転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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魔王(かこ)妖怪(みらい)

ユカリSide

 

「『山-634M』……『山-635M』……」

 

「ユカリ様。次は湖の部族の女性です。」

 

「わかったわ。」

 

リムルがしんどそうな雰囲気でオーク達の名付けをしているなか、ランに言われた私はそう言いながらたくさんの雌のオーク達が並んだ列の前に立つ。

 

同盟成立後、オーク達の飢え死にを防ぐため、リムルと私でオーク達の『飢餓者(ウエルモノ)』の影響で増えていた分の魔素を『捕食者』で取り込み、『名付け』によって与えるということになった。

 

「じっとしてなさいね。」

 

「は、はい……」

 

私はそう言いながら緊張気味な雌のオークに向けて、右掌を構える。

 

シュウウウ……ッ!!

 

次の瞬間、雌のオークから『飢餓者(ウエルモノ)』で増えていた分の魔素が私の中へと流れていく。

 

ユニークスキル『捕食者』……私が使うとこんな感じになるのね。

 

「はい。貴女は『湖-1F』ね。」

 

「!はい!!ありがとうございます!!」

 

「しかし、俺やリムル様の持つ『捕食者』にこのような使い方があるとは……」

 

私がそう思いながら名付けていくなか、ランと一緒に様子を見ていたユウマがそう言う。

 

「そうね。でも、リムルのとは違い、貴方の『捕食者』は貴方の『一族を救いたい』という想いに呼応した『飢餓者(ウエルモノ)』に代わって正しく得られたもの……だから、貴方と『式神使い』で繋がった私にも使えたのよ。」

 

まさか、魔王ゲルド(かこ)の『飢餓者(ウエルモノ)』消失によって生じた問題を、ユウマ(みらい)が手にした『捕食者』で解決することになるとはね……面白い因果もあるものだわ。

 

「!ユカリ様……」

 

「そうだな。もっと胸を張って良いぞ。ユウマよ……おまえの一族のために現実に抗おうとしたその想いは決して無駄ではなかったのだ。」

 

「ッ……あぁ……っ!!」

 

ランからの言葉にユウマは涙を流しながらそう言う。

 

そんなこんなでリムルと二人合わせての名付けによるデスマーチダンス(笑)の七日目。リムルの担当で最後の一団2000人の名付けをすることに。

 

「お願いがございます。我らは『豚頭親衛隊(オークエリート)』の生き残り……この“力”、父王共々、貴方様方のお側で役立てたいのです……」

 

「……わかった。」

 

そうして始まったリムルの最後の名付け(デスマーチダンス)

 

因みに一足先に終わった私はリザードマン達が提供してくれた良質な水とトレイニー提供の上質な茶葉でランが淹れてくれた茶を堪能中。

 

リムルがなんか怨めしそうに見ていたけど、無視したわ。

 

「おまえは豚頭魔王(オークディザスター)ゲルドから名を取り、『ゲルド』とする!!」

 

「ッッ……その名の重み、しかと受け止めました。我が忠誠を貴方様方に……っ!!」

 

「ユウマ共々、オーク達を確りと導くんだぞ。」

 

「ははぁっ!!」

 

プスンッ!ベチョオ……

 

「ってリムル様ぁっ!?」

 

「あらら……」

 

最後の一人でユウマの息子である黒フードのオーク…『ゲルド』に名付けた途端、低位活動状態(スリープモード)に入ったリムルを見て、ゲルドがそう困惑の声を上げる。

 

やっぱりこうなったわね。

 

「安心なさい。名付けによる魔素の消費で眠っているだけだから。三日後には目を覚ますわ。」

 

「ユカリ様。先程、『思念伝達』でソウエイ殿に町から台座を取ってきてもらうよう、頼んでおきました。」

 

「ありがとう。ラン。」

 

さて、ガビルはどうしてるかしらね。

 

ガビルSide

 

蜥蜴人族(リザードマン)本拠地、地下牢・・・

 

「………」

 

魔王ゲルド討伐(あれ)から10日……外では今でも戦の後処理が行われているのだろう。

 

我輩の処遇は死罪……だろうな……

 

当然だ。首領(親父殿)達を幽閉し、『飢餓者(ウエルモノ)』を持つ敵に喰われる形で戦死者を出し、蜥蜴人族(いちぞく)を滅亡の危機に陥れたのだ。

 

死罪(そう)でなければ示しがつかん。

 

「首領がお呼びだ。出ろ。」

 

「………」

 

玉座の間・・・

 

「反逆者ガビルを連れて参りました。」

 

「うむ……」

 

「………」

 

「ガビル……此度の件、何か言いたいことはあるか?」

 

「……部下達の助命を願いたい。彼らは我輩の命令に従っただけ。全ては我輩の独断である故、どうか……っ!!」

 

「よかろう……他に言い残すことはないか?」

 

「……あのスライムのお方と妖怪(アヤカシ)の麗人はどちらに?」

 

「リムル様とユカリ様のお二人は湿地帯(ここ)での戦後処理を終え、町へと帰られた……何故、そんなことを聞く?」

 

「最期に聞いておきたかったのです。何故、助けてくれたのかを。こんな何の価値もない間抜けを……」

 

「そうか……」

 

「………」

 

「それは自分の足で尋ね問うのだな。」

 

「……え?」

 

「判決を言い渡す。」

 

「!?」

 

「ガビルを破門とし、追放とする……二度と蜥蜴人族(リザードマン)と名乗ることを許さん。」

 

「お、親父殿……っ!?」

 

こんなにも力強い父を相手に、自分は名を持つというだけで楯突いたのか……我輩はなんと愚かな……っ!!

 

「即刻追い払うが良い!!」

 

「「ハッ!!」」

 

ただなんか以前(まえ)よりも若々しくなってるような……

 

鍾乳洞入り口・・・

 

ドシャアッ!!

 

「ぶべっ!?」

 

「忘れ物だ。ホラ。」

 

「!?水渦槍(ボルテクススピア)!?これは蜥蜴人族(リザードマン)の首領が持つべきもの……っ!!」

 

「その首領のお考えだ。黙って受け取れ!!」

 

「!?親父殿の……?」

 

「……首領から言伝ても預かっている。よぉーく聞いとけ。」

 

戸惑う我輩に対し、我輩より長く生きているベテランの兵士はそう言いながら、親父殿からの言伝てを口にし始める。

 

「……『ガビルよ。リムル様から『アビル』の名を賜ったこの儂が在る限り、蜥蜴人族(リザードマン)は安泰である。貴様は思うがままに生きるが良い。但し、中途半端は許さん。肝に命じるのだ。』……」

 

「親父殿……ッ……」

 

「……確かに伝えたぞ。」

 

「ッ!!」バッ!!

 

そう言いながら洞窟内へと消えていくベテラン兵士の背中とその奧にいる親父殿に向けて、涙を流しながらも頭を下げる。

 

見ていて下さい。親父殿。我輩は一から出直します。水渦槍(このやり)に真に相応しい戦士(おとこ)になるために……っ!!

 

許されるならば、あの方々の下で

 

「ガビル様ぁーっ!!」

 

「!?」

 

「待ってましたよ!!」

 

「たくっ……待ちくたびれたぜ!!」

 

「『時は金なり』!!」

 

「な、何をしておるのだ!?おまえ達……我輩はたった今、破門になったのだぞ!!?」

 

「ガビル様が破門なら、()破門ですよ!!」

 

「だな!!」

 

「然り!!」

 

「?皆……?」

 

「ホラ。後ろ。」チョイチョイ

 

「!?」

 

「ガビル様ぁーっ!!」

 

「俺達も連れてってくれぇーっ!!」

 

「「「ガ・ビ・ル!!ガ・ビ・ル!!」」」

 

後ろを指され振り返ると、あの戦で共に戦った部下(なかま)達が我輩を追ってきているのが目に入る。

 

第三者Side

 

「お、おまえら……揃いも揃ってバカだな……っ!!」

 

「「「………」」」

 

「……わかった!纏めて面倒みよう!!我輩に付いてこい!!」

 

「ガビル様、かっくぃーっ!!」

 

「頼りになるぜ!!大将!!」

 

「至極当然!!」

 

「「「「「ガ・ビ・ル!!ガ・ビ・ル!!」」」」」

 

そう言いながら堂々と歩き始めるガビルの後を、彼を心から慕う部下達は愉快に騒ぎながら付いていく。

 

彼らがリムルやユカリ達の町に合流するのは少し先のお話……。

 

『傀儡国ジスターヴ』、『クレイマン城』、執務室・・・

 

「折角色々とお膳立てしたのに、新しい魔王が産まれへんかったんは痛いんちゃうか?」

 

その頃、『ジュラの大森林』から東にある『傀儡国ジスターヴ』の『クレイマン城』、その執務室にて、ソファーに腰を下ろしたラプラスがそう言ってぼやく。

 

「そうだな……しかし、おかげで面白いものが観れたよ。あのスライムと妖怪(アヤカシ)……どうしたものかな……」

 

そんなラプラスに対し、リムルとユカリに興味を示した白いタキシードを着た銀髪の男が楽しそうな笑みを浮かべながら、そう言いながらバルコニーでワインを嗜む。

 

「……へーぇ……『11大魔王(・・・・・)』が一柱(ひとばしら)である『人形傀儡師(マリオネットマスター)』クレイマンにそこまで言わせるとはね……」

 

「『黒いヒトガタ(コイツ)』を使った『実験』も上手くいったしなぁ……けっひゃっひゃっひゃっ!!」

 

そんな銀髪の男…『クレイマン』の様子にラプラスも楽しそうな雰囲気でそう言うなか、彼の向かい側のソファーに足を組みながら座っているセイジャは『黒いヒトガタ』を見上げながらそう言って嗤う。

 

「確か、『感情と思念を人為的に増強することで強力なユニークスキルを手に入れやすくする』実験……でしたか。なかなか着眼点が面白い。完成したら是非私の駒にも使わせて頂きたいものです。」

 

「けっひゃっひゃっひゃっ。まぁ、そこは『ご主人様』次第だな……」

 

丁寧な口調でそう言うクレイマンに対し、セイジャはそう言いながら立ち上がる。

 

「私は行くぜ。あのスキマ妖怪(・・・・・)が出てきたことを『ご主人様』に報告しなきゃならないしな。」

 

「ほぅ……貴女や『彼女』が気にする程の存在なのですか?そのスキマ妖怪というのは……」

 

「まぁな。私が知ってる奴(・・・・・)と同一人物、いや、同一妖怪なら厄介だ。何せ『幻想郷』を創った賢者の一人にして、『幻想郷の守り神』だからな……けっひゃっひゃっひゃっ!!」

 

クレイマンからの問いにそう答えながら、セイジャは嗤いながら去っていく。

 

「ほんならワイももう行くで。

もし、協力が必要な時は格安で請け負うたるわ。

魔王クレイマンはん。」

 

ボンッ!!

 

続いてラプラスもそう言いながら、煙に包まれながらその場から消える。

 

「……フフ……」

 

その場に一人残されたクレイマンは静かに笑みを浮かべるのだった。

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