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「私は色々な場所を見て来てね。…あぁ、実際に行ったわけではない。夢、いわゆる予知夢というやつさ。そこで様々な出来事を見てきた。」
「たとえば?」
「多くの生徒が絶望に染まっていったことや、さっき言った君の企み。そして……。」
セイアはどこか遠くを見ていた。
「一番最期に見たのは空が赤く染まり、塔が降り注ぐ夢だったかな。」
そこまで見たのですか。ここでは起こり得ないことだというのに。
「そこで最初の質問だ。君は私たちをどこへ連れていくのか。」
こちらを見るセイアは敵意が剥き出しだった。
「一つ訂正を、赤い空や降り注ぐ塔についてはここでは起こらないことです。」
「ここでは…、と言うと別の場所で起こるということかな。」
「鋭いですね。ええ、ここではなく…別の次元。強いて言えば並行世界ということです。」
私の言葉を聞いたセイアに驚きの表情が浮かぶ。
「ハッ、いきなり何を言うかと思えば並行世界とは…。私も馬鹿にされたものだね。」
「ですが、ここにはそれを可能とするモノがあります。」
明らかに信じていない顔ですね。まあ、唐突にそんな事を言われて信じる方がおかしい。
「私の問いに答えるんだ。」
「いいでしょう。あなた方を連れていく場所は、あなたが見た場所…その並行世界です。」
「なに…?」
セイアの顔がさらに険しくなる。
「君たちは多くの生徒を殺して、その後も地獄に連れていくと…!?」
「いいえ、そこは地獄ではなくあなたが探している誰も出ることができない楽園に近づく場所です。」
「楽園だと?」
「そこはここで経験することができなかったいつもの日常が過ごせる奇跡が集まる場所。」
「日常、それが楽園だと?」
セイア、あなたがそれを一番望んでいたはずですよ。
「聖園ミカさんや桐藤ナギサさんとはどうでしたか?」
「ミカとナギサと…?」
「察するに権力争いで今までできていたお茶会なども腹の探り合いに変わっていった事でしょう。」
「…あぁ。」
「あなたが目指したものとはその二人と他愛のない問答を繰り広げるお茶会を楽しむ…そんな"日常"でしょう。」
自分の考えが当たったのでしょうかね。セイアの顔に自笑が見える。
「私だけではないさ。きっと、ミカとナギサもそれを目指していたはずさ。」
「だから連れていくのです。どこもかしこも問題を起こし、銃撃戦が起こり、その中で過ごす日常を暮らせる場所へ。」
「君の言ったことは理解する。だが、その問題で銃撃戦で、不幸な経験をする生徒がいることのどこが楽園なのかな。」
先生は言った。楽園を自覚すれば楽園に至れると。
「暮らしていくうちに恨むでしょう。憎むでしょう。しかし始めはこの地獄を経験した生徒は思うはずです。『あの時よりマシだ。』『殺されはしないだけでも。』と。」
「それは希望論だ。」
「ですが楽園も希望で作り上げたものでしょう。」
改めてセイアの顔をしっかりと見る。
「自論ですが、『一度底を経験した者にとっては新しい場所が楽園に見える』です。どうでしょう。」
「…良い考えだ。だが……。」
納得できないという顔をしている。わかりますよ、何が起こるかわからないここでどう納得すれば良いのか。
「私の言葉を信じるかどうかは別ですが一つ。観測方法は伝えかねますがその並行世界ではあなた方ティーパーティーはくだらないことで言い合い、くだらないことで笑い合う、そんな日常にいます。」
縋りたいでしょう、その日常があるというなら。
「きっとすぐにはできません。ですがあなた方がティーパーティーではなく、ただの一生徒として腹を割って話し合えばきっとその日常を掴めるはずですよ。」
「あぁ、羨ましいな。」
懐疑的、ですが前よりもある希望が結果を見せる。
「良いだろう。君の口車に乗ろう。」
「ご理解感謝します。」
そういうとセイアの体が小さくなり、一つの光の玉に変わる。
「せっかく語り合えたのですから、あなたの苦しみの一つを取り除きましょう。」
"予知夢"。セイアの苦しみ。ここでならソレに手を出せる。光の玉からさらに小さい光の玉を取り出して潰す。
「完全には無理ですが"勘の良さ"ぐらいにはできたでしょう。」
…自分の考えを口に出すのはここに来てから初めてですね。
どうでしょうか。セイアの口調は大丈夫でしたかね?
あくまで自論。なので楽園の考え方はそれぞれにあります。不愉快だと思う方がいたら申し訳ないです。
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