転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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押し掛け女房

ユカリSide

 

翌日の早朝、私とリムルは丘の上から完成しつつある町を見下ろす。

 

「行くか!!」

 

「えぇ。」

 

【ハッ!我が主達!!】

 

何時(いつ)でも行けます!!】

 

そう言いながらランガの背に乗るリムルにそう言いながら、私も額にある紅い満月のような模様から紅い一本角、ワインレッドの毛色をした大狼形態に変わったカゲロウの背に乗り町へと戻る。

 

「あ!リムル様!ユカリ様!!」

 

「リムル様!ユカリ様!!」

 

「あっ!リムル様とユカリ様だ!!」

 

「おはようございます!!」

 

「今日も良い天気ですなぁ!!」

 

「おはようございます!!リムル様!ユカリ様!!」

 

「あぁ!おはよう!!」

 

「おはよう。」

 

道中、笑顔で声を掛けてくるゴブリン達に私達はそう返していく。

 

普段はスキマか歩きか飛ぶかだけど、たまにはこういうのも良いわね。

 

そうしている間にある建物の前で立ち止まった私達はランガとカゲロウから降り、カゲロウは元の人型へと戻る。

 

「遂に完成だなぁ……っ!!」

 

「良い感じね。」

 

【はい!!】

 

「私達の新しい議事堂です……っ!!」

 

「おはようございます!!リムル様!ユカリ様!!今度の宴の準備は如何致しましょう?」

 

新しい議事堂を見上げながらそう話しているなか、リグルドがそう話し掛けてくる。

 

「?宴?」

 

「何かあったっけ?」

 

「ぬわっ………ハッハッハッ。お忘れですかな?我らゴブリンとの出会いから500日目記念ですよ!!」

 

【であれば、牙狼族(われら)との出会いも!!】

 

「確かに……」

 

「旦那、お嬢。竣工祝いはやらねぇとな。」

 

「私がこの町に来たお祝いもかな?」

 

「宴なら何でも良いッス!!」

 

大鬼族(われら)の名付け記念も……」

 

「我輩達も是非お仲間に!!」

 

「宴ですね!!」

 

そうして集まった皆が私とリムルを胴上げし始める。

 

「……(ボソッ)そういえば、『豚頭帝異変(いへん)』解決の宴もまだだったじゃないかしら。」

 

やっぱり『異変』解決の後は宴よね。

 

「わかった、わかった!!……やるから!全部やるから!!」

 

皆からの要望にリムルがそう答えるなか、

 

「漸く見付けたよ!ガビル!!」

 

「「「「「「「「「ん?」」」」」」」」」

 

ガビルを名指しでそう言う少女の声に振り向くと、赤い数珠のような珠のアクセサリーでツインテールにした蒼髪に蒼い瞳、ミドリガメのような黄緑の肌に大きな甲羅を背負った少女が仁王立ちしながらガビルを睨み付けている。

 

「!?お、おまえ……何故、此処に!!?」

 

「?誰ッスか?」

 

「さぁ……?」

 

少女を見ながら困惑するガビルの姿にそう言うゴブタとシズを始め、その場にいたほぼ全員が首を傾げる。

 

「あぁ……その……私から説明を……」

 

「?ソーカ?」

 

「彼女は蜥蜴人族(リザードマン)と古くから付き合いがある甲羅人族(タートルマン)の首領の娘であり次期首領………私や兄ガビルの幼なじみであり、兄の………元許嫁です……」

 

「「「「「「「許嫁ぇぇぇぇぇっ!!?」」」」」」」

 

「う、うむ……そうなのである……」

 

「勝手に『元』を付けないでほしいんだけどね。」

 

ソーカの説明にリムル達がそう困惑の声を上げるなか、ガビルは気まずそうにそう言い、タートルマンの少女は額に青筋を浮かべながらそう言う。

 

元でも許嫁なんていたのね。ガビル……

 

リムルSide

 

「で、ガビル君。隣にいるそのお嬢さんが君の元許嫁だというのは本当なんだな?」

 

その後、一旦新議事堂内の新会議室に移動してから、俺はガビルの隣に座らせたタートルマンの少女を見ながらそう尋ねる。

 

「はい。その通りでございます。リムル様。」

 

「私は『元』になったつもり、一切ないけどね。」

 

「え~とですね……彼女達甲羅人族(タートルマン)蜥蜴人族(リザードマン)と同じくシス湖付近で暮らしている種族であり、ドワーフとは別ベクトルで手先が器用な種族なんです。」

 

「?どういうことだ?」

 

そんな俺からの問いにガビルがそう答え、タートルマンの少女がそう言うなか、そう説明するソーカに対し、カイジンが首を傾げながらそう尋ねる。

 

「ドワーフは主に魔鋼を加工する技術を持ってますが、甲羅人族(かのじょたち)は宝石のように硬い魔晶石を加工する技術を持っているのです。」

 

「はぁっ!?あんたら、魔晶石を加工できるのか!!?」

 

「まぁね。なんなら今はガビルがお義父さんから受け継いだ水渦槍(ボルテクススピア)も私の祖先の作品だし。」

 

ソーカからの説明にそう困惑の声を上げるカイジンに対し、タートルマンの少女は素っ気ない感じでそう説明する。

 

「とまぁ、ドワーフに匹敵する優れた技術を持つ甲羅人族(かのじょたち)ですが、その“力”は水に依存したもので蜥蜴人族(われら)と違い、日中の水辺から離れた地での長期活動も困難なんです。」

 

「んん?でも、此処とシス湖は結構距離あるよな?」

 

「そうよね。」

 

「こまめに日陰に入って水分補給すれば、日中でもなんとか動けるんだよ……それでも此処までガビルを追っかけるのに苦労したけど……」

 

首を傾げながらそう言う俺とユカリに対し、タートルマンの少女はコップに入った水を何度もお代わりしながらそう言う。

 

「それで蜥蜴人族(われら)甲羅人族(かのじょたち)に武器や防具を作ってもらう見返りとして、甲羅人族(かのじょたち)の必要とする素材の調達や甲羅人族(かのじょたち)の守護を請け負っていたのです。」

 

「じゃあ、さっきの許嫁というのは……」

 

「うむ。少々下世話な話になりますが、元々協力関係にある両種族の“繋がり”を更に強めるための………人間で言うところの政略結婚というやつですな。」

 

マジか。

 

「私は小さい頃から幼なじみのガビルのお嫁さんになるのが夢だったから、政略でもなんでも良かったんだけどね。」

 

うん?

 

「というか我輩と婚姻の儀を交わす話は我輩が破門された時点で消失していたと思っていたのだが……?」

 

「関係ない。私はガビル以外と夫婦(めおと)になるとかあり得ないから。」

 

【……ねぇ。ユカリさん。これって……】

 

【ガビルに完全にホの字ね。】

 

「という訳で私もこの町に住まわせてほしいんだけど……」

 

「!?何を言っているのであるか!?おまえは甲羅人族(タートルマン)の次期首領なのだぞ!!」

 

ユカリと『思念伝達』でそう話しているなか、そう言うタートルマンの少女に対し、ガビルはすぐさまそう言って反対する。

 

「その地位は妹に譲ってきたし、現首領(ちち)からも許可を取ったから大丈夫。」

 

「なぬっ!?」

 

「あぁ~、ガビル君、こりゃ諦めた方が良いぞ……おまえを追っかけて此処まできたこの子の覚悟は本物だ……」

 

「リムル様……よろしいのですか?」

 

「あぁ。町を更に発展させられるなら、優秀な技術者の受け入れは大歓迎だからな。」

 

「リムル。この子への名付けは私にさせて貰えないかしら?」

 

「……もしかして、持ってるのか?この子……」

 

「えぇ。妖怪(アヤカシ)になれる素質があるわ。」

 

「なんと!?ユカリ様と同じ妖怪(アヤカシ)に!?」

 

「?アヤカシって?」

 

私の言葉にガビルがそう困惑の声を上げるなか、タートルマンの少女は首を傾げながらそう言う。

 

「そうね……多種多様な種族が存在する新たな魔物の在り方、総称だとでも言えば良いかしら。通常の魔物よりも更に上の存在とも云えるわね。」

 

「!?そんな存在に私が……っ!?」

 

ユカリからの説明にタートルマンの少女はそう困惑の声を上げる。

 

そういえば以前、『大賢者』が調べてみたところ、ユカリ達妖怪(アヤカシ)は土地神に近い存在だとも言ってたっけ。

 

前世でも確か神様と妖怪は表裏一体の存在だとも聞いたこともあるし……

 

「えぇ。私には素質さえあればその存在に昇華させられるスキルがあってね。」

 

「この町にはそうやって妖怪(アヤカシ)化した奴が多数いてな……そいつらは全員、ユカリの配下でもあるんだ。」

 

俺がそんなことを思っているなか、ユカリがそう説明し、続けて俺が更にそう説明する。

 

こうして見ると、色々とヤバいんじゃなかろうか。うちって……

 

「あぁ、先に言っておくけど仕事さえしてくれたら、緊急時以外は自由にしてもらって構わないわ。それこそ、ガビルとイチャイチャ新婚生活してもらっても」

 

「ユカリ様!!それは流石に気が速すぎるのである!!」

 

「………」

 

「で、どうする?」

 

改めてユカリがそう尋ねると同時にその場にいた全員の視線がタートルマンの少女に集中する。

 

「……元より私はガビルと一緒になるために此処まで来た……だったら妖怪(アヤカシ)でもなんでもなろうじゃない!!」

 

「決まりね。」

 

そうしてユカリとタートルマンの少女は会議室の隅まで移動し、俺達は念のため、二人から距離を取る。

 

「愛する者を追いかけ、苦難を乗り越えてきたタートルマンの少女よ。私と式神の契約を結び、生まれ変わりなさい……『ニトリ』!!」

 

〈確認しました。個体名『ニトリ』は甲羅人族(タートルマン)から妖怪『河童(カッパ)』へと進化……成功しました。〉

 

パキィィィンッ!!

 

次の瞬間、タートルマンの少女改め『ニトリ』の姿が髪と瞳はそのままだが肌色が人間と同じ色に変わり、頭には緑のZUN帽、白いブラウスに肩にポケットが付いた水色の上着、ポケットがたくさん付いた濃い青のスカートに甲羅の変わりに大きなリュックを背負った美少女の姿へと変化する。

 

「「「「「「「「おぉ……っ!!」」」」」」」」

 

「これが……今の私……」

 

「に、ニトリ……」

 

「ガビル……やったよ!!私も名持ち(ネームド)になれただけでなく、新しい種族に進化できたよ!!」

 

「のわっ!?」

 

新たな種である妖怪『河童』に進化した後、ニトリは嬉しそうにそう言いながらガビルに抱き着く。

 

「チッ!リア充め……」

 

「心の声が漏れてるわよ。リムル……とりあえず住居はガビルと同じく『封印の洞窟』で業務内容はカイジン達と同じく技術開発で良いかしら?」

 

思わず本音が漏れ出た俺にそうツッコミを入れた後、ユカリが改めてそう確認する。

 

「はい!!ユカリ様!!」

 

「よろしくなぁ……ニトリの嬢ちゃん。」

 

「こちらこそ、ドワーフの技術には興味があったのでこれからが楽しみです!!」

 

「リムル様、ユカリ様。ニトリを受け入れて下さりありがとうございます。」

 

カイジンとニトリがそう言って握手するなか、ガビルが改めてそう言いながら頭を下げてくる。

 

「あぁ、別に気にすんな。さっきも言った通り、新しい技術者は何時でも大歓迎だからな。」

 

「それよりもこれからはニトリを大事にしてあげなさいよ。」

 

「勿論であります。流石に今すぐ夫婦になることは出来ませぬが水渦槍(このやり)に誓って、ニトリを一生大事にすることを誓いましょう!!」

 

対する俺達からの言葉にガビルは水渦槍(ボルテクススピア)を掲げながらそう言って誓う。

 

もしかしたら、かつて、ガビルが蜥蜴人族(リザードマン)の首領の座を欲したのもニトリのためだったのかもしれないな。

 

何はともあれ、こうして新たな技術者として新たな妖怪『河童』に進化したガビルの許嫁、ニトリが仲間に加わるのだった。




ニトリ

見た目:東方の河城にとり

種族:妖怪『河童』

所持スキル

ユニークスキル『開発者(エンジニア)』:魔晶石に自身の望む効果を付与し加工できるスキル。

エクストラスキル『水分子操作』:空気中も含めた『水』を操作できるスキル。

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

ガビルを追いかけてきた甲羅人族(タートルマン)の元次期首領でありガビルの幼なじみ兼許嫁。次期首領の座は妹に譲ってから来ている。本当にガビルとただ一緒にいたい一心で町に来たのだが、妖怪(アヤカシ)化できる可能性を持っていることに気付いたユカリからの誘いを受け入れて式神化。新たな種である妖怪『河童』に進化を果たした。その後はガビルの正式な恋人として『封印の洞窟』で同棲しながら、カイジン達と共に技術開発の職に就いている。尚、リムルとユカリが進めようとしている上下水道計画には非常に興味を持ち、全身全霊を掛けて開発に取り組んでいる。ガビルと夫婦になる話はガビルがアビルからの勘当を解いてもらってからということで話が着いた。
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