(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス 作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)
「ユメ先輩、さっきから何食べてるんです?」
「干し芋って言うんだってっ。シンちゃんさんの住んでる所の名物なんだって。おいしいよっ」
「ああ、シンさんのお土産ですか――ってなに一人で全部食べてるんですか!?」
「あっ……ごめんねホシノちゃん。あっ! これも名物だって! こ、これ食べよう」
「仕方ないですね。なになに……うまい棒ですか――うわくっさっ!!?」
なっとう味だからね仕方ないね。
前回のあらすじ:割と貯め込んでるオリ主くん 大人の財力で生徒をわからせる
「………………」
「………………」
ふう、ミレニアムサイエンススクールとやらに来てみたんだが、あれだな。
急に異世界感ぶち上げてくるじゃん。
なにこれ頭おかしいだろ。
マンハッタンの摩天楼がウンコに見えるレベルでイカれてる。なにあのビル群。スケール感バグりすぎ。
思わずオノボリさん丸出しでキョロキョロしちまったわ。完全に観光客ムーブで草。
……と思ったら、なんかちっさいJKに因縁つけられた。
薄桃色のショートヘア、目つきが異様に悪い、ついでにガラも悪い。テンプレ不良。だがチビだ。
「……おい。いま目ぇあったよな? なんでスルーしてんだァ?」
「ん? お前アホじゃねえの?」
「あん? 喧嘩売ってんのか?」
「売ってねえけど。あのさあ……俺を見てどう思う?」
「あ~? やたらデカくて、頭の上におもちゃ乗せてるやべえ男……大人?」
「はぁ~……やっぱインチキヘイローはダメかぁ……まあ何にせよ、大人の男が女子高生に声かけるのは絵面的にアウトなの」
思わずクソでか溜息ついてその場に座り込む。
煙草吸いてえ……けどここ絶対ダメなやつだろ。ちくしょう。
そしたらそのガラ悪JK、なぜか隣に座ってきた。距離感どうなってんだ。
「なにが駄目なんだよ」
「これLEDで黄色く光る天使の輪なのよな。ヴィレバンで買ってみた」
「ヴィレバン? で、それが?」
「いやさ、俺、キヴォトスの外から来てんだけどよ」
「外ォ? どういうこったよ」
「説明ムズいな……あー、俺は元いた世界からキヴォトス限定で転移できる能力がある」
「はぁ? なんだそれ」
「まあいいだろ。そういうもんだって前提で聞け」
「ああ……うん。つかアンタ、私見ても物怖じしねえんだな」
「ん? 可愛い系JKだろ? 目つき悪いだけで」
「な、何言ってんだよ急に!? アホだろお前……で、なんだよ」
「何慌ててんだよw ウケる」
「うるせえ!」
こいつ沸点低すぎて草。
つか舌打ちしながら胡坐かくな。パンツ見えてるぞおい。サービスか? いや違うな。無自覚か。
いやこれでサービスって思うと俺の性癖終わってるってなるからな。
「で、だ。アビドス高校ってとこで世話になってんだけどよ、ヘルメット被ったアホに襲撃されてな」
「どこも変わんねえなあ……クソが。つかヘイローねえのによく無事だったな」
「そこなんだよ。俺、ヘイロー無くても銃で撃たれた程度じゃケガしない」
「へェ……おもしれえじゃん」
「面白くねえよ。そもそも襲うなって話だろ」
「まあな」
「で、襲われたらどうする? 追っ払うだろ」
「そりゃそうだが……」
「4、50人まとめて追い返したらさ、“ヘイロー無いのになんで?”ってなるわけよ」
「そりゃなるだろ。しかもあんた大人だろ? そりゃ唖然とするわ」
「だろ? で、街行くたびに“ヘイローないですね?”って聞かれる。これがな……ほんっっっっっっっっっっっっとダルい」
「実感こもりすぎだろ。それでそのバカみてえなオモチャか」
「そうよ」
「やっぱあんたアホだろ。逆に目立つわ。私も二度見したし」
「じゃあもう諦めてヘイロー無しで行くかぁ……」
「そうしとけ」
「じゃ聞いてくれてありがとよ! じゃあの」
「おう!」
「………………」
「………………いや行かせねえよ?」
「離せ」
「怪しすぎんだろ。アビドスの奴が何しに来てんだよ」
「アホか。不法侵入じゃない。ちゃんと手続き済み」
「どれ……マジか。商業目的、と。ほーん……アビドス高校の用務員ねえ」
「だから言ってんじゃん。ルール守ってるだろ。警察でもねえのに職質すんな」
「あー……まあ、それはそうなんだけどよ。名乗れねえけど聞ける立場ってやつだ」
煮え切らねえな。
だが、ここに来るまでに見かけたミレニアムの生徒は基本インテリ寄りで、こんなスカジャン羽織ってオラついてるタイプはいなかった。
なのにこいつ、明らかに“強者側”の空気がある。
ホシノという見た目詐欺の権化を知ってる俺には分かる。こいつヤバい側だ。
なら逆らうのは悪手。ここは攻める。
「別に悪さしに来たわけじゃねえよ。目的は二つ」
「ほう? まともなら口利いてやれるかもな」
「助かる。一つは法律相談。商法系に強くて実績ある弁護士かコンサルか税理士。その上で調査能力ある奴」
「具体的だな。で、もう一つは?」
「ビジネスのプレゼン。ミレニアムが食いつく案件をアビドスが出せる可能性ある。だからコネ作ってディスカッションできる相手探し」
「まともじゃねえか!」
「だから言ってんだろ……」
「悪かったな! 詫びにいい奴紹介してやる。数字の鬼がいる」
「マジで? 助かるわ」
「スマホあんだろ? モモトーク交換な。準備できたら連絡する」
面倒見良すぎて草。
こういうヤンキー気質、嫌いじゃない。むしろ好き。
ちなみにこっち用のスマホはガソリン入れに行った時に買った。
地元帰る時は生徒会室に放置してるけど。
そんで
セミナーとかいう生徒会的組織で会計担当らしい。
なるほどな。
このバカみたいなハイテク都市の金を回してる奴なら、そりゃ当たりだ。
いや大当たりかもしれんな。
「んじゃネル、サンキューな。終わったら飯奢るわ」
「おう。終わったらうちの“部室”来いよ」
「りょ。連絡待ちながら街ブラするわ」
「キョロキョロして絡まれんな~?」
そう言ってネルは手をひらひらさせながら去っていった。
部室、ねえ。
アビドスと違って人多すぎなんだよなここ。正直入りたくねえ。
そして恐らく女子高だろ? いやだわ。
だがまあ、窓口が絞れたのはデカい。
この広さでノーコネ探索とか地獄確定だったし。
――と、ここまでは良かった。
俺はまだ舐めていた。
このキヴォトスという世界を。
地球基準で考えたらアウトってコト。