転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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ヨウム英雄化計画

「「はぁ!?」」

 

「!?英雄になれだって?この俺に?……いきなり何言ってんだ?あんたら……」

 

「『ファルムス王国』には金で雇われたんでしょ?なら、雇い主が変わるだけの話よ。」

 

「さっき、フューズも言ってただろ?『豚頭帝(オークロード)を倒したのが魔物ならば、脅威が去ったとは言えない』って。」

 

「なので、『ヨウム(貴方)達が豚頭帝(オークロード)を討伐した』……そういうことにして欲しいのよ。」

 

「『豚頭帝(オークロード)に果敢に立ち向かう若者達を支援し、武具・防具・食糧を提供した魔物の国』……人間と仲良くしたい魔国連邦(おれたち)としては『謎の脅威的な魔物』よりそっちの方が理想的な役割(ポジション)だと思うんだけど、どうかな?」

 

「なるほど……」

 

「確かにその方が人間には受け入れやすいかと。」

 

「流石です。」

 

「うん。私も良いと思うよ。」

 

私とリムルが提案した『ヨウム英雄化計画』について、ベニマルとラン、ソウエイとシズがそう賛同してくれる。

 

「……その計画、『ブルムンド王国』も協力できるかもしれません。知り合いの大臣に掛け合えば、周辺諸国に噂を流すくらいのことはできましょう。」

 

「本当か!?」

 

「それは助かるわね。」

 

「おいおい!!あんたまでなに乗り気になってんだ!?こいつら、魔物だぞ!!?」

 

「君の困惑する気持ちはわかる。が、魔国連邦(かれら)と友冝(ゆうぎ)を交わすことは人心の混乱を避ける以上に意味がある。」

 

「?どういうことだ?」

 

「……こちらが掴んでいる情報ではこの国の一万余の住民……その全員が『名持ちの魔物(ネームドモンスター)』だ。」

 

「「「!?」」」

 

「それだけでなくユカリ嬢を始めとした多数の妖怪(アヤカシ)の存在も確認されている。」

 

「?アヤカシ?」

 

「確か最近、確認された新種の魔物達の総称ですよね?」

 

「あぁ、妖怪(アヤカシ)と呼ばれる魔物達(かのじょら)は皆、『妖怪『○○』』という種としての固有名があること以外、未知に満ちた謎の存在……そんな魔物(もの)達もいる魔国連邦(かれら)がその気になれば、我々はおろか国一つ滅ぼされてもおかしくない。」

 

まぁ、元いた世界でも不可思議な存在だからね。妖怪は。

 

【別に脅す気はないんだけどなぁ……】

 

【仕方ないわよ。リムル。】

 

「先程の計画、私としては前向きに検討したい。尤(もっと)も、貴方方が『人間の敵』ではないというのが大前提の話ですが……」

 

「それは勿論、じっくり見極めて検討してみてくれ。」

 

「ヨウムも計画の要ではあるけど、無理強いはしないからよく考えてみて頂戴な。」

 

「……外に出ても良いか?」

 

「どうぞ。」

 

そうしてヨウムは考えを纏めるために一旦退室した。

 

第三者Side

 

「おい。他の連中や追っ手はいるか?」

 

「いや。大丈夫みたいだ。」

 

「たくっ、ヨウム共に混ざって豚頭帝(オークロード)の情報を得た後、どさくさに紛れて領主様の所に逃げ帰るつもりが……まさか、魔物の町、いや、国に辿り着くなんてな……」

 

時を遡ること、ヨウム達三人がユカリ達と会談していた頃、今は町の住人達と鍋パーティーを楽しんでいた調査団の中にいた、ひょろ長い金髪のまあまあイケメンな男と黒いフードを目深に被った魔法使いの男がそう話しながら、町から離れるように茂みの中を歩いていく。

 

「しかし、その豚頭帝(オークロード)はもういないって知れたのはラッキーだったな。おまけに上玉な女の魔物がわんさかいる国の存在も知れた。」

 

「あぁ。この情報だけでも領主様からの報酬(小遣い)を上げてもらえるってもんだ。」

 

「ヨウムもロンメルも他の連中もバカだよなぁ……あの領主様にとっくに『甘い蜜』を貰って、『情報を持って逃げ帰ってこい』と言われてた俺ら(・・)みたいな奴も紛れ込んでいるのに気付いてねぇんだから……」

 

「だな……ん?」

 

「………」

 

そんななか、裏切り者二人はボリュームのある銀髪に羊みたいな角、前髪で右目を隠したゴスロリ姿の少女が目に入る。

 

「……そういやぁこの国のことを信じてもらうための『証拠』も要るよなぁ……」

 

「あぁ、そうだな……」

 

二人はそう言いながら、少女を連れ去ろうと背後から忍び寄る。

 

「……眠れ……」

 

「あ……あれれ……?」

 

「なんか……急に眠たく……」

 

ドサッ×2!!

 

が、少女がそう口にした瞬間、二人は急な眠気に襲われながらその場に倒れ込んだのだった。

 

リムルSide

 

「……おまえ達は一緒に行かなくていいのか?」

 

「はい。ヨウムさんを見初めて頂いただけでも僕達は貴方達を信用するに値しますから。」

 

ヨウムが出ていった後、そう尋ねる俺に対し、ロンメルは笑顔でそう言い、隣にいるカジルも同じ考えなのか頷いている。

 

「『豚頭帝(オークロード)の軍勢に見つかり、調査団は全員死亡』……伯爵にはそう伝えろとヨウムさんに言われてました……」

 

「なるほど……死んだことにすれば、追っ手はかからないって訳か。」

 

「僕は報酬を受け取り、後から彼らと合流する手筈でした………団員達を前にヨウムさんが言ったんです。『どうせファルムスに戻ったって元の強制労働が待っているだけだ。それが嫌なら俺に付いてきな。』と……」

 

「あらー、男前。」

 

「ちょっと言えないですよねぇ……でも、不思議と説得力を感じたんですよね。多分、その時には既にヨウムさんが仲間を大事にする人だとわかっていたからでしょうか……」

 

「……甘いわね。」

 

「え?」

 

「ユカリ?」

 

「ユカリさん?」

 

「先ずロンメル……貴方、領主に嘘の報告をしに行った瞬間、領主に消されるわよ。」

 

「え!?」

 

「考えてもみなさいな。いくら屑でも領主(そいつ)、伯爵の地位にいて今までずっとバレずに汚職してきた相手なのよ?当然、悪知恵なら向こうの方が一枚上手でしょうね。」

 

「おまえが言うと妙に説得力があるな。」

 

「ロンメルは伯爵の汚職に気付くくらい優秀なのは確かだけど、逆に伯爵もまたロンメルが気付いていることに気付いていてもおかしくないってことだね。」

 

「案外、ロンメルを『お目付け役』にしたのは適当に選んだんじゃなく、どっちに転んでも良い(・・・・・・・・・・)ようにじゃないかしら?」

 

「と言いますと?」

 

「……豚頭帝(オークロード)がいないとわかればそれで良し。いたとしてヨウム達と共に捕捉され、襲われるなら伯爵からすれば、目の上のこぶ予備軍なロンメルを金でかき集めただけの荒くれ者(ヨウム)達と一緒に厄介払いができる……どっちに転んでも伯爵にとっては都合が良いでしょ?」

 

「マジか……」

 

「調査団の中にだって密かに伯爵に買収されて、仲間(貴方)達を豚頭帝(オークロード)の餌にしてでも情報を持って逃げ帰ってこいと密命を受けた輩も少なからずいるでしょうね。金に汚く、時には金に物言わせようとする小悪党の考えそうなことよ。」

 

「そんな……」

 

『調査団(自分達)の中に裏切り者がいる』というユカリの推測にロンメルは青ざめる。

 

「!ユカリ様……『アンアン』から怪しげな者共を生け捕りにしたと報告が来ました。」

 

「……そう……」

 

「?アンアン?」

 

「私の式神の一体だ。ユカリ様からの指示で怪しげな者共がいたら捕らえるよう命じて監視させていた。」

 

「おまえ、そんな指示出してたのか。」

 

「念のためね。安心なさい。貴方達のことも、魔国連邦(わたしたち)のことも情報は持ち去られてはいないわ。」

 

「通信用の魔道具を持たされていなかったのも幸いしましたね。」

 

「ユカリさん……ありがとうございます!!」

 

「ユカリの姉さん……ありがとうございやす!!」

 

バァンッ!!

 

「「「「「ユカリの姉御!ありがとうございやす!!」」」」」

 

「うおっ!?」

 

ロンメルとカジルが頭を下げながらそうお礼を言うのとほぼ同時に扉が開き、奥にいた複数の荒くれ者達が一斉に頭を下げてくる。

 

っておまえら、盗み聞きしてたのかよ!?

 

「あはは……それでユカリさん、捕まえた密偵はどうするの?」

 

「そうね……今は眠らせて箸巻き状態にしているからそのままロンメル達に引き渡しても良いけど……」

 

首を傾げながらそう尋ねるシズさんにそう答えた瞬間、ロンメルや荒くれ者達から殺気が溢れ出る。

 

「……折角生け捕りにした領主の息のかかった密偵なんだから、このまま『ヨウム英雄化計画』に一役買ってもらいましょうか……」

 

うわぁ……ユカリの奴、凄い悪い顔してる……

 

カバル達やフューズさんも軽く引いちゃってるし……

 

っていうか出来ればヨウムには自分の意思で決めて欲しいんだけどなぁ……




アンアン

見た目:魔法少女の魔女裁判の夏目アンアン(魔女化バージョン)

種族:式神尾獣

所持スキル

ユニークスキル『虚言眠姫(ソラゴトノネムリヒメ)』:相手を強烈な睡魔に襲わせ、その者にとって誰も傷付かない幸せな夢の世界に誘った後、洗脳して意識のない傀儡に仕立てることができる。意識を取り戻したり等で解除できても眠ってる間に受けた『命令』に逆らうことはできない。簡単な命令なら眠らせずとも軽い洗脳にかけて従わせることもできる。

詳細

テンドウに続くランの式神尾獣二人目。式神になる前から言霊による洗脳能力を持っており、その関係上、仲間とは身振り手振りで意志疎通を図っていた。式神になってからは洗脳能力が向上すると共にカンペによる筆談というコミュニケーション方法も獲得している。

彼女も含め、案を沢山下さった七蜘蛛さん、ありがとうございますm(__)m
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