転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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ランの八体の式神、まだ六枠空いてます……(^∀^;)


うつろいかわる

第三者Side

 

「なんでこんな服ばっかなんだぁ~!?」

 

ある夏の日、町中をそう言いながらバニーガール姿で逃げ惑うリムルの後を女物の服を手にしたシュナとシオンが、その二人の後を顔を真っ赤にしたシズが追いかける。

 

「よくお似合いですよ。リムル様ぁ~。」

 

「まだまだこんなのとかありますよぉ~。」

 

「や~だ~っ!!」

 

「もうやめてぇーーっ!!」

 

「(ズズッ)……今日も平和ね……」

 

「ですね……」

 

そんな何時もの(?)四人を遠目で見ながら、紅茶を嗜みながらそう言うユカリに対し、ランはおかわりの紅茶を淹れながらそう言った。

 

ユカリSide

 

「という訳で、明日と明後日は『お盆休み』という町の祝日とする!!」

 

「お盆休み?何スか?それ。」

 

時を遡ること二日前のある日、私を含め皆を広場に呼び集めた後、そう宣言するリムルに対し、ゴブタは首を傾げながらそう尋ねる。

 

「うむ。お盆というのはご先祖様に感謝し、家族や一族の絆を確認する日だ。」

 

「うちは歴史の浅い町だけど、住んでる皆には各々の『歴史』があるでしょう?」

 

「おぉ……確かにな。」

 

「うむ……」

 

リムルと私からの説明にカイジンやゲルドがそう納得した声を上げる。

 

「一年に一度くらい一族や家族で宴を開いて、自分達の種族の成り立ちや家族や兄弟同士で昔話をしてみたりしてくれ。」

 

「一族で!!」

 

「宴!!」

 

「また、別々の種族でも今は同じ町で暮らす『家族』だから、自分達の過去を知ったらそれを教え合って絆を深めてみて頂戴な。」

 

リムルがそう説明し、リグルドとリグルの親子が手を合わせながら叫ぶなか、私がそう締め括ると歓声が上がる。

 

「流石リムル様にユカリ様!!」

 

「リムル様ぁ~。ユカリ様ぁ~!!」

 

「ところで、リムル様にユカリ様。『お盆』ってどういう意味ッスか?」

 

「え~と…………アレだ!お盆にたくさんの料理を乗せて、家族と楽しむ!的な!!」

 

「なるほど!なんてわかりやすいんだ!!リムル様!!」

 

因みに『お盆』とは太陰暦の七月に先祖の霊を迎え、もてなし、送るまでの行事なんだけど……ここでそれを言うのは野暮かしらね。

 

第三者Side

 

「「………」」

 

翌日のお盆休み一日目、町の西端に作られた、先の『豚頭帝(オークロード)異変』で一族郎党喰われる形で滅んでしまった魔物達を弔うための無縁塚の前にて、ユウマとゲルドの二人が手を贖罪の意を込め冥福を祈る。

 

「そろそろ良いかしら?ユウマ、ゲルド。」

 

「はい。ユカリ様。」

 

「参りましょうか。」

 

そうしてユウマとゲルドの案内で無縁塚の北側に向かって歩くこと数分後、広大で立派な日本家屋が目に入ってくる。

 

「わぁぁ~っ!!」

 

 

「如何でしょうか?ユカリ様。」

 

「良いわね。イメージ通りだわ。」

 

「あの……ユカリ様。本当に私とチェンも一緒に住んで宜しいのでしょうか?」

 

その日本家屋を見たチェンが目を輝かせ、そう尋ねるユウマにユカリがそう答えるなか、ランがそう尋ねる。

 

「えぇ。元々、貴女達二人と住むために建ててもらった家だからね。」

 

「それと急拵えですが、ユカリ様が要望なさっていた池も無事に完成しました。」

 

ゲルドがそう言いながら示す先には広大な中庭のほぼ真ん中辺りにある大きな池が目に入る。

 

「ありがとう。急にお願いしてごめんなさいね。」

 

「いえいえ……ニトリ殿が手伝ってくれたおかげでそこまで苦ではありませんでしたし。」

 

「気に入って頂けて良かったです。」

 

「ありがとう。」

 

クパァ……ドボォォォォォンッ!!

 

そう言うゲルドとユウマにそう言いながら、ユカリはスキマから夏祭りで取ってみせた巨大金魚を池に放すのだった。

 

大鬼族(オーガ)Side

 

大鬼族の里の同胞達の慰霊碑前にて、鬼人や『鬼』達+αは集まっていた。

 

お供えをし冥福の祈りを捧げた後、彼らはそこで地面に敷く用の大風呂敷を広げ、その上でシュナやカセン達が作ってきたおせちを食べ酒を呑む。

 

「うんっ………はぁ………若のお姿、亡き殿に似てきましたな……」

 

「んだ。ベニマル様、里にいた頃より、ずっと逞しく見えるだよ。」

 

「煽てるなよ。全てはリムル様とユカリ様のおかげだ。」

 

「そうね……あの方達がいたから私達は今、こうして生きて先に散って逝った同胞達(みんな)を弔われる……」

 

「だな。」

 

「だねぇ~。」

 

酒を呑んだ後、そう言うハクロウとクロベエにベニマルがそう言うなか、隣でそう言うカセンに対し、ユウギとスイカもそう言って同意する。

 

「………なぁ。ハクロウ。父上の若い頃はどのようなお人だったんだ?」

 

そんななか、ベニマルは慰霊碑の前に飾られた、途中で折れぼろぼろになった刀を見ながらそう尋ねる。

 

「………あの頃は里もまだ小さく、そして、殿は…………ホホホホホ。若とは比べ物にならんとんでもないワルでした。」

 

「え?」

 

「?そんなお話、初めて聞きました……」

 

「でしょうな。なにせお二人が産まれるずっと前の話じゃからな………ヌホホホホホホホ。」

 

ハクロウはそう言って笑った後、流れるようにカセンに視線をやる。

 

「因みに当時の奥方様の姉君、即ちカセンの母親はカセンと同様生真面目な性格での………ワルさを働いた殿を里中追いかけ回すのを何度見たことか……ヌホホホホホホホ。」

 

「その話も今、初めて知ったのですが………」

 

「私も。お母様と叔母様が姉妹だというのは知ってましたが……」

 

「ヌホホホホホホホ。」

 

「あの……本当に私もこうしてご一緒して良いのでしょうか?」

 

目を丸くしながらそう言うカセンとシュナにハクロウが笑って誤魔化すなか、コガサは若干縮こまりながらそう言う。

 

「何言ってるだ。おまえは亡き妹の忘れ形見でオラの『娘』だ……気にすることぁねぇだよ。」

 

「そうだぞ。コガサ。此処にはおまえの『主』だって眠ってるんだ……今日は一緒に呑もう。」

 

そんなコガサにクロベエが笑いながらそう言うなか、ベニマルは爽やかな笑顔でそう言いながら酒を()ぐ。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「……お兄様?」

 

「……ベニマル?」

 

「コガサは嫁にやる気はないだよ。」

 

「何の話だ!?っていうか三人とも、目がなんか怖いぞ!!?」

 

コガサが緊張からか顔を赤らめるなか、目が据わり始めるシュナとカセン、クロベエの三人に対し、ベニマルは若干振るえながらそう言う。

 

(……懐かしいですの……)

 

程なくして騒ぎ始めた四人……特にシュナとベニマル、カセンの三人を見ながら、ハクロウはふとそう思う。

 

(思えば、貴方様方も若い頃はこうやって騒ぎましたな。殿、奥方様、姉君様……)

 

ハクロウはそう思いながら空を見上げる。

 

(………そちら(・・・)にお邪魔するのはまだまだ先になりますが、若達は儂が最期まで見守ります………どうか安心して仲良くお眠り下さいませ……)

 

次の瞬間、ハクロウはそう冥福を祈るのだった。

 

第三者Side

 

「ふぅ………」

 

「どうしたでやんすか?」

 

『ブルムンド王国』のカフェにて、何時もの三人で食事している最中でふと息を吐くエレンに対し、ギドは首を傾げながらそう尋ねる。

 

「シズさん、元気にしてるかなって…………久しぶりにシズさんの夢、見たから………」

 

「そうだな………夢に関しちゃあ、俺も見た。」

 

「あっしもでやんす。」

 

「あっ………」

 

その後、食事を終えた三人は店を出て歩き出す。

 

「夢の中のシズさん、どうしてた?」

 

「んーとね……バニーの格好で、なんか魔物に追っかけられてた。」

 

「あぁ~、フッ、似合ってたな。」

 

「そういう趣味だったんでやんすかね。」

 

リムルSide

 

「っ!?」

 

「?シズさん?」

 

「どうかしたかしら?」

 

三人で食事している最中、一瞬だけ身震いしたシズさんに対し、俺とユカリはそう尋ねる。

 

「なんか…………とんでもない風評被害を受けたような………」

 

「「?」」

 

第三者Side

 

「ほぅ………『お盆』とは素晴らしい祝日だな。」

 

「はい。それと我が一族の逸れ者からこちらを。」

 

「近う寄れ。」

 

「ハッ!!」

 

シス湖に一時帰省したソーカはガビルから預かってきた完全回復薬(フルポーション)をアビルに手渡す。

 

「そうか。元気にやっているのだな……」

 

「はい。相変わらずですが、ニトリ様の支えもありイキイキと働いています。」

 

「ニトリ……あいつを追っていった元甲羅人族(タートルマン)の次期首領候補だった彼女か……そうか……彼女もまた名を得たのだったな。」

 

「名を得ただけでなくユカリ様のスキルにより妖怪『河童(カッパ)』という新たな種に進化しました。」

 

「そうだったな……彼女も元気にしていたか?」

 

「はい。今はユカリ様の配下として町の発展に貢献しながら、兄ガビルとも夫婦同然のように生活しています。」

 

「そうか……」

 

ソーカからそう報告を聞いた後、アビルはそう言いながら改めて濁りの一切ない完全回復薬(フルポーション)を見つめる。

 

「全く、あいつは………大儀であった!!」

 

「ハッ!!それでは、私はこれで……」

 

ソーカはそう言いながら町へ帰ろうとする。

 

「あぁ、待て。時にソーカ。」

 

「………」ピタッ

 

が、すぐさまアビルに呼び止められる。

 

「そなたに縁談が。そなたに縁談が……」

 

「………」

 

アビルがそう言いながら配下から幾つもの木の板を受け取るなか、振り返るソーカの目から光が消えている。

 

「ほれ!こいつなど、どうだ?」

 

アビルがそう言って見せるのは、薔薇を咥えたリザードマンの見合い絵。

 

「ご辞退願います。」

 

「んんんん!?なら…………こいつで!!」

 

「結構です。」

 

「ダメか!じゃあ、こっち!やっはぁー、いやいや、こいつもなかなか…………うーん……………あっ、えーい!もう好きなの一枚、抜いてみよー!!」

 

(これだから帰りたくなかったんだよなぁ……)

 

許嫁とはいえ、幼き頃から想い続けてきた兄ガビルを追いかけ、押しに押して今や夫婦同然のような関係まで持ってこさせたニトリの行動力を羨ましく思いながら、ソーカは密かにそう思うのだった。

 

ユカリSide

 

「え~と……何だっけ?」

 

「第一次都市計画完了。第三農園開墾。大浴場の完成。」

 

「そうだった。それとクロベエ鍛冶工房新設!ヒポクテ草栽培ノルマ達成!第6回ゴブリン邂逅蔡!…………え~と、その他諸々の記念で……………乾杯!!」

 

「「「「「かんぱぁーいっ!!」」」」」

 

『お盆休み』一日目の夜、リムルと私が宴会の開始の音頭を取るや否や、会場となった広場のあちこちから飲んで食べて騒ぐ住人達の笑い声が響き渡る。

 

「………」

 

〔〔……優花里。〕〕

 

「!?」

 

〔今まで辛い思いをさせてすまなかった……〕

 

この世界(こっち)では幸せになってね。〕

 

「今のは……っ!?」

 

そんななか、聞こえてきた懐かしい声と気配(・・・・・・・・)に思わず振り返る。

 

が、底には誰も居らず、気配ももう消えている。

 

「………」

 

まさか、世界を越えて会いに来てくれるなんて……

 

「?ユカリ?」

 

「どうかしたの?」

 

「……なんでもないわ。」

 

「「?」」

 

ありがとう。お父さん(・・・・)お母さん(・・・・)………貴方達の分も私はこの世界(こっち)で生きていく……

 

そうして翌日の冒頭の場面に戻る。

 

(……この何気ない平和をこれからも護ろう……)

 

目の前を走り去っていくリムル達四人を見送りながら、私は密かにそう思った。




割とオリジナル要素多めな『うつろいかわる』は如何でしたでしょうか(^∀^;)?

次はいよいよガゼル王の来訪です。
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