転生したらスキマ妖怪だった件について   作:デスゴッド

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アンケートの結果、書くことに決まりました。

本作とは別の外伝のような形で時間はかかるかもですが、書いていきたいと思います(。-∀-)


忍び寄る悪意

第三者Side

 

パチッ!……パチ……ッ!

 

時を少し遡り、ユカリ達が大晦日を満喫していた頃、獣王国(ユーラザニア)への帰路に着いていたフォビオと配下の獣人(ライカンスローブ)達は焚き火を囲んでいた。

 

バキッ!!

 

「くそっ!許せねぇぜ……」

 

ミリムやユカリとのことを思い返したフォビオは苛立たしげにそう言いながら枝を折り、焚き火にくべる。

 

「俺を誰だと思っている?“黒豹牙”フォビオだぞ……っ。」

 

「魔王ミリムが相手では不可抗力というものです。例えカリオン様でも勝てるかどうか……」

 

「馬鹿野郎!!カリオン様ならこんな醜態は晒さなかっただろうぜ。単純に俺が未熟だっただけの話だ……しかし、このまま何の成果もなく帰るのは、俺の誇りが許さんのだ……」

 

宥めようとする配下の大猿の獣人(ライカンスローブ)、エンリオにそう言いながら、フォビオは魔国連邦(テンペスト)の町並みを思い起こす。

 

「……彼奴ら、自分達で町を作っていたな。下等な魔物と侮っていたが、俺達じゃ到底及ばねぇ技術を持っていやがる。」

 

「全くです。配下に加えるなどと言わず、我らがユーラザニアと国交を結びたいくらいですな。」

 

「………」

 

(『こうして使者を任されてる以上、おまえ自身、それなりに高い地位にいるんだろ?魔王カリオンからの信頼もあるようだし……』

 

『そんな貴方の態度次第では魔王カリオンはこの『ジュラの大森林』の全てを敵に回すことになる。』

 

『よく考えて発言することだな。』)

 

フォビオの脳裏にリムルとユカリの言葉が過る。

 

「……魔王ミリムの件がなくとも奴らの指摘通り、俺の対応は間違っていた……頭ごなしに支配しようとしても、奴らの信頼を得られなかっただろう。そして、悔しいがあのユカリという女は間違いなく俺より強い……」

 

時が経ち、冷静さを取り戻したフォビオは自分の間違いやユカリのことを素直に認めていた。

 

「だが、今更だぜ。この屈辱は怪我が癒えても消えやしねぇ……カリオン様に迷惑を掛けねぇようになんとかして復讐してやりたいんだよ……」

 

が、彼の中にある『獣王戦士団』としての誇りがそれを良しとしなかった。

 

「しかしフォビオ様。復讐などと現実的では」

 

「だから、わかってんだよ!それぐらい!!けどな。こういうのは理屈じゃねぇんだよ……」

 

バキッ!!

 

悔しさと怒りで苛立ちを隠しきれないフォビオはそう言いながら枝を折り、焚き火にくべる。

 

そんなフォビオを、エンリオを初めとする配下の獣人(ライカンスローブ)達が心配そうに見つめるなか、

 

「おーほっほっほっ!!」

 

「「「「!?」」」」

 

突如、何処からか高笑いする声が聞こえてくる。

 

「何者だ!?」

 

「いやぁ~、よくわかりますよ……その悔しいお気持ち……」

 

そう言うエンリオを初めとする四人が立ち上がって辺りを警戒し始めた直後、森の奥から怒ったような仮面を着けた太った男がそう言いながら現れる。

 

「ごきげんよう。ユーラザニアの皆様。

私は『フットマン』と申します。」

 

「?フットマン?」

 

「『中庸道化連』が一人、『怒った道化(アングリーピエロ)』のフットマンとは私のこと!以後、お見知りおきを……」

 

「……知らんな。その道化が一体何の用だ?」

 

謎の仮面の道化、フットマンを睨み付けながら、フォビオはそう尋ねる。

 

「そんなに睨まないでほしいなぁ……」

 

が、今度は涙目の仮面を着けた少女がそう言いながら、フットマンの背後から現れる。

 

「あたいは『涙目の道化(ティア・ドロップ)』の『ティア』。

貴方達の敵じゃないよ。」

 

「……で、目的は何だ?」

 

「ほっほっほっ……私はね、怒りと憎しみの感情に呼ばれて来たのですよ。」

 

「!?怒りと憎しみ……」

 

「上質な怒りの波動を感じましてね……一体何に怒ってらしてるのか、お聞かせ頂いても?きっと、貴方様の力になってご覧にいれましょう……」

 

フットマンのその囁きにフォビオの心が僅かに揺れる。

 

「フォビオ様。この様な者共の話など聞く必要はありません。排除してもよろしいでしょうか?」

 

そんなフォビオの前にエンリオがそう言いながら、立ちながら構える。

 

他の二人も同じように構える。

 

「我らは魔王カリオンの『獣王戦士団』に属する者。野良の魔人風情が相手になると思ったか!!」

 

フォビオの前に立った後、エンリオは睨み付けながらそう声を荒げる。

 

「……“力”が欲しいのでしょう?ございますよ、とびっきりのやつが……」

 

が、そんなエンリオを意に介さずにフットマンは話を続ける。

 

「当然ですが危険も大きい。ですが、その危険に打ち克った時、得られる“力”は絶大です。」

 

「……ほぅ……」

 

「フォビオ様!?」

 

「勝ちたいんだよね!?魔王ミリムに!だったらさ!あんたも魔王になれば良いんだよ!!」

 

「!?魔……王……っ!?」

 

「「「!?」」」

 

自らが魔王になる。ティアのその言葉はフォビオの心を大きく揺さぶり、エンリオ達三人も唖然とする。

 

パチッ!……パチ……ッ!

 

「……ハッ。魔王だと?そんな戯れ言でこの俺が騙されると」

 

「『暴風大妖渦(カリュブディス)』。」

 

「!!?」

 

『暴風大妖渦(カリュブディス)』という単語にフォビオの目が見開く。

 

「ご存知ありませんか?」

 

「暴風大妖渦……だと……」

 

その“力”は魔王に匹敵すると云われる、大怪魚の災厄級魔物(カラミティモンスター)……

 

フォビオがそう思いながら息を呑むなか、その場が静寂に包まれる。

 

「……はぁ~、あの大怪魚の邪悪な“力”なら魔王に匹敵するんだけどなぁ……まぁ、いらないなら他を当たるから良いけど……」

 

そんななか、ティアが諦めたようにそう言う。

 

「例えば……あのユカリっていう女とか?」

 

「!?なに……?」

 

「あれ?もしかして、知らない?あの女、ぽっと出の魔人で今はまだ成長途中だけど、十二分に新たな魔王になり得る素質を持っているみたいなんだよ。」

 

「それこそ、魔王ミリムが気にかけるくらいには……」

 

「!?なん……だと……っ!?」

 

ティアとフットマンのその言葉にフォビオが更に目を見開く。

 

あの女が次の新たな魔王候補?

 

「ぽっと出が魔王になるというのは正直癪だけど、恩を売っといて損はないだろうし。あたい達はもう行くね。」

 

「ほっほっほっ。折角先にフォビオ様にお声掛けしましたのに……残念ですねぇ……」

 

ティアとフットマンはそう言いながら、その場から立ち去ろうとする。

 

「待て。」

 

が、フォビオの小さなその一言が二人を呼び止める。

 

「フォビオ様!なりません!!」

 

「……俺は最初から面白くなかったんだ……なんで豚頭帝(オークロード)なんて雑魚が魔王に抜擢されるんだ……その上、今度はあの女が次の新たな魔王候補だと?……ふざけるなぁっ!!新たな魔王が必要だってんなら俺が!俺が強くなるなら、カリオン様も笑って許してくれるだろうぜ!!」

 

「フォビオ様……」

 

ミリムとユカリへの怒りと復讐心、豚頭帝の魔王への進化に対する不満、新たな魔王に進化する可能性を秘めたユカリに対する嫉妬、そして純粋に“力”を求めたフォビオは道化達の誘惑に負け、抑えつけていた感情を爆発させる。

 

「詳しく聞かせろ!!」

 

「おぉっ!流石はフォビオ様!!そうでしょうとも!魔王となるのは貴方様を置いて他にいませんとも!!」

 

「やっぱり!強い者が魔王にならなきゃおかしいよね!その点、フォビオ様は十分適任だと思うよ!!」

 

「「「………」」」

 

エンリオ達三人が心配そうに見つめるなか、フォビオは二人の道化から話を聞く。

 

「この話、おまえらに何の得がある?」

 

「魔王になった暁にあたいらを贔屓にしてくれたら良い!色々と便宜も図ってほしいしね!!」

 

「ほっほっほっ。我々だけでは暴風大妖渦を従えさせることはできませんからねぇ……」

 

「折角苦労して封印された場所まで見つけたは良いけど、このままじゃ宝の持ち腐れだし。」

 

「そんな時に丁度フォビオ様をお見かけしましてねぇ。」

 

「……なるほどなぁ……」

 

(つまり、俺が魔王になった際、『自分達が最も役に立った(・・・・・・・・・・・)』という実績が欲しいってことか。)

 

「……しかし、俺が暴風大妖渦を従えさせることができるかどうか……」

 

「ほっほっほっ!フォビオ様なら必ずや成功するでしょう!!」

 

「大丈夫!大丈夫!!」

 

「……その話、引き受けようじゃねぇか。」

 

 

 

 

 

「おまえ達は戻れ。そして、事の顛末を伝えるのだ。」

 

道化達の誘いに乗ることを決意したフォビオはそうエンリオ達に別れを告げる。

 

「しかしフォビオ様……っ!!」

 

「カリオン様にこれ以上、迷惑は掛けられねぇ。『三獣士』の地位を返上し、野に下るとお伝えしてくれ。」

 

フォビオはそう言うと、エンリオの肩に手を乗せる。

 

「今まで仕えてくれて感謝する……」

 

「フォビオ様……」

 

「俺はこれから修羅になり、魔王ミリムとユカリ=テンペストに認めさせてやる。」

 

「……わかりました。ですが、暴風大妖渦の“力”は未知数。くれぐれもお気をつけ下さい。」

 

エンリオはそう言いながら他の二人と共にその場を去っていき、フォビオはそんな三人を見送る。

 

「それでは参りましょうか。」

 

三人の姿が見えなくなってきた頃、フットマンがそう話しかける。

 

「あぁ、俺と暴風大妖渦の“力”を合わせれば、あの女共の憎ったらしい面を泣きっ面に変えてやれるだろうぜ。」

 

「ほっほっほっ!その意気ですよ!!」

 

「うんうん!あたいも応援するよ!!」

 

そうしてフォビオはフットマンとティア、怪しげな二人の道化と行動を開始した。

 

リムルSide

 

「それじゃあリムルの旦那、ユカリのお嬢。行ってくるぜ。」

 

出立の時、ユカリ達妖怪組が何処からか捕獲してきた一角馬を従えながら、ヨウムがそう言う。

 

ユカリやハクロウ達の修行に耐え、カイジン達が作った防具を身に付け、クロベエが打った剣を携えたその出で立ちは正に『英雄』と呼ぶに相応しい姿に変わっていた。

 

「ほっほっほっ。皆、佇まいに隙が無くなりましたな。」

 

「えぇ。間違いなく強くなりました。」

 

「皆、よく頑張ったよ。」

 

「へへ……」

 

「どうもっす……」

 

白老、カセン、シズさんといった指導者四人からのお褒めの言葉にヨウム達は照れくさそうにしている。

 

「しかしまさか、『大賢者』が指摘したようにヨウムが『仙人』に進化するとはなぁ……」

 

「カジルとロンメルも進化したわね。」

 

「……本当はもっと長い時間をかけて、肉体的にも精神的にも過酷な修行をしなきゃいけないものだけどね……」

 

俺とユカリが改めてヨウム達を見ながらそう言うなか、シズさんが苦笑いしながらそう言う。

 

「スキルの方も何か変化とかあったか?」

 

「あぁ、俺はユカリのお嬢がくれた『解答者(アンサー)』の他に『結束者(ツナグモノ)』っていうスキルを手に入れたぜ。なんでも味方とスキルや魔力を共有できるスキルみてぇだ。」

 

「俺はユカリの姉さんがくれた『見聞者(キキジョウズ)』が『先見者(ホークアイ)』っていうスキルに変化しやした。おかげで少し先の未来や敵の弱点なんかが視えるようになりやした。」

 

「マジか!?そうなるとロンメルもとんでもないスキルを手に入れてるんじゃ……」

 

「あぁ、彼奴も『自然愛者(ヒーラー)』っていうスキルを手に入れてたな。なんでも自然の魔力を取り込むことで自分の魔力をほぼ無限に回復させることができるらしい。」

 

「マジか……で、そのロンメルはどうした?一緒じゃないのか?」

 

「あぁ、彼奴はユカリの姉さんが洗脳してこっち側に引き込んだ元密偵の二人をお供に一足先に国に戻っている。俺らが繰り広げた『死闘(・・)』を盛りに盛って報告してきます。ってさ。」

 

首を傾げながらそう尋ねる俺に対し、ヨウムはそう説明してくれる。

 

因みにその元密偵達も含めた他の連中は仙人まではいかなかったもののそれに限りなく近い存在に至っている。

 

なんならヨウムを筆頭に『弾幕』まで覚えちまってるし……

 

そんなヨウム達にはこれからこの町を拠点に各地で英雄活動をしてもらう。

 

『豚頭帝(オークロード)を倒した英雄』として名前と顔を売るために。

 

「まぁ、やってもいない死闘を盛られるってのも恥ずかしい話だけど……」

 

「いいって別に……」

 

「ヨウム達を『英雄』にする今回の計画はお互いにWin-Winな話だしね……」

 

「?うぃん?」

 

【ほんと、20万の軍勢とか魔王への進化といったヤバい情報が拡散されてなくてよかったわね。リムル……】

 

【だな。】

 

「?なんだ?もう行くのか?」

 

ユカリと“念話”でそう話しているなか、ミリムがそうヨウムに話しかける。

 

「!?ど、どうも……ミリムさん……」

 

対するヨウムは最初の話し合いの後に改めてミリムが魔王であることを聞かされていたこともあって、すっかり及び腰になっている。

 

「しっかり頑張るのだぞ!!」

 

「お、おう……」

 

「良かったわね。ヨウム。」

 

「魔王からの激励なんて滅多に貰えないぞ。」

 

そうしてヨウム達は旅立っていった。

 

ユカリSide

 

ブクブクブク……

 

ザッパーンッ×3!!

 

「わはははっ!!」

 

「ぷはぁっ!!」

 

「ふぅ……っ!!」

 

その日の夜、温泉宿の女湯にて、何故か潜水勝負をしていたミリムとシオン、シュナの三人はほぼ同時に顔を出す。

 

「あはは……」

 

「はぁ……何やってるのかしら、三人とも……」

 

そんな三人にシズが苦笑いを浮かべるなか、私は呆れながらそう言う。

 

「わはははっ!ワタシの勝ちなのだ!私が!長い時間潜ってられるのだっ!!」

 

「いいえ。勝ったのは私です。」

 

「違います。僅かの差ですが、私の勝ちです。」

 

「お風呂で潜水しちゃダメだよ?」

 

「ミリムとシオンはまだわかるとして、シュナまで……はぁ……」

 

張り合う三人にシズは苦笑いしながらそう注意をし、私は更に呆れながらそう言う。

 

「負けを認めぬとは往生際が悪いぞ!紫苑、朱菜!!よぉーっしっ!では、もう一回だ!決着を着けてやる!!」

 

「良いでしょう。もう一度。」

 

「本来ならお風呂に潜るのはいけないことですが、やりましょう!!」

 

「あはは……」

 

「はぁ……」

 

「「「せぇーのっ!!」」」

 

ザプーンッ×!!

 

シズの苦笑いと私のため息を他所に三人は再び潜水勝負を始める。

 

「で、何時までこの町にいるんだよ?

まだ、俺達のことを疑ってるのか?」

 

「え?あ…………あぁ、いや。リムル殿とユカリ嬢への疑いは晴れているんですがね。」

 

そんななか、男湯(むこう)の方からそう話をするリムルとフューズの声が聞こえてくる。って晴れているんだ……

 

「じゃあ、なんでだよ?」

 

「いやぁ、ここは実に居心地がよろしくてですな…………ここ最近、録に休みもなかったですし、ここいらでゆっくり羽を伸ばすのも良いかと…………」

 

「……やっぱりギルドマスターって忙しいのね。」

 

「たくさんいる冒険者を纏めるお仕事だからね。それにフューズさんは先代のお父さんと同様に真面目だから、色々と頑張っちゃうところがあるの。」

 

男湯(むこう)でリムルとフューズがそう話しているなか、私とシズもそう話をする。

 

「それは別に良いが………例の件はどうなっているんだよ?俺達の代わりにヨウム達を『英雄』に仕立て上げてくれる約束!!」

 

「え?あ…………」

 

「『え?あ…………』じゃなくて!ヨウム達はもう出発したんだぞ!?各地で『英雄』として名を売るために!!」

 

「問題ありませんよ。既に手の者を回して、仕込み(・・・)は済んでおります。」

 

「え?そうなのか?」

 

「えぇ。ヨウム殿が『豚頭帝(オークロード)を倒した英雄』として広く名が知られるように、そして、この国がそれを手助けした『善良な魔物の国』として噂が広がるように抜かりなく……」

 

「そういえば、たまに姿が見えない時があったわね。」

 

「フューズさんはできる人だからね。」

 

その後、女湯から出て髪を乾かした後、シズと一緒にリムルとフューズがいる部屋に行ってみると、フューズが軽く一杯とばかりにお猪口でお酒を飲んでいた。

 

「いや、ホントに『ブルムンド王国』の近場にこのような保養所ができたのは実に喜ばしいことです………往復路の危険さえなければ、通いつめるのですが……」

 

なんか今のフューズが前世で言う、仕事帰りにスーパー銭湯に寄っているサラリーマンに見える……

 

「……やっぱり『ブルムンド王国』への道も作った方が良さげね。」

 

「え?」

 

「だな。」

 

「良いと思うよ。安全な道ができれば、冒険者だけでなくたくさんの人にも来て貰えると思う。」

 

「いやいや!ありがたい話ですが、それは最早国家事業ですよ!?莫大な予算だって」

 

「そこだよ。フューズ君。」

 

「く、君!?なんかリムル殿に言われるとこうむず痒いのだが……」

 

「そんなことよりフューズ君。俺達はこの町をもっと発展させたいと考えている。」

 

「そのためにも色々な国の人……特に商人達に来てもらいたいのよ。」

 

まぁ、私は(自称)『人間嫌い』な妖怪だから、どうでも良いけど……

 

「なるほど……」

 

「街道整備等の工事は全部魔国連邦(こっち)で請け負うつもりだ。」

 

「代わりに私達が無害な魔物だと広めてくれると助かるわ。」

 

「お願いできないかな?フューズさん。」

 

「……わかりました。そこまでして頂けるのでしたらこのフューズ、持てる人脈を全て駆使してこの町の喧伝に尽力致しましょう。」

 

「おう。よろしくな。」

 

「あ。後、魔国連邦(うち)の特産品とかも売りたいんだけど、その他諸々の相談ができる人を誰か紹介してくれないかしら?」

 

「わかりました。」

 

こうして『ブルムンド王国』への街道整備が決まったのだった。

 

第三者Side

 

「ここに暴風大妖渦(カリュブディス)が……」

 

「そうだよぉー♪」

 

「まだ復活はしていませんが、破壊への渇望が漏れ出ています。」

 

洞窟の前でそう言うフォビオにティアがそう言うなか、フットマンがそう説明する。

 

「もっとも、そういった感情が大好物な我々だからこそ、発見できたのですけどね。」

 

「確かに……異様な妖気(オーラ)を感じるぜ……」

 

「暴風大妖渦を復活させるには、本来なら大量の死体が必要です。」

 

「?死体?」

 

「暴風大妖渦とは所謂(いわゆる)精神生命体の一種です。この世界で“力”を振るうには先ず肉体を与えねばなりません。」

 

「なるほど……それで?」

 

「貴方の役割は……」

 

続きを促すフォビオに対し、それ以上の言葉を紡がないフットマン。

 

「!?」

 

が、そこから先の言葉をフォビオは察する。

 

「まさか……おまえ……っ!?」

 

「『従わせる』とは即ち『暴風大妖渦をその身に宿し、ご自身と同一化する』ということなのですよっ!!」

 

「俺の身体に暴風大妖渦を……っ!?」

 

「辞めるんなら、今だよ?」

 

「ッ……」

 

「けどぉ……」

 

「けど?」

 

「この封印はもう長くは保たないかも……」

 

「保たなかったら、どうなる……?」

 

「何(いず)れ自動的に復活しちゃう……かな……」

 

「死体が必要なんだろ?」

 

「でもでも、封印されてる状態でも自分の依代にするだけの死体くらい用意できちゃうんじゃないかな……そうなったら、あたい達はくたびれ損になっちゃう!!」

 

「そうですねぇ……」

 

二人の道化はガックシと首を落としながらそう言う。

 

「自動復活しちゃったら、制御は無理だろうし。純粋な破壊の意思だから、誰の命令も聞かないし……」

 

「つまり、自動復活する前に封印を解き、その“力”を奪わないとダメってことか。」

 

「え?あ、うん……そういうこと。」

 

「良いぜ……暴風大妖渦のその“力”、我が物にしてやろう……っ!!」

 

「流石はフォビオ様!!でしたら、こちらを……」

 

「?黒い……ヒトガタ?」

 

フットマンがそう言いながら取り出した、フォビオより少し前に接触していたセイジャからもたらされた黒いヒトガタを見て、フォビオは首を傾げながらそう言う。

 

「入手経路は企業秘密ですが、このヒトガタにはフォビオ様のお“力”を一時的に増幅させる特別な術式が施されております。」

 

「ほぅ……」

 

「きっと暴風大妖渦を従わせるのに役に立つでしょう。その身に宿すと同時にお使い下さい。」

 

「そうか……感謝するぜ……」

 

フットマンはそう言いながら、フォビオに黒いヒトガタを手渡す。

 

「やってやるぜ……暴風大妖渦を我が身に宿して、あの小生意気な魔王ミリムと嘗めた真似しやがったユカリ=テンペストを……っ!!」

 

その後、フォビオはそう言いながら、魔法で灯した灯りを頼りに洞窟の奥……暴風大妖渦の元へと突き進んでいく。

 

「………行きましたね。」

 

「行ったね。」

 

「流石は脳ミソまで筋肉で出来ているカリオンの部下ですねぇ……」

 

「単純だったね。」

 

「おーっほっほっほぉっ!!」

「あーっはっはっはぁっ!!」

 

そんなフォビオを見えなくなるまで見届けた後、二人の道化はそう高笑いを上げる。

 

「これで終わりですか?」

 

「うん。クレイマンからは『暴風大妖渦を復活させたら、ミリムに向かわせろ。』としか言われてないよ。あ!」

 

「ん?」

 

「用意してた下位龍族(レッサードラゴン)の死骸、要らなくなっちゃったね。」

 

「……でもまぁ、『備えあれば憂いなし』って言いますし……」

 

「だね!!」

 

「おーっほっほっほぉっ!!」

「あーっはっはっはぁっ!!」

 

二人の道化がそう高笑いを上げながら見つめる茂みの奥には大量の下位龍族の死骸が積み重なっていた。

 

クレイマンの企みにより、豚頭帝(オークロード)以上の新たな脅威(異変)が魔国連邦(テンペスト)に迫ってきていた。

 

ユカリSide

 

「はぁー……疲れたぁー……」

 

「お疲れ様。ギド。」

 

数日後、魔獣狩りから魔国連邦(テンペスト)に帰った後、そう言いながら座り込むギドに私がそう労いの声をかける。

 

「わっはははははっ!!見ろ!リムル!ユカリよ!!大漁なのだっ!!」

 

ギドとカバルが運んでいた荷車の上に置かれた、袋詰めにされた大量の魔獣を指差しながらミリムが笑顔でそう言う。

 

「おぉっ!!」

 

「ミリムちゃんが凄いんですよぉ。ミリムちゃんが魔獣をすぐに発見してくれて……」

 

「魔獣を見つけるなど朝飯前なのだ!!」

 

シオンに抱き抱えられているリムルと私にエレンが笑顔でそう説明するなか、ミリムは笑顔でそう言う。

 

「うんうん。お疲れ様。」

 

「本当に疲れやした……」

 

「風呂入って一杯やるか。」

 

「一杯やるのだ。そして、今夜はご馳走なのだ!わーはっはっはっ!!ッ!?」

 

「!?ミリム様!!」

 

「うむっ!!」

 

「何者ですっ!?」

 

そんななか、ミリムにリムルを投げ渡したシオンが虚空に向かってそう言いながら、剛力丸を引き抜いて構える。

 

同時にベニマル、ソウエイ、ハクロウ、カセン、ユウギ、スイカ、ランの七人もその場に駆けつける。

 

「………」

 

すると次の瞬間、以前見かけた時とは違う意味でヤバそうな妖気(オーラ)と殺気を放つ、半透明なトライアがその場に現れる。

 

「!?まさか、樹妖精(ドライアド)!?」

 

「初めて見た……」

 

「ユカリ。あの人って確か……」

 

「トレイニーの妹のトライアね。」

 

「お久しぶりです。ユカリ様。リムル様もその節はご迷惑をお掛けしました……」

 

「お、おう。それは良いんだけど……」

 

「その妖気(オーラ)と殺気……何があったの?」

 

「ッ……緊急事態です………

 

 

 

 

 

 

 

 

災厄級魔物(カラミティモンスター)である暴風大妖渦(カリュブディス)が復活致しました。」




新スキル一覧

ユニークスキル『結束者(ツナグモノ)』:自身が味方と判断した者達とスキルや魔力を共有できる。過酷な修行の中でヨウムが獲得した。

ユニークスキル『先見者(ホークアイ)』:少し先の未来や敵の弱点等を正確に視ることができる。ユカリがカジルに与えた『見聞者(キキジョウズ)』が進化した。

ユニークスキル『自然愛者(ヒーラー)』:空気中の魔力を取り込んで、自身の魔力の回復や強化を行える。魔力を制限して行わせた修行の中でロンメルが獲得した。

尚、ユカリ達からの改造×修行により、ヨウム達調査団の元ゴロツキの団員達は聖騎士団の一般騎士クラス、ヨウムとカジル、ロンメルの三人は隊長クラスまでの実力を身に付けている。

暴風大妖渦の心を仲間にする

  • 東方のキャラにして仲間にする
  • オリキャラにして仲間にする
  • 仲間にしない
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