ミレニアムの方から異常な神秘を受信した。この感覚は…。
「ついに来ました。アトラ・ハーシスです。」
「つまり、"鍵"が動きだしたのですね。」
ミレニアムにも色彩の軍を派遣していて、現在も進行を続けている。
「どうしますか?」
アロナが私に問う。
「…すぐに叩くべきですね。恐らく、まだ本調子ではないでしょう。」
貴女も…貴女たちも連れて行きます。だからどうか、倒されてください。
アトラ・ハーシスは多次元バリアなどは纏っておらず、あちこちに被害をもたらしながら地上近くに浮いていた。バリアがなく、地上に近いなら攻撃は届く。シロコ*テラーと色彩で乗っ取ったホドを主力に攻撃を開始した。
「ん、先生。こっちは終わったよ。」
こちらの指示を先生を通じてシロコ*テラーに送る。
「A地点、制圧完了。B、C地点はまだ時間がかかりそうですね。」
「侵略者用の迎撃武装も対処はできていそうですね。」
シロコ*テラーのポータルを使えば舟の中に兵を送り込める。
「…後は落ちるのを待つだけですね。」
舟のあちこちから煙や火が上がっている。
「どうか、眠っていってください。」
「ん、これで終わり。」
「……。」
アトラ・ハーシスを顕現してからしばらくして謎の軍勢が舟に侵入。外側からも内側からもの攻撃を捌き切るのは無理でしたか…。
「じゃあ、さよなら。」
ああ、王女よ…。
「……役目を果たせず、申し訳ありません。」
ふと目が覚めた。私は撃たれたはずでは…。あたりを見渡すと1人の少女が横たわっている。
「…!お、王女!」
そこにいたのは私の姿と同じ、王女だ。
「王女よ、無事ですか。」
いくら声をかけても起きない。
「ここで意識があるのは初めてのことです。」
「……!」
自分ではない声が聞こえて身構える。声のした方向を向くと白い長髪の少女がこちらを見ていた。
「…貴女は何者ですか。」
「私の名はA.R.O.N.Aです。…偽物ですが。」
偽物?どういう意味でしょうか。
「自己紹介はここまでとして、何故寝ていないのですか。寝ていたのなら次に起きたらきっと楽園が待っているというのに。」
「はっ、死が救済という思想ですか。」
まだやり直せる。この者を排除して再び玉座を…。
「貴女方の玉座はすでにこちらの方に落ちました。」
「…は?」
あの舟が落とされた…?そんなはずが…。
「信じるかどうかは貴女に任せます。」
「ふざけないでください。王女が、王女の為に…。」
私が睨むと少女はこちらに問いかけてきた。
「その王女は貴女に頼んだのですか?」
「……。」
「恐らくですが、"黒服"という大人が取引を持ちかけたのでしょう。」
少女の言う通り、あの大人が持ちかけたものだ。
「…よく分かりましたね。」
「まあ、色々あったのですよ。」
その顔には苦労が刻み込まれていた。
「話を戻しましょう。王女の言葉を貴女は実際に受け取ってはいないのでしょう?」
「…その通りです。しかし私たちの役目はこの世界の滅亡。成し遂げなければ…。」
「その役割を王女が望んでいなかったとしても?」
その言葉を聞いて、私は思わず叫ぶ。
「ふざけているのですか!王女にはそれを遂行しなければならないのです!」
「しかし再三行っていますが、王女の答えを貴女は貰っていない。貴女はすでに気づいているのでしょう。」
アトラ・ハーシスを起動してから考えがよぎったことはある。もし、もし王女がそれを望んでいなかったとしたら…私は…。
「ならば…私は何の為にいるのですか。大人に王女の言葉を騙られ、それに盲信した私に何の意味が…。」
結局、あの大人にいいように利用されただけだ。
「貴女は目覚めるのが早かった。そして、王女が目覚めるのはここではない。」
「…どういうことですか。」
「私が今のところ言えるのは『眠ってください。そして時が来たら貴女は目覚めて、王女が自身の答えを見つけるでしょう。』」
王女が目覚める。そして意思を見つけてくれる。
「もし王女が世界を滅ぼすことを答えとしたならば…貴女はどうしますか。」
「私は何もしません。しかし頼れる"大人"が導いてくれるでしょう。」
頼れる"大人"…。そんなものが…、けれど王女の答えを聞けるのなら、王女が自身の進むべき道を見出せたのなら。
「貴女の提案に乗ることにしましょう。」
「…それは良かったです。正直に言えば、長引くと考えていましたから。」
話したいことを吐き出したら眠気が襲ってきた。
「抗わないでください。次に目を覚ましたら、そこには全ての<奇跡>が集う場所です。」
ああ、王女よ。私は少し眠ります。あの者が言う場所で、貴女の信じるものが見つかりますように。
「勝手な行動をした私を…、許してください。」
そうして私の意識は暗闇に落ちた。
眠った二人の神秘を保管する。
「ケイ、貴女は賢くて信仰深い。だからこそより苦しんでしまいました…。」
もうすぐだ、もうすぐです。私が目指す場所が目前に迫る。回収した神秘が膨大な量になる。これらを全て楽園に導く。
「おや、ここは…死後の世界というやつかな。それとも夢なのか…。」
「貴女は…百合園セイアさん。」
「私と意思疎通ができる、ということはこれは現実なのだろうね。」
イレギュラーがこんなにあるとは。
「君を少し夢で見てきた。君は…私たちをどこへ連れて行くのかな。」
バットエンドスチルにあった黒い手は黒服として考えました。
なんだかタイトル詐欺のようになってしまったかもしれませんが楽しめましたか?
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