(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス 作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)
前回のあらすじ:ギャルを信じてやってください
「シンタロウさん、修羅場ですねえ~☆」
「ノノミ、言い方よ」
「シンさんが悪いよ。あ~あ、シロコちゃんが可哀想だよぉ」
「ホシノこの野郎……その煽り笑顔やめろや」
いやほんと、胃に来る。物理的にじゃなくて精神的にじわっと来るタイプのやつだ。なんで俺がこんな目に遭ってるのか、少し前まで遡るとちゃんと理由はあるんだけど、納得できるかは別問題である。
「あらあらシロコさん、そんなに目くじらを立てずとも大好きなシンタロウ様を貴女から奪ったりなどは致しませんわ。ただその、将来の伴侶として病める時も健やかなる時も横に侍っているというだけでございます」
「ん……シンはアビドスのもの。野良狐の出番はない」
これである。ワカモが焚きつけて、シロコが反応する。火種を投げるやつと燃えやすいやつが揃ってるとこうなるのかと、他人事みたいに眺めながら思ってる自分がいるのがまたどうにも情けない。
結局、向こうには一週間近くいた。遭難して地球に転移したのは不可抗力として、そのままケンジからの納品を待ってたらこの有様である。暇を持て余してワカモ連れて軽く観光したり、つくば市内で飯食ったり、近場のパチ屋で遊んだりと、まあ肩の力は抜けてた時間ではあった。仕事に追われてる時に比べりゃ、ああいう時間も悪くない。
で、その間にワカモはどうなったかというと、妙に距離が近くなった。いやまあ、命の恩人だし? そういう意味で懐かれるのは分かるんだが、思ってたより早いし深い。初日は顔真っ赤にしてたくせに、その日の夜には普通に同じ部屋で寝てるあたり、順応力なのかなんなのか判断に困る。
うちの間取りは1DKだ。来客用の布団なんて気の利いたものはない。結果、セミダブルのベッドを二人で使うしかないんだけど、別に変なことは何もない。寝てる間に尻尾が巻き付いてくるくらいで、まあその辺はペットに懐かれてるのと似たようなもんだと思ってる。たぶん。
そんなこんなでクールタイムも明けたし、いつも通りトラックに荷物を積んで転移した。トラック同士をロープで繋いで、俺が運転して突っ込めばまとめて向こうに行ける。最初は見た目のインパクトが強すぎてどうかと思ったが、慣れとは怖いもんで今じゃ普通に使ってる。
で、帰還地点。校庭の端に設置してある安全圏に抜けたら――まあ、予想外の歓迎が待ってたわけだ。
ユメ、ホシノ、シロコ、そしてノノミ。全員集合である。
怒られた。しっかり怒られた。そりゃ一週間も音信不通ならそうなるよな、と頭では理解してる。でもそれはそれとして、こっちにも言いたいことはある。
「ええい、白石ウタハはどこだ!!! ここに呼べ!!!!!!」
全部あいつのせいだろうが。思い出したら腹立ってきたわ。
その場で連絡を取ったら、「あ、セミナーに呼ばれてるからそろそろ帰るね!」とか言って逃げやがった。絶対わざとだろ。タイミング良すぎるんだよ。今度会ったら説教じゃ済まさん。
事情を話したらホシノたちは「まあエンジニア部だしね」で納得してた。納得すんなよ。いや分かるけどさ。分かるから余計に腹立つんだよ。
問題はそこじゃない。
「で、その子は?」ってホシノが顎で指した先にいるのが、俺の背中にぴったり張り付いてるワカモだ。ギャル服に狐面という情報量の多い格好で、初見だとまあ怪しい。
全員の視線が集まる中で、ワカモは一歩前に出るでもなく、かといって隠れるでもなく、その場に立っていた。堂々としてるようで、どこか距離を測ってる感じ。ああいう立ち方は嫌いじゃない。
ホシノが一歩踏み出す。
「ねえ、その距離感はさすがに気になるんだけど。シンさんにくっついてる理由、聞いてもいい?」
軽い口調。でも目は笑ってない。ああ、これはちゃんと見てるなと分かるやつだ。
ワカモは少しだけ視線を落として、それから口を開いた。
「……
ぽつりぽつりと、言葉を選ぶみたいに話す。全部をさらけ出す感じじゃない。でも嘘は混ぜてない、そんな温度だった。
学籍がなさそうに言うが、正確には無期停学らしいが。
「信じていた相手がおりました。ですが……その方は、私を裏切りましたの」
短い一言。でもそれで十分だった。空気が少しだけ変わる。
「だから私は、そこにいる理由を失いました。居場所など、どこにも」
言い切ったあと、ワカモは顔を上げる。逃げるでもなく、試すでもなく、ただ真っ直ぐに。
ホシノが小さく息を吐いた。
「……そっか」
それ以上は深く突っ込まない。けど、ほんの少しだけ肩の力が抜けたのが分かる。シロコも無言のままだけど、さっきまでの露骨な敵意は少しだけ薄れてる。
たぶん、重なったんだろう。カイザーに好き勝手やられてた時期のことが。
「ひどいですっ! そんなの許せません!」
ユメが一歩前に出る。いつもの調子で、でもちゃんと怒ってる。
「だったら、ここにいればいいです! アビドスなら大丈夫ですから!」
考えるより先に言葉が出てるタイプの善意。けど、こういうのに救われるやつもいる。
「……いいのですか?」
「はいっ!」
早い。決断が早い。けどまあ、ユメだしな。
ホシノが肩をすくめる。
「ま、ユメ先輩がそう言うならね。問題起こしたら、その時は私が止めるから」
「ん……問題なさそう」
シロコも一応は納得したらしい。完全にではないが、少なくとも排除する気はない。
というわけで、狐坂ワカモはアビドスの生徒として受け入れられた。手続きはユメがさくっと進めて、連邦生徒会にも連絡済み。仕事が早い。
で、話は終わらない。
「私、授業には出ませんわ」
「は?」
「シンタロウ様を支えるために来たのですから!」
はい出ました。火種追加。
「……シンさん、あれなに」
「知らん俺に聞くな」
シロコの目が据わる。ワカモは楽しそうだし、ホシノとノノミは面白がってるし、ユメは「元気でいいですね~」とか言ってる。温度差どうなってんだ。
その後はまあ、見ての通りである。
ワカモが煽る。シロコが乗る。いい感じにぶつかって、でも決定的にはならない。ワカモが上手くいなしてるのもあるし、シロコもどこか楽しんでる節がある。ガス抜きにはなってるんだろう。
「ホシノよ」
「なあに?」
「俺、こういう時どうすりゃいいんだ」
「知らないよぉ。モテる男の悩みじゃん」
「モテてねえよ。寄ってくるのは金の匂い嗅ぎつけたやつばっかだ」
「うへえ……」
ドン引きするな。事実だから仕方ないだろ。
俺が黙ってるのにどっから分かるんだろうな。
女子たちの謎の嗅覚。情報網。
まだ青臭かった俺にはハードルが高い。
とは言え俺を煽るのは許さん。
そのままホシノのほっぺを引っ張る。
「いひゃいってば!?」
「煽るからだろ」
「あらあら、仲がよろしいんですね☆」
「違う~痛いんだよぉ!」
相変わらず柔らかい。よく伸びる。
「ほれシロコ、こっち来い」
「ん……」
素直に膝に乗ってくる。いやいいけど、加減しろ。肋骨に来る。
「ワカモ、今日はこれで終わり」
「ふふっ、また明日ですわね」
完全に日課にする気だなこいつ。
そんな感じで、ワカモはアビドスに居着いた。自称秘書として常に横にいるが、仕事を振るとこれがまた妙に出来る。先回りして準備してくるタイプで、正直助かる。
結果。
……拾い物にしては、ちょっと出来すぎな気もするけどな。
ワカモをギャルコーデにするのは恵体スタイルもあって王道感ある
だが待ってほしい
ホシノをダウナーギャルにすると破壊力あると思うの
おじさん疲れたからここで寝てるし先生はここ勝手につかっ――――ふふっ下品なのでやめておきますね……