転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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冬と雪女の訪れ

第三者Side

 

「どうしよう!ギルマス!!」

 

フューズ一行の滞在と『ヨウム英雄化計画』の始動が決まってから暫くした頃、魔国連邦(テンペスト)にある宿舎にて、エレンが慌てた様子でそう言う。

 

「くっ……俺としたことが目算を誤ったか……っ!!」

 

「そんな……あっしらには大事な使命があるんでやんすよ……っ!!」

 

「なのに……こんな時に……」

 

「「「「魔国連邦(テンペスト)に初雪が降るなんて……っ!!」」」」

 

フューズ、ギド、カバル、エレンの四人がそう言いながらしんしんと積もっていく雪を見つめる。

 

魔国連邦(テンペスト)は今、初雪に見舞われていた。

 

「……滞在期間を延ばすかぁ……」

 

「ですね。」

 

「仕方ないでやんすね。」

 

「でもでもぉ、こんなに良くしてもらっているのにこれ以上お世話になるのは」

 

「小芝居しなくても居ていいよ。」

 

「やったぁっ!!」

 

「「「よっしゃあっ!!」」」

 

リムルが滞在の延長を許可すると、四人はそう喜びの声を上げる。

 

「素直に頼めばいいのに……」

 

「まぁ、いいじゃないか。」

 

「フフ……そうだよ。ユカリさん。」

 

そんな四人を見ながら、ユカリとリムル、シズの三人はそう話しながら温かいお茶を飲むのだった。

 

「しかし、随分と積もったわねぇ……」

 

「ですね。故郷にいた頃、積もった雪の上を妹と駆けずり回ったのを思い出します……」

 

翌日、町に雪が降り積もるなか、ユカリとランはそう話しながら散策する。

 

「あ。妹さんとは……」

 

「……故郷に対する東の帝国の襲撃から逃げる際、離れ離れになってしまいそれっきり……」

 

「……ごめんなさい。嫌なこと聞いたわね……」

 

「いえ。なんとなくですが、妹は何処かで生きてくれていると感じているので……」

 

「……そう……」

 

「ユカリ様……」

 

そんななか、ランがそう言いながら真剣な表情になる。

 

「東の帝国は自分達の脅威になると判断すれば、例えこちらにその気が無くとも容赦なく攻めてきます。」

 

「……暴風竜(ヴェルドラ)もいない今、今後次第では目を付けられるかもしれないわね……貴女の故郷のように……」

 

「はい……」

 

「ありがとう。気を付けることにするわ。

もしもの時はお願いね。ラン。」

 

「勿論でございます。もう二度と同じ轍は踏みません。」

 

「……ん?」

 

二人がそう話しているなか、近くで雪掻きしていたリグルドが何か違和感を覚える。

 

「……やぁ。」

 

「リムル様!?」

 

木のスコップを退けると、そこにはリムルが埋まっていた。

 

ユカリSide

 

「で、なんで埋まってたのよ?リムル……」

 

その後、リグルドによって掘り起こされた後、議事堂の執務室にて、私はそうリムルに尋ねる。

 

「いやぁ、新雪を見てたらなんか飛び込みたくなって……思いの外深くてビビった。」

 

「わかります!リムル様!!新雪を見てたら飛び込みたくなりますよね!!私も小さい頃、よく飛び込んでおりました!!」

 

「あぁ、なんか目に視えるな……」

 

対するリムルは軽く笑いながらそう答え、そう言って同調するシオンにランが呆れながらそう言う。

 

「笑い事じゃありませんよ……特にシオン!貴女、半裸で飛び込んではそのまま埋まって、凍死しかけたこともありましたよね!?」

 

「ただいまなのだぁー♪」

 

シュナが軽く怒りながらそう言うなか、ミリムがそう言いながら執務室の窓から飛び込んでくる。

 

因みに執務室(ここ)は二階である。

 

「ミリム様!二階の窓から飛び込むのは危ないですよ!!」

 

「わははは!!魔王だから大丈夫なのだ!!」

 

「しかし、本当に凄い雪ね。」

 

「うん。私もこんなに凄いのは初めて見たよ。」

 

「『ジュラの大森林』は暴風竜(ヴェルドラ)様のご加護があった時代から気候の変化が激しいですからな……」

 

すぐさま注意するシュナにミリムが笑いながらそう言うなか、積もった雪を見ながらそう言う私とシズに対し、リグルドがそう言う。

 

「……ここは彼奴(あいつ)らを呼ぶか……」

 

ピンポンパンポーン

 

『おはようございます。今日は大雪なので、皆で町全体の雪掻きをします!!担当毎に割り振るのでシャキッと目を覚まして、暖かい服を着て、スコップと長靴を準備して議事堂前に集合して下さい。以上!!』

 

暫くして町中にリムルの声が響き渡る。

 

ベスターが開発したドワルゴンとの連絡用水晶の技術を応用して開発した、拡声器の機能を取り付けた水晶によるものだ。

 

ザワザワ……ザワザワ……

 

程なくして住人達が議事堂前に集まる。

 

リムルSide

 

「よーし!割り振りは以上!!」

 

「頑張るよ!皆!!」

 

「「「おぉーっ!!」」」

 

皆が各々の担当区に向かっていくなか、スコップを持ったヨウム達もやってくる。

 

「あっ、おーい!ヨウム!!」

 

俺は元気よくそう言いながらヨウムの元へと向かう。

 

「一緒に雪掻き頑張ろうな。その後は温泉だ。」

 

「……なぁ。リムルの旦那。確かこの前、火の用心の夜廻をしたよな。用水路のドブ浚いも、ヤグラのペンキ塗りも……」

 

「荒地の開墾とか……」

 

「庭も作ったな。」

 

あぁ~、確かにヨウム達には色々と手伝ってもらってるな。

 

「はぁ~、それで今度は雪掻きだぁ?英雄になることは引き受けたが、便利屋になるつもりはないぜ?」

 

う~ん……言いたいことはわかるが……

 

「『修行の息抜きになれば良い』というユカリとハクロウからの提案だったんだが……そっかぁ……修行が良いのかぁ。ヨウム君達は真面目だなぁ♪」

 

「フフフ……」

 

「………」

 

そう言う俺の背後ではユカリが開いた蒼月で口元を隠しながら黒い笑みを浮かべ、ハクロウは凄い妖気(オーラ)を纏っている。

 

「「「ヒイィィィイッ!!エッサ!ホイサ!エッサ!ホイサ!」」」

 

修行で散々味わった恐怖を思い出したのか、ヨウム達は凄い勢いで雪掻きを始める。

 

「皆、お疲れ様。」

 

「大変じゃありませんか?」

 

そんなヨウム達にシズさんとシュナ達がそう言いながら、差し入れとして温かいお茶を持ってくる。

 

「とんでもない!」

 

「俺達!」

 

「「「雪掻き大好き!!」」」

 

対するヨウム達は元気良くっていうか鬼気迫る様子で雪掻きを進めていく。

 

「「「「「エッサ!ホイサ!エッサ!ホイサ!エッサ!ホイサ!ウオオオオオオオオオッ!!」」」」」

 

「まぁ、頼もしいですね。」

 

「ほっほっほっ。」

 

「皆、頑張ってぇー♪」

 

「どうぞ。ユカリ様。」

 

「リムルさんもどうぞ。」

 

「あ!ありがとう!シズさん!!」

 

「ランもありがとう。」

 

そんなヨウム達をチェンが笑顔で応援するなか、そう言うランとシズさんからユカリと俺はそう言いながら温かいお茶を受け取り、一息入れる。

 

第三者Side

 

「『黒炎獄(ヘルフレア)』!!」

 

ボオオオォォォーーーッ!!

 

その後、作業を再開するなか、ベニマルが絶妙な火力調整で周りの建築物には被害を出さずに雪を融かしていく。

 

「流石ベニマル!雪掻きが捗(はかど)る捗るぅ~!!」

 

「『雪掻き』というらより『雪融かし』だけどね。これ……」

 

「おぉ!凄いのだ!!」

 

「火力調整にはコツがいるんですよ。」

 

「やるな。ベニマル……だが、生憎炎の扱いに長けているのは貴様だけではない……『狐火』!!」

 

ボオオオォォォーーーッ!!

 

ベニマルが得意気にそう説明しているなか、ランがそう言いながら『狐火』で雪を融かしていく

 

「おぉーーっ!!」

 

「ジュリ様も!」

 

そんなランに続くように赤いメッシュの入った黒髪ロングのぱっつんヘアーに炎をあしらった黒衣、背負ったリュックからガビル達のような翼と尻尾が生えた小柄な少女がそう言いながら、リュックから伸びたチューブで繋がった火炎放射器を構える。

 

「『鬱憤換炎(ストレスバーナー)』!!」

 

ボオオオォォォーーーッ!!

 

次の瞬間、ランの式神尾獣の一人であるその少女、『ジュリ』がそう言いながら、火炎放射器で炎を放ち雪を融かしていく。

 

「す、ストレスバーナー……」

 

「あぁ、なんでも溜まったストレスを炎に変換できるスキルらしいわよ。今の今まで出番がなかったのがストレスだったみたいね。」

 

「な、なんてメタい話……」

 

「因みに現在(いま)はヨウム達の修行に時折参加しては文字通り、鬱憤(ストレス)を吐き出しているわね。口からじゃなくてスキルで出した火炎放射器からだけど。」

 

「ヨウム達、本当にすまん!!」

 

「私達も行くよ!シズ!!」

 

「うん!『蒼炎』!!」

 

「『狐火』!!」

 

ボオオオォォォーーーッ×2!!

 

リムルとユカリがそう話しているなか、シズと分身体のツカサもそう言いながら『蒼炎』や『狐火』で融かしていく。

 

「お、俺も負けられん!『黒炎獄(ヘルフレア)』!!」

 

ボオオオォォォーーーッ!!

 

「この調子なら思ってたより早く終わりそうだなぁ……」

 

「そうね……」

 

「そういえば、秋姉妹はどうした?姿が見えないんだけど……」

 

「あの二人は寒いのが苦手なのか、自分達の家に引きこもっているわ。元々秋以外の季節の時は好きにして良いって契約だしね。」

 

「なるほどな……」

 

そんな彼女達を見て、危機感を感じたベニマルがそう言いながら再び『黒炎獄(ヘルフレア)』で融かしていくなか、リムルとユカリはそう話をする。

 

ユカリSide

 

「……よし……こんな感じかしらね……」

 

その後、テンドウが『斥引操作』で大量の雪を一塊にして森の中に運んだり、ウルミとサキがいつものように張り合いながら雪掻きしたりして作業が進んでいくなか、私はそう言いながら一体の等身大の『ある妖怪』の雪像を作り上げる。

 

尚、これは別に遊んでいる訳ではなく、『ある妖怪(・・・・)』を産み出すための依代作り(・・・・・・・・・・・・)……

 

「………」スッ

 

出来上がった雪像を前に私は少し前にスキマで回収しておいた水の下位精霊と風の下位精霊達を宿らせたヒトガタを取り出す。

 

「さぁ、私の式神となって産まれなさい。『レティ=ホワイトロック』。」

 

パァァァ……

 

私がそう言った瞬間、ヒトガタは光り輝きながら雪像の中に入り、雪像は次第に色が付いていく……

 

〈確認しました。複数の水の下位精霊と風の下位精霊は統合され、個体名『ユカリ=テンペスト』の魔力が込められた雪像を依代に妖怪『雪女(ユキオンナ)』として新生しました。〉

 

パキィィィンッ!!

 

「………」

 

次の瞬間、雪像は薄紫のショートボブにターバン、ゆったりした服装に下はロングスカートにエプロンのようなもの、左胸には首から腰まで真っ直ぐ伸びたラインに四方に矢印が向いた槍のようなブローチを着けた女性へと変化する。

 

「気分はどうかしら?レティ。」

 

「………」

 

私がそう尋ねると女性…レティはその場で跪く。

 

「私を産み出して頂きありがとうございます。

ユカリ様。」

 

「これからよろしくね。レティ。」

 

「ハッ!!」

 

ズオオオォォォーーーッ!!

 

「「!?」」

 

そんななか、町中で突如、大木が成る。

 

「リムル、シズ。何があったの?」

 

「あぁ、ユカリ……」

 

「実は……」

 

すぐさまレティを連れてスキマで向かった先にいた二人に尋ねると、なんでもまたゴブタがトレイニーに『トレイニーさんの『春』は何時、来るんスかね?』と失言をしたらしく結果、ゴブタを押し上げる形で大木が成ったらしい。

 

「それは……十中八九ゴブタが悪いわね。」

 

「だろ?」

 

「あの……それはそうと放って良いんですか?

アレ。」

 

「リムル様ぁーっ!ユカリ様ぁーっ!

助けて下さいッスゥーーッ!!」

 

リムルとそう話しているなか、レティがそう言いながら指差した先…大木の天辺からゴブタがそう助けを求めてくる。

 

「とまぁ、このように。植物が本気を出せば、これだけの生命力を発揮できるのです。えぇ、春を待たずとも。」

 

「えぇと……それはわかったのですが、とりあえず元に戻して」

 

「嫌です。」

 

「はぁ……仕方ないわね……」

 

クパァ……ドシャアアッ!!

 

「へぶっ!?」

 

トレイニーとリムルがそう話しているなか、私はそう言いながらスキマでゴブタを回収する。

 

「……ゴブタ君……」

 

「!?ヒッ!?」

 

「何度言えばわかるかな?そういうのは言っちゃダメなんだよ……ね?」

 

次の瞬間、シズは(黒い)笑顔でそう言いながら、ハクロウとカセンと共にゴブタを引き摺っていくのだった。

 

「よぉーしっ!こっちを向いても良いのだ!!リムル!ユカリ!!」

 

その後、リムルに新入りのレティの紹介等をした後、何かを作っていたミリムがそう言う。

 

「一体何を作ったのやら……」

 

「どれどれ……」

 

対するリムルと私はそう言いながら、ミリムの方を見る。

 

「おぉっ!!」

 

「あら?」

 

「フフフ……どうだ!私の力作なのだぞ!!」

 

どや顔で腰に手を当てながらそう言うミリムの側には巨大なリムル雪像があった。

 

っていうか本当に凄いわね……ただ大きいだけでなく丸みとか丁寧に作られている……

 

「ちょっと意外ね。」

 

「だな……っていうかこれ……アレみたいだな……」

 

「あぁ……かまくらね。」

 

「かまくら?何なのだ?それは……」

 

「かまくらっていうのは雪で作ったドームの中でご飯食べたり、遊んだり……」

 

「まっ、言うなれば雪の家だな!」

 

「なるほど……雪の家か……面白そうなのだ!ちょうどいいからこいつを使って……」 

 

「「え?」」

 

「おりゃらぁっ!!」

 

ザクッ!!

 

思わず呆けた声を上げる私とリムルを他所にミリムは先程、自らが作ったリムル雪像にスコップを突き立てる。

 

「おりゃ!おりゃ!おりゃ!おりゃらぁっ!!かまくらを作るのだ!!」

 

「………」

 

「……どんまい。リムル……」

 

ミリムがそう言いながらリムル雪像に穴を掘っていくなか、笑顔だけど何処か悲しげな雰囲気のリムルの肩に手を置きながら、私はそう言うしかないのだった。

 

第三者Side

 

「「「わぁーっ!!」」」

 

「凄いのだ……」

 

その後、リムルとユカリ、チルノとレティ、そしてチェンと子ども達も作業に加わった結果、リムル雪像は氷で出来た家具やシャンデリアで飾られた雪の家(かまくら)に生まれ変わった。

 

ユカリSide

 

「こんこん。もう暗くなってきましたよ。」

 

「皆でお餅を食べよう。」

 

「その後はお風呂で身体を温めるんだぞ。」

 

リムルとミリム、チルノとレティ、チェンと子ども達と一緒にかまくらの中を過ごしているなか、シュナとシズ、ランの三人がそう言いながらお餅と七輪を持ってくる。

 

「「「はぁーい!!」」」

 

「わかりました!ランしゃまぁ~!!」

 

「うむ!約束するのだ!!」

 

そうして皆で焼いたお餅を食べ始める。

 

「はぁ~む!……うん!美味いのだ!!」

 

「うん。焼いただけでこんなに美味しいなら、砂糖醤油とかに食べても美味しそうね……砂糖はこの間、トウキビの品種改良に成功して、今はベスターにも成分の抽出を依頼しているから……」

 

「ユカリ、おまえなぁ……食べてる時くらいそういう話すんなよ……」

 

第三者Side

 

「「………」」

 

皆が餅を堪能しているなか、ユウマとゲルドの二人はかつて吹き荒ぶ雪の中、先に散って逝った同胞(なかま)達のことに想いを馳せていた。

 

元豚頭族(かれら)にとっての『冬』は『見えない魔物』。

 

油断すれば、その寒さでいとも簡単に命を奪われる。

 

「皆、寒くはないか?」

 

「「「うん!!」」」

 

「誰一人、欠けてはいないな?」

 

「「「はぁーい!!」」」

 

餅を食べ終えた後、そう確認してくるユウマとゲルドに対し、子ども達は笑顔で元気良くそう答える。

 

「……ゲルド……」

 

「……はい……」

 

((この町に絶対に『冬』は訪れさせない!!))

 

そんな子ども達の笑顔を見ながら、ユウマとゲルドはそう決意を新たにするのだった。




ジュリ

見た目:マギアレコードの大庭樹里(リュックから伸びた翼や尻尾は本物)

種族:式神尾獣

所持スキル

エクストラスキル『鬱憤換炎(ストレスバーナー)』:溜まった鬱憤(ストレス)を炎に変換できる

詳細

ランの式神尾獣三体目。七蜘蛛さん、ありがとうございますm(__)m

レティ=ホワイトロック

見た目:東方のレティ=ホワイトロック

種族:妖怪『雪女(ユキオンナ)』

所持スキル

ユニークスキル『冬告者(フユツゲシモノ)』:冬の寒気を操る程度の能力

エクストラスキル『スペルカード』

スキル『弾幕』

詳細

ユカリが自身の魔力を込めて制作した雪像に水の下位精霊と風の下位精霊を宿らせたヒトガタを用いて『式神化』を行い誕生させた妖怪(アヤカシ)。当然ながらユカリに忠誠を誓い、現在は冬の間のリリナの畑の管理を手伝っている。尚、『百鬼夜行』にも加入している。チルノとは仲良し。
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