(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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せっかくアビドス砂漠は色々埋まってるんだからさ……なんかないの? イベント起こせよ


(厄ネタに触りに行くことは)ないです


またもやアビドス砂漠で遭難するバカがいるそうですよ

 

 

 前回のあらすじ:フフ…… 狂気……! 狂気こそが、私の、このアビドスを生き抜く武器……!(借金が殆ど減った際の梔子ユメ氏の感想)

 

 

 

「マジかよこの野郎っ……! こっちくんなっクソ蛇がよぉ!」

 

 砂漠のど真ん中。

 俺、現在絶賛遭難中である。

 まあ逃げなきゃ死ぬから闇雲に逃げるしか無くて。

 そしたら遭難もする。

 

 しかも機械の大蛇に追われてるとかいうオプション付きだ。誰が頼んだこんなん。

 クソ暑いのによぉ……。

 

「あーくそ……なんかねえか……お、廃墟発見」

 

 転がるように廃墟へ滑り込み、日陰に身を隠す。柱の影から様子を窺うと、どうやら蛇は引いたらしい。助かった……いや助かってねえけど。

 

「……はぁ」

 

 壁に背を預けて息を吐く。

 

 で、だ。

 

「帰ったらウタハはマジで説教な」

 

 原因は明白。エンジニア部謹製のサンドボード。

 その専用機をウタハが作ってくれた。それはまあいい。

 でも専用機って言葉に釣られた俺がバカだった。いや普通釣られるだろ。男の子だぞ?

 

 外郭エリアのクラブハウスで捕まって、「社長用だよ!」とか言われて渡された黒地に赤ラインのロングボード。見た目は完璧。スペックもイカれてた。最高速250キロ。そりゃテンションも上がる。

 

 で、乗った。

 すげえ気持ちいい。

 つか初速で一気に100km越えの狂った加速。

 

 やべえと思ったがもう遅い。

 目の前には銀色の山。

 あ、俺死んだ……そう思ったがぶつかっただけで済んだ。

 でも爆発四散。嘘だろ……?

 

「自爆装置付きとか聞いてねえよ……!」

 

 目の前にいた巨大蛇にそのまま突っ込んで、ボードは前半分消し飛び。俺はと言えば――

 

「いてえ……で済んでんのほんと意味わかんねえな」

 

 この体、ほんと便利だけど怖い。

 爆発→そのままキリモミ回転しながら蛇に激突→蛇さん激おこ。

 そらそうよ。

 なんか爆発のせいであちこち傷ついてるし。

 なによりだ、

 

「……位置情報、バグってね?」

 

 詰みである。

 スマートウォッチにマップは出るんだ。

 けどさっきまでピコピコ光ってたホームポイントが無いやん。

 多分ボードの消し飛んだ前半分にそのシステム入ってたな。

 

 なので残骸を担いでる。せめて見つけてもらう確率を上げるためだ。こういう時だけ判断が早い自分がちょっと腹立つ。

 でももしかすると後ろ半分にウタハが察知できる何かがあるかもしれん。

 あいつはロマンで目が曇って無きゃ優秀なんだ……優秀だよな?(震え声)

 

 でも蛇。めちゃくちゃキレて追ってきた。

 

「ごめんて! 事故だって!」

 

 通じる訳もなく、全力逃走である。観光資源にしようと思ってたのにこの仕打ち。世知辛い。

 

「……さみぃ」

 

 夜の砂漠は普通に冷える。ウェアに温度調整はあるが、顔と手足は別だ。その辺に転がるぶっとい木を蹴り折って薪として焚火を起こし、煙草に火をつける。

 

「喫煙者でよかったわ……」

 

 ライターなかったら終わってた。あと腹減った。ビール飲みたい。文明恋しい。

 

「あらあら、こんな場所に殿方がお一人。どうなさったのですか?」

 

 声に振り向く。狐面、和装、砂漠。情報量が多い。

 つかビビるわ普通に。ビクン!なったし。顔あっつ。

 

「……なんか飲み物持ってない? あと寒いなら火使え」

 

 遭難者に遠慮はない。すると狐面の女はくすりと笑った。

 

「随分と図々しい方ですねえ」

「褒めてる?」

「ええ、嫌いではありません」

 

 そう言って焚火の向こうに座る。動きが妙に綺麗だ。なんなんだこいつ。

 

「あなた、アビドスの方でしょう?」

「まあな。最近ちょっと賑やかだろ」

「ええ、とても。特に――カイザーの方々が」

 

 あー、そっちにも伝わってるか。

 つかどこまで広がってんだろ。

 ミレニアムは知ってて当然だけど、ゲヘナの一部でも知られてるな。

 風紀委員界隈で。

 

「悔しそうだったろ?」

「ええ。とても」

 

 くすくす笑う気配。狐面の奥で目が細まった気がした。

 

「書類一枚でひっくり返されるのは、さぞ不愉快でしょうね」

「まあな。でもルール負けだろ。しゃーない。キヴォトスはとんでも世界だが、法治国家ではあるからさ」

 

 正直、こっちは事務処理しただけだ。不正な利息見つけて、抵当権ぶっ壊して、過払い回収しただけ。やることやったら勝手に終わった。

 それに実務はミレニアムの腕っこき。

 俺がドヤる話じゃない。プロにお任せって奴。

 

「あなた様は随分とあっさりしてますのね」

「いや面倒くさいだけだって。揉めるの」

 

 煙を吐く。

 

「裏で何かやるなら勝手にやればいいさ。その時はその時で考える」

「ふふ……いいですね。そういうの」

 

 少し間があって、彼女は言った。

 

「狐坂ワカモ、と申します」

「伽賀心太郎。カガでもシンタロウでも好きに呼べ」

「ではシンタロウ様、と」

「なんか痒いなあ……」

 

 くすくす笑ってんじゃないよ。

 なんか面倒そうなのに当たったな、と思いつつも、退屈はしなさそうだとも思った。

 

 焚火の火が揺れる。

 

 ――で、だ。

 

「そういや最近忙しかったんだよな……」

 

「おや、遭難中に世間話ですか?」

「いや暇だし?」

 

 そもそもこうなった原因もそこにある。

 

 トリニティ自治区から仕事が来た。

 

 しかも向こうから「来い」ってやつだ。偉いところは違うね、呼びつけ方が。

 

「トリニティ……ああ、お嬢様方の」

「そうそれ。紅茶出されてさ。美味かったけど俺コーヒー派なんだよな」

 

 相手はティーパーティーのホスト、桐藤ナギサ。

 見た目はお上品なお嬢様。中身は――まあ、うん。

 

「腹に何枚か持ってるタイプだったな」

「ふふ、正直ですね」

「だろ?」

 

 話自体は単純だった。物流の委託。今カイザー系列を使ってるけど高いから、うちに変えたいって話。

 実際そうだしな。単価はカイザーのところの八掛け程度。

 理由は明白。護衛と作業員が兼ねてるからその分の人件費がまるっとオミットできる。

 ホシノに鍛えられた元ヘルメット団だ、馬力が違いますよ。

 

「それだけ、ではないのでしょう?」

「だよなあ」

 

 苦笑する。

 

「不良生徒の整理も兼ねてるな、あれ。うちで拾えばトリニティは綺麗になるし」

「合理的ですこと」

「な。あの年であそこまで割り切れるのはすげえわ」

 

 ただ一つ言いたい。

 それはそれとして。

 

「おじ様呼びはやめろ」

「あら」

「俺まだ24なんだが?」

 

 狐面の奥で肩が揺れた。笑ってんだろうなこれ。

 

「で、そのままリクルートやら手続きやらでバタバタしてさ」

「学籍の問題、ですか」

「そうそれ。あれ戸籍みたいなもんだろ。雑に動かすとアウトだから面倒でよ……」

 

 保証人としてサインしたり、事務局とやり取りしたり。銃撃戦よりよっぽど神経使う。

 まあ銃撃戦の場合、狙っても俺の銃は当たらんけどな。

 

「それで休め、と」

「そう。仕事し過ぎて怒られた。で強制的に休暇に。暇になってボードに乗ったらこのザマ」

 

 焚火をつつく。

 

「働いてた方がマシだったな……」

「ふふ……面白い方」

 

 ワカモがそう言って、少しだけ距離を詰めた。

 

「では今夜は、その“面白い方”のお話でも聞かせていただきましょうか」

「いや遭難者に何を求めてんの?」

「退屈しのぎです」

「俺もなんだが?」

「このドライフルーツもございますが」

「お喋りしようじゃないか」

 

 そんな感じで、わけのわからん狐と焚火を囲む夜になった。

 

 とりまはやく転移のクールタイム終わんねえかなあ……。

 




主人公、砂漠で遭難しかかる 
帰還後、ユメ、主人公を煽る
仁義なき醜い争い、勃発。
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