転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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次に出てくる妖怪はあの子達です。


狐と猫と(ぬえ)

「グルルル……ッ!!」

 

「ニャア……」

 

「グルル……ッ!!」

 

『封印の洞窟』がある『ジュラの大森林』内にある湖の近くにて、金の毛色に九本の尾を持つヒグマ程の大きさのある狐が小さな黒猫、否、魔猫を背後に庇いながら、猿の頭部に虎の四肢、狸の胴体に蛇の尾を持つ合成魔獣『キメラ』を相手に威嚇している。

 

「やるな……俺らの護衛として連れてきた、下位悪魔(レッサーデーモン)を受肉させた二匹の戦闘用キメラの内の一匹をやるとはな……流石は九頭獣(ナインヘッド)って所か……」

 

そんな狐…九頭獣に対し、キメラの背後で下衆な笑みを浮かべていた複数の男達の内の一人が既に息絶えている、曲がった角に虎のような牙を持つ人間の頭部に羊の胴体、四肢の先は(ひづめ)ではなく人間の手足のようになっている戦闘用キメラの遺骸を見ながらそう言う。

 

「おい。後ろの弱い魔猫は喰って良いが、九頭獣は殺るなよ?折角の稀少な獲物だからな。」

 

「ガアアアアアアアッ!!」

 

一人の男の命令を受けた戦闘用キメラは雄叫びを上げながら九頭獣に飛び掛かろうとする。

 

クパァ

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

が、その爪と牙が九頭獣に迫る直前、『奥から沢山の不気味な目が覗いた』空間の裂け目…スキマが現れ、戦闘用キメラはその中に呑み込まれ閉じてしまう。

 

「まったく……ミズチと一緒に水汲みに来たら、嫌な場面に出会(でくわ)したわね……」

 

次の瞬間、茂みの中からユカリがそう言いながらミズチと共に出てくる。

 

「おいおい。マジかよ。今日はラッキーデーか?九頭獣だけでなくこんな上玉が二人も見つかるなんてな……っ!!」

 

「ユカリ様。あの愚物共……始末しますか?」

 

「……リムルはまだ向こうでスキルの練習中よね?」

 

「はい。」

 

「なら、私が殺るわ。貴女はリムルに気付かれないようにスキルで偽装だけして頂戴。」

 

「御意。」

 

ミズチにそう命じた後、ユカリは複数の男…密漁者達と対峙する。

 

「その顔……嫌なことを思い出させるわね……」

 

そう言うユカリが思い起こすは前世で自身を虐げてきた親戚達……その中でも特に女子高生になった自分に肉体関係を強要しようとした父方の叔父の顔が、ユカリには現在、自分の身体を舐め回すように見ている密漁者達の顔と重なって視えていた。

 

「ハッ。なかなか生意気な口を聞く嬢ちゃんじゃッ!?」

 

「「「「!?」」」」

 

「………」

 

次の瞬間、ユカリが発する強大な妖気(オーラ)と殺気に密漁者達は一瞬で言葉を失う。

 

「冥土の土産に貴方達にプレゼントをしてあげる……地獄への片道乗車券(キップ)を……」

 

「ッ!?」

 

そう言いながらスキルで具現化させたカード…『スペルカード』を手にするユカリの姿に密漁者達はすぐさま逃げようとする。

 

「「「「「!?」」」」」

 

が、いつの間にか出ていた小さなスキマに両足を取られ、全員その場から動けなくなってしまう。

 

「恨むなら、心優しいリムルじゃなく『人間嫌い』な妖怪(わたし)に遭った自分達の『不運(アンラッキー)』を恨みなさい。」

 

「て、てめぇ……一体……」

 

「スペルカード!廃線『ぶらり廃駅下車の旅』!!」

 

クパァ……プアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!

 

次の瞬間、強大なスキマが開かれ、そこから巨大な四角い鉄の塊(廃電車)が密漁者達に一直線に向かっていく。

 

「なにも」

 

プアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!

 

リーダー格だったその男の言葉の最中、鉄の塊(廃電車)は密漁者達の『命』を乗せ、次のスキマの中へと消えていった。

 

リムルside

 

「?なぁ。今、凄い音がしたと思うんだが……」

 

『否。気のせいであると思われます。』

 

スキルの練習中、首を傾げながらそう尋ねる俺に対し、『大賢者』はそう答える。

 

「ならいいか……」

 

食糧探しと水汲みに行ったユカリ達……まだ戻ってこないかな……

 

※『大賢者』は気付いてますが、相手が密漁者なので黙っています。by作者

 

ユカリside

 

「さてと、屑共の遺骸は一旦スキマに片付けたのは良いとして……次はこっちね。」

 

『ぶらり廃駅下車の旅』で轢殺(れきさつ)した屑共や既に息絶えていたキメラの遺骸をスキマで回収した後、私はそう言いながら奴らと戦っていた九頭獣と魔猫の方を見る。

 

「グルル……ッ!!」

 

「ニャア……」

 

あらら。警戒されてるわね。無理もないけど。

 

「安心して頂戴。見た目は少女(こんな)だけど、私も貴女達と同じよ。」スッ

 

私はそう言いながらヒトガタを取り出す。狐と猫なら丁度良い組み合わせね。

 

「治療してあげるわ。それに今より強くもしてあげる。無論、タダではないけど……どうする?」

 

「………」

 

私がそう持ちかけると、九頭獣は大人しくなる。

 

「交渉成立ね……なら、心優しい狐の魔獣よ。私と式神の契約を結び、生まれ変わりなさい……『(ラン)』!!」

 

パァァァ……

 

私がそう言いながら『式神化』を使った瞬間、私の“力”を受けたヒトガタが光り輝きながら九頭獣の額に貼らさり九頭獣の姿を光で包みながら変えていく。

 

〈確認しました。個体名『ラン』は九頭獣から妖怪『九尾(キュウビ)』へと進化……成功しました。〉

 

パキィィィンッ!!

 

次の瞬間、そう言う『世界の言葉』と共に九頭獣改めランは金髪のショーボブに二本の尖りがあるZUN帽、ゆったりとした白い長袖ロングスカートに青い前掛けがある服を着た美少女へと姿を変えた。

 

「!?これが今の私の姿……以前(まえ)より“力”が漲るのを感じます……っ!!」

 

「ニャア~♪」

 

「さてとラン。貴女が護っていたその魔猫()は貴女の式にしなさい。」

 

「私の式にですか?」

 

「貴女にも私と同じ『式神使い』のスキルが備わってるからできる筈よ。」

 

「……わかりました……」

 

第三者side

 

「わぁーい♪ありがとうございます♪ラン(しゃま)ぁ~♪」

 

「新しい妖怪(なかま)がまた二人増えましたね。ユカリ様。」

 

その後、ランの『式神化』によって茶髪のショートヘアに緑色のZUN帽、赤と白のリボン付きの長袖ワンピース、ピアスの付いた黒い猫耳と同色の二本の猫の尾を持つ少女へと姿を変えた元魔猫、チェンがそう言いながらはしゃぐなか、ミズチはそうユカリにそう言う。

 

尚、チェンは魔猫から妖怪『猫又(ネコマタ)』に進化している。

 

「あら?もう一人(・・・・)増えるわよ?」

 

クパァ

 

「………」

 

「!?こいつ……っ!!」

 

「ラン様……っ!!」

 

対するユカリはそう言いながら密漁者達を轢殺する前にスキマ送りにしたキメラを解放する。

 

「………」

 

解放されたキメラは先程とは違い、大人しくしている。

 

「どうやら受肉している下位悪魔が勝てないと判断したみたみたいね……私に忠誠を誓うなら、強くしてあげるわ……どうする?」

 

「………」

 

ユカリがそう持ちかけると、キメラは了承したと言わんばかりに伏せの姿勢を取る。

 

「決まりね。視たところ、下位悪魔だけでなく合成で犠牲になった魔物達の魂も乱雑して宿っているようね……まぁ、複数の魂が苦しんだ状態で一つの身体に宿ってしまっているから通常の合成魔獣(キメラ)は暴走してしまう……だから、下位悪魔を受肉させて、制御しようとしたって所かしら……」

 

ユカリはそう言いながらヒトガタを取り出す。

 

「先ずは『陰陽道』で下位悪魔以外の魔物達の魂の苦しみを取り除き、『妖怪賢者(ヤクモユカリ)』で複数の魂の『境界』を曖昧にする……」

 

「………」

 

「さぁ、哀れなキメラに宿る魂達よ。下位悪魔を中心に一つとなり、私と式神の契約を結び生まれ変わりなさい……『ヌエ』!!」

 

〈確認しました。個体名『ヌエ』は合成魔獣から妖怪『(ヌエ)』に進化……成功しました。〉

 

パキィィィンッ!!

 

次の瞬間、キメラは右側の後ろ髪だけ外に跳ねた黒髪のショートボブに裾に赤い渦巻型の模様がある黒地のミニスカワンピース、胸元には赤いリボンを付け、黒いニーソックスを履き、背中には三対の赤い鎌のような右翼と青いグネグネした矢印状の左翼を持つ少女の姿へと変わる。

 

「『我ら』の苦しみを払い、新たな“力”と姿を授けて下さり感謝します……ユカリ様。それとラン、チェン。命じられたとはいえ、先程はすまなかった。」

 

妖怪『鵺』に進化した後、キメラ改めヌエは片膝を着き腕に蛇が巻き付いているその手に持った黒いトライデントを立てながらユカリに感謝の意を示した後、その赤い瞳で二人を見ながら改めてそう謝罪する。

 

「ラン様……」

 

「……先程のユカリ様の発言からおまえ()も『被害者』なのはわかっているからもういい……これからは同じユカリ様の式として共に頑張ろう。」

 

「ッ……ユカリ様とこの槍に誓って!!」

 

「それじゃあスキマで水を汲んで、リムルの元へ戻りましょうか。」

 

「「「「はっ!ユカリ様!!」」」」

 

こうして新たに三人の妖怪(なかま)が加わったのだった。




ラン

見た目:東方の八雲藍

種族:妖怪『九尾(キュウビ)

所持スキル

エクストラスキル『狐火』

ユニークスキル『尾獣(ビジュウ)』:後に出てくる(予定の)クマラと同じ。後述の『式神使い』で強化予定

ユニークスキル『式神使い』:ユカリと同じだが精度は低い。

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

東の帝国からの侵攻を受けた故郷から『ジュラの大森林』まで逃げ延びた後、偶々密漁者達に狙われた魔猫(後のチェン)を見掛け、助けようとして密漁者達の操る二体のキメラと戦っていた九頭獣(ナインヘッド)。自分達を助け更には新たな種へと進化させてくれたユカリに恩義を感じ忠誠を誓う。ユカリの口から語られたキメラ誕生の経緯を知ったことでヌエとはすぐに和解した。後にユカリの第一秘書になるが、ミズチとはその座を巡って度々争うことに……(汗)ユカリからの勧めで自らの式にしたチェンのことを妹のように大切にしている。現在はクレイマンの配下になっているクマラの実の姉でもある。

チェン

見た目:東方の橙

種族:妖怪『猫又(ネコマタ)

所持スキル

ユニークスキル『驚愕者(オドロカスモノ)』:橙の『妖術を扱う』程度の能力と『人間を驚かす』程度の能力のハイブリッド版。姿を消したり、素早く移動したり、別のものに化けたり、更には巨大な化け猫になったりもする。化け猫時はパワーが上がり一撃一撃の威力が増す。

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

『ジュラの大森林』で暮らす魔猫で密漁者達に襲われていた所をランやユカリ達に助けられた。ランの式になった後はランに強い忠誠心を持ち、また、姉のように慕っている。

ヌエ

見た目:東方の封獣ぬえ

種族:妖怪『(ヌエ)

所持スキル

ユニークスキル『不明者(ワカラズヤ)』:封獣ぬえの『正体を判らなくする』程度の能力の発展型。相手の認識を完全に撹乱(かくらん)させる。

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

元は密漁者達に使役されていた合成魔獣キメラ。受肉していた下位悪魔により制御されていたが、それでも合成された魔物達の魂が苦しんでいて半暴走状態だった。乱入してきたユカリによりその苦しみを取り除かれ、『妖怪賢者(ヤクモユカリ)』で異なる魂の『境界』が曖昧となり下位悪魔の魂を中心に正しく均一に混ぜ合わされたことと式神化したことで理性を完全に取り戻した。鵺に進化した後はランとチェンに謝罪をし、二人から赦しを得て完全に和解。ユカリの式神兼妖怪として新たな生を歩むことになった。魂の中心格になった下位悪魔は実はある原初の眷属だったりしている。
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