水色のミニスカに下駄を履いた美少女がそう言いながらメモを取る。
彼女の傍らには紫の唐傘お化けもいる。
「あぁ、『
「だな。」
「はい!クロベエ様!カイジン様!!」
「しかし、昨日、ユカリ達がベニマル達の里の跡地から回収してきた、クロベエの妹さんの形見の傘が
「確か元になった唐傘はクロベエが作ったのよね?」
「んだ。オラの専門は刀鍛冶だけんど生前、歳の離れた妹にせがまれてなぁ……それで作ってみただよ……」
リムルが少女…コガサを見ながらそう言うなか、そう尋ねる私に対し、クロベエは当時を懐かしむようにコガサを見ながらそう答える。
「俺も長いこと刀鍛冶以外のもの作りに携わった経験はあるが、
「確か『
「そうね……長い年月を掛けて強い思念と魔素を浴び続けた物が変化して生まれる妖怪よ。」
カイジンも物珍しげにコガサを見ながらそう言うなか、そう尋ねるリムルに対し、私はそう説明する。
「妹に唐傘を作って贈ったのは10年前。それから妹はずっと大事に持ち歩いていただよ。」
「『ジュラの大森林』は元々が濃度が高い魔素で満ちている……妖怪化するには十分な土台が出来てたって訳だな。」
「はい。ですが、昨日の段階ではわちきの妖怪への変化はまだ不十分で……ユカリ様達に拾って頂いただけでなく『式神化』を受けなければ、わちきはあのままあの里で朽ち、主の後を追っていたと思います。」
「正に九死に一生を得たって訳だな。」
「ユカリ様には本当に感謝しています。わちきを無事に妖怪化させてくれただけでなく、主の大切な兄でありわちきの創造主であるクロベエ様に会わせてくれたのですから。」
「オラも改めて礼を言うだよ。ユカリ様……本当にありがとうだ。」
「私は私のやりたいようにやっただけだから気にしないで良いわよ。」
「リムル様とユカリ様はおりますかな?」
「
そんななか、リグルドとランがそう言いながら、工房に入ってくる。
昨日、ソウエイが言っていた連中ね。
「すぐ行く。」
「カイジン、クロベエ、コガサ。続きはまた今度ね。」
「あぁ……」
「んだ。」
「ユカリ様……お気を付けて……」
「リムル様、ユカリ様。」
「リムルさん、ユカリさん。」
そうして工房から出た私とリムルに対し、ベニマルとシズがそう話しかけてくる。
側には薄い紫のポニーテールの鬼人の女性…リムルの名付けで進化し現在はリムルの秘書をしている『
「話は聞いた。俺達も同席させてほしい。」
「
「私も良いかな?リムルさん、ユカリさん。」
「勿論だ。果たして敵か味方か……」
「面倒じゃなければどうでもいいわ。」
そんなことを話しながら、私とリムルはシズやベニマル達と共に町の入り口へと向かった。
第三者Side
「………」
「……あれ?なんだ一人だけか?」
「いや。後から来るみたいね。さっき、『
町の入り口付近で槍を持って立っている一人のリザードマンを見ながら、シオンの腕の中で首を傾げながらそう言うスライム態のリムルに対し、ユカリは森の奥の方を見ながらそう言う。
「………」スッ
「あ。なんか来たよ。」
先行していたリザードマンが槍で何やら合図を送った直後、森の奥から向かってくる二足歩行の恐竜のような騎獣に乗った一人のリザードマンを先頭にした複数のリザードマンの一向を確認したシズがそう言う。
【なんか演出臭いな……】
【実際に演出なんでしょ。アレ……】
リムルとユカリが『思念伝達』でそう話しているなか、先頭のリザードマンは町の入り口の手前まで騎獣に乗って走ってくるや否や急
「ご尊顔をよーく覚えておくが良いぞ。このお方こそ、次代の
バッ!!
「我が名はガビル!おまえ達にも我輩の配下となるチャンスをやろう!!」
側近なのだろう肌色が青く忍者のような格好をしたリザードマンがそう口上を述べた直後、飛び降りたリザードマン…ガビルは両手を広げながら天に向かって叫ぶようにそう言う。
「「「「「「「「「……はぁ?」」」」」」」」」
対するユカリ達九人は『いきなり何言ってんだ?こいつ……』とでも言いたげにそう声を上げた。
ユカリSide
え~と、このリザードマン……ガビルと言ったかしら。いきなり来て配下になれとか何様かしら……
ミリミリミリミリミリミリミリミリミリミリミリミリ………
あら?なんか不穏な気配を感じると思ったら、ガビルの発言に苛立ったシオンが無意識でリムルを締め上げてたわ。
「そこまで。シオン。気持ちはわかるけど、ガビルをどうこうする前にリムルがスライムボディーからスリムボディーになるわ。」
「!?す、すいません!リムル様!!」
私がそう指摘すると、シオンは慌ててそう謝罪しながらリムルを解放する。
「た、助かった……」
解放されたリムルはそう言いながら、シズの手元に避難する。
「大丈夫?リムルさん……」
「まぁ、ユカリのおかげでなんとかな……」
「やれやれ……皆まで言わねばわからぬか。貴様らも聞いているだろう?今現在、武装したオークの軍勢がこの『ジュラの大森林』を侵攻中という話だ。」
シズとリムルがそう話しているなか、ガビルが勝手に話を進める。
【ユカリさん?なに急に数枚のスペルカードを取り出してるの?】
【どんな組み合わせで処理しようかなと……】
一々動きがうざいし、声も大きいし。
【ちょっ、落ち着けぇぇぇぇぇっ!!】
「しからば!我が配下に加わるがいい!!我輩が!
頭の中に『思念伝達』によるリムルの悲痛な叫び声が響き渡るなか、そこまで豪語したガビルは改めて私達一人一人に目を向ける。
リグルド←ムキムキなホブゴブリン
ハクロウ←鬼人
ベニマル←鬼人
シオン←鬼人
リムル←スライム
シズ←人間の英雄的冒険者
ラン←妖怪『九尾』
私←スキマ妖怪
カセン←妖怪『茨木童子』
「………」
「あぁ~、なんかごめんなさいね?」
生憎うちには『貧弱な』子はあまりいないのよ。
「……(ヒソヒソ)ゴブリンがいないようだが?」
「(ヒソヒソ)あれぇー?」
「(ヒソヒソ)情報によれば、此処はゴブリン村の筈……」
「(ヒソヒソ)っていうかあの面子に貧弱な奴あまりいなくね?」
聞こえてるわよ。
【なんか面倒臭くなってきたんだけど……どうするの?リムル。】
【
【私は嫌よ。アレに背中預けるのは……】
流石に裏切りはしないでしょうけど……
【俺は別に嫌いじゃないんだけどなぁ……ああいうバカ……】
「あぁ~、ゴホン……この村では牙狼族を手懐けた者がいるそうだな?」
リムルと『思念伝達』でそんなことを話しているなか、ガビルが一度軽く咳払いしてからそう尋ねてくる。
「そいつは幹部として迎えてやる。連れてくるがいい。」
「ユカリ様。」
「彼奴……殺して良いですか?」
「良いわよぉ~。」
「いや!『良いわよぉ~。』じゃねぇよ!!ランもカセンも一旦落ち着け!!ランガ!!」
ズリュンッ!!
【ハッ!!】
私達にそう言いながら、リムルは自分の影からランガを呼び出す。
「!?か、影の中から……っ!?」
「そいつの話を聞いて差し上げろ。」
【御意。】
リザードマン達が思わず身構えるなか、ランガはリムルを乗せているいつもの大きさから二回り程大きくなり、リザードマン達を威圧しながらガビルに迫る。
「あれ?あんなにデカかったですかね?」
「あれがランガの本来の大きさなんだよ。」
「あの大きさで弟が尻尾を振った時の被害が甚大でね。」
「それをリムル様がお叱りになったら小さくなった。」
「まぁ、威嚇するには今はあのサイズの方が都合が良い。」
「なるほど……ってカゲロウにエノコ……いつの間に……」
「来たのは今さっきよ。」
「私達も
【主より命を受けた。聞いてやるから話すがいい。】
首を傾げながらそう尋ねるベニマルに二人がそう答えるなか、ランガはそう言ってガビルに詰め寄った。
「おぉ……貴殿が牙狼族の族長ですかな?」
あら?他のリザードマンは萎縮してるのに根性あるのね。
「その威風堂々な佇まい……しかし、主がスライムというのは些か拍子抜けであるな。」
【あぁん?】
【まぁ、見た目はスライムだし、そこは仕方ないんじゃないかしら?魔素も抑えてるし。】
【そうだけどさぁ……】
「どうやら貴殿は騙されているようだ……良かろう!この我輩が貴殿を操る不埒なスライムを退治してみせようではないか!!」
【……トカゲ風情が……主を愚弄するとは……っ!!】
私とリムルが『思念伝達』でそう話しているなか、ランガも苛立ってきたのか、今にも噛みつかん雰囲気で唸り始める。
「「「ガ・ビ・ル!!ガ・ビ・ル!!」」」
そんなランガの様子に気付いていないリザードマン達は謎のガビルコールで盛り上がる。
死んだわね、ガビル。
コガサ
見た目:東方の
種族:妖怪『
所持スキル
ユニークスキル『驚愕者』:チェンと同じスキルだが、効果がいまいち……(汗)
ユニークスキル『
エクストラスキル『雨風操作』
エクストラスキル『スペルカード』
スキル『弾幕』
詳細
元々は