(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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主人公「この辺にぃ、良い物流のトラック、走ってるらしいっすよ」
あとがきに続く


迫真!アビドス物流部 ルートの裏側

 前回のあらすじ:フウカが拉致されると食堂には”拉致により本日休業”の張り紙がされるらしい。それを見た生徒は「草」で済ませると言う。もう終わりだよゲヘナ学園。

 

 

 ある日の午後、俺はアビドス高校の生徒会室で腕組みしながら考えていた。

 生徒達は授業中だろう。と言ってもまだ生徒数も少ないし教員もいないから自習みたいなもんだが、一応連邦生徒会界隈で日本で言う学習指導要領的な基準はあるらしい。学年ごとにこの時期はここまでやっとけ的な目安があるそうで、その辺はユメが差配している。なのでこの時間は静かなもんさ。

 

「あれ? シンちゃんさんここにいたんですね」

「ん? ユメか。どしたー?」

「えへへ、今日の授業は終わりましたよっ!」

「シロコやノノミはいねえんだな。ホシノも」

「サンドボードに乗りに行きましたっ」

「あいつら飽きねえなあ……ユメはやらんの?」

「私は、えっと……」

「どんくさいから仕方ねえか」

「あうう……」

 

 なんでだろうな。戦闘訓練を見るとそれなりに動けてんだけどな。けどサンドボードみたいなのは駄目で、秒でワイプアウト(落砂)する。

 サンドボードっつーのは現在バージョン7まで機能改善された砂漠用のサーフボードで、ミレニアムのエンジニア部に貸してる土地に連中が作ったラボで生まれた代物だ。そのラボ、日に日にデカくなってて普通に怖い。

 

 元々はアビドスの学食に連中がメシをタカりにくる。その時に地球という異文化育ちの俺の話を聞いてたウタハがインスピレーションを受けた! とか叫び、その流れで新発明が生まれるのがいつものパターンだ。

 ちなみにサンドボードに関しては、エウレカセブンのリフボードの話をしてて、空飛ぶボードとか出来んのか? みたいな事を俺が言った気がする。

 

 そんで出来た訳だが、バージョン7まで来ると安全装置はほぼ完成形だな。速度も150kmまで出るし、厚さ10センチほどの板の中に水素エンジン仕込んでるのがもう意味わからん。カートリッジ状の水素燃料もどうなってんだって話だし、聞けば今やアビドスのランドマークになってる巨大パラボラアンテナくんことアーク炉が大活躍してるらしい。

 あれ一応アビドスのモノなんだけど、ほぼ連中しか使ってねえんだよな。

 

 そんなサンドボードだが、今や砂漠の横にシャワールーム付きのクラブハウスみたいなのまで出来てる。ホシノたちは学校指定の水着で遊ぶから砂落とさないとだし、うちの社員たちも仕事明けに遊んでる。福利厚生の一環って事でいいだろ。

 

「ところでシンちゃんさんは何してたんですか?」

「ああ、ちょっと考えててな」

「何をですか?」

「俺ちょいちょいミレニアムに行くじゃん?」

「はい、早瀬さんや美甘さんから広がった交友関係がありますもんね」

「ミレニアムはアビドスの恩人だから無碍にも出来ねえしなあ」

「ですねっ! ウタハちゃん達が来てくれて助かりましたっ」

 

 実際そうだから困る。ウタハは確かに優秀だが、それはそれとしてサンドボードに何故自爆装置を付けたのか。勿論ガン詰めして外させたが不満そうなのがイミフだ。

 とは言えアビドスの稼ぎが増えたのは間違いなく連中のお陰だ。

 

 で、何故かセミナーの会長である調月リオに目を付けられてる。

 懐かれてるのか敵視されてるのか未だに判断がつかんが、初対面の時からとにかく情報量の暴力みたいな話を延々とぶつけられた。正直半分も理解できてないが、適当に相槌打って最後まで聞いたら「最後まで話を聞いてもらえたのは初めて」とか言われてな。なんだそれ。

 

 それ以来、定期的にミレニアムに立ち寄ってミレニアムまんじゅうをモグモグしながらリオの話を聞くという謎の時間が出来た。周りから見ると完全に異物同士なんだが、本人は気にしてないっぽい。

 リオのロジックは基本的にトロッコ問題で、大を救うために小を切り捨てるタイプだ。功利主義だの義務論だの難しい話をしてくるが、俺にゃさっぱりわからん。

 

 ただなまじ優秀過ぎるから孤立してるんだろうなってのはわかる。その次元で会話出来る相手が少なすぎる。理解されないなら自分で決めるしかないって流れになってるのも見て取れる。

 でも俺から見りゃ不器用なガキだ。

 

 たまに茶々入れに来る車いすの生徒――ヒマリとかいう自己肯定感の塊みたいなやつともよくやり合ってるが、あれはあれで通じ合ってる感じもあるしな。どっちも浮いてる同士、似た者同士なんだろう。

 大変だなあ……なんて完全に他人事だが。

 

「で、話を戻すが、ミレニアムにはミレニアムまんじゅうなるお土産があるんよ」

「まんじゅう……」

「あれめっちゃ旨くてな。で、思った訳。アビドスまんじゅうも行けるか? ってな。それで商業地区に土産屋作ったらどうかと」

「そう言えば最近人が戻ってきてますよねっ! 嬉しいですっ。何で増えたんですかね?」

「ん? カイザーコーポレーションが持ってた土地の大半、アビドスに戻ってるからな」

「えっと……あれ。んっ? シンちゃんさんどういうことですか!?」

「あれ? 言ってなかったっけ。調べたら不正な利息だったから抵当権無効ぶち込んだら取引ごと飛んだわ。ついでに過払いで3億ちょい返ってくる。残りも4億弱だから、今のペースなら3年で終わるんじゃね?」

 

 あまりの内容にユメがフリーズしてて草。

 今のうちの年商が5億近くあるからな。月々の返済も加速させりゃ元本なんてゴリゴリ削れる。カイザー君涙目だろうよ。

 しかもこの件、連邦生徒会長が興味持ってるって軽く言及しただけで向こうが大人しくなったのもデカい。あとは裁判もスムーズに終わったし、異議もなし。拍子抜けするレベルだった。

 

「えっと、つまりその……」

「借金問題はほぼ解決やね。やったね!」

「ええええええええええええええええええええええええええええっ!?」

 

 鼓膜が死んだ。

 ユメてめえそんな声出せたんかよ。

 

 そのまま奇声をあげながらホシノたち呼びに走っていく後ろ姿を見送り俺は一息つく。まあ何にせよここまで来たのはあいつらが頑張ったからだ。元不良が真面目に働いてるの見ると、ちょっとだけ報われた気がするわ。

 

 さてと。

 

 アビドスまんじゅうについて業者選定でもすっか。

 餡はこしあん一択だな、うん。

 

 ――もっとも。

 カイザーの案件についてはあくまでも表向きは、だが。

 

 カイザー側は沈黙を選んだ。

 選ばされた、と言う方が正しいのかもしれない。

 

 法の場で叩き潰された以上、これ以上の強硬手段は連邦生徒会の介入を招く。

 それがどういう結末を意味するのか、彼らは理解している。

 

 だからこそ、動けない。

 なんて渋くキメてみた所で、これ全部ミレニアム界隈の弁護士に丸投げした結果なんですけどね(笑)

 モチはモチ屋ってやーつ。

 

 なんにせよガキの耳に入れる事もねえだろって所で一つ。




ユメ「あ、そうなんですかぁ」
シン「乗らない?」
ユメ「乗りたいですねぇ」
シン「じゃけん後で乗りに行こうぜ」
ユメ「おっそうですね。あっそうでした(唐突)、ねえホシノちゃん!」
ホシノ「えっ!?」
ユメ「ホシノちゃんさっきから私たちが盛り上がってる所見てましたよね」
ホシノ「なんで見る必要があるんですかね……自意識過剰じゃないですか?」

こういう時にノノミは絶対に止めないという自信がある。
セリカとアヤネは来年の入学だから、仕方ないね。
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