(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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グルメ要素どこ……ここ?


シロコのせっかくグルメ②

 前回のあらすじ:子供は絶対に目を離してはいけません。予想外の行動に出ます。

 

 

 つくば市内にはいくつも大型商業施設がある。

 中心街だけじゃなく郊外にも。

 だから車さえあれば滅茶苦茶生活しやすい街で気に入ってんだ。

 

 特に都内じゃ人気のラーメン屋の支店や系列店が結構多いが、人口密度が低いから行列もたかが知れてるしさ。

 それでいて筑波山方面に行けば自然が多いしな。

 市内にも結構でけえ公園もあるから、都会の便利さと地方都市の緩さが同梱してて良いとこ取りっつーか。

 

 あとパン屋がやたらと多いし、洋食系の飲食店も多い。

 多分つくば市民なら行きつけのパン屋があると思うわ。

 俺も二か所をローテしてるし。

 

 だからキヴォトス生活は楽しいが、完全に向こうに行く気にならんのよ。

 そんな街をここ数日シロコと歩いてる訳だが――――

 

「シロコちゃんほんっと可愛いわねっ。このガトーショコラ、食べなさい」

「んっ、うれしい。ありがとう」

「きゃーーっ」

 

 洞峰公園の傍にある行きつけのオープンカフェで一服してると、通りかかる女性店員がシロコを猫かわいがりしている。

 頼んでもいないケーキをサービスしてきたぞ。

 それどころか頭ナデナデしてらぁ。

 

 このカフェってマンションの一階を占有していて、隣接する奥まった駐車場部分をテラス席にしてるんで煙草も吸える。

 店内もアンティーク調のインテリアで統一されていて落ち着くし、だから定期的に通ってんだが、俺に隠し子がいた!とかうるせえんだよ……嫁すらいないわ。

 ここ来る前に近くにある肉のハナマサでキヴォトスに持ってく奴の買い物をしてたのよ。

 疲れて休憩に来たのに余計疲れたぜ。

 

「それにしてもマジで不思議だなあ、どうなってんだろうな」

「ん?」

「何でもねえ。せっかく貰ったんだし一杯食べろ」

「んっ」

 

 ご満悦らしい。

 ほっぺにチョコの欠片ついてっけど。

 ナプキンで拭ってやると目を細めて嬉しそう。

 マジで父親気分になってくるぜ。

 

 そうなんよ。

 変なんだよ。

 ヘイローがこっちの人間に見えてない。

 

 シロコの頭上には大小の輪があって、外側の輪には上下左右に1本ずつ棒状の突起があるデザインのヘイローが確かに見えてんだよ俺にはさ。

 いわば天使の輪みたいなモンだが、え……もしかして俺、実は生き返ってなくて死んでるとか? だから天使の輪が見えてるみたいな。

 ……それはねえわ。ケンジと普通に会って喋ってたしな昨日。

 勿論トレーラーヘッドの搬入でこっち来た時に本人も来たしシロコとも喋ったしな。

 親戚の子で誤魔化したが。

 

 加えて、俺が必死こいてキャスケットを改造したのにそれも必要ないっぽい。

 コストコ行った時にレジ待ちの列に並んでたんだが、後ろにいたシロコにオバチャンがぶつかってキャスケットが取れたんだよ。

 俺は青くなったが、オバチャンがごめんごめんって言いながら帽子を拾い、埃を払ってシロコの頭に戻した。

 そんで可愛い子だねえなんて目を細めて撫でた。

 

 俺の目からはシロコの獣耳がぐにぐにになってるのが見えてるんだが、オバチャンはそこに一切反応しねえ。

 つまりヘイローに続き、この耳も見えてないっぽいんだよな。

 だから今日は開き直って帽子を被ってねえ。

 まあ余計な心配しなくて済むのは嬉しいけどな……でも釈然としねえよ。

 

「シン、シン」

「うん?」

「次どこいく?」

「家具屋に行く」

「家具?」

「ソファーとか収納とか欲しくてな。向こうのオフィスに置きたいんだよ」

「ん、シンの部屋がらがら」

 

 そうなんよな。

 アビドス・ロジスティックスは現在25台のトラックがフル稼働している。

 地球からトラックを持ち込む→ウタハ達がキヴォトス仕様に換装→すぐに稼働させる。もちろん金を稼ぐために。

 だから管理やマネジメント部分はするにしても、事務所の体裁整えるとかは全部後回しだったのよ。最低限出来てりゃいい。事務所機能はまあ、最悪アビドスの生徒会室を使えばいいし。

 

 それがヘルメット団を200人以上も取り込んで一気に所帯が大きくなっちまった弊害っつーかな。

 お陰様で人件費を過不足なく払っても内部留保に回したり運用に回したり出来る余裕が出たんだけどさ。

 

 なら次はどうするか。

 従業員の労働環境を整えるために投資する。

 それが寮だったり食堂だったり。

 食堂は業者を入れて三食食えるようにしている。

 寮はキヴォトスの狂った建築スピードのお陰で完成し次第入居をしてもらい、最初こそ数人の相部屋だったが、現在は個室が確保できた。

 

 で、社屋が出来たのは一番最後な訳よ。

 広いが三階建ての箱型で、三階が経営陣のフロアになってて、俺の執務室もそこにある。

 だからスチールのビジネスデスクの上に雑にPCを置いてたのが今までの状態。

 流石にこれ駄目だろ。そう思ってな。

 なので今回は家具を色々持ち込もうかなって。

 

 そんな訳でケーキを堪能して満足したらしいシロコを乗せて学園西大通を筑波山方面に向かう。

 シロコは筑波山を見るのが好きみたいだ。

 今もじーっと見てる。

 そういやアビドスには緑が生い茂る山なんてねえもんな。

 俺には当たり前になった景色だが、シロコにしてみりゃ異世界だしこうなるのも当たり前かあ。

 帰る前に筑波山の展望台にでも連れてくかよ。

 あそこはまだ「がまの油」の啖呵売のデモンストレーションが見れるし喜ぶかもな。

 

「んっ」

「どした?」

「あそこ」

「なんだ……ああ、自転車のショップか。気になるんか?」

「んっ!」

 

 気になるらしい。

 なので車を入れた。

 個人経営のショップみたいで、色んなロードバイクがディスプレイしてる。

 あれだな。普通の自転車ショップじゃなくガチな方だな。

 車を停めた瞬間シロコが凄い勢いで飛び出していき、壁に展示してあるグリーンのフレームに目が釘付けになってた。

 こいつがこんなに興味を示すのって珍しいな。

 

「妹さん随分気に入ったみたいだね。目をキラキラさせて見てるからこっちも嬉しくなるよ」

 

 店内に入ると髭を蓄えたロマンスグレーのおじさんが目を細めてる。

 妹……妹かあ……まあいい。

 

「予約もなしにすみませんね」

「構わないよ。コロナ渦以降面倒くさくなったよね」

「ですねえ。シロコ、それ気に入ったんか」

「んっ。これかっこいい」

「ほーん……」

「妹さん、シロコちゃんって言うのかい? いやあお目が高い」

「そうなんです?」

「ええ、そちらはビアンキと言ってイタリアの老舗メーカーなんです。これはARIAというモデルの完成品ですが、お値段も手ごろですし、ある程度の幅広いシチュエーションにも対応できるタイプなので、エントリーモデルとしてもお勧めしやすいんだよ」

「はえ~……おお、30万ちょいか結構いい価格するんですねえ」

「ふふっ、ならあっちに並んでる奴の値札を見てごらん?」

「どれどれ……えぐ……」

「こっちは本格的なロードバイクだからね」

 

 店主が指さす方向に並んでる奴は全部100万オーバーだった。

 俺の知らん世界だわ……。

 そう言って店主らしきおじさんがグリーンのビアンキを壁から外してシロコの前に置いた。

 おじさんを見るシロコに彼は跨ってごらんと言い、サドルの高さを調節し、シロコに合せた。

 

「んっ……ん~っ!!!」

「気に入ったんか」

「シン、これ好き」

「他にも色々あるのにこれがいいのか?」

「これがいい。色が気に入った」

「ぐいぐい来るじゃん。ねえ店主さん、これ買うとしても他にもいるよね? グローブとかレギンスっぽいウェアとか。ヘルメットもか?」

「そうだね、恰好から入るってよりも安全で正しく乗るために必要だよ。決して安い物ではないけれど、ここで妥協するならこの手のバイクは買わない方がいい」

「ふむふむ」

 

 このおじさんは信用できるタイプだな。

 趣味の人間特有というか、曖昧な濁し方をしない。

 表示されてるプライスは34万弱。

 チャリンコのイメージなら高いが、向こうに並んでる奴は120万とか普通にするしな。ロゴを見れば同じビアンキだし。

 そう考えるとエントリーモデルって意味なら安い気がする。

 つーかシロコのキラキラ目の無言の圧がエグいんだ。

 

「すみません、これ貰います。けど俺は素人なので、必要なアイテムやギアを全部揃えてやって貰えます? ついでにメンテ方法や必要な知識もこいつに教えてくれると助かります」

「時間はあるかい?」

「ええ、別に何時間かかってもいいですよ」

「では美味しいコーヒーを入れよう。君はそこのカウンターでのんびりしててくれ。私はシロコちゃんの時間を貰うよ」

 

 そんな感じで俺たちはそのショップに半日いる事になった。

 あんだけはしゃぎ、真剣に説明を聞くシロコを見たら茶化す気にもならん。

 帰りにはスーパーキャリイの荷台に乗る真新しいグリーンのビアンキと、シート後部のバックスペースには、ウェアからライトから必要だと言われたギアやアイテム類が満載。

 あはは……これ全部合わせて70万近く行ってて草枯れる。

 これでハイエンドモデルじゃないってマジ?

 

 ロードバイクに安易に手を出すのはやめておけ、これマメな。

 

 ま、シロコがご満悦だからいいか。

 うん、やっぱ完全に父親気分だわ俺。

 結局家具屋に行く余裕はなく、スシローで済ませて帰った。

 スシローて。

 

 

 




「ユメ先輩、お料理ですか?」
「うん、プリンを作ってるんだよ!」
「凄い量の卵……材料費が高そうです」
「いいホシノちゃん。ここは妥協しちゃだめ。だってそれが小美玉プリンだから!」
「なんですかその口調……」
「ホシノちゃん!やっと見つけたよ、私の戦車道!」

 安易な中の人ネタはNG

 ※備考欄※
 作中に出て来た洞峰公園(どうほうこうえん)横のカフェは実在してました。
 バックヤードカフェと言いますが、いつの間にか店じまいしてます。
 うーん寂しい限りです。コロナ渦以降、結構お店が消えてます。
 ドライブイン牧園帰って来てくれ……。
 大学時代、そんで結婚して数年はつくば市在住だったので、割に思い出深い街ですね。
 キャンパスに徒歩圏内に住んでましたが、家賃も安くて神。今は知らない。
 
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