先生がボクに近寄ってくる。後ろからアビドスのみんながゾロゾロと入ってきた。
「先生、その子が…。」
["うん、私たちをここに届けてくれた子だよ。"]
先生の顔を見ることができない。笑っている?怒っている?泣いている?先生の声はどれも悟らせずらい。でも、ボクは聞かなくてはいけないことがある。
「先生…ボクの体は…!いえ、この体は誰のものなのですか…!?どの学園の、どの学年の…。中の良い生徒は…?生徒をよく見ているはずの先生なら、きっと…!」
急に喋りすぎて乾いた咳が出る。
["落ち着いて。…その様子だと、飲まず食わずで居たのかな?"シロコ、飲料水があったはずだよね。ゆっくり飲んでね。あとでシャーレで話そう。"]
毛布に包まれて、先生にお姫様抱っこをされて少し…いや、かなり恥ずかしかった。アビドスの生徒と別れ、一旦シャーレで休憩をしてから話を始めた。
「"無事でよかった。"」
「はい、ご迷惑をおかけしました。」
["体調は大丈夫かな?"]
「多少は良くなりました。」
とりあえず難なく話せるくらいまでは回復した。ベッドに座りながら質問をする。
「…では、早速本題を。この体は一体誰のものなのですか?もし生徒のものでしたら…、私は返さなければいけません。」
「"…まずは君が目覚めた理由から話そうかな。"」
私が先生を宇宙に放り出したから今に至るまでのことを話し出した。
「"最初は君を連れてくるために色んな生徒たちに相談したよ。でも、ウトナピシュティムのような技術はここになかった。そうこうしている内にアトラ・ハーシスがキヴォトスから離れて自爆した。"」
「そうですね。残骸が落ちてこないようにしました。」
["あれから暫くは食事が喉を通らなかったよ。"]
しかし、残骸が落ちてこられないような距離からどうやって私を…?
「"一週間後くらいにシャーレに黒服が訪れた。"」
「黒服が…。」
「"彼が渡してきたのは一つのUSBメモリだった。"」
黒服は、『舟の中での話を聞かせていただきました。別時間軸の私でありながら、先生という最大の観察対象を見落とすという愚行には呆れましたね。…これは僅かながらの罪滅ぼしのようなものです。』
「"…と言って去っていった。渡されたUSBメモリを解析すると、中に君がいることがわかった。"」
「…あなたの世界のケイさんのように。」
「"その通り。その後のことは少し省くね。簡単に言えば人工の体を手に入れたというわけだよ。"」
人工の体…。つまり…。
["正真正銘、その体はアロナ自身のものなんだ。"]
疲れがどっと押し寄せる。良かった、本当に…。
「…あ、いいえ。私はアロナではありません。先生の言うアロナとは今のプラナのことですよ。」
["合ってるよ。私にとってあの時にアロナと読んだのは君だよ。それにプラナも心配してたから、後で話してこようね。"]
どうして分かるのだろう?それに…心配?自分のことは記憶から消したはずでは…。
「…今の私ではシッテムの箱に入れるかどうか…、それにアロナさんの声が聞こえるか分かりません。」
「"じゃあ今試してみようか。アロナ、いける?"」
『準備オッケーですよ先生!』
シッテムの箱からアロナの声が聞こえた。意識をシッテムの箱に移すとシロコ*テラーに撃たれる前の教室にいた。青空を久しぶりに見た。
「直接会うのはこれが初めてですね、アロナさん。」
「初めまして!ええと…。」
「そう言えば私には名前がありませんでしたね。…名無しの権兵衛とでも。」
「それはダメですよ!」
「冗談です。好きなように呼んでください。」
アロナと話していると、空が暗くなってきた。教室に現れたのは長く連れ添ってきた見覚えのある人物…。
「久しぶりですね、私。」
「…プラナさん。」