転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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ランの尾獣、残り五枠……(^∀^;)


魔物の町に注目する者達

「『豚頭帝異変(アレ)』からもう三ヶ月……本当に漸く落ち着いてきたわね……」

 

「そうだね。ユウマちゃんとゲルド達、シュナちゃんとヤマメちゃん達が頑張ってくれたおかげで町の皆に家と服が行き渡ったし。」

 

「ついこの間、上下水道も無事に完備できたとニトリから報告が出てましたね。」

 

「確か今は道路も作ってるんだっけ?」

 

「えぇ。なんでもリムルがゼネコン時代のノウハウを活かして、ユウマやゲルド達に作らせてるらしいわ。」

 

お盆も過ぎたある日、私はシズとランとそんな何気ない会話をしながら、自宅で一緒にお茶をしていた。

 

「!」

 

「?ユカリ様?」

 

「どうかしたの?」

 

「……何かが来る……数は数百……それも空から……?」

 

シュンッ×2!!

 

「ユカリ様。」

 

「緊急事態です。」

 

そんななか、私が『霊能者(サイキック)』で町に向かってくる反応を感知するのとほぼ同時のタイミングでエノコとカゲロウの二人が『影移動』で現れながらそう報告してくる。

 

「……何があったの?」

 

「数百のペガサスに騎乗した武装集団が(こちら)に向かってきております。」

 

「今はリムル様やベニマル殿、カセン殿達が対処するため、町の入り口付近に向かっております。」

 

「なら、私達は町の入り口に向かうから、エノコとカゲロウの二人はリグルドとリグルに町の住人達を避難させるように伝えて頂戴。」

 

クパァ

 

二人からの報告を聞いた後、私はそう指示しながらスキマを開く。

 

「「ハッ!!」」

 

「……ユカリさん……」

 

「?」

 

「多分だけど、それは『ドワルゴン』のガゼル王直轄の極秘部隊、『天翔騎士団(ペガサスナイツ)だよ。」

 

「!そう……」

 

そろそろだとは思ってたけど、例の覗き魔達(・・・・)の親玉が来たってことかしらね。

 

第三者Side

 

「………」

 

時を少し遡り、武装国家ドワルゴンの重役会議の場にて、三代目国王にして『英雄王』ガゼル=ドワルゴは神妙な面持ちで一通の報告書に目を通す。

 

「……ふむ……」

 

「王よ。暗部は何と?」

 

内容を理解し、蝋燭の火で報告書を焼却処分するなか、『天翔騎士団(ペガサスナイツ)』団長ドルフがそう尋ねる。

 

「……豚頭帝(オークロード)は討伐され、戦争は終結したそうだ……」

 

「「!?」」

 

「!?なんとっ!?」

 

「生き残った15万の豚頭族(オーク)は暴走することなく各地に散ったらしい……しかも猪人族(ハイオーク)に進化してな……」

 

「「「!?」」」

 

「………」

 

ガゼルの言葉にドルフと軍部の最高司令官(アドミラル・パラディン)バーン、宮廷魔導士ジェーンの三人が困惑の表情を浮かべるなか、既に内容を知っていた暗部長のアンリエッタは静かに佇む。

 

(あの『爆炎の支配者』を始め、複数の魔人達と近頃、存在が確認された『妖怪(アヤカシ)』という新種の魔物達の介入により戦争は終結。そして、それら全てが例のスライムと『スキマ妖怪』という妖怪(アヤカシ)の配下と思われる。か……)

 

そんななか、ガゼルは先程焼却処分した報告書の内容を反芻(はんすう)する。

 

(英雄である『爆炎の支配者』を始め、複数の魔人達を従え、魔物に進化をもたらす存在……此度の件、対応を誤れば国が滅ぶやもしれん……っ!!)

 

「「「………」」」

 

「……それで、どうなさるおつもりで?」

 

バーンとジェーン、アンリエッタの三人が静かに見守るなか、ドルフがそう尋ねる。

 

「……あのスライムとその背後に潜む『スキマ妖怪』とやらの“正体”、余自らの眼で見極めようではないか。」

 

次の瞬間、ガゼルは真剣な表情でそう言った。

 

ユカリSide

 

ランとシズと共にスキマで町の入り口付近に出た直後、例の『天翔騎士団(ペガサスナイツ)』とやらは下降を始める。

 

「無駄のない精練された動きね……美しいわ……」

 

「流石は騎士団ですね……」

 

「あの『英雄王』の直轄の極秘部隊だからね……敵に回すとしたら、数十万のオークより厄介だよ……」

 

「ユカリ!?ランにシズさん!!?」

 

「「ユカリ様!!」」

 

まるで一種のパレードのようなその光景に私達三人がそう言うなか、スライム態のリムルやベニマル、カセン達が遅れながらもその場に駆けつける。

 

「お先に着いてるわ、リムル。既にリグルドとリグルに町の住人達への避難指示も出しといたから。」

 

「そ、そうか……なぁ。彼らが頭上を通過する可能性は……」

 

「残念だけどそれはないかな……見るからに下降し始めてるし……」

 

「それとシズ殿が言うには今、この地に降り立とうとしているのはドワルゴンの極秘部隊らしいです。」

 

「!ドワルゴン……」

 

「ハッ……ハッ……」

 

リムルを加えた四人でそう話しているなか、リグルドから話を聞いたのだろうカイジンが息を切らしながら駆けてくる。

 

そんななか、他のよりも装飾が施されたペガサスが私達の前に降り立つ。

 

「!」

 

そのペガサスを見たカイジンは更にスピードを上げ、近くまで駆け寄るや否や跪く。

 

「お久しぶりです。王よ……」

 

「……久しいな。カイジン。それにスライム……余、いや、俺を覚えているか?」

 

カイジンにそう返しながら、ペガサスから降り立った白銀の鎧に赤いマントを羽織った大柄で体格の良いドワーフがそうリムルに話しかける。

 

なるほど……アレが『英雄王』、ガゼル=ドワルゴ……覗き魔達(・・・・)の親玉ね……

 

「それで……どのようなご用件でこのような地へ?」

 

「なに。そこにいるスライムと……先程、面妖な裂け目から『爆炎の支配者』と『九尾(キュウビ)』を引き連れて現れたそこの『スキマ妖怪』の本性を見極めにな……今日は王ではなく、一私人として来た。物々しいのは許せ。こうでもせぬと出歩けぬのでな。」

 

まぁ、一国の王様だものね。っとマズいわね。リムルや私が(けな)されたと思ったのか、鬼人や妖怪(うちの子)達が爆発寸前になっているわ。

 

「あー……今は裁判でもないし、こちらから話しかけても問題ないよな?」

 

そんななか、リムルがそうガゼル王に問いかける。

 

そういえば、カイジン達をスカウトしに行った先で向こうの大臣に因縁吹っ掛けられて裁判になったとか言ってたわね。

 

「当然だ。」

 

リムルに対するガゼル王の言葉に鬼人達が動き出す素振りを見せる。

 

が、私が右手を出して制止する。

 

「ユカリ様……」

 

「少なくとも今は私とリムル、ガゼル王の話し合いの場。無粋な手出しは不要よ。」

 

「……わかりました……」

 

「もっとも、正式なアポも取らずに大勢で押し掛けた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のはドワルゴン(そちら)なんだから、多少は目を瞑ってもらわないと(・・・・・・・・・・・・・・)……」

 

リムルと私の態度が気に障ったのか、背中に差した得物を抜こうとしている黒い鎧を着こんだ大柄な体格の黒髪のドワーフの方を見ながら、軽く魔素を解放しながらそう言う。

 

「ッ……」

 

「下がっておれ。」

 

ガゼル王の言葉に黒髪のドワーフは頭を下げながら他の配下のドワーフと共に下がる。

 

「失礼。今のはただの独り言ですのでお気になさらず……それと私には『ユカリ=テンペスト』という名前がございますので……」

 

「あぁ、それは失礼したな。ユカリよ。」

 

「いえいえ……ホホホホホ。」

 

「フフ……」

 

「えぇと……オホン。話を戻しても良いか?」

 

「あぁ。構わん。」

 

「なら、ユカリに先に自己紹介されてしまったが、改めて俺は『リムル=テンペスト』。スライムなのは確かだが、見下すのは()めてもらおう。」

 

「ほぅ……」

 

「これでもユカリと並ぶ森の盟主なんでね。」

 

「!?人間に化けたっ!?」

 

そう言いながら人化するリムルに『天翔騎士団(ペガサスナイツ)』の騎士達がどよめきだす。

 

「こっちが本性って訳じゃないが、この方が話しやすいだろ?」

 

「ほぅ……剣を使うのか……」

 

どうやらガゼル王はリムルが人化したことよりも腰に差している、豚頭魔王(オークディザスター)戦でも活躍したクロベエ作の刀の方が気になるみたいだね。

 

「そんなに警戒しないでほしいんだけどなぁ……」

 

「それを決めるのは俺だ……」

 

ガゼル王はそう言いながら自身の剣を抜き、切っ先をリムルに向ける。

 

「俺の剣で貴様らの本性を見抜いてくれるわ!!」

 

「!?王よ……っ!」

 

「なに、本気で戦った方が手っ取り早い。それに、この森の盟主などと法螺を吹く此奴(こやつ)らには分というものを教えてやらねばなるまい……」

 

「………」

 

「その剣が飾りでないなら、俺の申し出を受けるが良い!!」

 

「リムル……」

 

「リムルさん……」

 

「わかった。その申し出を受けよう。法螺吹き呼ばわりしたことを後悔させてやる!!」

 

リムルはそう言いながら、刀を引き抜き構える。

 

「リムル。今回、私は見学で良いかしら?」

 

「あぁ。シズさんと一緒に下がっててくれ。弾幕こそ飛ばないが、これは俺とガゼル王の決闘(弾幕ごっこ)だ。」

 

「ふん……」

 

「わかったわ。シズ……」

 

「うん。頑張って。リムルさん……」

 

そうして私はシズとランと共にベニマルやカセン達の側まで下がる。

 

「俺の一連の攻撃を防ぎきったら貴様の勝ちで良い。」

 

「?」

 

「但し!この剣聖ガゼル=ドワルゴの剣技を甘くみないことだ。」

 

「……わかった……」

 

ヒュウウウ

 

「では、立会人は私が行いましょう。」

 

そんななか、風と共にトレイニーがその場に現れる。

 

「!?まさか……樹妖精(ドライアド)!?」

 

「ふはっ、ふはははははははっ!!そういうことかっ!法螺吹き呼ばわりしたことは謝罪するぞ!リムル、ユカリよ!!それに朧気ながら事情は読めたわ!!」

 

口元にマスクをした女性の後ろにいる魔法使いみたいな格好をしたお婆ちゃんがそう困惑の声を上げるなか、ガゼル王は高笑いしながらそう謝罪と訂正をする。

 

「じゃあ……っ!!」

 

「だが、貴様らの人となりを知ることとは別の話だ。」

 

「えぇ……?」

 

「立会人も決まった以上、後はただ剣を交えるのみ!!」

 

「……あぁ、サクッと勝ってこの状況、キッチリ説明してもらうからな……っ!!」

 

「ふんっ、俺に勝てたらなら答えてやるさ。」

 

「それでは!始めっ!!」

 

トレイニーの開始の合図と共にリムルが最初に踏み込み、ガゼル王に斬りかかる。

 

ガキィィィンッ!!

 

が、ガゼル王は落ち着いた様子でリムルの刀を受け止める。

 

ガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキィィィンッ!!

 

その後、リムルはスピードを上げ、色々な角度から斬り込むも、ガゼル王はその場から動くことなく受け流していく。

 

「ッ……強い……」

 

「ガゼル王はその昔、『剣鬼』と云われる達人に教えを請い、その剣技を以て『英雄王』とまで謳われるお方だ……生半可な剣技じゃ太刀打ちできねぇ……」

 

「……『剣鬼』……ねぇ……」

 

そんなガゼル王を見ながらシズとカイジンがそう言うなか、私はそう言いながら自ら気配を完全に消して見学している『ある人物』を見る。

 

私の視線に気付いたその人物は楽しそうな顔で『黙っていてくれ』とジェスチャーしてくる。

 

……この場で一番の食わせ者は彼じゃないかしら。

 

「どうした?貴様の力はその程度なのか?リムルよ。」

 

「うっさいっ!まだ本気を出してないだけだし!!慌てるなっ!!」

 

途中、そう言って挑発してくるガゼル王に対し、リムルはそう言いながら刀を構え直す。

 

「フッ……」

 

「!?」

 

そんななか、ガゼル王が小さく笑った瞬間、彼の威圧感が増してリムルの動きが止まる。

 

「ってこれ、私にも何らかのスキルを掛けている?」

 

「ユカリさん!?」

 

『ふむ。これはガゼル王のエクストラスキル『英雄覇気』ね。対象を萎縮させて屈服させるスキルよ。』

 

リムルとほぼ同時に動けなくなった私にシズがそう言うなか、『紫様』がそう教えてくれる。

 

「フッ……」

 

そんななか、ガゼル王が私の方を見て、ニヤリと笑っている。

 

「なんかムカつくわね。」

 

対する私はそう言いながら、ガゼル王の『英雄覇気』を押し返す。

 

「!ほぅ……」

 

『流石ね。主人格(ぬし)様。『英雄覇気』は気合いで破るのが正解よ。』

 

「うおおおおおおおおおっ!!」

 

私が自身の『英雄覇気』を押し返したのを見たガゼル王がそう感心の声を上げ、『紫様』がそう言うなか、私と同じように『大賢者』から対処法を聞いたのだろうリムルも声を上げながら気合いでガゼル王の『英雄覇気』を押し返す。

 

「……解けたぞ。」

 

「……そうこなくてはな……」

 

リムルも自分の『英雄覇気』を破ったのを見て、ガゼル王は楽しげにそう言う。

 

「では、今度はこちらからいくぞ……」

 

次の瞬間、ガゼル王はそう言いながら構える。

 

「?あの構え……なんか見覚えがあるような……」

 

「やっぱりね……」

 

「行くぞっ!リムル!!『朧・地天轟雷』!!」

 

……フッ……

 

その構えを見たシズと私がそう言うなか、ガゼル王がそう言った瞬間、ガゼル王の姿がその場から消える。

 

「ッ!!」

 

次の瞬間、下から迫ってくる剣をリムルは後ろに下がることでかわし、

 

ガキィィィンッ!!

 

上から振り下ろされた剣をリムルは横に構えた刀の腹で受け止める。

 

「ハハ……クロベエ作の刀じゃなかったら、真っ二つだったな……」

 

「……フッ……ふはははははははっ!!

此奴め、俺の剣を受け止めよったわ!!」

 

「そこまで!勝者、リムル=テンペスト!!」

 

ワァァァーッ!!

 

自身の剣が受け止められたことにガゼル王が高笑いを上げ、トレイニーが勝利宣言をした瞬間、ベニマルやカセン達の方から歓声が上がる。

 

「剣を交えてよくわかった。

おまえは邪悪な存在ではない。」

 

納刀した後、ガゼル王はそう言いながら先程の『英雄覇気』で軽く吹き飛ばしてしまった『抗魔の仮面』を拾い上げ、リムルに手渡す。

 

「それにしても、よく俺の『朧・地天轟雷』を見切ったものだ……見事だったぞ。リムル。」

 

「偶然だよ。その技、師匠が使っていた技で、訓練でよく打ちのめされてたんだ。」

 

「なんだと?もしや、その師匠というのは……」

 

「ホッホッホッ……お見事でしたな。リムル様……」

 

ガゼル王とリムルがそう話しているなか、ハクロウが笑顔でそうリムルに話しかける。

 

「!?『剣鬼』殿……失礼ながら剣鬼殿ではないですか?」

 

「いやはや森に迷い込んでいたあの時の小僧が見違えましたぞ。っとこれは失敬。ドワーフ王。儂以上の剣士になられたようで重畳(ちょうじょう)ですじゃ。」

 

「剣鬼殿にそう言って頂けるとは……」

 

【え?どゆこと?】

 

【ガゼル王は貴方の兄弟子だったということよ。リムル。】

 

「さぁ、案内してくれ。リムル!ユカリ!!」バンッ!!

 

「ッ!?」

 

「上空から見た限りじゃ美しい町並みだったぞ。美味い酒くらいはあるだろう?」

 

「あら?私とは良いのかしら?」

 

「フッ……剣を扱うのならともかくそうでないなら、幾ら強者と云えども女児に向ける刃は持ち合わせてなくてな……『英雄覇気』を破った時点でおまえとは終いだ。」

 

「そう……それなら私は楽だから別に良いけど……」

 

「なんか裁判の時より軽くない?」

 

「なぁに、こっちが素よ。」

 

「まぁ、一国の王となると色々と大変よね。」

 

「そういうことだ。ユカリはわかっておる。」

 

そうして私達はガゼル王の一行を案内することにした。

 

が、この時の私達はまだ気付いていなかった。

 

豚頭帝(オークロード)を倒したことで注目しているのはドワルゴンだけではないことに。

 

第三者Side

 

「なんだと!?では、豚頭帝(オークロード)を魔王化させるという計画はどうなるのだ?」

 

その頃、クレイマンの居城にある応接間にて、プラチナピンクのツインテールの少女がテーブルに身を乗りだしながらそう尋ねる。

 

「ですから『ミリム』。豚頭帝(オークロード)も発案者であるゲルミュッドも死んだ以上、この計画は白紙に戻すしかないでしょう?」

 

「ッ……久々に新しい魔王(オモチャ)が産まれると思ったのに………つまらぬのだぁっ!!!」

 

ガッシャーンッ!!

 

クレイマンからの説明に『ミリム』と呼ばれた少女は癇癪(かんしゃく)を起こしたのか、そう言いながら客人用に出された紅茶入りティーカップを壁に投げつけて叩き割る。

 

「一体何処のどいつなのだっ!?

豚頭帝(オークロード)を倒したのはっ!!?」

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