転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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妖怪側のリグルの愛称、変更しました。


再現ナツマツリ

ユカリSide

 

まだまだ暑い夏のある日、リムルに呼ばれた私達は会議室に集まっていた。

 

何時になく真剣な表情のリムルに皆、片唾を飲んで次の言葉を待つ。

 

バンッ!!

 

「この季節にまだ足りないものがある……何かわかるか?」

 

「えっと……わかりません……」

 

「勿体振らずにさっさと言いなさいよ。」

 

「うむ。ズバリ………夏祭りだぁっ!!」

 

「うぐっ!?」

 

「あぁ……」

 

大声で言うリムルにリグルドが怯むなか、私は納得したようにそう呟く。

 

確かにやってなかったわね。

 

私がそう思っているなか、リムルはリグルドに詰め寄る。

 

「俺はこの町で夏祭りがしたい!!」

 

「ナツ……マツリ……?」

 

「要は夏の時期にやる宴会よ。」

 

「宴会……っ!!」

 

すかさずフォローを入れる私の説明にリグルドを初め、皆が笑顔になる。

 

以前(まえ)から思ってたけど、この町の住人達って結構宴会好きが多いのね。

 

私がそう思っているなか、リムルは木板に描いた絵で説明していき、皆も初めて見るものばかりなのもあって食い入るように聞き入る。

 

「とりあえず準備期間は一週間として……出来そうかしら?」

 

「はいっ!我らに……」

 

「「「「「お任せ下さい!!」」」」」

 

「うむ!皆の全力を見せてくれ!!」

 

「「「「「「はいっ!!」」」」」」

 

こうして魔物達の全力による準備が始まった。

 

第三者Side

 

「ふぅ………」

 

「う~ん………」

 

各所で順調に準備が進められていくなか、ガルムとドルドの二人は垂れ幕や提灯を作成していた。

 

「おっ。」

 

「うん?」

 

「「これは…………流行るっ!!」」

 

そんななか、二人は浴衣やら装飾が描かれた木板を手にそう確信した。

 

ユカリSide

 

この町は宴によって『進化』していく。

 

「ほぉぉぉっ!!凄いなぁっ!!」

 

「良い感じね。」

 

そんなことを感じながら過ごすこと迎えた夏祭り当日の昼頃、出来上がった(やぐら)を見上げながら、リムルと私はそう言う。

 

「皆、本当に頑張ったんだね。」

 

「はい。」

 

「屋台の準備もほぼ完了しています。」

 

「おぉ!お面屋!懐かしい!!」

 

「どんなのがあるか、見てみますか。」

 

「はい。」

 

そうしてリムルと私、シオンとラン、シズとシュナの六人は一足先にお面屋を覗いてみることに。

 

因みにリムルは今、スライム態になってシオンに抱えられている。

 

「うん?」

 

そこにはスライム態のリムルを模したお面が大量に置かれてあった。

 

「う~ん………」

 

「リムル?」

 

「どうかしたの?」

 

「……俺が言うのもなんだが……不気味だなぁ………」

 

確かに。

 

「ウッフフ……不気味だなんて……」

 

「うん?うわぁぁーーっ!?」

 

「そんなことないですよ。」

 

「「「フフフ……」」」

 

そんなリムルに対し、シオンとシュナ、いつの間にかいたゴブタがリムル面を着けながら、不気味な笑みを浮かべながらそう言う。

 

「……何らかの秘密結社の勧誘かしら……?」

 

「「あはは……」」

 

リムルSide

 

あの後、浴衣も出来ていることがわかったので着付けをしてみることに。

 

「はぁ~………シオンさん!」

 

「リムル様………!!」

 

「「可愛いぃ~!!」」

 

「あはは……やっぱり女物……」

 

「フフ……」

 

「ユカリ様もよくお似合いで素敵ですよ。」

 

「ありがとう。ヤマメもよく似合ってるわよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

俺がそう言いながら着せられた女物の浴衣を見ているなか、そう言う黒に紅い蜘蛛の巣のような柄を入れた浴衣姿のヤマメに対し、漆黒に彼岸花の柄が入った浴衣姿のユカリはそう言う。

 

なんか普段の言動と雰囲気のせいか、極道の妻に見えるな……

 

「リムル。今、何か失礼なことを思わなかった?」

 

「そ、そんなことはないぞ!?」

 

「ふぅーん……シズとランもよく似合ってるじゃない。」

 

「ありがとう。ユカリさん。」

 

「ありがとうございます。」

 

因みにシズさんは白に花柄、ランは蒼に草柄の浴衣を着ている。

 

「シュナも相変わらず似合ってるとして……」

 

「そんなぁ~、ありがとうございます。」

 

「シオンも、今日はなんか楚々(そそ)として感じるな。」

 

「うぅ~………聞いて下さい!胸にサラシをぎゅうぎゅうに巻かれたんです!!」

 

あぁ~、シオンは胸、大きいもんな。

 

「フフフ……私、思ったんです。大きなお胸は着付けに邪魔………大きなお胸は着付けに邪魔………大きなお胸は、着付けに邪魔なんです。他意はありません。」

 

「そ、そうか……」

 

胸のこと、気にしてたんだな。

 

「うぅ……苦しい……」

 

「帯、緩めますね。」

 

「あはは……」

 

「「………」」

 

そんなシュナの様子にシズさんは苦笑いを浮かべ、ユカリとランは目を合わせないようにしている。

 

三人も気まずく感じてるんだろうなぁ……

 

その後、町へ繰り出すと、浴衣を着た奴らで賑わっていた。

 

日本の夏祭りを可能な限り、再現する。

それが今回のコンセプトだからな。

 

「トロピカルジュースをどうぞぉ~。」

 

「おぉ!トロピカルジュース!!」

 

「よく再現できたわね。」

 

「まぁ、ジンジャーエールの応用ですけどね。」

 

屋台を出していたミヨイから俺達はトロピカルジュースを貰い、飲んでみることに。

 

「はぁ~、美味い!!」

 

「初めて飲んでみたけど、美味しいね。」

 

「まさに夏が来たって感じの味ね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「けど、ジンジャーエールもそうだけど、炭酸水はどうやって再現したんだ?」

 

「……企業秘密です。

 

「あっはい……」

 

「フフ……こちらも試行錯誤の末、なんとか再現できました。」

 

笑顔でそう言うミヨイに俺がこれ以上の追及をやめるなか、シュナがそう言いながら、隣にいるゴブイチから受け取ったたこ焼きを手渡してきた。

 

ユカリSide

 

「おぉ!たこ焼き!!」

 

「熱々の内にどうぞ。」

 

「いただきます!あふぉっ!?あふぉっ!?んん~!美味い!!」

 

「よく再現されてるわね……ふわふわでとろとろの生地にカリカリに焼けた表面……」

 

「ソースも良い味出してて美味しいね。」

 

「なによりタコ!この食感、(しっか)りタコが入ってる!!」

 

「はい。まぁ、正確には似たもの(・・・・)ですが。」

 

「?似たもの?」

 

「見ない方が……」

 

「………」

 

首を傾げながらそう言うリムルにシュナが笑顔でそう言うなか、屋台裏にある無数の目がある毛むくじゃらな触手のようなナニカが偶々、目に入る。

 

「………」

 

「どうしたの?ユカリさん。」

 

「なんでもないわ。タコ焼き擬き、美味しいわね。」

 

アレは……リムルやシズには知らせない方が良いわね。

 

「フフ……そうだね。」

 

「んん~?」

 

因みにリムルはなんとか食材を見ようとしたが、シュナに阻止されていた。

 

その後、偶々、二人で屋台を回っていたベニマルとカセンと合流し、八人でかき氷屋に向かうことに。

 

因みにカセンは紅に薔薇の花柄の浴衣を着ている。

 

「あ!いらっしゃーい!!」

 

「ここが俺と新入りチルノでプロデュースした店、かき氷だ!!」

 

「かき氷……?」

 

「今の時期に氷なんてあるんですか?」

 

「まぁ、食ってみろって。」

 

「はい!あたいらのかき氷は凄く美味しいよぉ~!!」

 

首を傾げながらそう言うベニマルとカセンにリムルがそう言うなか、笑顔でそう言うチルノによってリムル以外の七人全員にかき氷が行き渡る。

 

ふむ……見た感じでは普通のかき氷ね……

 

「それじゃあ……」

 

「「「「「「「いただきます。」」」」」」」

 

「「「「「「「はむっ。」」」」」」」

 

「おぉ!!………冷たい!!」

 

「そして、甘い!!」

 

「うんうん!!」

 

「でしょ!?」

 

「んん………あぁ………っ!!」

 

「氷が雪みたいにふわふわで美味しいです……!!」

 

「実に冷たくて美味しいですね。ユカリ様。」

 

「えぇ。暑い夏には打ってつけの味ね。」

 

「甘くて美味しいね。」

 

「かき氷機の刃はクロベエ謹製だからな。」

 

「リムル様ぁ~!氷の補充をお願いするべ!!」

 

「チルノもお願い!!」

 

そんななか、屋台を切り盛りしていたクロベエとコガサがそう言う。

 

「おっしゃい!!」

 

「任せて!!」

 

対する二人はそう言いながら、リムルはスライム態になりながら跳び上がり、チルノは氷の翼で飛び上がる。

 

「『水氷大魔散弾(アイシクルショット)』!!」

 

「『水氷大魔嵐(アイシクルフォール)』!!」

 

次の瞬間、二人は各々の技を放ち、地面に置かれた大量の桶の中に氷を生み出す。

 

「「………」」

 

氷の出自を知ったベニマルとカセンが顔を青くするなか、リムルとチルノが華麗に着地すると同時に周りから歓声が上がる。

 

「一丁上がりだ!!」

 

「まっ!あたいらに係ればこんなもんよ!!」

 

「クロベエ!俺の分も頼むよ!!」

 

「あたいも!!」

 

「わかったべ。ちょっと待つだよ。」

 

「すぐにお作りします。」

 

「………これ、本当に食べて大丈夫な氷なんですか?」

 

「お腹から凍ったりしません……?」

 

「美味しければ、問題ありません。」

 

「食べて影響が出るならとっくに出ているだろうしな。」

 

「えぇ……」

 

「にしても、氷魔法にこんな使い方があるなんてね。」

 

「氷に限らず、水魔法だって力加減に気を付ければ、清涼な飲み水を生み出すこともできるわよ。繊細な力加減を要求されるからあまりオススメはしないけど。」

 

かき氷をまじまじと見ながらそう言うベニマルとカセンにシオンとラン、シュナの三人がそう言うなか、珍しいものを見るかのようにかき氷を見ながらそう言うシズに対し、私は冷静にそう言う。

 

「因みに俺の一番の一押しは………コレだぁっ!!」

 

「「「おぉーっ!!」」」

 

「「「青い!?」」」

 

そんななか、リムルが出したのは青いシロップのブルーハワイだった。

 

よく再現できたわね。

 

「いやぁ~、この鮮やかな青を再現するのは至難だったなぁ……因みにこれはブルーハワイといって」

 

「これはリムル様の色だ!!」

 

「あ?」

 

「おぉー!確かにそうだ!!」

 

「空の色のように清々しくて、雄大で冷たい氷と優しい甘みが心地良い……っ!!」

 

「まさにリムル様!!」

 

「リムル様味っ!?」

 

「「「リムル様……味っ!!」」」

 

まぁ、確かにブルーハワイとリムルは色が似てるわね。

 

「あら~………」

 

「確かに……」

 

「お?」

 

「リムル様って……」

 

「美味しいんですねぇ~。」

 

「「フフフフフフ……」」

 

そんな皆の言葉にリムルが恐怖で引きつらせてるなか、いつの間にかリムル面を被っていたシオンとシュナが妖しげな笑みを浮かべながら、ブルーハワイ(リムル味)かき氷を食べながらそう言う。

 

「「「「「フフフフフフフフフフフフ……」」」」」

 

同じようにいつの間にかリムル面を被っていた他の住人達も妖しげな笑みを浮かべながら、ブルーハワイ(リムル味)かき氷を食す。

 

「………」

 

「大丈夫かしら?リムル。」

 

「……時々、こいつらが怖い……」

 

「あはは……そういえば、ユカリさんはどんなお店をプロデュースしたの?」

 

「あぁ、私のは……アレね。」

 

苦笑いした後、そう尋ねるシズに対し、私がそう言いながら指差した先には『ペコケイの天むす屋』という屋台があった。

 

「おぉ!天むすか!!」

 

「リムル様にユカリ様、シズ様!?」

 

「いらっしゃいませ!!」

 

リムルが看板を見上げながらそう言うなか、紺色の法被姿のホブゴブリンの少年は慌てながらそう言い、虫の触覚がある緑のショートヘアに黄緑の浴衣姿の少女は笑顔でそう挨拶する。

 

「ペコ!!」

 

「それに『ケイ』ちゃんも……二人はここを切り盛りしてたんだね。」

 

「はいっ!!ユカリ様からのご指名で!!」

 

「ペコ先輩と楽しく働かせてもらってます!!」

 

「この間、ペコが開発したミックス天ぷらが素晴らしかったからね。」

 

そう言うリムルとシズにホブゴブリンの少年、『ペコ』と以前、私が『式神化』を使って幻想蛍(ミッドナイトバグ)から蛍妖蟲(ホタルヨウチュウ)へと進化させた少女、『ケイ』がそう返事するなか、私は軽くそう説明する。

 

因みに彼女の正式名は『リグル=ナイトバグ』だが、既にいるゴブリンのリグルとややこしくなるのを防ぐため、私も含め皆は愛称の『(ケイ)』と呼んでいる。

 

「あぁ……ペコがレシピ開発に間に合わなかったら、ユカリがOHANASHI(強制弾幕ごっこ)で無理やり終止符を打ってたであろうあの三氏族の領地問題か……」

 

「あはは……」

 

「ペコ、ケイ。早速天むすと味噌汁を三人分、お願いできる?」

 

「はい。ユカリ様。」

 

「少々お待ち下さい。」

 

「?天むすだけでなく味噌汁も飲めるのか?」

 

「歩きながらでも楽しめるように工夫してあるわよ。」

 

「どうぞ。ユカリ様、リムル様、シズ様。」

 

首を傾げながらそう尋ねるリムルにそう説明するなか、ケイがお盆にミックス天むす三つとコップサイズに切った竹筒に入れた味噌汁三つを乗せて運んでくる。

 

「ありがとう。ケイ。」

 

「ありがとうな。」

 

「ありがとう。」

 

そんなケイにそう言いながら、私達三人は天むすと味噌汁を受け取る。

 

「う~ん!天ぷら単体の時も美味かったけど、天むすにすると更に美味いな……っ!!」

 

「お味噌汁も美味しいね。」

 

「あ、ありがとうございます……っ!!」

 

「良かったですね。ペコ先輩。」

 

受け取った天むすと味噌汁を美味しそうに堪能するリムルとシズの言葉にペコが嬉しそうにそう言うなか、ケイも笑顔でそう言う。

 

うん。美味しい。

 

リムルSide

 

「さぁさぁ!寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!英雄ガビルとデスパンダの死闘!!」

 

「色んな店があるなぁ……」

 

「フフ……皆、楽しそう……」

 

「賑やかね。」

 

ペコとケイの天むすと味噌汁セットを堪能し、ベニマル達と分かれた俺とシズさん、ユカリの三人はそんな話をしながら散策する。

 

「お。ハクロウは金魚すくい屋かぁ。」

 

「雰囲気あるわね。」

 

「自分も手伝ってるッスよ!!」

 

「ホホホホホ……中々に集中力がいる遊びですな。何なら、指南致しましょうか?」

 

「なぁーに、俺はその昔、“音速のポイ”って呼ばれてたんだ。見てろぉ~!!」

 

「頑張って!リムルさん!!」

 

「まぁ、頑張りなさい。」

 

そうして俺がチャレンジしてみることに。

 

よしっ!コイツだ!!

 

俺がそう思いながら、狙いをつけたやつを掬おうとした瞬間、

 

ズザァァァァァンッ!!パクゥッ!!

 

「うわっ!?」

 

「「………」」

 

ザブゥゥゥゥゥンッ!!

 

突然、別のなんかデカいやつが出てきて、俺のポイを食っていきやがったってはぁっ!?

 

「おい!ゴブタにハクロウ!!なんかデカいやつがいたんだけど!?」

 

「フッ……油断してると指、持ってかれるッスよ。」

 

「ああいう時はポイの峰で急所を突くと良いですぞ。」

 

初めて聞いたわ!そんなパワーワード!!

 

「あはは……」

 

「さっきのお魚、大きかったねぇ~。」

 

「でも、前の方が大きかったよぉ~。」

 

「お客さん、もう一回どうッスか?今度は取れるかもしれないッスよ!!」

 

「ホホホホホ……何事も鍛練ですじゃ。」

 

「ふむ……」

 

そんななか、ユカリがポイを一つ手に取る。

 

まさか、やる気か!?

 

「ハクロウ。確認なんだけど、このポイに『闘気』を纏わせるのはアリかしら?」

 

「お。ユカリ様、やる気ッスね。」

 

「ホッホッホッ……構いませんぞ。」

 

「ありがとう。」

 

ハクロウから許可を取った後、ユカリはそう言いながら妖気(オーラ)…『闘気』を纏わせ、ポイを水面に近づける。

 

ズザァァァァァンッ!!

 

直後、さっきの巨大金魚が再び跳び上がってくる。

 

「……そこね。」

 

カァァァァァンッ!!

 

が、ユカリがそう言いながらポイの峰で突いた瞬間、巨大金魚は白目を剥きながら一瞬だけ浮く。

 

トン……

 

その一瞬の内に真下に滑り込むように差し入れられたポイの上に乗っかる。ってはぁっ!?

 

「「「おぉぉぉ……っ!?」」」

 

「……これで良い?」

 

「マジッスか……ユカリ様……」

 

「……見事ですじゃ。しかも見たところ、ただの急所ではなく一時的に仮死状態になるポイントを突くとは……」

 

【ちょっと待て!ユカリ!!今のどうやった!?なんで急所、それも一時的に仮死状態になるようなポイントがわかった!!?】

 

【別に。前世(まえ)に銛釣り漁の仕事も経験してたから、魚体の急所を見分けられるようになってただけよ。】

 

【おまえの親戚、銛釣り漁までさせてたのかよ!!】

 

どんだけ働かせてたんだよ!?

こいつの親戚連中は!!

 

「とりあえずこの金魚は一旦スキマにでも入れておきましょうか。」

 

クパァ

 

俺がそう思いながら頭を抱えるなか、ユカリはそう言いながら取った巨大金魚をスキマの中に入れたのだった。

 

第三者Side

 

「さぁさぁ!寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!!」

 

「射的は如何ですかぁ~!?当てるだけで豪華賞品が貰えるよぉ~!!」

 

その頃、ソウエイがソーカと共に歩いている大通りでは、ゴブトとゴブチが射的を経営していた。

 

「一番の目玉は1/1リムル様!!等身大だよぉ~!!」

 

「あのリムル様を好きなようにできちゃうよぉ~!!」

 

「ッ!!」

 

シュカァァァァァンッ!!

 

「「「おぉぉぉっ!?」」」

 

「「えええ……っ!?」」

 

そんななか、ソウエイが取り出すと同時に投げつけたクナイが一つの人形に命中する。

 

「流石ソウエイ様!!百発百中ですね!!」

 

「………」

 

「ちょっとちょっとぉー!!

本物の武器投げつけないで下さいよぉ~!!」

 

「こちら、あげるんでもうお引き取り下さい!!」

 

ゴブトとゴブチはそう言いながら、クナイがブッ刺されたガビル人形をソウエイに手渡す。

 

「……これはおまえにやる。」

 

「え?」

 

そう言いながらソーカに人形を手渡し、ソウエイはその場を去っていく。

 

「……フフ……」

 

「どうしたの?ソーカ。」

 

「あ。ニトリ様!!実は今、初めて殿方から贈り物を貰ったんです!!」

 

「……へ、へぇ……良かったね……」

 

「はい♪」

 

(そのブッ刺された人形、君のお兄さんで私の旦那なんだけどなぁ……)

 

純粋な笑顔でそう言うソーカに対し、偶々居合わせたニトリは苦笑いしながら密かにそう思った。

 

リムルSide

 

「つたくじ?」

 

「何やってるのよ?トレイニー……」

 

「あ。リムル様にユカリ様、シズ殿……つたくじ、やってみませんか?よく当たりますよ。」

 

ハクロウとゴブタの金魚すくい屋を後にした俺達は今度はトレイニーさんのつたくじ屋の前に通りかかる。

 

「…………樹妖精(ドライアド)様がお祭りでくじ引きって凄い光景だよね…………」

 

確かに。

 

「町の今後を占う意味でも一回、どうですか?」

 

「占うって言ったって……」

 

「賞品、ポテチばかりじゃない……八雲紫(わたし)が言うのもなんだけど、胡散臭いわね……」

 

「あらあら。胡散臭くありませんわ。

さぁさぁ、どうぞ。」

 

「んじゃあ………うすしおでも……当たれっ!!」

 

「キャーッ!?」

 

「あ?」

 

「ん~……」

 

俺がそう言いながら一本の蔦を引っ張った瞬間、トレイニーさんが軽く悲鳴を上げたかと思えば身悶え始める。

 

「?どうかしたんですか?」

 

「ハッ!?あ、すいません……ビックリしちゃいまして……流石は盟主様。欲張りさんなんですね。ですが、私は景品ではありませんよ。」

 

「……その蔦って身体とくっついてるんですか?」

 

「そ、そんな訳ありませんわ。」

 

明らかに動揺してる……

 

「……リムル。今、『霊能者(サイキック)』で視たらそのつたくじ、トレイニー自身の蔦と絡まってるみたいよ。」

 

「えぇぇ……」

 

ダメじゃん……

 

第三者Side

 

「むぅーん……」

 

「う~ん……うんっ!!」

 

その頃、ゲルドは『魔獣退治』という出し物をしていて、ユウマがそんなゲルドのサポートをしている。

 

「えいっ!!」

 

「むんっ!!」

 

ココブはゲルドの胸辺りに狙いをつけて、ボールを投げる。

 

が、飛距離が足りなかったのか胸までは届かず、ゲルドの足元に転がる。

 

「うっ……うぅ……」

 

「むぅ……」

 

「我に任せろ。ゲルド。」

 

泣き出しそうになるココブにゲルドが戸惑うなか、ユウマがそう言いながらボールを拾い上げる。

 

「はい♪今度は思いきり投げてみようか♪」

 

「あぁ……!うん……っ!!」

 

「ふん!!」

 

「えいっ!!」

 

ユウマに言われた通りに思いきり投げるココブ。

 

今度は(しっか)りとゲルドの胸に命中する。

 

「ふんっ!!がおーっ!!」ドスンドスン

 

「わぁぁぁ!!」ピョンピョン

 

「がおがおーっ!!」ドスンドスン

 

次の瞬間、オーバーリアクションしてみせるゲルドにココブも嬉しそうに跳び跳ねる。

 

「フフ……」

 

それを間近で見ていた父親(ユウマ)は嬉しそうに微笑むのだった。

 

[(ガガッ)………皆さん………もうすぐ『盆踊り』が………始まります。櫓のある広場に………集まって下さい。]

 

ニトリが作った遠くまで『声』を届かせる魔道具、『魔イク』による子どものアナウンスが流れるなか、ガビルは法被に着替える。

 

「シュッ!諸君!!いよいよ、我らの晴れ舞台であるぞ!!」

 

「「「おぉーっ!!」」」

 

「レッツボンダァーンスッ!!」

 

ドンッ!!ドンッ!!ヒュ~ロロロ♪ドドンッ!!ドンッ!!

 

カイジン達が作った和楽器の音に合わせ、ユカリやリムル達は櫓の周りで盆踊りをする。

 

「「「あっそぉ~れ♪あっよいしょ♪」」」

 

「よよいがよいよい♪」

 

一方で櫓の一階に設置された舞台上にいるガビルとその配下達は独創的なダンス(盆踊り)を披露していた。

 

ユカリSide

 

「リムル様!ユカリ様……っ!!」

 

暫くして踊り終わった後、ガビルがそう言いながら駆け寄ってくる。

 

「はぁ…………如何でしたかな?我輩達の踊りは………!!」

 

「あ?あぁ…………おまえら、此処にいたのか………っ!!」

 

「え!?」

 

「良かったな!皆と踊れて。楽しかったよな。」

 

「ガビーールッ!?」

 

リムル………

 

「まぁ、独創的で面白かったわよ。」

 

「ユ"ガリ"ざま"ぁぁぁっ!!」

 

「あれ?俺、なんか言葉間違えたか?」

 

「あはは……」

 

フォローする私にガビルが涙声でそう言うなか、割と真面目に首を傾げながらそう言うリムルの言葉にシズは苦笑いを浮かべるのだった。

 

第三者Side

 

「ランガ。たこ焼き、買ってきたぞ。」

 

「勿論、薄味のネギ抜きで。」

 

その頃、建物の上から祭りを見下ろしてたランガにエノコとカゲロウがそう話しかける。

 

【おぉっ!親父殿!姉上!!】

 

対するランガはそう言いながら、二人の前でふわりと着地する。

 

「熱いから気を付けて食べるんだぞ。」

 

「ハウッ!!アウッ!?アウッ!?」

 

「ちょっ、父上が言った側から……大丈夫!?」

 

「ハフハフハフハフ………クゥン。」

 

「フフ……宴も祭りも皆を一つにするのだな。」

 

【……えぇ……】

 

「そうですね。」

 

微笑みながらそう言う(エノコ)の言葉に息子(ランガ)(カゲロウ)の二人も同意するのだった。

 

ユカリSide

 

「……もう戻れない(・・・・)からこそのノスタルジー……か……」

 

「?ユカリさん、どうかしたの?」

 

盆踊りの後、山車にも乗って、皆でクロベエとカイジンの花火を見ることになった頃、ふとそう呟く私に対し、シズが首を傾げながらそう尋ねてくる。

 

「別に。ただ今日は一段と楽しいと思っただけよ。」

 

そう。楽しい……前世で両親が生きていた頃や『霊夢お姉ちゃん』が親戚達の目を盗んで連れ出してくれていた頃を思い出すくらいには。

 

「フフ……そうだね。私も楽しい。戦争が終わった後の夏祭りってこんなに楽しかったんだね。」

 

「我儘を言い出したリムルには感謝しないとね。」

 

「ありがとうね。リムルさん。」

 

「い、いやぁ~。」

 

「……お母さんにも見せてあげたかったなぁ……」

 

「シズさん……」

 

「………」

 

ヒュ~……ドォォォォォンッ!!

 

そんななか、クロベエとカイジンの花火が打ち上がり、周りから歓声が上がる。

 

「「「た~まや~!!」」」

 

「?あの、リムル様?」

 

「ユカリ様、シズ殿?」

 

「たまやとは何ですか?」

 

「あはは……何だっけ?」

 

「忘れたわ。」

 

「フフ……私も。」

 

第三者Side

 

「一気にいくべ。」

 

「「「はいっ!!」」」

 

クロベエと法被に着替えたコガサを先頭にした作業員達がそう話をし、どんどん打ち上げる花火を見て、町のテンションも上がっていく。

 

「今年の夏はコイツで……打ち止めだ……っ!!」カチッ

 

シュシュッ!!………ドドォォォォォォォォォンッ!!

 

カイジンがそう言いながらスィッチを押した瞬間、一際大きい二つの花火筒から花火が上がり、夜空にリムルの顔ユカリのスキマが花開く。

 

「ふんっ!!」

 

「お疲れ!!」

 

町中のテンションが最高峰に達するなか、クロベエとカイジンは腕を合わせる。

 

その時に着ていた二人の法被の背中……クロベエのは『玉屋』、カイジンのは『鍵屋』と書かれてあった。

 

ユカリSide

 

「祭りが終わると、町の静けさが際立つわね。」

 

「フフ……そうだね。」

 

祭りが終わり、提灯の灯りも消えた夜の町を見渡しながらそう言う私に対し、シズも笑顔でそう言う。

 

「……なぁ……」

 

「「「「「「ん?」」」」」」

 

「空って……こんなに広かったか?」

 

リムルに言われ見上げると、確かに花火の灯りも消えたことで空がより一層広く感じる。

 

「祭りは如何でしたか?リムル様、ユカリ様。」

 

「おう、リグルド!お疲れぇ~。」

 

「楽しかったわ。とても。」

 

「こんなに楽しいなら、何度でもやりたいよ。」

 

「ハハハ………そうですなぁ。では、早速次の宴の相談ですが………」

 

「え?もう次が決まってんの?」

 

「えぇ!!次も、その次も……フフ。」

 

「楽しみですね!!」

 

「早速準備致しましょう!!」

 

「………」

 

「リムルも大概だけど、リグルドやシュナ達もやっぱり我儘ね。」

 

「あはは……」




リグル=ナイトバグ

愛称:(ケイ)

見た目:東方のリグル

種族:蛍妖蟲(ホタルヨウチュウ)

所持スキル

ユニークスキル『昆虫指揮者(コンダクター)』:『虫を操る』程度の能力の発展型。蟲系魔物も操れる。

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

蛍が大量発生した夜にユカリの指に止まった幻想蛍(ミッドナイトバグ)がユカリの『式神化』を受けて、蛍妖蟲(ホタルヨウチュウ)に進化した姿。既にいるゴブリンの方のリグルとややこしくなるのを防ぐため、皆からは愛称である『(ケイ)』と呼ばれている。以降はユカリの『百鬼夜行』に所属する傍ら、ゴブイチの厨房で先輩であるペコやほぼ同期であるハイオーク、カワハチ(川-8888H)と楽しく仕事をしている。彼女が厨房入りしたことでハエ等といった虫が一切厨房に入ってこなくなったので調理班からは割と重宝されている。

ペコ

所持スキル

ユニークスキル『料理番(クイシンボウ)』:所謂絶対味覚

詳細

原作転スラの外伝グルメ漫画『ペコとリムルの料理手帖』の主人公。得に変更点はなし。強いてはケイと仲が良いくらい。
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