転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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春の空気と三羽鴉

ユカリSide

 

「古来より飯の美味い土地は良い土地だと言われている。是非うちもそう在りたいと思っている。」

 

「という訳で皆の力を貸して頂戴。」

 

「「「「「「わかりました!!」」」」」」

 

ニトリが新たに仲間に加わってから暫くした頃、人口の増加に伴い新たに開拓した畑用の土地の前にて、スライム態に麦わら帽子を被ったリムルと麦わら帽子にもんぺ姿の私は集めた全住人達に向けてそう言い、皆からそう返事がくる。

 

因みにシズも私と同じく麦わら帽子にもんぺ姿をしている。

 

「街で売ってるような野菜も俺達で作れるのかなぁ……」

 

「お手伝い楽しそう!!」

 

「いっちょ皆で頑張りますか!!」

 

「腹が減っては何とやらと言いますからなぁ……」

 

「子ども達を飢えさせたくはないな。」

 

「そうですな。父王。」

 

「そうだろそうだろ!アッハッハッハッ!!」

 

楽しそうね。リムル。

 

「わかります!美味しいもの、食べたいですよね!!」

 

「よしっ!植え付け開始だぁっ!!」

 

「「「「「おぉーーっ!!」」」」」

 

「あはは……」

 

笑顔で鍋を持ちながらそう言うシオンを見て、リムルが慌てて叫ぶように開始の合図を出すなか、シズは苦笑いを浮かべる。

 

ってシオン。その鍋から怨念のようなものをひしひしと感じるんだけど、一体何を入れたの?

 

第三者Side

 

「オイラ達もいっちょやるッス!!」

 

リムルやユカリ達が役割分担を決めていくなか、ゴブタ達は自分達が任された畑を耕し始める。

 

「だりーよなぁ………………」

 

「だよなぁ。」

 

「あ~………サボりてぇ……」

 

「オラは結構面白いダス。」

 

耕し初めてから数分しかしない内にゴブトとゴブツが愚痴り出すなか、ゴブゾウはその眼を輝かせながらそう言う。

 

「たぁ~、つまんねぇこと言ってるし。」

 

「お~い、ゴブタ、聞いてんのかぁ?」

 

そんなゴブゾウにゴブツがそう言うなか、ゴブトがそうゴブタに話し掛ける。

 

が、隣にゴブタは居らず、いつの間にか木陰で休んでいた。

 

「ってあぁーっ!?彼奴、やってるフリしてサボってやがる!!」

 

「おいゴブタ!なにサボってんだよ!?」

 

「違うッスよ。瞑想の修行をしてるんス。」

 

「瞑想!!」

 

「そうか!瞑想!!」

 

そうしてゴブトとゴブツの二人もサボり始め、ゴブゾウが一人で耕し続ける。

 

「お~い!!」

 

「ゴブタくーん!!」

 

「あ!クロベエさんにコガサちゃん!!」

 

そんななか、二人が話し掛けてきて、ゴブタが飛び起きる。

 

「?クロベエさん。その手にあるのは……」

 

「あぁ、これはリムル様からゴブタ君に作ってくれと頼まれたものだべ。」

 

「え!?リムル様、コガサちゃんだけでなくクロベエさんにもオイラの武器を作ってもらえるように頼んでくれていたってことッスか!!」

 

ゴブタは嬉しそうにそう言いながら、クロベエから布に包まれた槍若しくは棍棒のような細長いものを受け取る。

 

「ゴブタ君……こいつは一撃で大地を砕き切り裂く(・・・・・・・・・・・・)………オラの会心の業物だべ。」

 

「凄いッス……コガサちゃんの雹牙丸と合わさって、正に鬼に金棒……(ガサガサ)……ッス?」

 

興奮覚め止まぬ様子でゴブタが布を外す。

 

が、そこにあったのは槍でも棍棒でも況してや金棒でもない………………(くわ)だった………

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

次の瞬間、ゴブタはその鍬を使って物凄いスピードで耕し始める。

 

「凄ぇぞ!ゴブタ!!」

 

「硬い地面があっという間に!!」

 

「耕されて、耕されて!!」

 

「「まるで鍬が身体の一部みてぇだ!!」」

 

「うぉぉぉん!結局、自分には(コレ)がお似合いってことッスかぁーーっ!!」

 

「?何か間違えただか?」

 

「言い方を間違えましたねぇ~。」

 

汗と涙を流しながら耕し続けるゴブタを見て首を傾げるクロベエに対し、コガサは苦笑いしながらそうツッコミを入れた。

 

ユカリSide

 

「?何ですか?この豆。」

 

「随分とたくさん蒔きますね。」

 

「それは大豆。」

 

「へぇ………………」

 

「上手くいけば、色々なものに加工できるわ。」

 

「そうだね。味噌やお醤油、納豆とか良い感じだね!!」

 

たくさんの大豆を見ながら首を傾げているシオンとランに対し、リムルと私、シズの三人はそう説明する。

 

「?ナットー?」

 

「?」

 

「保存が効いて長く食べることができるように加工された豆の一種よ。ちょっと臭いが独特だけどね。」

 

「後、わかりやすく言えば………腐った豆!!」

 

「……腐った……?」

 

「と言うより『発酵』と言うのが正しいわね。微生物……肉眼で見るのが難しいくらい小さい生き物達のスキルによって食物が変質するの。そうすることによってさっき話した通りに保存性が上がる上に味もグッと良くなるわ。」

 

リムルのいい加減な説明に首を傾げるランに対し、私はすぐさまそう訂正する。

 

「身近な所で言うならリリナの秘伝の壺が良い例ね。あの壺の中に『酵母菌』という微生物がいて、野菜を漬け物に変質させてるのよ。」

 

「なるほど……確かにあの壺に入れて一晩以上、経ってから取り出したばかりのツケモノは独特な臭いをしてましたね。ってん?」

 

「リムル様は腐ったものが好き………っ!!リムル様は腐ったものが好き………っ!!」

 

隣から不穏な気配を感じたのか、ランが視線を向けた先では若干目がイっているシオンがそう言って反芻しながら、一心不乱にメモサイズの木板に書き込んでいる。

 

え、なにアレ怖い。

 

「訂正するっ!今さっき、ユカリが言ったように発酵な発酵!!」

 

「今後のお食事にご期待下さい!食卓一杯に腐ったものを漁ってきますので!!」

 

「やめろシオン!!メモを取って、何を作る気だ!?シオーーンッ!!?」

 

「あはは……あ。納豆も良いけど、豆腐や油揚げなんかも作れるね。」

 

リムルの悲痛な叫びが畑に響き渡るなか、シズは苦笑いしながら、思い出したかのようにそう言う。

 

「アブラアゲ……」

 

シズが口にした『油揚げ(アブラアゲ)』という単語にランがそう言って反応するなか、同じように反応したのか、シズの中から分身体のツカサも出てくる。

 

「ユカリ様……初めて聞く食物の名の筈なのに何故か食べたい衝動に駆られているのですが……」

 

「私も無性に食べたくなっちゃった……どうしよう?シズ……」

 

「あ、あはは……」

 

「……機会があれば、今度作ってみるわ。」

 

割と真面目な表情でそう言う狐二人にシズが苦笑いを浮かべるなか、私はそう言う。

 

先ずはにがりを作らなきゃいけないんだけど……今度、シズに海が何処ら辺にあるか聞いてみようかしら。

 

その後、なんか暴走し始めたシオンをなんとか落ち着かせた私達は今度はガビル達を水田に案内する。

 

「という訳でガビル達には水田(ここ)で稲を植えてもらう。」

 

「お~!ありがたき幸せ!では、歓喜の歌を~!」

 

「それは良い。」

 

「湿地帯で暮らしてた貴方達にはピッタリでしょ。」

 

「ハッ!水田(ここ)なら如何なる戦いでも………負けませぬなぁ!!なんなら技のキレを水渦槍(ボルテクススピア)の演舞で………っ!!」

 

「それも良い。」

 

「あはは……」

 

なんかガビルが何処かの特戦隊の隊長に視えるのは気のせいかしら?

 

「はぁ……言っておくけど、米の改良と栽培は割と真剣に取り組んでるから……あまり受かれてると……」

 

「なんと、失礼しました。」

 

軽く睨み付けながらそう言うと、ガビル達は大人しくなる。

 

「リムル様とユカリ様のその想いに応えるべく、我ら一同………神聖なる舞いを~!!」

 

「「「「ハッ!!」」」」

 

が、ガビル達はそう言いながら、ざるを取り出し踊り始める。

 

……どじょう掬い?

 

「「「「びっちばっちゃびっちばっちゃ!よいよいよいよい!!」」」」

 

「いいからさっさと始めてくれませんかねぇ(怒)」

 

「あはは……相変わらず賑やかだね……」

 

「あぁ、そういえば、元からこんな子達だったわね……」

 

「コラガビルに皆!!

ふざけてないでやるよ!!」

 

「むっ……ニトリ……」

 

そんななか、もんぺ姿のニトリがそうガビル達を叱りつける。

 

「ユカリ様、リムル様、シズ様。すいません……」

 

「あぁ、まぁ、大丈夫だ。」

 

「ありがとう。ニトリ。」

 

「それじゃあ、後はお願いね。」

 

「はい!それじゃあやるよ!!皆!!」

 

「「「「おぉーーっ!!」」」」

 

そうしてニトリ主導の下、ガビル達は漸く作業を始める。

 

なんか指揮系統がニトリに奪われてない?ガビル……

 

「……結婚前から尻に敷かれてんな……」

 

「気を付けなさいよ。リムルも。」

 

「どういう意味だ!?それ!!」

 

「あはは……」

 

「あ!リムル様とユカリ様だ!!リムル様~!ユカリ様~!!」

 

「おぉ、ゴブタ!!」

 

「丁度今からリリナとリリーホワイトに先に作ってもらった春野菜の畑を見に行くんだけど、一緒にどう?」

 

「行くッス!!」

 

「決まりだね。」

 

「じゃあ、行きましょうか。」

 

そうしてゴブタを入れた四人で移動を始める。

 

「はーるでーすよー。」

 

「「「おぉ~!!」」」

 

着いた春野菜畑でリリーホワイトが笑顔で舞うなか、リムルとシズ、ゴブタの三人は瑞々しく育った春野菜の数々を見てそう感嘆の声を上げる。

 

「うん。良い感じに育ってるわね。」

 

「スゲーッス!!

もう出来上がってるッスよ!!」

 

「今日は賑やかですねぇ。リリナさん。」

 

「えぇ。なんだか嬉しい気持ちになりますね。」

 

「そうだろ?

今年から畑も大きくしていくつもりだ。」

 

「初めての子も多いけど、面倒みてあげて。」

 

「はい!私はこの町の農業担当ですから!!

任せて下さい!!」

 

「私も頑張るですよぉー!!」

 

「ん?なんでこんな所に人形があるんスか?」

 

リムルと私にリリナとリリーホワイトが笑顔でそう言うなか、ゴブタは案山子を指差しながらそう尋ねる。

 

「それは案山子(カカシ)って言ってな。

カラス避けとかのために立てるんだよ。」

 

「へぇ~~。」

 

「でも、あまり効果がないみたいで……」

 

「折角出来た春野菜もこんな有り様で……」

 

「げ!?俺の好きな春キャベツ!!?」

 

(かじ)られちゃってるね。」

 

「彼奴ら、頭良いんスよ。こんなちゃちなものじゃ駄目ッス!自分に任せるッスよ!!」

 

リリーホワイトが両手で持って見せる春キャベツを見てリムルとシズがそう言うなか、ゴブタがそう言いながら案山子を加工し始める。

 

「おりゃあああああっ!!出来た!!見て下さいッス!この逞しい肉体に精悍な顔立ち!!これでもう大丈夫ッスよ!!」

 

そう言うゴブタが見せる改良版案山子は胴体に六つに割れた腹筋のような線が書かれ、顔はゴブタを模したものに変えられていた。

 

「……精悍………?」

 

「どうかな………?」

 

「ちょっと隠れて見てみましょう!!」

 

改良版案山子(カカシゴブタ)を見ながら私とシズがそう言うなか、一旦隠れて様子を見てみることに。

 

「アレなら彼奴らもビビるッスよ。」

 

私達と一緒に隠れた後、ゴブタは自信満々にそう言う。

 

が、カラスだけでなく猪や鹿といった森の動物達がまるで森の敵を見つけたと言わんばかりに激しく攻撃を加え、改良版案山子(カカシゴブタ)を破壊し尽くす。

 

結果、ゴブタがムンクのような表情をしてから撃沈した。

 

「あう………あう………あう………」

 

「よしよし。」

 

「あはは……」

 

「コレ吊ってみ。」

 

「何ですか?コレ。」

 

「『目玉君』。案山子と同じくカラス避けに使われるやつ。」

 

落ち込むゴブタをリリーホワイトが慰め、シズが苦笑いを浮かべるなか、リムルはそう言いながら目玉を模したバルーンをリリナに手渡す。

 

確かに案山子よりは効果有りそうだけど……

 

「カラスのことはカラスに責任を取らせる(・・・・・・・・・・・)というのはどうかしら?」

 

「「「カァーーッ!?カァーーッ!?」」」バササッ!!

 

「っていつの間にカラス掴まえてんだ!?しかも三羽も!!?」

 

「しかもその子達、ただのカラスじゃなくて魔鳥の『漆黒鴉(キラーレイヴン)』だよ!?」

 

私が両手で首根っこを持って掴まえている三羽のカラス…漆黒鴉を見て、リムルとシズがそう困惑の声を上げる。

 

さっきのカカシゴブタリンチの時にスキマでチョロチョロっとね。

 

「静かにしなさい。畑荒し共………息の根を止められたいの?」

 

「「「!!?」」」ビクゥッ!!

 

「うわっ。一瞬で大人しくなった。」

 

「冷や汗すら流してるよ。」

 

「それじゃあ、そこに並んで頂戴。」

 

なんか言ってるリムルとシズを他所に私は捕まえた漆黒鴉達を横一列に並べる。

 

「三羽の漆黒鴉達よ。私と式神の契約を結び、生まれ変わりなさい……『(アヤ)』!『ハタテ』!『(ウツホ)』!!」

 

〈確認しました。個体名『アヤ』と個体名『ハタテ』は漆黒鴉(キラーレイヴン)から妖怪『鴉天狗(カラステング)』へと進化……成功しました。〉

 

〈確認しました。個体名『ウツホ』は漆黒鴉から妖怪『地獄鴉(ジゴクカラス)』へと進化……成功しました。〉

 

パキィィィンッ×3!!

 

「うにゅ~……」

 

「あやや?」

 

「な、なにこれ……!?」

 

次の瞬間、三羽の漆黒鴉達は一羽は黒髪のロングヘアーに大きめな緑のリボン、白いブラウスに緑のスカートを履いた美少女に。

 

後の二羽は黒髪のセミロングに白いフォーマルな半袖シャツに黒いフリルが付いたミニスカを履いた美少女と紫のリボンでツインテールにした茶髪のロングヘアーに襟に紫のフリルが付いた薄ピンクのブラウスに黒いネクタイ、黒と紫の市松模様のミニスカを履いた美少女の姿へと進化した。

 

因みに三人とも背中に黒い鴉の翼(収納可能)がある。

 

「おぉ~!また綺麗な人達が増えたッス!!」

 

「?文とはたてはわかるけど、空は俺の知ってる姿となんか違くないか?」

 

「多分、八咫烏の“力”を宿してないからじゃないかしら。」

 

「なるほどな……原作のアレは神柰子が八咫烏の“力”を与えて変化したものだったもんな。」

 

「え~と……私達はこれから何をすれば……」

 

「貴女達はこれまで畑を荒らした罰として、他のカラスや野生動物達から畑を護りなさい……良いわね。」

 

「「は、はいぃぃっ!!」」

 

「わかったぁ~。」

 

私がそう言うと、アヤとハタテは互いに抱き合いながらそう言い、ウツホは能天気な感じでそう言う。

 

「……念のため、ウツホが食べちゃわないように監視もお願い。」

 

「は、はいっ!!」

 

「勿論です!!」

 

こうして思わぬ形で新たに三人の妖怪(アヤカシ)が仲間に加わるのだった。

 

第三者Side

 

「シュナ様!鍋の準備が出来ました!!」

 

「ありがとう。」

 

「「ただいま。」」

 

お昼頃、ハルナとシュナが炊き出しの準備をしているなか、ガルムとドルドの二人が戻ってくる。

 

「あ!ガルムさん!ドルドさん!

お帰りなさい!!」

 

「おや?二人も畑に行くのかい?」

 

「はい。皆さん、頑張ってくれてるのでお昼には温かいものを召し上がって頂こうと……」

 

「おぉ、そりゃ良い。」

 

「シュナァ~。ハルナァ~。

設営終わったよぉ~。」

 

そんななか、先に行って場所の設営をしていたヤマメが呼びにくる。

 

「後は任せて行ってきな。」

 

「ありがとうございます。」

 

「では、行ってきます。」

 

そうして二人はヤマメと共に炊き出しへと向かう。

 

「……良い子達だなぁ。兄弟。」

 

「そうだなぁ。兄弟。」

 

「「ん!!」」

 

直後、二人のドワーフ兄弟は猛烈に作業を始める。

 

キュキュキュキュキュキュキュキュキュキュ…ッ!!

 

「お尻と足首をキュッと!!」

 

トトトトトトトトトトトトトトトトトトトトト…ッ!!

 

ガルムがシュナとヤマメ、ハルナをモデルに描き出した様々なもんぺ姿のデザイン画が積み重なっていき、

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…ッ!!

 

「イケる!イケてる!!」

 

ドルドがミシンでそれを形にしていく。

 

やがて、一着のもんぺが出来上がる。

 

「……もんぺ姿、良いなぁ。兄弟。」

 

「そうだなぁ。兄弟……流行らそ。」

 

「………おまえら、仕事熱心だなぁ。」

 

ガタァーンッ!!

 

出来上がったもんぺ服を見ながら満足げに二人がそう言うなか、散乱した布や糸を見ながらカイジンがそう言った瞬間、上から(はり)が落ちてくるのだった。

 

ユカリSide

 

「ゲルドさぁーん。」

 

「おう。」

 

「ユウマちゃーん。」

 

「待ってろ。すぐに行く。」

 

「おーい。ゲルド、ユウマ。」

 

「「リムル様、ユカリ様。」」

 

「貴方達も植えてみたらどう?」

 

「いえ。」

 

「俺とゲルドは運搬役なので。」

 

「いいからいいから。」

 

「「は、はぁ……」」

 

そうして二人も苗を植えてみることに。

 

「そうそう……等間隔に……」

 

「苗を潰さないようにね。」

 

「ん………う~ん………」

 

「………これで良いんですか?」

 

「えぇ。夏には実が一杯出来るわよ。」

 

「………実が……」

 

「………」

 

私がそう言うと、二人は暫くの間、自分達が植えた苗を見つめる。

 

「………見に来ても良いでしょうか?」

 

「………時々……」

 

「あぁ。」

 

「好きになさい。少なくとも、仕事がない日の良い気分転換にはなるでしょ。」

 

「フフ……皆で行こう。」

 

第三者Side

 

「ふぅ……ずっと中腰での作業は流石に堪えるのぉ……」

 

「何言ってるだ。」

 

「誰よりも正確で速かったですよ。ハクロウ様。」

 

「ヌホホホホホ。年の功じゃよ。」

 

「うにゅ~。おにぎり、美味しいぃ~。」

 

「味噌汁も温かい……殆んど飛び入りの私達にも支給されるとは……」

 

「今後は食に困ることはなさそうだねぇ……」

 

ハクロウとクロベエ、コガサの三人が食事をしながらそう話しているなか、ウツホとアヤ、ハタテの新入り三人組はそう言いながらおにぎりと味噌汁を堪能する。

 

「はい。どうぞ。」

 

「ありがとうございます!!」

 

「気を付けてねぇ~。」

 

「お兄様もお昼、如何ですか?」

 

「あぁ、頂こう。」

 

「ベニマル様!!」

 

「うん?」

 

「どうやったら、ベニマル様みたいに強くなれますか!?」

 

「「「うんうん!!」」」

 

「そうだな……好き嫌いせず、たくさん食べることかな。そして、先ずは………」

 

ベニマルはそう言いながら、子ども達と目線を合わせながら、

 

バキィィンッ!!

 

「「「「わぁ……っ!!」」」」

 

「強い身体を作ることだ。」

 

目の前で石を握り潰す。

 

「「「「わかりました!ありがとう!ベニマル様!!」」」」

 

「おう!午後からも一緒に頑張ろうな!!」

 

「「「「はぁーい!!」」」」

 

「しっかり食って、強くなるんだぞ!ちびっ子共!!」

 

「はい。どうぞ。お兄様。」

 

駆け出していく子ども達の背中に向かってそう言うベニマルに対し、シュナはそう言いながらお盆を手渡す。

 

「あぁ……うっ!?」

 

が、ベニマルは味噌汁の中に苦手な人参が割と多めに入っていることに気付く。

 

「……いや………だから、人参は避けてくれって……っ!!」

 

「あら。お味噌汁をよそったのは私ではないですよ。」

 

「………」

 

シュナがそう言いながら良い笑顔で視線を向けた先には鋭い視線でベニマルを見つめる、おたまを持った割烹着姿の“(カセン)”がいた。

 

「………」

 

「フフ……好き嫌いすると、カセンよりも強くなれませんわよ。お兄様♪」

 

「……はい……」

 

リムルSide

 

俺達はおにぎりを食べながら畑を見渡す。

春の空気がガツンとくる。

土の匂いは意外と強い。

空気を胸に、飯を腹に。

ただそれだけで満たされる。

ただそれだけで実感できる。

 

「………懐かしいなぁ……」

 

「シズさん?」

 

「子どもの頃、お母さんと一緒に畑で作物を作ってた時のことを思い出したよ。」

 

「……そう……」

 

「寂しかったりしないか?」

 

「……確かにお母さんにもう会えないのは寂しい。けど、こうして新たに見つかった第二の『故郷』はこんなにも楽しい。だから、寂しくはないよ。」

 

「……そっか……」

 

「なら、よかったわ。」

 

「そういえば、ユカリは稲の苗付けとか結構センス良かったよな?」

 

「もしかして、前世で経験あった?」

 

学校の職業体験とか?

 

「そうね……居候先の親戚の所でこれぐらいの(・・・・・・)規模の畑やら水田やらの(・・・・・・・・・・・)管理を一日中(・・・・・・)一人でやらされてはいた(・・・・・・・・・・・)わね。」

 

「やっぱりおまえの親戚、オカシイよ!?色々と!!」

 

「あはは……(乾いた笑み)」

 

俺の前世(前職)も裸足で逃げ出すレベルのブラックを超えたダークネス環境じゃねぇか!!

 

ユカリSide

 

「それじゃあ、植え付け終了を祝して………乾杯!!」

 

「「「「「「「かんぱぁーいっ!!」」」」」」」

 

あれから作業を再開してから夕方、リムルの音頭を皮切りに畑の近くに設営された宴会場で皆が楽しく呑んで騒ぎ始める。

 

「皆さん、お疲れ様でした。」

 

そんななかで私とリムル、シズの三人はトレイニーと一緒にいる。

 

「まぁ、大変なのはこれからだろうけどな。」

 

「そうね。収穫までは色々と大変で気が抜けないわ。」

 

「ですが、今年はきっと良い作物が取れますよ。」

 

「うん。きっと良い作物が取れるよ。」

 

「あら?樹妖精(ドライアド)からのお墨付きなんて縁起が良いわね。」

 

「トレイニーさんは植物の専門家だもんな。」

 

「えぇ。ですから……」

 

「「うん?」」

 

「(ポスッ)待ってたんですよ?お・さ・そ・い……」

 

次の瞬間、リムルの麦わら帽子を被りながら、トレイニーは笑顔でそう言う。

 

そういえば、誘うのを忘れてたわ。

 

樹妖精(ドライアド)なのに………管理者なのに………そこの木陰からずーっと………」ザクッ…ザクッ…

 

「ごめんなさい!収穫時には誘いますんで!!」

 

「あー、泣かしたッスゥー。」

 

「あはは……」

 

泣きながらスコップでその辺の土を掘り始めるトレイニーをリムルが慌てて宥めるなか、一部始終を見ていたゴブタがそう言う。

 

っていうか見てたんなら、自分から参加しに来れば良かったのに……

 

「はぁ……機嫌を直しなさいよ。トレイニー。」

 

「ポテチとツケモノ、ありますよ!!」

 

「………………ぐすん。」

 

「あはは……」

 

そんなことがあった翌週、トレイニーの気持ちを代弁したかのように梅雨が始まる。

 

「はぁ~……今日も雨ッスか……こうも毎日続くと気が滅入るッスね……」

 

「あら?雨は別に悪いことばかりじゃないわよ?」

 

「そうですね。天からの恵みを大地が受け止め、緑が繁り、虫が増え、動物が繁殖し、そして、それらが再び土へと還る……」

 

リムルとシズと一緒に窓から見ながらそうボヤくゴブタにそう言うなか、トレイニーはそう言いながらポテチを一枚食べる。

 

「(パリッ)あら、新味。っとまぁ、そうやって森は大きくなっていくのです。」

 

「そうなんですね。」

 

「だから、ちょっと太ったんスね。」

 

「ちょっ!?」

 

「「あ。」」

 

「………」

 

ビシャアアアアアアアンッ!!ゴオオオオオオオオオーーーッ!!!

 

ゴブタが失言した瞬間、雷が鳴り響き、梅雨が嵐のように激変する。

 

「ゴブタ!早く窓を閉めろ!!」

 

「はいッス!!」

 

リムルに言われたゴブタは慌てて窓を閉める。

 

が、そんなゴブタにシズが黒い笑みを浮かべながら歩み寄る。

 

「ゴブタ君……前々から言ってるよね?そういうこと(・・・・・・)言っちゃダメって……」

 

「」

 

次の瞬間、ゴブタはシズから大説教を食らい撃沈するのだった。




アヤ

見た目:東方の射命丸文

種族:妖怪『鴉天狗(カラステング)

所持スキル

エクストラスキル『風力操作』

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

リリナとリリーホワイトの春野菜畑を荒らしていた三羽の漆黒鴉(キラーレイヴン)の一羽だったが、カカシゴブタを破壊している時にユカリに捕まり、半ば強引に式神にされた。現在は他の二人と共に罰として畑の守護に就いている。最初こそ後述のハタテ共々、怯えながら過ごしていたが、ユカリの配下に対する待遇の良さや町の居心地の良さに感化し、結果的に式神になって良かったと思っている。

ハタテ

見た目:東方の姫海棠はたて

種族:妖怪『鴉天狗』

所持スキル

ユニークスキル『念写者(ウツスモノ)』:『念写をする』程度の能力

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

リリナとリリーホワイトの春野菜畑を荒らしていた三羽の漆黒鴉の一羽だったが、カカシゴブタを破壊している時にユカリに捕まり、半ば強引に式神にされた。現在は他の二人と共に罰として畑の守護に就いている。最初こそ先述のアヤ共々、怯えながら過ごしていたが、ユカリの配下に対する待遇の良さや町の居心地の良さに感化し、結果的に式神になって良かったと思っている。

ウツホ

見た目:東方の霊烏路空(『八咫烏』を宿す前)

種族:妖怪『地獄鴉(ジゴクカラス)

所持スキル

エクストラスキル『炎熱操作』

エクストラスキル『スペルカード』(原作程の威力はない)

スキル『弾幕』

詳細

リリナとリリーホワイトの春野菜畑を荒らしていた三羽の漆黒鴉の一羽。っていうか殆んどは彼女の仕業で先述のアヤとハタテは一緒にいたが故に巻き込まれ、三人で仲良くユカリの式神へと下った。割と早い段階で現実を受け入れ、町での(食)生活を楽しんでいる。早い話がとにかく明るいバカラス(笑)。一応罰として与えられた畑の守護をしながら、今日も親友二人の胃に『プチフレア(笑)』している。

ユニークスキル『|伝染者《インフルエンサー》』を七つの大罪シリーズ(暴食以外)に進化させるなら?

  • 怠惰
  • 色欲
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  • 憤怒
  • 嫉妬
  • 傲慢
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