キヴォトスを観測していると、空が青に戻っていく。サンクトゥムの攻略ができたようだ。
「あの人たちは無事に攻略を終えました。暫くしたらここにやって来るでしょう。」
「…ええ、その通りですね。」
「大丈夫ですか、もう少しですから我慢はできますか?。」
アロナは頭を振り、眠気を吹き飛ばした。。
「ええ、そうですね。」
そう言うとアロナは舟の状態の管理を行った。
「………!」
舟に振動が走る。どうやらバリアを突破して突っ込んできたようだ。
「こちらで対処します。」
「お願いします。」
有象無象をあらゆるエリアに配置していく。ここからは負け戦の防衛戦だ。
あらゆるエリアが制圧されていく。次元エンジンのハッキングも進んでいる。
「…ですが、順調であるほど疎かになるのですよ。。」
既に先生を伝ってシロコ*テラーには作戦を言ってある。
「…掌握完了。」
自爆シーケンスを分け、一つを作動させる。ウトナシュピティムに小規模の爆発が発生し、動かなくさせる。
「虚妄のサンクトゥム生成完了。」
キヴォトスがまた赤く染まる。
「生命反応、うち一つは神秘の反応あり。」
こちらに近づく反応が二つあった。恐らくあちらの世界の先生とシロコだ。
「私よ、行きましょう。」
シロコと先生がこちらにやって来る。明日が来ると確信している瞳がどこか眩しく見えた。でも、まだ先生をやらせはしない。
「束の間の体かもしれませんから、あなたが行ってください。」
アロナを現実世界に顕現させる。その間、私が舟の管理を行う。
「あれは…私?」
「肯定。砂狼シロコ、別時間軸の同一存在。」
当然の疑問にアロナ…いや、A.R.O.N.Aが答える。
『…いいえ!それでもおかしいです!それならどうして、<シッテムの箱>のOSがここに居るのでしょうか!なにか…なにかズルでもしない限り…!』
あちら側のアロナに答えるべく、A.R.O.N.Aをあちら側のシッテムの箱に接続する。
『それはこの舟の内部、ナラム・シンの玉座による効果です。』
『わ、私の声が聞こえて…さらに、ここに接続までできるんですか…!?』
驚いた様子のアロナだったが、何かに気づいた。
『この感覚は…あなた以外の誰か…?』
こちらに勘付いた?バレる前に接続を切っておかなければ。
「"つまりプレナパテスが…別の時間軸の<私>ということ?"」
一部は合っている。だけど、ほんの些細な、だけどとてつもなく大きな違いが一つある。
『せ、先生!プレナパテスは…別の時間軸の先生です。で、でも…あちら側の先生は既に…生きて、いません…。』
シロコ*テラーが前に出る。
「先生を殺したのは、私だから。でも、恐らく<色彩>の影響で先生は"色彩の嚮導者"となった。」
それを語るシロコ*テラーは自罰的な物言いだった。
「私が…先生をころ、した…?…そんなの認めない!」
シロコが銃を放つ。それをシロコ*テラーが止める。
「そうなる運命なの。<シロコ>という存在は。」
向こう側が自爆シーケンスを作動させた。残念ながらここでの話し合いは終わらせる必要がありそうだ。
「私、ウトナシュティムへのアクセスが遮断されました。多次元解釈の抑制が維持されています。」
「…確認しました。」
箱舟にアラームが鳴り響く。このままではこの場にいる全員の生存は望めない。
「…生命反応を多数確認。」
恐らく生徒たちなのだろう。先生を信じて集まる生徒たち。
「指示を確認。演算支援を中止し、私の能力の全てを戦闘支援に割り当てます。」
あちら側の先生がカードを取り出す。でも、忘れたわけではないだろう。こちらも先生だということを。
「……。」
先生がカードを取り出す。黒く焦げ、煤汚れた、死して尚、先生の体を蝕む大人のカードを。