ユカリSide
「リムル……わかったわ……」
クパァ
私はそう言いながらスキマを使い、深くなったクレーターの外側にいるリムル達と合流する。
「ほい。回復薬だ。」
「ありがとう。」
「リムル様……」
「大丈夫なの?」
「まぁ、『諦めたらそこで試合終了』だからな。
やるだけやってみるさ。」
「なんだ?まだ遊びたいのか?……良いだろう。もっと遊んでやるのだ。」
ベニマルとシズにリムルがそう言うなか、魔王ミリムは狂気的な笑みでそう言いながら損傷した袖を修復する。
「自信があるなら、俺の一撃を受けてみるか?」
そんな魔王ミリムに対し、リムルはそう言いながらクレーター内へと降りていく。
「ワッハハハハハッ!!面白い!受けて立つのだ!!但しそれが通用しなければ、おまえ達はワタシの部下になると約束するのだぞ?」
「わかった。なら、遠慮なく……」
リムルはそう言いながら、右掌の上に黄金に輝く液体を凝縮させる。
ってアレって……
「食らえぇぇぇぇっ!!」
私がそう思っているなか、リムルは凝縮させたその液体を魔王ミリムの口内へと押し込み通り過ぎる。
「!!?な、何なのだ!?これは!?こんな美味しいもの、今まで食べたことないのだ!!」
暫くした後、魔王ミリムは先程とは打って変わって目を輝かせながらそう叫ぶ。
やっぱりアレ、アピトに取ってきてもらった蜂蜜のようね。
「~~~!!」ペロペロ
「どうした?魔王ミリム。」
「ハッ!?」
「ここで俺の勝ちを認めるなら、更にコレをやっても良いんだが……」
夢中で自分の口の周りを舐めていた魔王ミリムに対し、リムルはそう言いながら新たな蜂蜜を取り出す。
「欲しい!!あぁ、だがしかし、負けを認めれば『魔王』としての威厳がぁ……っ!!」
「う~ん!美味しい!!」
「あぁっ!?」
「「「「「「「【………】」」」」」」」
「おぉーっと!?もう無くなりそうだぁー。」
「ま、待つのだ!提案がある!!
引き分け!引き分けでどうだ!?
今回の件、全て不問にするのだっ!!」
「……ほほぅ?」
「も、勿論!それだけではないのだ!!今後、おまえ達に手出ししないと誓おうではないか!!」
堕ちたわね、魔王ミリム。
「……良いだろう。その条件を飲もう!!」
「おぉっ!!」
「じゃあ、今回は引き分けってことで。」
「わぁぁ……っ!!」
一瞬だけ悪い顔をしたリムルはそう言いながら蜂蜜が入った小瓶を手渡し、魔王ミリムは心底嬉しそうにソレを受け取る。
まさか、蜂蜜が(“力”だけ)凶悪な『魔王』との戦いに終止符を打つとはね。
リムルSide
「「「「「「【………】」」」」」」
「あ~ん♪美味しいぃ~♪美味しいのだぁ~♪」
あの後、場所を移動し、ベニマルやシズさん達が見守るなか、魔王ミリムはそう言いながら俺から貰った蜂蜜を堪能する。
「それは良かったな。」
これ以上、面倒なことになる前に帰ってくれないかなぁ……
クパァ
「あら?まだいたのね。」
スライム態になった俺がそう思いながら相槌を打つなか、近くに開いたスキマからユカリがそう言いながら現れる。
「おぉっ!ユカリ!!
今まで何処に行ってたのだ?」
「着替えてたのよ。傷はリムルの回復薬で治せたけど、服は誰かさんのせいでぼろぼろになったんだから。」
笑顔でそう尋ねる魔王ミリムにジト目でそう答えるユカリの格好はZUN帽にフリルドレスと道士風前掛けはそのままだが、色が濃くなっている……所謂2Pカラーってやつになっていた。
「ワッハハハハハッ!!なぁなぁ。おまえ達は『魔王』になろうとはしないのか?」
「しねーよ。」
「さっきも言ったようにお断りするわよ。
めんどくさい。」
「えぇ~?だって『魔王』だぞ?カッコいいだろ?憧れたりするだろ?」
「しないって。」
「しないわね。」
「え?」
「「え?」」
「えぇ~?じゃあ、何を楽しみに生きてるのだ?」
「そりゃあ色々だよ。
やること多くて忙しいんだ。」
「答えを変える気はないけど、『魔王』になったら何か良いことでもあるのかしら?」
「強い奴が向こうから喧嘩しに来るのだ……楽しいぞ?」
「そういうのは間に合ってるんで。」
「同じく。喧嘩以外でのメリットはないのかしら?」
「……ないけど……魔人や人間に威張れるんだぞぉ?」
「……それってさぁ……」
「退屈じゃないかしら?」
「はぅあっ!?」
あ。ユカリの言う通り、退屈してたな。こいつ。
「そろそろ良いんじゃないかしら?リムル。」
「あぁ、そうだな……じゃあ、気を付けて帰れよ」
「待つのだ!!」
「うぇっ!?」
「あら?」
「さてはおまえ達、『魔王』になるよりも面白いことをしているなっ!?」
ユカリ達と一緒に帰ろうとした俺を魔王ミリムがそう言いながら捕まえる。
「ズルいのだ!教えるのだ!そして、ワタシも仲間に入れろ!!町に連れてけ!!」
「駄々っ子かよ!?」
「はぁ……わかったわよ。町には案内するけどその代わり、私とリムルのことは『ユカリさん』、『リムルさん』と呼びなさいね。」
「ふざけるな。逆なのだ。おまえ達がワタシを『ミリム様』と呼べ。」
「じゃあ、こうしよう。俺達はおまえを『ミリム』と呼ぶ。おまえは俺達を『リムル』、『ユカリ』と呼べば良い。どうだ?」
ユカリSide
「……わかったのだ。だが、特別だぞ?今までワタシを『ミリム』と呼んで良いのは仲間の魔王達だけだったのだ。」
リムルが出した折衷案に対し、ミリムはそっぽを向きながら渋々了承する。
【ソウエイ。すぐにミリムのことをリグルドに報せてきなさい。】
【御意。】
「じゃあ、俺達も今日から『友達』だな。」
「う……うむ……」
「じゃあ町を案内するけど、私達の許可なく暴れないようにね。」
「うむ!勿論なのだ!!約束だぞ!ユカリ!リムル!!ワッハハハハハハハ!!」
「おやぁ?」
「「「「「「「【あ。】」」」」」」」
「あ?」
「
「ふんっ!!」
ドカァァァァァァァンッ!!
そんななか、失礼な物言い込みで現れたガビルをミリムが問答無用で殴り飛ばす。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
殴られたガビルは石畳を破壊しながら転がっていく。
「「「「「【………】」」」」」
「ああ……」
「誰が『チビっ娘』だ!?
ブチ殺されたいのか!!?」
「……『暴れるな』って言ったばっかなのに……」
「まぁ、ガビルの自業自得ね。」
「良いか!?ワタシは今、凄く気分が良い!
だから、これぐらいで許してやるのだ!!
次からは気を付けるのだぞ!!!」
「ぶははっ!?親父殿が川の向こうで手を振ってるのが視えましたぞ。後、小舟の近くで手招きする大鎌を持った、赤髪ツインテールのお嬢さんも。」
「
「っていうかそれ、確実に三途川を渡りかけてるじゃない。よく引き返してこれたわね?」
「あ。それでそちらのチビっ娘」
「あぁ?」
「おっと、お嬢さんは一体……?」
「こいつはミリム。」
「なんでも『魔王』の一人らしいわよ。」
「『魔王』ですとぉーっ!!?」
うん。そう叫びたくなる気持ちはわかる。
「あのな、ミリム。いくら怒っていても、すぐに殴ったりしたらダメだぞ。」
「むぅ………ワタシを怒らせる方が悪いのだ。それに、あの位は挨拶の内だぞ。」
まぁ、『幻想郷』ならそうかも……
「殴り合いは挨拶じゃないんで、それは禁止で。」
「むぅ……っ!!」
私がそう思っているなか、そう言うリムルの言葉にミリムは少し不満げに頬を膨らませる。
その後、改めて町の皆にミリムを紹介することに。
「新しい仲間を紹介する。」
「って言っても扱いは客人だから、丁寧親切に対応して頂戴。」
「ミリム=ナーヴァだ!!」
「まさか、魔王ミリム……っ!?」
「おぉ……ご尊顔を初めて拝謁致しましたぞ!!」
「流石はリムル様とユカリ様ッス……!!」
「あの暴君とああも親しげに……っ!!これでこの
どうやらミリムは人気のある有名な魔王だったようね。
っていうかリグルド、泣きすぎでしょ。
「今日からここに住むことになった。
よろしくなのだ!!」
「「え?」」
「「「「「うおおおおおおおおおっ!!」」」」」
そんななか、ミリムのまさかの発言に私とリムルはそう呆けた声を上げ、住人達から歓声が上がる。
「ちょっと待て。『住む』ってなんだ?」
「?言葉通りの意味だぞ?
ワタシもここに住むことにしたのだ。」
「貴女、今、住んでる場所はどうするのよ?」
「たまに帰れば問題ないのだ。」
そういうものかしら?
「……ま、まぁ、本人がそう言ってるので。」
「皆もそのつもりで対応して頂戴。」
「「「「「うおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
「うむ!リムルとユカリとワタシは友達だから、何かあれば頼ってくれて良いのだ!!」
「……魔王と友達か……」
「そうだな。友達というのは変だな。」
「あ………聞こえてた?」
「思いきり聞こえてたわよ。」
「え~と……友達というより……」
「あ?」
「ん?」
「
次の瞬間、ミリムはそう言いながら片手でスライム態のリムルを持ち上げ、もう片方の手で私の片手を掴み上げながら笑顔でそう宣言する。
「「「「「うおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
「マブダチ!?」
「違うのか!?」
リムルの叫びにミリムはリムルを見ながら涙目になる。
「マブダチ!マブダチ!
皆!俺達三人はマブダチ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおっ!!
マッブダチ!!マッブダチ!!」」」」」
「だろ?おまえも驚かせるのが上手いな。」
「はぁ……まぁ、これからよろしくね。ミリム。」
「うむ!よろしくなのだ!!」
こうして最も危険な『魔王』が
後でクロベエとコガサに日傘と扇子の新調もとい魔改造を頼まないと……