転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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ゴブタVSガビル

「あれぇー?どうかしたんスか?皆……」

 

そんななか、ゴブタが呑気な声を上げながらその場に現れる。

 

「ゴブタ!?」

 

「おまえ、(シオンの手料理のせいで)死にかけてたんじゃ……っ!?」

 

「?どういうこと?」

 

そんなゴブタに対するリムルとベニマルの反応が気になった私はシズにそう尋ねる。

 

「……実はね……」

 

シズが言うには昨日、シオンがリムルのために手料理を作ったそうなのだが、シオンが所謂(いわゆる)メシマズという奴で見るからにヤバい料理が出てきたので、命の危険を感じたリムルは偶々、シズと共に昼食を食べに来たゴブタにその料理を一匙分(ひとさじぶん)食べさせたとのこと。

 

結果、ゴブタは見るからに顔色がゴブリンの緑から紫に変色し、泡吹いて倒れたらしい。

 

「だから、リムルへの報告から戻ってきたソウエイの顔色が悪かったのね……」

 

「私も初めて食べ物に対して、命の危険を感じたよ……」

 

「今後、シオンにはベニマルの許可なしで飲食物を作るのは禁止と言ってあるから大丈夫だとは思うが……なんでゴブタの奴、無事なんだ……?」

 

「あぁ、さっき『霊能者(サイキック)』で視たらゴブタ、『毒耐性』を獲得したみたいだからそれでじゃないかしら。」

 

だとしても、たった一匙分食べただけで『毒耐性』を獲得するなんて相当じゃないかしら。シオンの手料理って……

 

まぁ、それはさておき、

 

「良い所へ来たわね。ゴブタ、ちょっとこっちにいらっしゃい。」

 

「?何スか?ユカリ様。」

 

「ちょっとそこに立ってて頂戴。」

 

「?」

 

「そこのお兄さん。ちょっとその槍を貸してくれないかしら?」

 

ゴブタをガビルと対峙するように立たせた後、私は先行して来ていた黄緑の肌色をしたリザードマンに声を掛ける。

 

「?この槍を?」

 

「お互いに同じ武器で勝負した方が公平でしょ?」

 

「勝負……なるほど。確かにお嬢さんの言う通りであるな。槍をお貸しして差し上げろ。」

 

「はい。ガビル様。」

 

ガビルからも指示を受けたリザードマンはゴブタに槍を貸し出す。

 

「壊さないでね。」

 

「え?え?」

 

「頑張ってね。ゴブタ。」

 

「いや。ユカリ様、一体何がどうなって……」

 

「ガビルと言ったわね。貴方がゴブタに勝てたならさっきの話、考えてあげても良いわ……どう?」

 

「構いませんぞ。部下にやらせれば恥も搔きますまい……なぁ。スライム殿?」

 

「む。ゴブタ、遠慮は要らん。」

 

「思いっきりやりなさい。」

 

「いやいや。リムル様にユカリ様。一体なんでこんなことに」

 

「勝ったらクロベエとコガサに頼んで貴方専用の武器を作ってもらうから。」

 

コガサにとっても良い練習になるだろうし。

 

「え?本当ッスか!?少しやる気になってきたッス!!」

 

「負けたらシオンの手料理の刑な!!」

 

ドォンッ!!

 

それ(・・)だけは勘弁ッスゥゥゥッ!!!」

 

リムルがそう言うと、ゴブタは黄金の妖気(オーラ)を纏いながらやる気MAXになる。

 

「あはは……」

 

「では、初め!!」

 

シズが苦笑いを浮かべ、私が両者の間に立って片手を上げながらそう言った瞬間、ガビルとゴブタは互いに構える。

 

「ふんっ、偉大なるドラゴンの末裔たる我ら蜥蜴人族(リザードマン)がホブゴブリンなんぞに」

 

「フッ!!」シュッ!!

 

「ぬおっ!?」

 

何やら口上を垂れるガビルの言葉の最中、ゴブタは借りた槍を投擲(とうてき)する。

 

ガビルの意識が槍に向いている隙にゴブタは影の中に潜り込む。

 

「おのれ!小癪なっ!?」

 

ガビルがそう言いながら槍を振るうも、既にゴブタの姿がなく空を切る。

 

「バカな!?消え」

 

ズリュンッ!!

 

「とうッス。」

 

ドカァァァンッ!!

 

「たぁぁぁぁっ!?」

 

ドサッ!!

 

戸惑うガビルの背後の影から飛び出したゴブタは見事な回し蹴りをその後頭部に食らわせ意識を刈り取る。

 

「勝負あり!勝者、ゴブタ!!」

 

ワァァァーーーッ!!

 

私がそうゴブタの勝利宣言をすると、ベニマルやリグルド達がゴブタに群がり胴上げを始める。

 

【マジか……ゴブタの奴、『影移動』を使いこなしてるの!?っていうか皆はマジでゴブタが勝つと思ってたのか??】

 

【言っとくけど、ゴブタは結構戦士としては優秀よ?ただ周りが言わないだけで……】

 

【マジか……俺はてっきり】

 

【『ゴブタがやられたのを大義名分にして皆でフルボッコにする』つもりだと思ってたかしら?】

 

【そ、そんな訳ないだろ!!】

 

【ふぅーん……】

 

「よ、よくやったな。ゴブタ。約束通りにクロベエとコガサに言って作ってもらうからな。」

 

「ありがとうございますッス!リムル様!!」

 

ジト目で見る私の視線を誤魔化すようにそう言うリムルに対し、ゴブタは笑顔でそう言う。

 

……まぁ、いいか……

 

私はそう思いながらゴブタが投擲した槍を回収する。

 

「はい。貸してくれてありがとうね。」

 

「い、いえいえ……」

 

「見ての通り、勝負はうちのゴブタの勝ち。豚頭族(オーク)に対抗するために共闘することは検討するけど、配下になる話はお断りさせてもらうわ。」

 

「わかったら、そいつを連れてさっさと帰れ。」

 

「い、(いず)れまた来るぜ!!」

 

「然り。これで終わりではないぞ。」

 

「えっと……お、覚えてろぉ~!!」

 

私とリムルがそう言うとリザードマン達は気絶したガビルを大切に引き摺りながら退散していく。

 

【エノコ、カゲロウ。】

 

【【ユカリ様。】】

 

【念のため、オオカミ霊を一体、彼らの監視に付けて頂戴。】

 

【【御意。】】

 

「さてと、武器は一応リムルからだから、私からも褒美をあげるわ。」

 

『思念伝達』で二人に指示した後、私はそう言いながら『弾幕』の術式を組み込んだヒトガタを取り出し、ゴブタの額に当てる。

 

すると、ヒトガタはそのまま入り込み、ゴブタに『弾幕』のスキルを与える。

 

〈確認しました。個体名『ゴブタ』はスキル『弾幕』を獲得……成功しました。〉

 

「!?ユカリ様……本当に良いんスか!?」

 

「えぇ。言ったでしょ。褒美だって。」

 

「良かったなぁ……ゴブタ。試しに撃ってみろよ。」

 

頭を抱えながらそう尋ねるゴブタにそう答えるなか、リムルがそう言う。

 

因みにツカサと一体化したシズを一度『捕食』したからか、リムルも『水刃』のような弾幕を撃てるようになっている。

 

スペカとかはまだ見たことないけど……多分、『大賢者』辺りが新しく作るでしょうね。

 

「そ、それじゃあ……」

 

ゴブタはそう言いながら右手を突きだし、右腕に左手を添えて構える。

 

バチバチ……ッ!!

 

すると、ゴブタの右手の中に黒い稲妻が球体状になりながら生まれる。

 

「スキル『弾幕』!!」

 

ズドォォォンッ!!

 

ズガァァァンッ!!

 

次の瞬間、ゴブタの右手から放たれた黒雷球型の弾幕はそのまま直線上にある木の幹に命中し軽く穿(うが)つ。

 

「「「おぉ……っ!!」」」

 

「やった……やったッスよ!ユカリ様!!」

 

「見事ね。後は練習すれば、ちょっと意識しただけで弾幕を周囲に展開できるようになるわ。こんな風に……」

 

初めての弾幕が上手くいったことに喜びはしゃぐゴブタに対し、私は自分の周りに弾幕を展開しながらそう説明する。

 

因みに今回はいつものクナイ型じゃなく色とりどりの光球型ね。

 

「おぉ……ユカリ様の弾幕、なんか綺麗ッスぅ~♪」

 

「確かに綺麗ですね。それでいて威力とかえげつないですけど……」

 

「ほっほっほっ……何はともあれゴブタの戦術の幅が広がったのならば、より一層修行を厳しくする必要がありますのぉ……」

 

「うっ……」

 

「あ。ハクロウ様。でしたら私も手伝いますよ。まだまだ未熟ながらも私も『弾幕』と『スペルカード』が使えますし……」

 

「うむ。では、お願いするとしようかのぉ。カセン。」

 

哀れゴブタ。修行のレベルアップが確定した瞬間である。

 

「さてと、今後の方針も決めなきゃね……」

 

そんなことを思いながら、私は空を見上げながらそう呟いた。

 

リムルSide

 

「はぁーっ!?20万!!?」

 

「20万もの武装したオークの軍勢が侵攻してきているってことかしら?」

 

「その通りです。ユカリ様。」

 

「……ソウエイ。元大鬼族(おれたち)の里を襲ったのは数千だったと思うんだが……?」

 

その日の夜、昼間の面子に他の鬼人達やスイカとユウギ、カイジン達ドワーフ組やリリナ達ゴブリン・ロード達を加えた会議の場にて、俺がそう困惑の声を上げるなか、ユカリにそう報告するソウエイに対し、ベニマルはそう尋ねる。

 

「あれは別動隊だったんだ。」

 

対するソウエイはそう答えながら、テーブルに広げた木板でできた地図に目をやる。

 

「本隊は今、大河に沿って北上している。そして、本隊と別動隊の動きから予想される合流地点は此処より東の湿地帯……つまり、蜥蜴人族(リザードマン)の支配領域となります。」

 

「つまり、俺達の町は眼中にないってことか?」

 

「でも、カセン達の里も別に進行の邪魔にはなってないわよね?」

 

「確かに……」

 

ソウエイからの報告に俺が首を傾げながらそう言うなか、同じく首を傾げながらそう言うユカリにシズさんも真剣な表情で同意する。

 

「……そもそも豚頭族(オーク)の目的って何なんだろうな……」

 

「ふむ……豚頭族(オーク)は元々知能の高い魔物じゃねぇからな。この侵攻に本能以外の目的があるなら、黒幕(バック)の存在を疑うべきだろうな。」

 

「例えば……『魔王』、とかか?」

 

黒幕(バック)の存在を疑うカイジンにふとそう呟く俺の言葉に辺りが静まり返る。

 

「………」

 

シズさんに至ってはかつて自身にイフリートを宿らせた魔王レオンのことが過ったのか、険しい表情を浮かべる。

 

「……なんてな。思いつきで言ってみただけだから忘れてくれ……」

 

「……魔王という訳ではないんですが……」

 

「「?」」

 

以前(まえ)にハクロウとの訓練の合間にリムル様にお話した、豚頭帝(オークロード)出現の可能性が高まったように思う……同族とはいえ、20万もの軍勢を普通のオークが統率できるとは思えない……」

 

「……そうね……」

 

「いないと楽観視するより警戒はするべきだと思う。」

 

そんな空気に気まずくなった俺がそう言いながらポテトチップ(うすしお味)を一枚食べるなか、真剣な表情でそう言うベニマルの言葉にユカリとシズさんも真剣な表情でそう言う。

 

「!」

 

「?ソウエイ。どうかしたか?」

 

「偵察中の分身体に接触してきた者がいます。

なんでもリムル様とユカリ様に取り次いでほしいと。」

 

「私達に?」

 

「誰だよ?もう昼間のガビルでお腹一杯なんだけど……」

 

樹妖精(ドライアド)です。」

 

「!?樹妖精(ドライアド)だとっ!?」

 

そんななか、ソウエイからの報告にそう言うリグルドを始め周りが騒然となる。

 

ドライアドって確かカードゲームとかに出てくる木の精みたいな綺麗なお姉ちゃんだったか。

 

(そろそろ来る頃かとは思ってたけど、やっぱり来たわね……)

 

「お、おぉ……そうか……お通しして。」

 

「ハッ。」

 

ユカリが全く動じることなく紅茶を堪能しているなか、俺がそう許可を出した次の瞬間、会議室のテーブルの中央から緑の光と共に(つた)が生えてくる。

 

「“魔物を統べる者”、“妖怪(アヤカシ)を統べる者”及びその従者の皆様。突然の訪問、(あい)すいません。」

 

次の瞬間、その蔦の中から緑の長い髪の女性がそう言いながら現れる。

 

「はじめまして。私は樹妖精(ドライアド)のトレイニーと申します。以後お見知りおき下さい。」

 

「俺はリムル=テンペストです。はじめまして。トレイニーさん。」

 

「一体何の用で直接ここまで来たのかしら?トレイニー。」

 

俺がそう挨拶を返した後、ユカリがそう尋ねる。

 

?ユカリはトレイニーさんと知り合いなのか?

 

「本日はお二人にご依頼したいことがあって伺いました。リムル=テンペスト、ユカリ=テンペスト。貴女方に豚頭帝(オークロード)の討伐を依頼したいのです。」

 

は……?

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