転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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???「あたいってばさいきょーね!!」


水着と氷妖精

リムルSide

 

「凄く綺麗……っ!!」

 

「それに広い……」

 

「そうね。これは良い穴場スポットだわ。ここまでの道を整備して、水着に着替えるための更衣室とシャワー室、公衆トイレ、日射し避けのための休憩所、更には軽い飲食物を売る屋台なんかも置けたら、観光資源として利用できそうね。」

 

「あはは……ユカリさん、見るのはそこなんだ……」

 

「この場所……故郷(シス湖)を思い出します。」

 

「だねぇ~。」

 

「お天気にも恵まれて良かったです。」

 

「凄く大きいです!ランしゃまぁ~!!」

 

「フフ……そうだな……」

 

ザクッ!!

 

「っとこれで良いな。」

 

町で制作し持参してきたビーチパラソルを地面に突き刺した後、俺はシオンとカセン、ユカリとシズさん、ソーカとニトリ、シュナ、チェンとランといった女性陣が目を奪われている湖を見る。

 

まだまだ猛暑が続くなか、俺達は避暑地の下見を兼ねてこの湖を訪れていた。

 

「リムル様ぁ~!ユカリ様ぁ~!

テントの設置できたッスよ!!」

 

「よぉーし!それじゃあおまえら、水着に着替えるぞぉ~!!」

 

「「「「「「「「おぉ~!!」」」」」」」」

 

「元気ねぇ……」

 

そうして俺達は女性陣と男性陣に分かれて着替えることに。

 

って言ってもハクロウは着替えないみたいだから、男性陣は俺とゴブタの二人だけだがな。

 

「おぉーい!そっちはもう良いかぁー?」

 

「はい!リムル様!!」

 

「可愛い水着のお披露目です!!」

 

「よしっ!それじゃあ……」

 

「「「「「「「「「「「せぇーのっ!!」」」」」」」」」」」

 

そうして水着に着替えた俺達は一斉に外に出る。

 

先ずシオンとユカリは露出の高いビキニタイプ。ユカリはスキマの目玉がデザインされた少し透けたパレオを腰に巻いている。

 

シュナはフリルの付いた可愛い水着。

 

ソーカとラン、シズさんとカセンはワンピース。カセンは紅の中華服をワンピースタイプの水着に改造した感じのデザインにワンポイントとして左胸に薔薇の絵がプリントされている。頭のシニヨンキャップも色はそのままに材質を水泳キャップのものに変えている。

 

チェンとニトリは胸元に平仮名で『ちぇん』、『にとり』と書かれたスクール水着。

 

海パン姿のゴブタの鼻の下が伸びに伸びまくる。

 

「泳ぐぞぉ~!!」

 

「「「えぇ~!?」」」

 

「ちょっ、リムル様!?」

 

「なんですか!?その水着!!」

 

テントから出た後、俺がそう言うなか、俺の水と白の縞模様のラッシュガード水着を見たソーカとニトリ、カセン、シオンとシュナの五人がそう困惑の声を上げた。

 

第三者Side

 

【おぉ、リムルにユカリめ。随分と楽しそうだな。】

 

「どうやら湖に遊びに来ているようです。もっとも、ユカリ様はただ遊びに来ただけでなく、新たな事業の計画も練り始めているようですが……」

 

その頃、リムルの『胃』の中から視ていたヴェルドラとイフリートは将棋を指しながらそう話をする。

 

【我が『胃袋内(こんなところ)』で黙々と『無限牢獄』の解析に勤しんでおるというのに………気楽なものよ……】

 

「…………長考中では?」

 

因みに現在、イフリートが王手を取っている。

 

【……んんっ!ところであやつらの着ているアレは何なのだ?】

 

「水着ですよ。人間などが水に入る時等で着用するものです。」

 

【あやつら、普段はガッツリ着込んでいる癖して、丸出しではないか!?】

 

「防御力も殆んどないに等しいでしょうね。

腹など狙われれば致命的かと。」

 

【ユカリまで晒して……いや。あやつはあのスキマがあるからたいして問題がないのか……】

 

「私も戦ってみて思いましたが、スキマ(アレ)はなかなか凶悪ですよ。防御にも回避にも使えるだけでなく、やりようによっては相手の身体の一部を(・・・・・・・・・)空間ごと消し去る(・・・・・・・・)こともできるでしょうから。」

 

【お主……なかなか恐ろしい発想をするな……】

 

「ところで、リムル様のアレはテンペストサーペントの擬態でしょうか?見たことのない柄ですが……」

 

【あぁ、まぁ、リムルとユカリ程なれば、防御も擬態も必要ないだろうがな。】

 

「そもそも多くの魔物は水着処か普段の衣服すら必要最低限ですからね。」

 

【うむ。】

 

「ところが、知性の高い上位種になる程、素肌を隠す傾向にあります。」

 

【ん?】

 

「もっとも、更に上の魔人や魔王になれば、逆に露出が増えることもありますが……一般的には衣服を着ることが、知性ある魔物の『証』であると言われておりますな。」

 

【……そういえば、イフリートよ。精霊である貴様も下、履いておるよな?】

 

「は?」

 

【……我も服、着ようかな。】

 

「ゑ?」

 

『衣服を着ることが知性ある魔物の証』と言われ、自身が一切の服を着ていないことが恥ずかしくなったヴェルドラ。

 

そんなヴェルドラに対するイフリートからの尊敬度が少し下がった瞬間だった。

 

リムルSide

 

「準備運動するぞぉ~!!」

 

「うっす!!」

 

「「おいちっに!さんしぃー!おいちっに!さんしぃー!」」

 

「リムル様!なんでこれとか。」

 

「これを。」

 

「「着て下さらないんですか!?」」

 

「可愛いのにぃ~!!」

 

俺達が準備運動をしているなか、シュナとシオンがそう言ってくる。

 

「……なんで俺のその水着が女物(・・)なんだよ?」

 

そう。二人の手にある水着が女物でしかもシュナのは派手にフリフリだったり、シオンのは露出が高いのだ。

 

今は無性でも前世は男だった俺にはごめん被る。

 

「あはは……」

 

「皆の水着はガルム氏とドルド氏が丹精込めて作ってくれた特注品ですよ!!」

 

「そうなのか?」

 

シズさんが苦笑いしているなか、そう言うシオンにランが首を傾げながらそう尋ねる。

 

なんでも『ここのラインがね!良いんだ!!大胆でキュート!!女の子の魅力を最大限に引き立てる!!!』『決してやらしい意味じゃなく!!』らしい。

 

「何度もねちっこく聞かされました。」

 

「あのおっさん共……」

 

「職人ッスねぇ……」

 

「おまえらもそれ聞いてよく着ようと思えるな……」

 

絶対やらしい意味だろ。

 

「じゃあ、間を取ってユカリ様が着れば良いんじゃないッスか!そうすりゃガルムさん達も浮かばれるッス!!」

 

「は?」

 

「いやいや。ユカリが着たら、色々とはみ出る(・・・・・・・)だろ。」

 

後、ガルムとドルドは別に死んでないし。

 

そんな俺の指摘を無視したゴブタはいつの間にかシュナとシオンから引ったくっていた俺用の水着を手にユカリに詰め寄ろうとする。

 

「さぁさぁ!ユカリさま"っ!!?」

 

ガッキィィィーーーンッ!!

 

が、そんなゴブタよりも早く、ユカリはいつの間にか引き抜いて閉じたビーチパラソルでゴブタを水着ごと遠くへサヨナラホームランする。

 

ドボーーンッ!!

 

「………」

 

「あら?ソーカさん、どうかしましたか?」

 

サヨナラホームランされたゴブタが湖へと落ちていくなら、自分の翼で身体を隠しているソーカに気付いたシュナがそう話しかける。

 

「い、いえ。私は護衛として付いてきたのでこの格好はちょっと……この姿になったのも最近ですし、変じゃないですかね……?」

 

「まぁ!まぁ!んまぁ!なんて初々しい!!」

 

「大丈夫だよ。ソーカ。よく似合ってるよ。」

 

「そうね。それに今日は仕事ではなく遊びに来ているんだから、もう少し気楽にして良いと思う。」

 

「ニトリ様、カセン様……」

 

「お二人の言う通りですよ。貴女はしなやかで素敵です。自信を持って下さい。」

 

「あっ……」

 

笑顔でそう言う三人の言葉にソーカは満更でもない表情を浮かべる。

 

が、次の瞬間、そんな空気をぶち壊す声が響き渡る。

 

「そうッスよ。お尻とか凄く綺麗じゃないッスか。尻尾とかどうしたんス?」

 

ゴブタだ。

 

シュルルルルルルルッ!!ブンッ!!

 

次の瞬間、カセンの『右腕』の包帯がゴブタに巻きつくや否や上空へと投げ飛ばし、

 

ドカァァァンッ!!

 

同時に翼で飛び上がったソーカが掌底を叩き込んで吹き飛ばし、

 

「スペルカード、水符『河童のフラッシュフラッド』。」

 

ズガアアアァァァンッ!!

 

トドメとしてニトリがスペカ(威力は弱め)を食らわせ、ゴブタを再び湖へと沈める。

 

「……ユカリさん。ゴブタ君を回収してくれないかな?」

 

「はいよ。」

 

クパァ……ドシャアアッ!!

 

「へぶっ!?」

 

が、シズさんに頼まれたユカリがスキマを使って、回収したゴブタをシズさんの目の前に落とす。

 

「……ゴブタ君……」

 

「ひっ!?」

 

「前にも言ったけど、そういうこと(・・・・・・)、言っちゃダメなんだよ?」

 

思わず悲鳴を上げるゴブタに対し、シズさんはしゃがみこみながら、目が全く笑ってない笑顔でそう言う。

 

次の瞬間、ゴブタに対するシズさんからの大説教が始まった。

 

ユカリSide

 

「準備運動完了!さぁ!遊ぶッスよ!!」

 

「………貴方ってタフよね。」

 

「シズさんにあんなに怒られたのにな。」

 

シズからの大説教を終えた後、元気よくそう言うゴブタに対し、私とリムルは呆れながらそう言う。

 

「フッ……タフでなけりゃあ女の子と遊べないッス。」

 

懲りないわね。ゴブタも……まぁ、少し(やつ)れてるけど……

 

「いっざぁーっ!!」

 

私がそう思っているなか、ゴブタはそう言いながら、水辺で遊び始める女性陣へと向かう。

 

「ウッフフ……そぉれぇっ!!」

 

「あはは……あ?」

 

ドォォォォォォォンッ!!

 

「あああああああああああああっ!?」

 

が、ゴブタはシオンが起こした水柱に巻き込まれる。

 

「冷たっ!?やりましたねぇ~!!」

 

ズバアアアアアアアンッ!!

 

「へぶっ!?へぶっ!?へぶっ!?」

 

今度はソーカがお返しと言わんばかりにゴブタごと水を裂く。

 

ゴブタはまるで水面に投げられた小石の如く、バウンドしながら吹き飛ばされる。

 

「あはは♪それ!それ!」

 

パァァァ……ズドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!

 

「うごおおおおおおおおおーーーっ!!?」

 

バシャアアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

シュナは魔法を使って二人よりも高い水柱を上げ、ゴブタはそれに巻き込まれる形で天高く打ち上げられ、そのまま水面に叩きつけられる。

 

「流石にこれ以上はゴブタが保たないわね。」

 

クパァ……ドシャアアッ!!

 

私はそう言いながらスキマでゴブタを回収する。

 

「うごご……これが上位ランクの世界……!!」

 

「もう止しなさい。貴方はよくやったわ。」

 

「ところでユカリ。ランとチェン、カセンとニトリはどうした?姿が見えないけど……」

 

「あぁ、あの子達なら『弾幕』の練習も兼ねて、向こうで2対2で弾幕ごっこしてるわよ。」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガァァァンッ!!

 

「……海戦?」

 

「言っとくけど、あれでもどっちも威力を抑えてるわよ。」

 

飛び交う弾幕で軽く荒れ狂う一部の波を見て、リムルと私はそう話しながら回収したゴブタをテント近くへと運ぶ。

 

「オロロロロロロロロ……」

 

「まるでマーライオンね。」

 

「ハクロウは泳がないのか?」

 

「ホッホッホッ……老い耄れに冷や水はちと酷でしてな。若者達のようにはしゃげませんわい。今日は釣り糸を垂らしながらのんびり湖の景色を眺めることにします。」

 

運んだ後、口から絶え間なく水を吐き続けるゴブタを見ながらそう言うなか、そう尋ねるリムルに対し、ハクロウは釣り道具を手にしながら笑顔でそう言う。

 

「言うなれば、命の洗濯ですじゃ。」

 

「なぁ~に、剣豪様が年寄り臭いこと言って」

 

「ん?」

 

ドッパァァァァァンッ!!

 

そんななか、巨大なシーラカンスみたいな魚が跳び上がり、再び湖の中へと消える。

 

ザブーーーンッ!!

 

「………時には年甲斐もなくはしゃぐのも………アリですかな?夕食をお楽しみに。」

 

歴戦の猛者のような顔つきになりながら、ハクロウはそう言いながら釣りポイントへと向かう。

 

「……アレ、食えるのか?」

 

「……さぁ……?」

 

???Side

 

ズガアアアァァァンッ!!ズガアアアァァァンッ!!

 

「んん?何なのさ?五月蝿いわね……」

 

湖でシオンやラン達が楽しく水遊びしているなか、リムルやユカリ達から見て対岸の方の木陰で昼寝をしていた、薄めの水色のウェーブがかったセミショートヘアに大きめの青いリボン、白いシャツに青いワンピース姿の少女がそう言いながら起き上がる。

 

ズガアアアァァァンッ!!ズガアアアァァァンッ!!

 

「?何だろ?この音……」

 

自分から見て対岸の方から絶え間なく聞こえてくるその物音にチェンより少し歳上くらいの容姿をしたその少女は首を傾げながら、背中から生えた六枚の『氷の羽』を羽ばたかせながら向かっていった。

 

ユカリSide

 

「………」

 

「にゃ~……」

 

「ひゃあっ!?ちべた!!リムル様ぁ~!

スイカ割りしましょうよぉ~!!」

 

ビーチパラソルの下で寝そべっているランガの上で子猫形態になったチェンが丸くなるなか、ゴブタがスイカを抱えながらそうリムルに言う。

 

「おぉ~!!良いねぇ!おーい!おまえらぁ~!スイカ割りするぞぉ~!!」

 

「「「「「「はぁーい!!」」」」」」

 

対するリムルはすぐさま水遊びしているシュナやシズ達を呼び集める。

 

因みに私はランガ達とは別のビーチパラソルの下で長椅子で横になりながら、ランが淹れてくれたジンジャーエール(ミヨイ謹製)を堪能中。

 

生姜はまだしも炭酸水なんてよく作れたわね。あの子。

 

「ユカリ様は参加なされないのですか?」

 

「私は良いわ。こうして皆の楽しんでいるのを見るだけで十分。」

 

「では、私もそうさせて貰います。」

 

ランと私がそう話しているなか、シオンがスイカを割ることに。

 

「へいへーい!どうしたよ?

シオンさぁーん!!」

 

「頑張ってぇー!!」

 

「外さないでよ。」

 

「もうちょい右ッスよ!右!!」

 

「左だよぉ~!!」

 

「フフ……頑張ってぇ~!!」

 

「むぅ……これはなかなか……難しいですね……」

 

まぁ、それがスイカ割りの醍醐味だからね。

 

「スゥ……スイカは丸い。丸いは……リムル様……そう。スイカではなく、私の愛するリムル様だと思って……」

 

あれ?何か物騒なこと言ってない?

 

「………そこかぁっ!!」

 

ズガアアアァァァンッ!!

 

【……ん?】

 

「にゃっ!?」

 

何故か剛力丸を取り出したシオンがそう言いながら地面に叩きつけた瞬間、寝そべっていたランガが首を持ち上げ、その上で丸くなっていたチェンが翔び上がる。

 

「………あれ?外しちゃいました。てへっ。」

 

「………貴女ね……」

 

「ユカリ様が咄嗟にスキマで回収しなければ、スイカは爆発四散してましたよ……」

 

「何故、剛力丸を出す?」

 

「っていうかおまえ、今、俺だと思ってとか言ってたよな?」

 

「あはは……」

 

自分がたった今作ったクレーターを見ながらそう言うシオンに対し、回収したスイカを片手で持ち上げる私やシュナ、ランとリムルが呆れながらそう言うなか、シズは苦笑いを浮かべる。

 

「あ………え………あ………え………」ピクピク

 

因みにゴブタは剛力丸が叩きつけられた際の衝撃で吹き飛ばされ、砂浜に頭から突っ込んでいた。

 

リムルSide

 

「………」

 

「あれ?ソーカ。何書いてるの?」

 

その後、各々が水遊びを満喫しているなか、木の枝で砂浜に何やら書き物をしているソーカに対し、ニトリが覗き込みながらそう尋ねる。

 

「!?に、ニトリ様!?

な、なんでもないです!!」

 

「へぇ……案外可愛いところあるんだね。」

 

「うぅ……」

 

悪戯っ子のような笑みを浮かべながらそう言うニトリの言葉にソーカは両手で顔を覆いながら赤らめる。

 

トンッ

 

「?」

 

「………」グッ

 

そんななか、左肩に手を置かれた感覚を感じ振り向くと、同志を見つけたと言わんばかりの優しい笑顔を浮かべたカセンがサムズアップしてくる。

 

「しっかし、本当に広いよな。」

 

「向こう岸が見えないもんね。」

 

「まるで海ね。」

 

「私、海を見たことないんですが、塩辛いって本当なんですか?」

 

そんなソーカやカセン達を見ながら、切り分けたスイカを食べながらそう言う俺とシズさん、ユカリの三人に対し、シュナがそう尋ねてくる。

 

「あぁ。(すっご)くしょっぱい。」

 

「それに大きい。」

 

「多分、(ここ)処か『ジュラの大森林』以上じゃないかしら。」

 

「まぁ、それでしたらリムル様、溶けちゃいますね(・・・・・・・・)。」

 

何時(いつ)かは本当の海にも皆で行ってみたいな。」

 

「そうですね。」

 

「きっと楽しいと思うよ。」

 

そう……世界は広く、きっと楽しい……

 

「……ところで、スライムは塩に触れると溶けるの?」

 

「あ!?そういえば、スライムに塩ダメなの!?」

 

「はい。スイカにはお塩ですが……お気をつけ下さいね。リムル様。」

 

「何が!?」

 

「あはは……」

 

「……蛞蝓(なめくじ)の仲間なのかしら?この世界のスライムって……」

 

第三者Side

 

「お姉様!そんなに慌てて何処へ?」

 

その頃、樹人族(トレント)の集落では、トレイニーの妹であるウェーブがかった緑のロングヘアーの女性、『ドリス』がそうトレイニーに尋ねる。

 

「……Aランク越えの強力な集団が不穏な動きを見せてます。これは他の種族にとっては脅威……私が直接その集団に出向き、交渉して参りましょう。」

 

「でしたら、私達も」

 

「貴女達まで此処を離れれば、誰が森を管理するのですか!!」

 

自分達も同行しようとする、もう一人の妹である緑のショートヘアの女性、『トライア』に対し、トレイニーはそう言って制する。

 

「ッ……良いですか。例え私が戻らなくとも、ヴェルドラ様からの命に従い、二人でこの森を護っていくのですよ。」

 

「お姉様……」

 

「わかりました。どうかお気を付けて……」

 

そうしてトレイニーは何処かへと向かっていった。

 

ユカリSide

 

「リムル様。」

 

「うわっ!?と、トレイニーさん?」

 

「あまり勝手なことをされて貰っては困ります。」

 

ソーカやシズと一緒になって砂の城を作っていたリムルの前にトレイニーがそう言いながら現れる。

 

「勝手なこと?」

 

「いくら友好的だといっても、貴方方はAランク越えの魔物。それが集団で行動しては他の種族が萎縮してしまいます。森の管理者として黙認できません。」

 

ふむ。言ってることは一応筋は通ってるわね。でも……

 

「……で、本音は?」

 

「また私を除け者にしようったってそうはいきませんよ!!」

 

ジト目で見ながらそう尋ねるリムルに対し、水着姿の(・・・・)トレイニーはそう言う。

 

畑作り(この間)のこと、根に持ってるわね。樹妖精(ドライアド)なだけに。っていうか、

 

「トレイニー。少なくとも、水遊び(今回)のことはミヨイを通して事前に報せておいた筈だけど?」

 

『来たいなら来なさい』という伝言も伝えておいた筈だけど?

 

「確かにミヨイさんから事前の連絡は受けておりましたが、妹達の目もあったので……」

 

あ。この人、『仕事』だと誤魔化して来たわね。

 

第三者Side

 

「………」

 

「師匠!皆、あっちで楽しく遊んでるッス!!こんな所で釣り糸垂らして待ち惚けなんて勿体ないッスよ!!」

 

その頃、ゴブタがそうハクロウに話しかける。

 

「なに、眺めて待つのも一興よ……」

 

「へ?あー?」

 

そう返すハクロウの言葉にゴブタは首を傾げながら、眼下にいるシュナやトレイニー達を見つける。

 

「……師匠って意外とムッツリだったりするんスね。目なんか如何にもスケベそうだし」

 

言葉の途中でハクロウは一睨みし、ゴブタは一目散に逃げる。

 

「……フフ……」

 

ゴブタを追い払った後、ハクロウは再び湖と向き合いながら微笑む。

 

その瞬間、浮きが僅かに沈む。

 

「!たっ!うーやあーーっ!!」

 

ザッパァァァァァンッ!!

 

その一瞬を見逃さなかったハクロウは見事な一本釣りで巨大シーラカンス(仮)を吊り上げた。

 

スナック『樹羅』・・・

 

「おっきぃ湖……行きたかったなぁ……」

 

「何故だ!?何故、リムル様とユカリ様は陸海空を駆けるオールラウンダーな我輩ではなく、ソーカやニトリをお供にぃ……!!」

 

「オールラウンドなのはソーカ様もだぜ。ガビル様。」

 

「然り。奥方(ニトリ)様も河童に進化してからは我らと同じく翔べるしな。」

 

スナック『樹羅』でヤシチがそう言うなか、そう言いながら悔しがるガビルに対し、スケロウとカクシンの二人が冷静にそう言う。

 

因みにニトリやランといった妖怪(アヤカシ)達は最近、『妖力浮遊(オーラフロー)』というスキルを覚え、軒並み飛行能力を獲ていた。

 

「あぁ………ソーカやニトリが遠くに行ってる気がする……昔は『兄様!兄様!』とヨチヨチ付いて来ていたあの可愛いソーカに、我輩を慕ってくれていたニトリが……っ!!」

 

「記憶を捏造してるぜ。ガビル様。」

 

「あぁ~!!」

 

「飲み過ぎだよ。ガビル様。」

 

「然り。」

 

「えぇい!優秀な妹を持つ兄(・・・・・・・・)の気持ちに優秀な嫁を持つ夫(・・・・・・・・)の気持ちがおまえ達にはわかるまい!!」ダンッ!!

 

「「「………」」」

 

「お姉さん。ミルクをもう一杯。」

 

「はぁい。」

 

ガビルから注文を受けたミヨイは追加のミルクを出そうとする。

 

シャー……ピタッ

 

「あら?」

 

「ん?」

 

が、横から新たなミルクが淹れられたグラスが滑るように流れてきて、ガビルの目の前で止まる。

 

「……フッ。」グッ

 

横を見ると、ベニマルがなにやらサムズアップしていた。

 

リムルSide

 

「「「「「「「「「【おぉ~!!】」」」」」」」」」

 

「これは食べ応えありそうですね!!」

 

「流石はハクロウだよ!!」

 

「さて、どう食べようかしら……」

 

ハクロウが吊り上げてきた巨大シーラカンス(仮)を見て皆が興奮しているなか、シュナと俺、ユカリの三人はそう言う。

 

「お料理なら、お手伝いします!!」

 

「「「「「「「「「「「【っ!?】」」」」」」」」」」」

 

「あら?」

 

「こんな景色の中で作るお料理……腕が鳴りますね!!」

 

シオンはそう言いながら、剛力丸を手に取る。

 

ヤバい……このままだと死人が出てしまう!!

 

「し、シオン……ッ!?」

 

「あれ?なんか急に霧が濃くないッスか?」

 

「それになんかちょっと寒いような……?」

 

俺がそう思いながらシオンの気を引こうとした瞬間、急な寒気と一緒に霧が少しだけ濃くなる。

 

「あんたら!!あたいの縄張りでなに好き勝手してる訳!?」

 

「「「「「「「「「「「「「【!?】」」」」」」」」」」」」」

 

次の瞬間、上空から聞こえてくる少女の声に俺達は全員で見上げる。

 

すると、背中から六枚の氷の羽を生やした、薄めの水色のウェーブがかったセミショートヘアに大きめの青いリボン、白いシャツに青いワンピース姿の少女が空中で仁王立ちしながらこっちを見下ろしているのが目に入る。

 

って彼奴は!?

 

「あんたら、(ここ)があたいの縄張りだと知っての領分な訳!?何時かはあたいが捕まえてやろうと狙ってたヌシまで勝手に釣り上げるし!!」

 

「な、なんか無茶苦茶怒ってるッスよ。」

 

「どうやら彼女はこの辺りに棲んでいる妖精のようですね。」

 

「いいから早く出てってよ!

水氷大魔嵐(アイシクルフォール)』!!」

 

ビュオオオォォォーーーッ!!

 

「「「「「「「「「「「「【!?】」」」」」」」」」」」」

 

ゴブタとトレイニーさんがそう言うなか、妖精の少女はそう言いながら、氷を伴った嵐のような冷風(かぜ)を放ってくる。

 

「危ないわね。」

 

クパァ

 

が、ユカリがそう言いながら、スキマで呑み込んで防ぐ。

 

「はぁ!?なにそれズッルい!!」

 

うん。それは俺も常々思う。

 

「リムル様とユカリ様に敵意を向けるとは!!」

 

ドンッ!!

 

シオンがそう言いながらジャンプし、剛力丸で斬りかかる。

 

「ちょっ、それは洒落にならないって!!」

 

「なっ!?」

 

ドボォーンッ!!

 

対する妖精はそう言いながら高度を上げることでかわし、かわされたシオンはそのまま湖の浅瀬に落下する。

 

「やぁーいやぁーい!

悔しかったら飛んでみろぉ~!!」

 

「くっ……!!」

 

【シオン!我に乗れっ!!】

 

「ッ!!」

 

そう言いながら近くまで駆けてきたランガの背にシオンは飛び乗り、ランガはそのままの勢いで空を駆け上がっていく(・・・・・・・・・・)ってはぁっ!?

 

「はぁ!?なにそれ!!?」

 

【あまりオイタが過ぎたようだな。妖精よ。】

 

「今度こそ、お仕置きしてあげます!!」

 

「リムル。ここは私達に任せて、二人のフォローをお願い。」

 

慌てる妖精に二人がそう言いながら向かっていくなか、ユカリがそう言う。

 

まぁ、あの二人の心配は要らないだろうが、うっかり殺っちゃわない(・・・・・・・・・・・)ようにするフォローは要るよな。

 

「わかった。ここは任せたぞ。」バサァッ!!

 

俺はそう言いながら吸血蝙蝠(ジャイアントバット)の翼で飛び立っていった。

 

ユカリSide

 

「さて、シオンの注意が妖精(向こう)に向いてる今の内に巨大魔魚(巨大シーラカンス)を調理しちゃいましょうか。」

 

「え~と……ユカリ様?」

 

「放っておいて良いの?」

 

妖精に向かっていくリムルを見送った後、すぐさまそう言う私に対し、シュナとシズがそう尋ねてくる。

 

「あの三人が相手するなら問題ないわ。リムルまで行かせたのはあの妖精を確実に生かしたまま無力化させるためだし。」

 

「「はぁ……」」

 

「あの妖精にはシオンの注意を引いてくれたことに感謝しないといけないわね。」

 

お礼に夕食にでも招待しましょうか。

 

「さてと、それじゃあ……」

 

そうして私はシュナと共に調理に取り掛かるのだった。

 

リムルSide

 

「お?この匂い……」

 

【なかなか食欲を刺激される匂いですね。我が主。】

 

「お腹が空いてきました。」

 

「あ!リムル様!ランガ!シオン!!」

 

「お帰りなさい。」

 

「お帰りなさい、リムル。首尾はどうかしら?」

 

「あぁ、この通り。」

 

「………」

 

二人と一緒に戻った後、そう尋ねてくるユカリに対し、俺は無力化し『拈鋼糸』で拘束した妖精を見せる。

 

「この子、どうやら向こう岸の方で生活していたみたいでな。激しい戦闘音にしか聞こえないシオン達の水遊びの音を聞いて飛んできて、俺達が自分の縄張りである(ここ)を荒らしに来たんだと勘違いしたらしい。」

 

「なるほど……」

 

「まぁ、それなら少し悪いことをしてしまいましたね。」

 

グゥ~……

 

「「「「「「「「「「「「「【………】」」」」」」」」」」」」」

 

「……お腹空いた……」

 

「フフ……では、住み家を勝手にお邪魔してしまったお詫びとして、一緒に夕食でもどうですか?」

 

空腹を訴えだした妖精にそう言いながら、シュナが視線を向けた先にはアウトドアにしてはなかなか豪勢な食事が並んでいた。

 

「【おぉ……っ!!】」

 

「魔魚飯に魔魚の味噌焼き、半分のアラで作った潮汁ならぬ湖汁にもう半分で作ったなんちゃってブイヤベース……魔魚尽くし。」

 

「凄いな……俺ら、そんなに長い時間戦ってないんだが、いくらハクロウが釣り上げたヌシがデカかったとはいえ、よくここまでのものを作れたな……」

 

「半分はユカリ様が作ってくれました。」

 

「『時間』の『境界』を弄れば、大幅な短縮が可能なのよ。」

 

「ッ……」ゴクッ!!

 

「さっ。冷めない内にどうぞ。」

 

料理を見ながらそう言う俺にユカリがそう説明するなか、シュナがお椀によそった湖汁を妖精に手渡す。

 

「い、いただきます……」

 

対する妖精はそう言いながら、受け取った湖汁を一口飲む。

 

「!?美味しい……凄く美味しいっ!!」

 

「気に入って頂けて良かった。」

 

「ホッホッホッ……これはまた温かく、優しい味ですのぅ……苦労して釣り上げた甲斐がありましたわい。」

 

「味噌焼きも結構イケるッスよ!師匠!!」

 

「うん。(ほぐ)した身と一緒に炊いたご飯も美味しいね。」

 

「なんちゃってブイヤベースも美味いな……まるで店に出てきたものみたいだ。」

 

「あ。そちらと魔魚飯はユカリ様がお作りになられたものですね。」

 

「………」

 

【え~と……ユカリさん?ちょっと聞きたいことが……】

 

【なにかしら?】

 

【もしかしてなんですが、料理も……】

 

【……そうね。以前(まえ)に話した親戚が営む農園と提携している、また別の親戚経営のレストランで働かされたこともあるわね。】

 

【おまえの血族は血も涙もない鬼か何かか!?】

 

一体どういう環境で生きてれば、花のあるJKを社畜の如く色々と仕事をさせる親戚連中なんて出てくるんだ!?

 

【鬼だなんて……シュナやカセン達に失礼よ。】

 

【あ、あぁ……確かに……じゃなくて!え~と、おまえの実家はその……借金でもしてた……のか?】

 

【借金なんてしてないわよ。私の家は私が幼い頃に両親が(・・・・・・・・・・・・・)交通事故で死んだこと(・・・・・・・・・・)その事故をきっかけに私が(・・・・・・・・・・・・)視える(・・・)ようになったこと(・・・・・・・・)以外、至って普通な家庭よ?ただ、引き取った親戚連中が私を気味悪がりながらも(・・・・・・・・・・・)労働力としては使える駒(・・・・・・・・・・・)だと認識していただけで……】

 

【………ごめん。】

 

全くの自然体で夕食を食べながら、『思念伝達』でそう言うユカリの言葉に俺は冷や汗を流しながら、思わず目線を明後日の方向に向けながらそう謝罪する。

 

もう今のやりとりでこいつの抱える『闇』を垣間見た気がする……

 

第三者Side

 

夕食後、女性陣はテントで酒を呑み交わしながら談笑することに。

 

因みにチェンとすっかり馴染んだ妖精は先に寝ている。

 

「でもでも!ソウエイ様、クナイで田植えの真似事をしまして……っ!!」

 

「まぁー。うっふふ。そんなことが。」

 

「ねぇねぇ。ソーカはソウエイのことが好きなんですかぁー?」

 

「んぐっ!?」

 

酔った様子でそう尋ねるシオンの言葉にソーカは思わず()せる。

 

「わ、私はただ戦士として憧れているだけで……」

 

「彼奴、性格悪いからやめた方が良いですよ。」

 

「え?」

 

「まぁ、そんなことはないですよ。確かに、ソウエイは無愛想ですが、心根は優しく、誠実で頼もしい人ですよ。憧れるのは当然です。」

 

「えぇ~?そうですかぁ?」

 

(………同郷のシュナ様達のお話は………あのお方への深い理解が感じられて……)

 

二人の話を聞いていたソーカは羨ましく感じながらそう思う。

 

「ですがまぁ、一見そう見えますけど…………それに騙された、という噂も、枚挙に暇がないですけどね。」

 

「あっはははは!絶対女を泣かせてますよあの鬼畜。」

 

(………聞きたくなかったかなぁ……)

 

が、続けて聞こえてきた二人の会話にそう思いながら、顔を背けながら涙を流す。

 

((ドンマイ。ソーカ……))

 

そんなソーカの様子にカセンとニトリは苦笑いしながらそう思った。

 

「………」ヒュッ!!

 

カァァァン

 

その頃、町にあるソウエイの自宅にて、ソウエイが壁に掛けた的に向かってクナイを投げていた。

 

「お。今日は珍しくのんびりしているな。」

 

「……リムル様とユカリ様のお二人がいないからな。」

 

「おまえって昔から仕事はデキるが………別に真面目って訳じゃないよな?」

 

そんなソウエイに対し、ベニマルはそう言いながら棚からコップを取り出す。

 

「要領が良いと言え。万が一を考え、ソーカを護衛に就けている。彼奴は俺の配下の中では一番の手練れだ……今頃、シオン辺りに泣かされているだろうがな。」

 

「おまえ……気に入った奴程追いつめるよな……」

 

「フッ……愛が深いと言え。そう言う貴様こそ、カセンを護衛に就けたらしいな?」

 

「あぁ……彼奴は実力はおまえと同レベルで機転が利く……だが、真面目過ぎるからな……たまには息抜きさせてやろうという従兄弟兼侍大将なりの気遣いってやつだな。」

 

「……それだけが理由か?」

 

「?それだけとは?」

 

「……いや……なんでもない……」

 

「?」

 

(こいつがカセンの想いを知るのはまたまだ先になりそうだな。)

 

首を傾げるベニマルを他所にソウエイは密かにそう思いながらカセンを憐れむのだった。

 

ユカリSide

 

シュナ達が寝静まるなか、私とリムル、ランとシズ、ハクロウとランガ、トレイニーの七人は集まり、談笑していた。

 

「ささっ。まぁ、お一つ。」

 

「おぉっ、これは恐縮。」

 

「ユカリ様もどうぞ。」

 

「リムルさんも。」

 

「あぁ、ありがとう。ラン。」

 

「シズさんもありがとうな……しかし、この酒は確か店で一番高いやつじゃ……」

 

「なんで持ってきてるのよ?」

 

「あらあら。リムル様もユカリ様もお酒が足りないようで。」

 

「しかし、樹妖精(ドライアド)様から酌をして頂けるとは……長生きはしてみるものですな。」

 

「ハクロウもたまには店に来いよ。」

 

「結構良い雰囲気の店よ。」

 

「そうだね。来る人皆、笑顔になるもんね。」

 

「ほぅ……では、いずれ。」

 

「フフ……確かに皆さん、毎日、笑顔で過ごされてますね。ですが……こうしている今も町は多くの勢力に注目されています……明日も無事に笑えるかどうか……」

 

そんななか、トレイニーがふと真剣な表情でそう言う。

 

……確かにそうね。この間の『豚頭帝(オークロード)異変』は一応解決はしたけど、ゲルミュッドと組んでいた小物妖怪と怪しげな道化共は逃げたままだし、連中の背後にいたであろう『魔王』も健在だものね。もし、また私達の町に何かしてきた時は……

 

「その時は明後日(・・・)倍笑うさ(・・・・)!!」

 

私がそんなことを思っているなか、リムルが酒を飲み干してから笑顔でそう言う。

 

「!あら。」

 

「!明後日、倍笑う……」

 

「ホッホッホッ。リムル様には敵いませんなぁ。」

 

「笑うことならハクロウはおろかユカリにだって負けないぜ!」

 

「ホッホッホッホッホッホッホッ!!こりゃあ一本取られましたなぁ……ユカリ様。」

 

「……フフ……そうね……」

 

「あ!ユカリさんが笑った!!」

 

蛍の時(この間)も思ったけど、おまえはやっぱり笑ってた方が良い顔してるぞ。」

 

「大きなお世話。でも……ありがとう……」

 

「ん?なに?」

 

「なんでもないわよ。」

 

「フフ……」

 

因みに女性陣のテントを覗こうとしていたゴブタが見つかり、砂に埋められたのはここだけの話。

 

第三者Side

 

「いやぁ~、気持ちの良い朝ッスねぇ!!」

 

「タフだねぇ……おまえは。」

 

「お腹が空きましたぁ~。」

 

「私も。ランしゃまぁ~。」

 

「フフ……すぐに朝食の準備をしますね。」

 

「私も手伝おう。シュナ。」

 

「ありがとうございます。ラン。」

 

「よしっ!!朝飯食ったら帰り支度するぞぉ~。」

 

「「「「「「「「「【はぁ~い。】」」」」」」」」」

 

「えぇ~、もう帰るんスか?」

 

「当たり前だ。」

 

「では、最後にこちらの水着を」

 

「それも却下。」

 

「え?なに、あんたら、もう帰るの?」

 

ゴブタとシオンにリムルがそう言うなか、妖精がそうユカリに尋ねる。

 

「まぁね。(ここ)には涼みに来ただけだし。」

 

「ふぅーん……」

 

「……貴女も来る?私達の町に。」

 

「良いの!?」

 

「良いわよね?リムル。」

 

「あぁ、別に構わないぞ。今時期だと氷妖精(こいつ)は寧ろ大歓迎されるだろうし。だたっ広い湖で一人で過ごすよりずっと良いだろ。」

 

「行く!あたいもあんたらの町に連れてって!!」

 

「よしっ。じゃあ、おまえの名は」

 

「リムル。この子には私が名付けるわ。」

 

「……わかった。」

 

「名前までくれるなんて……っ!!」

 

「貴女の名前は『チルノ』よ。」

 

ユカリがそう名付けた瞬間、ユカリの魔力の何割かが妖精に流れ込む。

 

「ッ……」

 

「大丈夫か?ユカリ」

 

「えぇ。思いの外、魔力を持ってかれたわ。」

 

「ふぉぉぉ……身体の奥底から“力”が(みなぎ)ってくる……フッ……あたいは更なるさいきょーになったみたいだ……」

 

【“力”は強くなってるだろうけど、知力()は変わらなさそうだな……】

 

【……黙っててあげましょう。】

 

「これからはよろしくね。チルノ。」

 

「うんっ!よろしく!!ユカリ!!」

 

こうして避暑地として訪れた湖に棲んでいた氷妖精、チルノが新たな仲間として加わるのだった。




チルノ

見た目:東方のチルノ

種族:氷妖精(アイスフェアリー)

所持スキル

ユニークスキル『氷結者(クザン)』:『冷気を操る』程度の能力。ユカリからの名付けで能力のレベルが向上している。

エクストラスキル『スペルカード』:名付けを受けると同時にGETした。

スキル『弾幕』:同上。

詳細

リムルやユカリ達が避暑地として訪れた湖で棲んでいた氷妖精。氷に特化しているからか妖精にしては上位精霊に近い“力”を有していたが、頭が⑨なのが玉に瑕(汗)。当初はユカリ達を自分の棲み家を荒らしに来た敵だと認識して襲撃したもののシオンとランガ、リムルにより無力化される。その後は夕食をご馳走してもらったのを皮切りにすっかり一行と意気投合し馴染んだ。翌朝、一行が朝食の準備と帰り支度をする際、ユカリとリムルからの誘いを受け、ユカリから『チルノ』という名前を貰った上で町の新たな住人となった。現在は警備隊として働く一方、ユカリの『百鬼夜行』にも所属している。
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