ユカリSide
「なるほど……
「国の敵となるか、味方となるか、それを見極めるためにな……」
ガゼル王の一行が来たその日の夜、宴会の場にて、そう言うリムルに対し、ガゼル王はそう言う。
いくら
場合によっては『勝った方が
私がそう思っているなか、ガゼル王は魔物の危険度についても教えてくれた。
「魔物の危険度か……」
「大まかな区分だがな。下から
私達が倒した時は魔王に進化していたけど……
「なぁ。魔王はどの辺に区分されるんだ?」
「魔王なら
一部には更に上の
「あら。更に上もいるのね。」
「いつの間にかいなくなっていた暴風竜ヴェルドラがそれに該当するな。あれはまさに天災そのもの……」
あぁ、そういえば昔、うっかり町を灰にしたこともあるって言ってたわね。ヴェルドラ……
「
「出さないって。」
【シズとツカサを苦しめたレオン以外は、かしら?】
【流石ユカリ。よくわかってるじゃん。】
「因みに俺達はどの辺に区分されるんだ?」
「ふむ……町を作る魔物の集団など前代未聞だからな。その知性の高さから考えても
まぁ、そうなるわよね。
「……リムル、ユカリよ。聞きたいことがある。」
「「?」」
「俺と盟約を結ぶ気はないか?」
そんななか、ガゼル王が真剣な表情でそう提案してくる。
「今後、おまえ達がこの『ジュラの大森林』の全てを手中に収めれば、絶大な“力”と富を手に入れられよう……後ろ楯となる国があれば色々と便利だぞ。」
「願ってもない話だけど……」
「それって
「無論だ。
それにこの話は双方にとっても利益がある。」
首を傾げながらそう尋ねるリムルと私に対し、ガゼル王は真剣な表情でそう言う。
「条件は二つ。
一つは『国家の危機に際しての相互協力』。
もう一つは『相互技術提供の確約』だ。」
「なるほど……」
【リムル。この話、受けた方が良くないかしら?】
【だな。】
「わかった。その話、喜んで受けようと思う。」
「これからもよろしくね。ガゼル王。」
「うむ……それでこそ、王者に相応しき決断だ。
して、おまえ達の国は何と言う?」
ガゼル王がそう尋ねると、シズやベニマル達が「そういえば……」と言いたげな表情でこっちを見つめてくる。
【どうする!?ユカリ!俺、国の名前なんて考えてなかったんだけど!!?】
【落ち着きなさい。リムル。とりあえず名付けと同じ感覚で考えれば良いと思うわ。】
【そ、そうか……えーと、『ジュラの大森林』と俺達の名前の『テンペスト』から取って……】
「『ジュラ・テンペスト……
「『
「ついでにこの町の名前は『リムル』でどうかしら?」
「ハッ!?ちょっ、ユカリ、おまっ……!?」
「おぉっ!!」
「流石リムル様にユカリ様!!」
「では!国の名前は『
「えぇっ!?」
「『中央都市リムル』です!!」
「いやいや!ちょっと……っ!?」
「中央都市リムル!それしかありません!!」
「そうだな。我らの町に相応しい名だ。」
「あはは……」
「くっ……ユカリ……おまえぇ~……っ!!」
「………」
「決まりだな……」
シズが苦笑いを浮かべ、リムルの恨みの籠った視線を受け流しながら酒を堪能するなか、ガゼル王がそう言いながら立ち上がり握手を求める。
「……あぁ……っ!!」
ガゼル王の差し出した手をリムルがそう言いながら握り返した瞬間、その場が拍手で包まれる。
こうして多種族共生国家『
翌日、昨晩の料理と酒が絶品だったこともあり、ガゼル王は大変満足した様子で帰っていったのだった。
「来てやったぞ!!リムル!ユカリよ!!」
「……随分と早い再訪ね?」
「今度は何の用なんだよ?しかも一人で……」
が、その二日後、今度は一人で来たガゼル王に私とリムルは思わずツッコミを入れる。
「今日はおまえ達に土産を持ってきたんだ。」
ドサッ!!
対するガゼル王はそう言いながら、担いでいた麻袋を私達の前に
「えぇっ!?」
「ベスターじゃねぇかっ!?」
「うぅ~……」ブクブク
「?誰?」
その中に入っていた、見るからに泡吹いて気絶していたちょび髭で細身のドワーフを見てリムルとカイジンがそう困惑の声を上げるなか、私は首を傾げながらそう尋ねる。
「あ、そっか。ユカリは初めて会うんだったな。実は―――」
リムルSide
「なるほど……つまり、こいつはリムルやカイジン達に裁判で因縁吹っ掛けて重罪人にしようとした屑と………生ゴミの処理なら他所にお願いしなさいよ。」
俺からドワルゴンでの裁判の一件の説明を聞いた後、ユカリは今まで以上に冷ややかな目を気絶しているベスターに向けながらそうガゼル王に言う。
おいおい。そんなドストレートに……
「まぁ、そう言ってやるな。ユカリ。確かにこいつは裁判でやらかし結果、大臣の任を解かれはしたが、有能な研究者なのには変わりない。人間性に至っても
ハッ!?ベスター、あの後、大臣をクビになってたの!?
「だったら、
「そうもいかん。公正な裁判の場で王宮への立ち入りを禁じたからな。実績もなくその裁定を撤回し俺に仕えるのを赦す訳にはいかんのだ。」
「はぁぁ……それで
「そういうことだ。好きに使うが良い。」
な、なんかユカリとガゼル王の間だけで話が進んでるような……
「しかし、王よ。それではベスター殿の技術が
「一番最初に流出していった奴が今更何を言う?」
確かに……カイジンは元は工作部隊の団長を任される程の技術者だもんな。
「そ、それは……」
「そのための盟約よ。おまえ達のこの地を、まだ見ぬ技術の最先端にしてみせよ!!」
「う……うぅ……」
「ベスターよ。」
「!?は、はいっ!!」
「貴様の本分を活かし、腐ることなくここで精一杯に生きてみせよ。」
「ッ……ハッ。今度こそ……今度こそ、ご期待に応えてご覧にみせます……っ!!」
ベスターはそう言った後、俺とカイジンに向き直る。
「リムル殿、カイジン殿………すまなかった……許されるなら、ここで働かせてもらえないだろうか……」
「……優秀な技術者が来てくれるのは心強いってもんだ。旦那、姐さん。何かあれば、俺が責任を取ります。ここは俺の顔に免じて、こいつを許してやっちゃくれませんか?」
「カイジン殿………」
「カイジンが良いなら、俺達は問題ないよ……なっ?ユカリ。」
「……好きになさい。但し、ふざけた真似したら即刻森の中に放り出すからね。」
「おいおい……」
「ハハァッ!!」
「では、さらばだっ!!」
相変わらずなユカリに俺が呆れ混じりにそう言うなか、ガゼル王はそう言いながらペガサスに跨がり、
「で、これで漸く落ち着いたかしら?」
「そうだなぁ……」
この時の俺達はまだ知らなかった。
文字通りの『天災』が迫ってきていることに……