善人家とマイナーキャラで逝く人外魔境新宿決戦   作:メバチマクド

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善人家とマイナーキャラで逝く人外魔境新宿決戦 <弐>

 

 宿儺のそのあまりの適応の早さに炳の一同は驚愕を隠せないでいた。その中でも、肉体に重きを置く甚壱は特にその肉体に魅せられていた。

 

 

(……扇から聞いていたが、ここまで適応が早いとはな……。殴っている感触もまるで岩だ。生来の肉体の強度もあるのだろうが、これ程の者が術師となれば史上最強と言われるのも納得がいく。しかし、まだ策は残っている。そもそも、これだけで倒せたら扇が既に倒している。……さて、どう出るか。)

 

 

 宿儺が解を飛ばし、神武解を振るおうとした瞬間、神(・)武(・)解(・)が(・)爆(・)発(・)した。それは鹿紫雲の最後の置き土産である神武解の破壊であったのだ。電気という同じ性質を扱う鹿紫雲は神武解の構造に対してもある程度把握しており、呪力を電気に変換し、放出する要の機構をショートさせていた。その一瞬の隙は蘭太は見逃さず、術式を発動する

 

 

「……ッツツ、甚壱さん!! アレをやる!!」

 

 

 その瞬間、甚壱は意図を即座に理解し宿儺に接近する。両の眼で宿儺を見つめ、血を流しながら動きを止める蘭太を甚壱は決して振り返らない。仲間の決意を無駄にさせない為だ。自らの術式を一つに収束させ、右の拳に呪力を集中させる。

 

 

(宿儺、お前相手に手数で攻めるのは効果が薄い。……ならば、どうするか? 超高出力の攻撃でお前を打ち抜き続ける!! いくらお前でも、蘭太の術式で無防備な所に俺の渾身を食らい続ければ、戦闘不能には陥らずともその後の戦闘に大きく響くだろう!!)

 

 

 甚壱の想定は間違っていない。扇との戦闘時、宿儺は『竈』によって扇の焦眉之赳を逸らしていたのだ。伏黒の肉体で肉体強度が低かったのも理由の一つだが、やはり直接の被弾は避けるべきと選択していたのは間違いない。

 

 

「往くぞ!! 極ノ番『撲天星』!!」

 

 

 甚壱の極ノ番『撲天星』の効果はシンプル。無数の拳を一つに集めて、放つだけ。 たったこれだけのものだが、単純ゆえに強力である。甚壱自身が甚爾との血縁なこともあってか天与呪縛の肉体程ではないものの、無双の肉体を持つため、これを食らって立ち上がったものはいないほどの威力である。

 

 しかし、これだけでは宿儺を倒すには至らない、甚壱の特異的な点が存在しなければ。 彼は英雄の肉体を持つ者である為、極(・)ノ(・)番(・)を(・)連(・)発(・)で(・)き(・)る(・)のだ。歴史上、数多くの術式が存在し、その分極ノ番もある程度存在していた。失伝してしまったものもあるが、甚壱の術式はシンプルな上、極ノ番も思いっきり、凝縮して放つだけだったので比較的伝わり易かった。

 

 

 だが、長い歴史がある禪院家でも連射可能な使い手は存在しなかったため、どれだけ甚壱が異常かが分かるだろう。鈍い音を響かせながら、宿儺に拳が叩き込まれる。一発、十発、百発、千発、無呼吸連打による決死の攻撃は宿儺にとって致命傷となり得るものだった。

 

 

(ッツツ……!! この威力……!! まるで大砲だ……体の芯に響く拳……!! それに加えて、一切、身動きが取れん……!! 二の策ということか……!!)

 

 

「ハアアアアアァァァァ!!」

 

 

 力の限り拳を繰り出し続ける。何度も何度も、もはや何発叩き込んだかも分からない腕を振り続ける。手には肉を潰す嫌な感触だけが残るがここで止めたら蘭太の覚悟が無駄になる。自らの手で救えなかった弟のたった一人の忘れ形見。もはや自分に惜しむものなど存在しない。あの日の贖罪のために甚壱は拳を振るう。

 

 酸素不足で重く感じる体に鞭を打ちつつ、さらに加速する。そして、後ろで扇は静かに焦眉之赳の発動の準備を進める。それが整ったと察知した甚壱は後ろに飛び退き、扇が刀を上段に構えて振り下ろす。

 

 

 

「……出力80%、焦眉之赳!!」

 

 

 出力80%というのは今の扇がギリギリ後の戦いに支障をきたさず、出せる最高火力だった。宿儺相手に前衛が減ることはそのまま全滅に繋がりかねない。だからこそ、継戦能力を維持できるこの火力が限界だった。

 

 特筆すべきは蘭太であろう 禪院家の若き天才、禪院蘭太の真骨頂は何といってもその目である。術式のこともあるが彼はあらゆる点で目がいいため、飲み込みが非常に早い。この状況で役に立ったのはその見極めである。術式の性質上、抵抗されると本人にフィードバックしてしまうのが扱いの難しい所であるが、彼は完璧といっていいほど扱っていた。

 

 特にこの状況下、少しでもタイミングが遅れると扇の焦眉之赳が蘭太にも被弾してしまい、多大なダメージを受けるだろう。かといって、早めに拘束を解除すれば宿儺に防がれてしまい手痛い反撃をくらうことになってしまう。

 

 しかし、仲間を信じ、ほんの刹那のタイミングをこの極限の状況下で合わせられるのが彼の才能を物語っている。若冠十代で呪いの王の前に立ち、あまつさえ通用していることをみればどれだけ彼が異常かが分かるだろう。だが、そんな彼を以てしても宿儺を抑えた反動だけで多大なダメージを受けていた。反転術式で回復できるとはいえ、その消費する呪力や集中力は絶大なものとなっていた。

 

 

(ハァハァ、……たった一回の停止で脳が焼き切れそうだ……。このままじゃ、俺の限界が一番近い……。ここで俺が先に倒れれば、直哉さんが来る前に前線が崩壊しかねない。どうする、どうする!?)

 

 

 そして、全力の攻撃を続けた甚壱も汗を全身から流しながら、少しでも多く酸素を取り込めるよう大きく呼吸をする。顔は青白く、今にも失神しそうな様子で考えをまとめる。

 

 

(……あれでも、仕留めきれんとはな。……クッ、足に力が入らん、扇の援護に行かねばならぬのに……!!)

 

 

宿儺もまた現在の状況を整理する。

 

 

(……大分、削られたな。甚壱は万全の状態、扇のアレをまともに食らったのも痛かった……。……まぁいい、どの道奴らができることは限られている。俺を抑えたあの餓鬼も見事だが、これ以上時間を長くすることは出来んだろう。……あの様子からして長くは持たんだろうな。 前衛である扇と甚壱を殺せば、後は消化試合だ……、もっとも扇の方は既に見切っている技も多い。まずはここで確実に甚壱を殺し切る!!)

 

 

 時間は禪院家の味方をしない。宿儺の呪力回復速度は驚異的であり、炳の皆の集中力と呪力はすり減る一方だからだ。『ジリ貧』、これが今の戦況を表す言葉であった 三人が稼いでいた時間の間、周りの残骸を取り込み、硬質化させた大量の腕の群れが宿儺を襲う。

 

 

(盾としてリソースとして取っておきたかったが、想像以上に蘭太の反動が大きい……。このままでは儂等が立て直す前に全滅しかねん。あるものを叩きつけるしかあるまい!!)

 

 

 長寿郎は蘭太の様子をみて決断する。禪院の命綱ともいえる蘭太を失えば、暴れ回る宿儺を止める人員はいなくなる。盾として攻撃を防ぎきるつもりはあるが、調子を取り戻した宿儺相手には1分も持たない。そう確信した長寿郎は盾としての腕をも叩きつける。その様子はまさに大波であり、飲まれればひとたまりもないような腕の群れが宿儺に迫っていた。

 

 

「ハハッ、質量攻撃か!!」

 

 

 満面の笑みで斬撃を飛ばし、腕を次々に輪切りにする宿儺。出力が戻ってきているのか、その切れ味と速度は先程よりも増していた。四方八方から波状攻撃を仕掛ける長寿郎の腕を無げに弾いていき、負けじと長寿郎が最高硬度の腕を槍のように構築し、全方位から突き刺さるように宿儺に放った。

 

 しかし、宿儺は『捌』によりそれらを細切れにした後、長寿郎に肉弾戦を仕掛ける。長寿郎も格闘戦が弱いわけではないが今回は相手が悪すぎた。宿儺に殴り飛ばされ、『解』が長寿郎を襲う瞬間、刀が滑り込み、何とかいなした。そこにいたのはリーゼント頭が特徴的な男、躯俱留隊隊長、禪院信朗であった。

 

 

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(フー、間一髪、……これで防ぎきれなかったら、後で当主と甚壱にドヤされてたぜ。……しっかし、あの四人を相手にして元気ピンピンとは、長寿郎さんのアレをくらって、なんで動けんだよ、びっくらポンだぜ……)

 

 

(!? 新手か、しかもこの戦いに混ざれるレベルの術師か。 面白い……。)

 

 

 そう期待に胸を膨らませ、信朗のもとへ斬撃を飛ばしつつ、接近する宿儺。その鬼のような姿に冷や汗をかきながら、抜刀し戦闘態勢をとる信朗。

 

 

(うおっ!! ……やっぱ来るよなぁ、こちとら術式持ってないただの猿なんですが。)

 

 

 心の中の言葉とは裏腹に、洗練された動きで宿儺と打ち合う信朗。たった数合のものだったが、それだけで互いの力量を把握する。

 

 

(おおおお重てぇ~!!!! 扇から聞いちゃいたが、なんだよこの力!! 本当に人間かよ、トラックぶつかってきてるようなもんだぞ。ふざけんな、糞が!!)

 

 

(……ほう、扇程ではないが洗練された剣捌きだ。俺と打ち合えることも見るべき点だが、特筆すべきはその肉体だな。術式を使ってこないことから察するに相当鍛えられている。もし使わないのではなく、使えないのなら凡人が行き着く最終地点にいるのがこの男だな。)

 

 

 宿儺の見立ては正しい。前当主、禪院直毘人によって禪院家の近代化が進められた際、躯俱留隊も例外ではなくその枠組みに入れられた。そのコンセプトは『術式がないなら、他で補えばいい』というものだった。『呪術師の9割は才能である』、この言葉は古くから言われる真理で間違っていない。どれだけ肉体を鍛えても術式の有無は覆しようのない明確な壁を作るからだ。どれだけ非術師の技術が優れていようと超常を生業とする呪術師には関係がないからだ。

 

 だが、一考の余地はあると直毘人は目を付けた。そもそも、近年の呪術師としての禪院家にはアナログな所が多すぎており、それを改善しようと人員の多様化を図ろうとしたのが目的であった。 そしてそれは広がっていき、躯俱留隊にも適用された。対呪霊へのノウハウはこれ以上拡張しようがなかったので、対呪詛師への対策として近代戦の兵器の導入が検討されたのだ。羂索も言っていた通り、術師に関しては通常兵器の運用が有効であり、これに目を付けた直毘人は慧眼だったといえるだろう。

 

 中でも、著しい成長を遂げたのが信朗であった。初めは非術師のものに触れるのに抵抗があったが、やっていくうちにその面白さに魅了されていったのである。何よりも積み重ねられた人類の叡知には再現性と誰でも出来るようになるという特徴をもっていたことが彼を引き付けた要因の一つであった。そんな彼が最も好んだのは古来から続く剣術であった。中でも、ある技に信朗は心を奪われた。常人では真似することのできない初見殺しの絶技を。

 

 

「貴様もよくやるな、呪力強化と剣術だけでそこまで粘るとはな。」

 

 

 そういった宿儺の眼前には、白い服に血がべったりとくっついた、息も絶え絶えの信朗の姿があった。胸は十字に切られ、疲労も相当なものであった。

 

 

(あぁ、……痛い。 痛いし、怖い。なんでこの場にいるんだっけ?、分からねえ、分からねえ。 あんだけ鍛えてきた肉体も剣術もものの数分で見切られて、終わりだぁ?……強すぎんだろぉ、こんなん勝てんのかよ……。……でもまだだ、まだアレがある。ガキのように興奮して、朝から晩まで練習したアレが。……積み重ねた俺の剣技をアイツに刻み付けてやる!!)  

 

 

 このままいけば、死んでしまいそうなその体をゆっくりと起こし、刀を構え、息を吸い、裂帛の気合で宿儺に立ち向かう。刀を振り上げ、切っ先から地面につくのではないかという勢いで宿儺に大振りの一撃を叩き込む。無論、宿儺が見え見えの攻撃に当たるはずもない。

 

 期待を裏切られた失望と侮蔑の顔色で信朗にカウンターの一撃を返す。その時だった。地面に当たりそうな刀の勢いはギリギリで停止し、刃を上に返して振り上げる。二段構えの攻撃、その名を『燕返し』という。術師とは異なる体系で紡がれる技に宿儺は避けきれず、右手の手首は切り払われてしまう。

 

 

「……フッ、クッ、クッ、俺に傷を付けるか!! それしかないお前が!!……良い、実に良い。このようなものは今までいなかった。弱者がこの俺の領域まで迫れるということをお前は証明したのだ。」

 

 

「……げほっ、お褒めに預かりどーも呪いの王サマさんよ。……足りぬを知れども、一太刀は入れれるもんだな……」

 

 

 その言葉を最後に意識が途切れそうになる信朗。目の前には断頭台のように死の刃が迫りくる。 愉悦に興じる王の嗤い声が信朗の最後の記憶だった。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 トドメを刺そうとした宿儺に剣閃奔る。それは忘れるはずも無い太刀筋、受肉して最初に戦った最高の剣士のもの。

 

 

「!? 来たか!! 禪院扇ィ!! さあ、この俺の前にて死に物狂いで興じて見せよ!!」

 

 

「貴様にかける言葉などもうない!! 長寿郎殿!! 信朗はリタイアだ、後は私が引き受ける!!……簡易領域展開!!」

 

 

 斬撃の応酬、何千という斬り合いが二人を結ぶ。一方は嗤い、一方は猛る。まるでこの日を待ち侘びたかのように全力で持てる技をお互いに振るい合う。時には隙を作って相手を誘い、何も知らぬ者では一秒たりとも存在できない空間が広がっていた。

 

 

「……くはっ、すまんな!! ナメてたよ!! お前らと戦って確信した。足りぬを知れば、それらを補うように足掻く。そうして何がなんでも手を届かせる。たとえそれが猿の作った技術であろうとな!!」

 

 

「ここは既に明日を生きる者達の場だ!! お前ら死人が好き勝手に荒らしていい世界ではないッ!! 今度こそこの手で切り捨ててくれようぞ、宿儺ァ!!」

 

 

肉体の限界を越え、扇が加速する。先程の鹿紫雲との戦闘を扇は観戦していた。自身と同じ術式解放を使い、宿儺を追い詰めた先達は扇に更なる可能性を示した。

 

 

(奴は恐らく体を電気に変換して戦っていた。人の身ではあのようなことは出来ん。……私も考えた可能性の一つをあの最強は見せてくれたのだ。その上で、アレが私にできるかと問われれば、答えは否。純粋に肉体強度が足りんのだ。全盛期の肉体であれば、同じことが出来たであろう……。しかし、今のままでは1分持つかどうかという所。それで宿儺を仕留めきれるという確信はできない。だが、このままでは調子を上げる宿儺に甚壱と私は磨り潰され、敗北を招くだろう。甚壱は今、極ノ番の反動と蘭太の護衛で援護は望めない……。……用意は整った、命、捨てがまるは今か……。)

 

 

 不意に扇の動きが止まる 宿儺には予感がした、退屈が裏返るそんな予感が。

 

 

「……ほう、何かする気だな? 禪院扇よ、さぁ、魅せてみろォ!! あの時と同じく、俺を楽しませてみろォ!!」

 

 

「……宿儺、お前は私が切る。……此処で終わらせて見せよう、往くぞォ悪鬼!!」

 

 

 あの時と同じように扇は静かに闘志を燃やす。違ったのはその目、悔いは無く、冥途へと赴く用意ができた、まるで死人かと思うような圧力を放ち、呪いを紡ぐ。

 

 

「術式解放!! 焦眉之赳!!」

 

 

 再び現世に地獄の炎が顕現する。そこに慈悲は無く、あるのはただ悪鬼羅刹を滅ぼす浄魔の炎なれば。災いを祓い、呪いを断ち切る刀がゆっくりと形作られる。

 

 

「此処を貴様の墓場としてやろう!! 来ぉい、出来損ない!!」

 

 

4分11秒。扇は最後の命を燃やし始める。それは星のように煌びやかで、見ているものを癒し、浄化する光だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……ッツツ、この炎……。死ぬ気か、扇ィ!!」

 

 

 甚壱は驚いた顔で火柱の方を見つめ、叫ぶ。命を燃やしているかのような、其の炎は甚壱の体を癒し立ち上がる勇気を齎す。不甲斐ない、情けない。その感情が心中を満たすが、我らが誇る最高が遂に達したことを甚壱は確信していた。 

 

 

(……いつまでも、世話を焼かれてすまないな。……そうだ、まだ終わりではない。……この猛る炎が、呪力が、我らの魂を奮い立たせる!!……勝つ、皆で勝つのだ!!) 

 

 

 そう決意を決めた甚壱の体は先程よりも少しだけだが軽くなったように感じていた。 そして甚壱の隣で蹲る蘭太は現実と向き合っていた。

 

 

「……このままだと扇さんが……援護に行かなければ……!! ガハッ、……クソ、動け、動けぇ!!、何が天才だ!! 此処で動かないと扇さんが……何もできないのはもう嫌なんだ……」

 

 

 蘭太は扇の援護に向かおうとするが反動の治癒が間に合わず、血を吐いてしまう。この日の為に、こういう日の為に鍛練を重ねてきたのに、体が動かない自分に歯を食いしばりながら我慢する蘭太。それでも思考を止めることなく今できる自分の最善の行動をする。

 

 

(……ッツツ、切り替えろ、扇さんの覚悟を無駄にするな。この時間に残りの部分を治し切り、一刻も早く援護に向かう!! これしかない、覚悟を決めろ!!)

 

 

 そして信朗を送り届け、火柱を見るもう一人の老骨がぽつり呟いた。

 

 

「……眩しいのぉ。」

 

 

 一言、長寿郎は呟く。命の輝きとはこれ程までに眩いものであったのかと若き日を思い出す。もはや何歳かも忘れてしまうほど生きている自分に、あの煌きは出せるのだろうか。そんなことをふと思う。自分は先の戦いで限界か?、いや、違う。断じて違う、まだまだ現役、若い者に負けてたまるかというものだ。

 

 再び嗤い、呪力を練り上げる。かの王を撃滅するには腕なんぞでは足りない、生涯最高傑作で相手にするのが作法というものだ。ニヤリと嗤って、作業を始める。そこには確かに若き日の自分がいた。

 

 四者それぞれが覚悟を決めて再び立ち上がる。人の身で鬼に立ち向かうのは確かに蛮勇だ。 だが、何時だって鬼を倒すのは人間である。

 

 

 

 

 











今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!! 評価バーに色が付いていて、とても嬉しいです!! こんなに多くの人が読んでくれて作者は感激しかありません。何かを全力でやるのが作者のストレス発散なので評価がいたただけて、泣きそうになっております。 もし感想など頂ければ今後の励みになりますので、よければ感想お待ちしております。 
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