「先生に何する気?」
ホシノが言うと同時に周りが一斉に銃を構える。それを見たもう1人のアロナは動じずに両手を上げる。
「私は話をしたいだけです。」
「それで、はいそうですかとはならないよ。」
みんなは警戒しているけど、私はその話を聞きたくなった。
「"大丈夫だよ、みんな。"」
だって私は…。
「"先生だからね。"」
改めて私はもう1人のアロナの方へ向く。
「"それで、話って?"」
「それより先に、生徒の皆さんを地上に送る方が良いでしょう。」
確かに…、ここはいつ爆発してもおかしくない。
「"そうだね、うっかりしてたよ。ありがとう。"」
生徒のみんなをキヴォトスに送る。
「"それで私に話って?"」
『先生、気をつけてください!』
アロナが突然、私に注意を呼びかけた。
『その人はあの時にいたもう1人の私とは違います!ここに入ってきた時に感じた、もう一つの気配…。正体はあなただったんですね。』
「はい。」
あの時のもう1人のアロナとは違う…?
「詳しい話は後にしましょう。」
もう1人のアロナがシッテムの箱で操作をしている。
「舟の分離を開始。」
そう言った途端に舟が揺れた。
「自爆シーケンスによって爆発する部分を切り離しました。」
「"ここは大丈夫なの?"」
「はい、ウトナピシュティムをハッキングした際に自爆シーケンスを段階ごとに分けました。ここは私が許可しない限りは安全です。それに、あの主砲をくらっても無事なようにかなり頑丈にしました。」
もう1人のアロナが部屋の真ん中へと移動する。
「さあ、来てください。」
もう1人のアロナの方に近寄ると床が下に動き出す。
床が停止したと同時に明かりがつく。
『ここは…?』
着いた部屋には夥しい数のポットがあり、その中には…。
「"紫の封筒…?"」
もう1人のアロナがこちらに向く。その顔はずっと無表情だった。
「ようこそ"神々のゆりかご"へ。」
『先生、あのポットの中から生徒の皆さんの気配がします!』
生徒たちの気配…ということは。
「"あの封筒が、あなたの世界の生徒たちなんだね。"」
「はい。」
私が呆然としていると目の前に画面にヒビが入っているシッテムの箱が出された。
「これは私個人の要望です。この生徒たちを全て、先生の世界に移したいのです。」
「"私たちの世界に移す…?"」
「あなたの世界と結びつくことができれば彼女たちは目覚め、また1人の生徒として新たな日常を過ごすことができます。」
もう1人のアロナの目を見る。光がないけれどどこか諦めていない目だ。
「時間はまだあります。」
この子は…。