東方獣神録   作:shina

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以前早めに投稿するといったな・・・

そ、そうだしいな・・・!←誰
  
あ れ は 嘘 だ   ウワァァァァァァ!

申し訳ありません。ほんっとうにすみません!
学生故テストとかゲームとかアニメとかアニメとかアニメとかゲームとかアニメで忙しかったので・・・
すみませんもう言い訳しません
それではどうぞ


獣人Ⅰ

私はこの日激痛で目が覚めた。

「いったたた」

「どうしたチカ?」

先に起きていたらしい栞奈が近寄ってくる

「うーん・・・体の節々が痛いなぁ」

そういいながら体を起こそうと力をいれる

 

ピキ

 

「いったぁぁぁぁぁぁ!!!」

この絶叫は村中に響き渡っただろう。

 

 

 

「ったく妖怪のくせして筋肉痛とはな」

そう私は昨日はしゃいで暴れまわっていたせいで相当重度な筋肉痛だった。私は向こうでは部活には所属せずずっと帰宅部だったので筋肉痛なんてとても久しぶりだった。

 

グゥ~

 

「っ///」

「ほーう妖怪さんでも腹は減るんだなぁ」ニヤニヤ

「う、うるさい!///」

「飯を食わせてやりたいのはやまやまなんだがなぁ、生憎いま食料を切らしちまってるんだよ。だから川で魚を取って来てくれ」

「えー」

今筋肉痛だってってるでしょ!ちょっとは考えなさいよ!、と言ってやりたかったが残念ながら怒鳴るのもおなかに力を入れなくてはいけないため少し痛むのでやめておく。

「おいチカ」

「なに?」

痛む首をかばいながらゆっくりと栞奈のほうに首を向ける。

「ほらよ」

栞奈は棚から何かを取り出し私に向かって投げてくる。ボフッという音をたてて布団の上に落ちてきたものは小さな薬つぼだった。

「痛み止めだ。それ塗ってさっさと魚取りに行ってこい」

「わかった」

私は部屋移動し服を脱いで薬を痛む箇所にぬった。

「よし、これでいいかな。あれ?」

私が服を手に取ると中から何か紙が落ちてきた。

「なにこれ、手紙?」

 

 

チカへ

 

おぬしの能力とステータスの話じゃ。獣神は古くに栄えた種族で昔はこの世を統治するほどの力を持っていたと聞く。そして昔から神話として伝承されていたそうなんじゃが、語りべがもういないようなんじゃ。神というのは信仰心あっての存在。語りべが無き今、獣神の信仰は少しづつ減っている。今は力が少なくなっている程度で済んでいるがこのままでは存在が危うい。今おぬしは転生したばかりのころの力の10分の1ほどの力しかないじゃろう。それに獣神の特性故体力が少ない。能力を使いまくったり走り続けたりするとすぐに体力切れを起こすぞ。さらに獣神はその身体能力があるため霊力の量、伸びしろともに少ないんじゃ。

まぁ安心しろ誰と戦うわけでもない、存分にそこでの生活を楽しんでくれ。

 

                               神様

 

「・・・ふざっけんなぁぁぁぁぁ!」

「おぉい!どうしたチカ!」ガラッ

「!?服着てないんだから入ってこないでぇぇぇ!!」

 

 

「・・・・いてぇ」ヒリヒリ

「す、すみません」

私はいま栞奈と向き合う形で正座している。というのもさっき入って来たときに私がビンタをかましてしまったのだ。そして叫んだ挙句心配して入ってきた栞奈をビンタするのはまずいと思い、今全力で謝り倒している。弱くされたとはいえ獣神である。痛さは人間にされた時とは段違いだろう。

「本当にすみませんでした」

「・・・いいよ別に俺も悪かったな。でも!これからはすぐ手を出すなよ!」

「はい、肝に銘じておきます」

「よし、じゃあ行って来い。妖怪に気を付けてな、近頃は化けるやつとかもいるみたいだから。どこかの誰かみたいと違ってうまく化けるからな!」

「うっさい!いってきます!」

 

こうして私の一日が始まった

 

 

「この辺でいいかな」

私は栞奈から課された任務を遂行すべく村の前にある川に来ていた。向こうではもっぱらインドア派でアウトドアなんてしたことなかったので、魚なんてもちろん取ったことはない。まぁ獣神である私の速さがあれば魚を取ることなど造作もないだろう。

「やるぞー!」

声をだし気合を入れる。そして目を閉じて視覚以外のすべての感覚を研ぎ澄まし、音、におい、空気の揺れを感じ取る。漫画やアニメででよく見るアレである。

「これやってみたかったんだよねー」

元の世界でやろうものなら変人確定だが(実はバレないようにやってたとか口が裂けても言えない)ここでは何の問題もなくできる。

「やっぱり能力を持ってからだと変わるのかな、いつもよりちゃんと音が聞こえる・・・気がする」

 

魚捜索中……

 

ボチャン

 

「みーつけた♪」

 

ダンッ!!

 

地面をけりだし音の発生源へ向かう。ふむ確かに昨日と比べると格段に遅くなってる。どうやら力が落ちているというのは本当らしい。

 

ズザザザァ

 

「あ、あれ?」

そこには魚の陰も形もなかった。音の聞き間違いなんてことはない一瞬でここまで跳んできたので逃げられたということもないはずなのだがそこにはただ水が流れているだけだった。

「確かに魚が跳ねた音がしたんだけどなぁ」

私が首をひねっていると後ろから声がかかった

「石が落ちた音と魚が跳ねた音の区別もつかねぇとは、案外カミサマってのも大したことねぇな」

「・・・またあんた?」

私が後ろを振り返ると、そこには昨日無謀にも私に勝負を仕掛けてきた門番が片手に石を持って立っていた。体のところどころには包帯が巻いてある。

「けが大丈夫なの?といっても私がやったんだけど」

「ん、まぁな。それにしてもカミサマともあろうものが魚とりとは意外と庶民的だな」

言われてしまった・・・私だって好きで魚とりなんてしているわけではないのにまったくもって心外である。いや、まぁ別にいいんだけど。それでも一つだけ言っておきたいことがあった。それは

「その『カミサマ』ってのやめてくれない?私にはちゃんと『御狐チカ』っていう名前があるの!」

「・・・・・」

門番は私の名前を聞いた途端少しうつむいて黙り込んでしまった

「なになんか文句でもあんの?」

「・・・いや、変な名前だなと思っt」

 

ヒュン!

 

「おおい!突然こぶしを打ちこんでくるやつがあるか!当たったらどうすんだよ!」

「その時はその時よ!」

「わかったわかった、悪かったよ」

「ほんとにわかってるの?じゃあ一回呼んでみて」

「・・・御狐」

うーんほんとは名前で呼んでほしかったんだけどなぁ。ま、いっか妥協範囲ってことで。そのうち呼んでくれるでしょ

「よし、それはそれとして何しに来たの?わざわざ私をおちょくりに来たわけじゃないよね?」

「・・・・・その、魚獲りを手伝おうと思ってな」

私はしばらく口を開けてポカンとしていた。まさか昨日襲ってきた人に手伝いを申しだされるとは夢にも思わなかったのだ。どうしよう手伝ってもらうべきだろうか、でもなんかの罠かもしれないし・・・

「何のつもり?」

「何のって善意のつもりだが?」

・・・うそを言っているようには見えないけど。まぁいっか罠だったとしても多分勝てるし。なにより本当に善意だった場合それを踏みにじるのはよくないだろう。

「じゃあ、よろしくね」

「ああ」

しばらく黙々と魚を取り続けていたのだが、その沈黙を破る声があった。

「おい、御狐」

「んー?なに?」

私は魚を見つけ魚が逃げないような最小限の声で返事をして、魚に近づいていく。そして魚を捕まえるべく手を水に突っ込もうとしたその時

「昨日は・・・悪かったな。すまない許してくれ」

「・・・え?」

突然謝られたことへの驚きで私の手は魚とは全く関係ないところに向かって振り下ろされた。岩である。

 

ゴッ

 

鈍い音が鳴り少ししてから脳に情報がいく。

「いったぁぁぁぁぁ!」

魚はその声に驚き逃げてしまったが、私にはそんなことを気にしている余裕はなかった。痛みもあるがそれだけではない、謝ったのだあの門番が。なに?ツンデレ?ツンデレなの?いやデレてないからツンデレではないか。じゃあえっと・・・なんて言えばいいの?ツンショゲ?いや何ツンショゲって自分でも何を言ってるかわからなってきたぞ。落ち着け私、とりあえず門番に謝った理由を聞くんだ・・・よしいける

「ね、ねぇなんであやmくぁwせdrftgyふじこlp」

最悪だありえないかみかたした、なんでこの文脈であのかみかたをするんだ。意味が分からない。というか自分どうやって今の音を発音したんだ。というか絶対門番さん引いてるよ私だったらドン引きしてるもん。

「・・・・?」

あぁそんな目で私を見ないで門番さん。とりあえずもう一回言い直そう。

「うぉっほん。・・・なんで謝ったの?」

「いやもうとり消せねぇから、がっつり噛んだろお前動揺しすぎだ。」

やはりばれてしまっていた・・・いやバレてないと思ってたとかではないんだけどね。

「い、いいから質問に答えなさいよ!」

「・・・特に理由はない」

なんだこの人理由なく謝るなんて・・・

「ただ、お前を見てると・・・」

「私を見てると何よ」

「――――いやなんでもない。魚取りを続けるぞ」

いつもの私ならここで異常なまでに首を突っ込むのだが、今の私はそんな気分になれなかった。なぜなら、門番の声が最後の方かすかに震えていたのである。泣いているのかどうかわからないが気分がよくないのは確かだ。さすがの私もそんな相手に深く聞きこむ気にはなれない。

「うん・・・」

私は一言だけ返して魚獲りに戻った。それからは2人ともお昼まで一言もしゃべらず黙々と魚を取り続けた。

 

 

 

「いやーたくさん捕ったねー」

私の背中には身長と同じくらいのカゴがありその中には魚がどっさり入っている。

「そうだな」

「あ、ところでさ何で私が川で魚取ってるって知ってたの?」

「聞いたんだよ栞奈さんに」

「ふーん、そうだご飯食べに来ない?いろいろ話したいこともあるしさ」

「・・・じゃあお言葉に甘えさせてもらおう」

「よし、じゃあいこう」

「ちょっと着替えてくるから先に栞奈さんの家で待ってろ」

「はーい」

さて、やることはやったしあとは家で門番が来るまで待とう。というか私は自分の名前を呼ばせてるのに門番の名前知らないなぁ。あとで聞いてみようかな。

そんなことを考えながら帰路についていると、ふと周りの視線がチラチラとこちらに向いていることに気が付いた。しかもどう考えても嫌悪の目だ。

(あれ?昨日栞奈と歩いてた時は変化を解除してても何もなかったのにな・・・)

そのとき、人ごみの中からなにかが飛んでくるのが見えた

 

ヒュン!

 

「うわっ」

私はとっさに手をだしそれをつかんだ。石だった。しかもかなり大きい、私の手でギリギリ掴めるぐらいの大きさだ。こんなものいくら私とて頭にぶつけられたら、死ぬとまではいかないまでも大ケガを負うだろう。

(今のは間違いなく私に対する威嚇だった。いやそれどころか殺しに来てたのかも)

と思いあたりを見回してみたが、気が付けば周りの人からのさっきまでの視線はなく、さっきまでと同じように騒がしい市場があった。石を投げた犯人ももうおそらく逃げているだろうし、私は家に帰ることにした。

(仕方がないよね……あの人たちは人間で、私は妖怪。いくら『カミサマ』なんて言っても信仰のない今じゃあそこら辺の妖怪と変わらないし。・・・私この村にいていいのかな)

向こうでも別に好かれてるわけじゃなかったが、ここまで露骨にやられるのは正直つらい。

(帰ったら栞奈に相談しようかな…でも迷惑かけるの嫌だな)

私はしばらく考えていたが、結局考えはまとまらないまま家の前についてしまっていた。

「ただいま・・・」

「おう、おかえり遅かったな。・・チカどうかしたか?」

「え?あ、いやなんでもないよ」

私としたことが迷惑をかけたくないと思っているそばから心配されてしまうなんて、顔か声色に出てたのだろうか。

「お、かなりたくさん捕ってきたな。しばらくは食料には困らなさそうだ」

「でしょ、あ、そういえば門番をお昼ご飯に招待しちゃったけどいい?」

「ああ、にぎやかなのは大歓迎だ」

「ありがと!じゃあ魚焼いて待っとこ」

 

NOW COOKING

 

「よし、こんだけ焼けばいいでしょ」

私の前の囲炉裏には無数の魚の串焼きが刺さっている。あまり気にしていなかったがこう見ると何かの儀式のようにも見える。というか自分で刺しておいてなんだがちょっと怖い。

「ま、まぁたくさん捕ったからたくさん食べたいし?」

誰に言い訳してるのか自分でもわからないけどとりあえずぶつぶつと言い訳を連ねていく。

「おいチカ、一人でなにぶつぶつ言ってんだ?」

「ブツブツ・・・は!ご、ごめん栞奈何?」

「いや、別に何でもないけど・・・なんかぶつぶつ言ってたから」

しまった栞奈に聞かれてしまっていた。自分にしか聞こえてない音量のつもりだったんだけどな。とりあえずここは話題を変えよう。

「そ、それよりさ、門番全然来ないね~」

「ん?あぁそうだな」

よし、どうやら話の軌道を変えることに成功したようだ。このまま話を終わらせてしまおう。

「ちょっと外みてくるね」

「おう、気を付けてな」

「うん、大丈夫村から出ることはないから」

私はそういってからふとさっきのことを思い出す。

(そういえば私、村の一部からは嫌われてるんだっけ)

やっぱり栞奈に言うのはやめよう。そう心に決めて下駄を履く。外に出てカランコロンと内心とは裏腹に軽快な音を響かせながら道を行くと、自分が門番の家を知らないことに今更ながら気が付く。

「むぅ・・・どうしようか」

「なにがだ」

「決まってるでしょ、門番の家をどう探すか、よ」

どうしたものかなぁ、人に聞くのは論外だし・・・って

「あんたはなんでいんのよ!」

バッと勢いよく振り返るとそこには予想通り門番がいた。

「なんでってお前が誘ったからだろう」

「うっ・・・そうなんだけどさ」

「さ、行こうぜ」

「ん」

私たちは黙々と家を目指して歩き始めた。しかし路地に入る前にその沈黙は終わった。

「ねぇ、あんた誰?」

「何言ってんだ、俺だよ。この村の門番だよ」

 

 

「―――うそね」

 

 

「獣神をなめてんじゃないわよ、あそこまで絡まれたやつを間違えるわけないでしょ。そもそもにおいが違うのよ」

そう思いっきり指摘してやると門番―――のような何かは苦虫をかみつぶしたような顔をした。その途端そいつの周りに煙がたちこめ姿を隠した。そして煙が晴れるとそこには案の定一人の妖怪がいた。

「・・・バレちゃあ仕方がないな、ここで死んでもらうぞ」

妖怪はそう吐き捨ててから身構え、そして殴りかかってきた。

「そんなテンプレなセリフいまどきマンガやアニメでも見ないわよ」

私は相手の蹴りや拳を躱し、さばきながら答える。

(ここで戦ったら村の人たちに危害が・・・)

「くそっ!なんであたんねぇんだ・・・よっ!」

妖怪が渾身の気合を入れて打った拳も私にはかすりもしなかった。さらに勢いを止めきれなかった妖怪が、頭から民家の壁に激突した。

「ってえな・・・」

「どうしたの、もう終わり?じゃあこっちから行かせてもらうわよ!」

私は言うや否や地面を蹴りだし妖怪との距離を一瞬で詰めた。

「なっ!?」

 

ズガッ

 

私は妖怪の腹に全力の拳を叩き込んだ。私はただのボディブローをうったつもりだったのだが。さすがは獣神といったところだろうか、腹を貫通してしまった。私の顔に血が跳ぶ。

「うわっ」

「うぐっ」

私は血が付いたこと、妖怪は腹を貫かれたことによりそれぞれの悲鳴を上げる。まぁ私の悲鳴と妖怪の悲鳴はまったく辛さの度合いが違うのだが。

「うぐぅぅぅぅ」

私が腕を抜くと妖怪から血があふれるように出てきた。しかし妖怪は痛みに耐えつつ私に睨みをきかせている。まったくなんでこの村にはタフなやつが多いんだ、そこだけ門番にそっくりになりやがって。

「くそがぁ・・・!」

妖怪はまた吐き捨てるように言うとその場から逃げだした。人間でも追いつけるような速さで、足を引きずって歩いているが正直追う気にもなれなかったし、放っておいてもそのまま死んでしまうと思ったので放っておいた。

「さて、本物の門番を探さないと・・・」

と思い歩き始めたが、あることに気が付く。また、周りの目がこちらに向いている。しかもさっきのようなチラチラとした視線ではない。あきらかにこちらを見ている。周りを見ればいつの間にかたくさんの目が私に向けられていた。

「な、なに?」

耳を澄ますときちんとは聞き取れないが「あの子、妖怪を倒したわよ?」とか「腹に穴開けてたぞ」などなどいろんな言葉が耳に入ってくる。ひそひそといわれるとわりと心に来るものがあるが、別に耐えれないほどではなかった。しかし、そこに信じられない言葉が耳に飛び込んでくる。

 

 

「あいつ、妖怪の腹に穴開けた時――― 笑ってたぞ 」

 

私は信じられなかった。腹を貫いたときに感じたものは不快な生暖かい感触だけだったはずだ。嫌悪の顔ならまだしも、笑っているなんてあるはずがなかった。頭がこんがらがる。いろいろなことを考えているといやな汗が噴き出してきた。

(笑っていた?私が・・・?まさか、そんなはずないよ喧嘩もしたことないし、殴ることはむしろ向こうでは嫌いだったのに。そんな私が殴るどころか腹を貫いて笑う?)

私の頭は依然整理できずパンク寸前だった。そしてこの空気に耐えかねた私は、家に戻ろうと思い立ち上がる。しかしそのもくろみはかなわなかった。顔をあげて歩いてしまったのがいけなかった。まわりの人の目を見てしまったのだ。

珍しいものを見る『目』・疑問の『目』人によってさまざまな『目』をしているが、一番多かったのは

 

バケモノを見る『目』

 

もう耐えられなかった。私はその場にうずくまり大声で泣いた。堰を切ったようにあふれた涙は顔を伝って地面にポタポタと落ちシミを作った。

結局こっちでも私は一人か・・・。

いや、まだこの人たちと仲良くなってないだけよかった。もう二度とあんなな思いはしたくないから・・・

 

ザッ

 

私の視界にうつった物は誰かの靴、しかし私にはそれが誰の靴かがにおいで分かった。「どうしたんだよカミサマ、人間に悪く言われたぐらいで」

「うるさいな!あんたに何が分かるっていうのよ!!」

気づいたら叫んでしまっていた。

「あ・・・ごめ」

自分で突然叫んでおきながらバツが悪くなりなんとか謝ろうとしていると

「・・・わからなくもない」

「・・・え?」

私が予想外の返答に戸惑っていると、門番は私の前に躍り出て一息吸うと、観衆に向けて一声放った。

「お前らぁ!ここにいる方が誰だかわかっての狼藉かぁぁ!」

「え、ちょ、何言って・・・」

周りを見るとどうやら戸惑っているのは私だけではないらしい、村人たちもざわついている。

「この方は!かの獣神様だぞ!!」

「・・・!?」

何あの人は正体をばらしてるんだ!?というか何で知ってるんだ。いや、妖怪ということはもうすでにばれてるからいいのか・・・いや、そこじゃない「かの獣神様」っていうのはどういうことだ?獣神ってのはそんなに有名なものなのかな。よく聞いてみると「獣神ってほんとにいたの?」とか「バカ言えおとぎ話だ」とかいろいろな言葉が聞こえてくるし。

「ね、ねぇどういうこと?」

「どういうことって何を言ってんだ?獣神様といえばこの村に伝わる『守護神』だろ。この村で獣神様を知らないやつはいねぇよ」

どうやら私はこの村ではかなり重要な役を担っているようだ。しかし、そう言ったところで信じるような人たちではないだろう。現にいま村人たちは、私たちに懐疑の目を向けている。証拠がなければ信じてもらえず状況はまったく変わらない。なにか自分が獣神だということを証明できるものは・・・

「ねぇまったくあの人たち信じてないわよ、どうすんの!」

「・・・ちょっと待ってろ」

そういうと門番はまた一息吸い、声を発した。

「この中で腕に自信があるもの、もしくはそういったものを知っているものはいるか」

なるほどつまり門番はその腕が立つ人と私を戦わせようっていう魂胆らしい。それなら話は早い。さっさとそういう人に出てきてもらって一瞬で倒せばいいだけの話だ。

「それなら俺が相手になろう」

人ごみの中から野太い声が上がった。

「よし、でてこい」

人ごみをかき分けて出てきたのは、格ゲーにでも出てきそうな筋骨隆々の大男だった。ここまでの大男がいてなぜ今まで気づかなかったのだろうか。と思ってしまうそれぐらいに大きいのである。

「じゃあ、自称『獣神』さん始めようぜ」

「おっけ、どうすれば獣神と認めてくれるかな?」

「とりあえず一発で俺を倒したら、俺は認めてやるよ」

なんだそんなことで認めてくれるならたやすい。

「それでは、はじめ!」

ズンッ!

「っが・・・」

私は門番が合図をするや否や大男の腹に拳を叩き込んで試合を終わらせた。

「さて、次は誰?100人組手だってやってやるわよ?」

正直言ってそんなことをしたところで、まったくなんの解決にもならないのだがそれ以外に使用がないのだから仕方がない。私が挑戦者を待つためにあたりを見渡していると、門番がこちらに声をかけてきた。

「御狐、お前能力は使えるか?」

「え、うーん時々?」

「まだ未完成ってことか。それが使えればいやでもあいつらは信じるんだがなぁ」

「え?なんで、能力ってそれぞれが持つものでしょ?それなのに何で能力を見せただけで信じるのよ?」

「普通は、な。だが獣神はちがう。獣神だけは能力が代々引き継がれ、種族で能力が固定されている『力を操る程度の能力』とな」

「そういうことね」

どうしたものか、能力はいまのところいざって時にしか発動しないし。試してみる価値はあるけど、できなかったらもう信じさせるのは限りなく不可能に近くなるだろう。

(どうする私・・・)

頭の中でそんなふうに思ってはいながらも、私の考えはほとんど決まっていた。

「可能性があるなら、それにかけてやろうじゃない」

「よし、じゃあ・・・そうだな、じゃあ自分自身を浮かせてみろ」

「え・・・」

ちょっと予想してなかった・・・まさか自分を浮かせるなんて。『浮く』ということは自分にかかっている重力を反転させろということよね。そんな神がかったことができるのかな・・・一応神だけど。

「わかった、やってみるわ」

正直できる気なんて全くしなかったが、大見得を切ってしまった以上私に挑戦する以外の選択肢など残されていないのは明白だった。

深呼吸をし浮遊するイメージを頭の中で構築していく。

「はっ!」

 

パンッ!

 

柏手を打つ。すると突然上に引っ張られる感覚に襲われた。

「うわ、ちょっうわぁぁ!」

バランスをうまく保つことができず、ふらふらしながら上昇していく。ある程度の場所まで上がったらなんとかバランスを保ち、上昇をやめる。ホバリングはかなり難しく重力と浮力を均等にするのはかなり繊細な作業だ。ようやく安定し、村人たちを見下ろしながら「見たか!」といわんばかりにのけぞって見せる。村人たちもこれで認めざるを得なくなっただろう。

「どう?」

村人たちはもう黙るしかなくなっている。これでもう誰も私が獣神だということを疑う奴はいないかな。ちなみに私はいま平然を装った顔をしてるが結構ギリギリだった。もう足とかプルプル震えてるし村人や門番にはこの距離だからわかんないと思うけど・・・

「もう降りてきて大丈夫だぞ~」

「はいはーい」

私はゆっくりとバランスを崩さないように降下していき、安全に着地した。

「どう?これで私が獣神って信じてくれた?」

私が少しにらみつけながらそう言うと、村人たちはバツが悪そうに下を向いて黙った。黙られてても困るんだけどなぁと私が思っていると、人ごみの中から一人の老人が歩み出てきた。これでもかというほど長老オーラを放っている。

「私はこの村の村長を務めております」

「ええ、確かにそんな雰囲気を放ってるわね」

「どうか、今までの非礼をわびさせていただきたい・・・獣神様」

そういうと村長は膝をついて頭を下げた。それに続いて、後ろのたくさんの村人たちも同じ姿勢を取る。認めてくれたのはいいが私にひざまずく人を見下す趣味はないし、ましてや崇め奉られるなんて・・・確かに悪い気はしなくもないが、だからと言って偉そうにするのは小心者の私には到底できるはずがなかった。

「いや、えっと・・・あの、とりあえず顔あげて?」

私がしどろもどろになりながら村長に声をかけると、村長は恐る恐る顔をあげ、そして私にしか聞こえないような声でこう言った。

「獣神様、あなた様が獣神ということは紛れもない事実。そして私もそれを疑うつもりはございません。ですがひとつ尋ねたいことがあるのです。どうか、我が家に来てはいただけないでしょうか」

「え・・・うん、いいけど?」

「ありがたい!」

村長はそれだけ言うと、立ち上がり村人たちに向き直った。

「皆の衆!私はこの方を獣神様とし、もてなすことを決定した!異論がある者はおるか!」

誰か逆らう人がいるかと身構えたが、幸い誰も逆らう者はいないようだった。

「ただし、獣神様の意向により私の家でもてなすこととする!獣神様に要件がある者は後日来るように!それでは解散!」

この一声であれだけいた村人は三々五々散らばっていった。

 

 

私御狐チカはいま村長の家にお邪魔させてもらっています。

「すっごい・・・!」

「たんと食べてくだされ」

村長は柔らかな笑みを浮かべながらそう言った。いま、私の目の前には『ハリーポッターかよ!』と突っ込みたくなるようなごちそうが整然と並べられている。よく考えれば朝から何も食べてなかった私が、こんなごちそうを前に耐えれるはずもなく女子力のかけらもなくがっつく。

「んんんんまい!」

「お気に召していただけたようで光栄です。・・・ところで獣神様」

「ん・・・何?」

私は口いっぱいにほおばっていた食べ物を飲み込み尋ねた。

「本題に入らせていただいても?」

「あ、ごめんなさい。忘れてた・・・」

私は食事の手を止め村長の本題をきこうと耳を傾ける。

「ああ、食べていただいたままで結構ですよ」

「そんなわけにはいかないわよ、親に昔から言われてるんだから。で、なに?」

「はい、非常に不躾な質問と承知してのことですが・・・」

笑みを浮かべていた村長の顔が急に険しくなる。その表情を見て私も緊張せざるを得なくなる。

「単刀直入に申し上げます・・・」

ゴクッと音がしそうなほど唾を思いっきり飲み込む。

 

 

 

「あなたは、いったい何者なんです?」

 

 

 

 

side栞奈

「チカのやつおっせえなぁ・・・」

 




やっとこの欄が書ける・・・そう思うとうれしくてたまりません。
というわけで自分でも何か月かわからないまでの期間を開けての第4話です!
本当にすみません。失踪では決してありませんので。
次回はなるべく早くに出します!というか出したい!
今回は長々と書いたあげく、タイトル回収できないという最悪の事態でした。次回は絶対しますので!
あと、少し時間経過が遅い気がするのですが・・・コメントしてくれる優しい方は読んでいて急展開になってないか正直に言ってくださるとうれしいです。コメ稼ぎじゃナイヨ!誤字脱字等あれば報告よろしくお願いします。

それではまた第5話でお会いしましょう
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