(またしても)原作を知らないオリ主inキヴォトス 作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)
前回のあらすじ:キヴォトス人は基本物騒
「どうすっかなあ……」
「ん、シンどうしたの」
「なんか連邦生徒会から相談があるので来てほしいってモモトーク来たんだよな」
「ん? シン、生徒会に知り合いいる?」
「いない。一昨日の夜に連邦生徒会の奴が勝手にメンバーに登録されてたんよ」
「だれ?」
「白鶴なんとか……まあ連邦生徒会長だな」
「え、それホント?」
「ホシノいたんか」
「うへえ、シンさん若いのに更年期かあ」
「シバくぞ」
俺のモモトークにフレンド登録をしてある相手は基本的にアビドス界隈とミレニアム界隈。ゲヘナとトリニティの一部。
まあつまりはアビドス以外は商売絡みからの派生だ。
なのでリストは50で間に合うし、個人と企業系はグループ分けしてあるんで配置は頭に入ってる。
けどここに見慣れぬアカウントが勝手に登録されてんだよな。
つかそれ以前になんで俺の部屋に集合してんだよ……。
いま21時ぞ?
さっきからシロコとオセロをしてんだが、ユメとノノミはリビングのクソデカテレビで俺が地球から持ち込んだニンテンドースイッチでマイクラやってるしやね。
俺とシロコはソファーの下に敷いてるラグカーペットの上にアザラシみたいにうつ伏せになって顔つき合せている。
そんでホシノとワカモが俺の背中を枕に仰向け。
完全に休日のパパさんやね……ワカモすやすやで草。
「連邦生徒会長ねえ……なんか凄い人とは聞いた事があるけど、あまり外出歩かないみたいだし、どんな人なんだろうねえ」
「呑気かよ。勝手に追加されてるのを怪しめや。つかホシノが知らないなら俺が知る訳がねえ」
「それミレニアムのテクノロジー見た後で同じ事言えんの?」
「納得したわ。それはそれとしてウタハは次見かけたらシバく」
「根に持ってるねえ……演習場関係でチャラになったんじゃないの~?」
「死にかけたからな。あれで許されたとは思わない事だ。まあワカモという人材をゲットできたのは僥倖だがな」
「ワカモちゃん優秀だよね」
「それはマジでな。仕事くっそ楽になった」
「ん、シンの娘の座は渡さない」
「俺未婚なのに娘かよ」
すげえウンウン頷いてら。
それはそれとしてオセロは俺の勝ち。
くはは……これで12勝3敗ですな。
3敗は忖度プレーだから実質全勝である。
オセロで俺に勝とうとか10年はえーんだよ。
え、まだやるんか……そう。
そんな感じで生徒会長に会いにD.U.のシラトリ区に向かう事にしたのである。
地味にサンクトゥムタワー気になってたんよな。
空に浮かぶくっそデカいヘイローみたいな奴、あれも近くで見てみたいしな。
◆
「あ゛~ひどい目にあった……」
「あなた様、ひどくお疲れの様ですが……」
にっこり、じゃねえのよ。お前のせいでもあるんだよワカモ。
D.U.の中心地、今日の目的地であるサンクトゥムタワーを目指して朝から鉄道に乗り込んだわけだが、同行者はワカモだ。
本当は同行者なんて連れてくつもりも無かったんだよなあ……。
けど昨日の夜に執務室で仕事をしていると、アビドスの生徒達がやってきた。
曰く、護衛は一人くらい連れて行くべきだ、そんな風にホシノが言う。
いやいらねえだろ。なんかあっても一人の方が身軽に動けるし。知らんけど。
そんで秘書として同じ部屋で仕事をしているワカモが誰が行くかとアピる生徒達を煽る。
当然シロコがキレる。
ユメが仲裁しようとカットインするがアホな事を言ってホシノが突っ込む。
ノノミがそれを見てニヤニヤしてさらに混ぜっ返す。
結果どうなったと思う? ユメ以外の全員で俺の同行者に一番ふさわしい戦闘能力があるかを見せる! みたいなアホな事を言い始め、全員で夜の訓練場に移動した。
そこに通りかかったうちの社員の一人が祭の予感に心を躍らせ、無言のままモモトークの社員グループで拡散。
現在アビドス高等学校に関わる奴が全員集合し、ホシノ達が武装して集まる訓練場を囲むギャラリーと化す。
あれだよ。この前の模擬演習のその2だわ。
あん時にビジョンやら撮影システムやらを整備したじゃろう?
さらにはあの後ウタハがアップデートし、タクティカルベストに生体登録(使う時に雑に指紋登録するだけ)でデータベースの情報とリンクして、ビジョンに顔写真とバイタルデータが映るようになった。
つまり訓練用施設なのに、妙にエンタメ性が生まれたんよ。
だから「今すぐやるぞ!」ってなっても30分もあれば準備が整う。
つか準備してる間によ、誰だよ焼きそばの屋台出したやつ。どこにそんなの隠し持ってたんだよ。
あとカステラ生地のバナナとり焼きってなんだよ……誰が出してん……ユメかよ!? お前何やってんの!? え、今回は参加しない? 運営費用を稼ぐのは生徒会長の勤め? どうした急に……なんか拾い食いでもしたか?
まあ生徒会長を連れてく訳にもいかねえし、妥当な判断か。
結局シロコとワカモ、ホシノが残像が残るスピードで交錯しながら三つ巴の激戦を繰り広げ、たまにノノミが全員を巻き込むようにミニガンを掃射し大騒ぎ。
ギャラリーは姉さん達すげえ! と大騒ぎ。
ユメがバナナとり焼き完売してご満悦。
焼きそばは俺も食ったけど普通に旨かった。
戦闘自体はグダグダになって終わったが、関係者全員そこにいる訳だし、最後は校庭でバーベキュー大会になってた。
福利厚生って事で。せっかく外に集まったし一応な。
結論から言えば、宴もたけなわって事でまとめの言葉を言わされた俺が「お前ら楽しかったか? よし良いだろう。ただし同行者云々はアビドスロジスティックスの業務として行くんで、生徒を同行させるワケねえでしょ。授業出ろやボケ。という訳でどうしても誰か連れてけって言うならワカモになるに決まってるだろアホ」という至極まっとうな言葉で生徒組は崩れ落ちてた。
そもそも論として、日帰りなんだからそこまで騒がんでもね。
D.U.まで3時間ちょいなんだし。
まあ、ね? ちょっと早い文化祭みたいなノリで良かったじゃんね君ら。
なので昨日は数時間しか寝られず、今朝の俺のテンションはダダ下がり。
仕方ねえじゃん。中途半端に起きてたから、つい深酒しちまったんだもんよ。
ここまでの道中、俺は殆ど寝てたもん。
キヴォトスの高速鉄道は寝心地エグいんよ……。
「それにしても連邦生徒会長様に呼ばれるとは、少し不可解ですね」
「だよなあ。面識どころか一切絡んだ事ねえもん。連邦生徒会ってキヴォトスを統括する行政機関だよな。手続きで書類のやり取りは事務的にやった事あるしその辺は理解してっけど」
「ええ、左様でございますね、あなた様。大体のインフラに関わるシステムなども関わっております」
「なるほどなあ……あとあなた様て」
「うふっ。お気にならさらないでくださいましっ」
駅を出て通りを歩く。
ミレニアムとは違った雰囲気の摩天楼。
どこを歩ていてもサンクトゥムタワーが視界に入るし、空に浮かぶクソでかヘイローも下から見上げると……まあうん、何てこともねえな。一瞬すげーって思ったけど。
ヘイロー自体見飽きたからか?
そう言えば生徒達もアレを気にしてる奴は見た事ねえし。
そりゃそうか。ここじゃヘイローが無い方がおかしいからな。
当たり前に生えてる物をいちいち気にするはずもなく。
とは言え指定された施設までの道すがら、歩く俺たちを往来の生徒達が見てくる。
まあ俺もワカモも白いピンストライプの入った黒いスーツを着てるから目立つか。
胸元にはトラックの荷台にアビドス高等学校の校章を載せた金色のアビドスロジスティックスの社章……ああ、もしかしてヤクザっぽく見えてる? 俺の顔、イケメンと称するバカもいるが、多くは初見の奴に”何人か殺してそう”みたいな事言われる強面だからなあ……。
俺も185あるが、ワカモも160センチちょいの身長に高いヒールだから170位ありそうに見えるし、そう言う意味でも威圧感ありそうだ。
でもこれ、うちの制服なんで。
ちなみに社員たちはレンジャーグリーンでパンツスタイルの制服にタクティカルベストを装備している。SWAT隊員みたいなイメージでだいたいあってる。
ヘルメットも装備してるしな。安全第一である。
でも威圧感に関してはワカモが悪いんよな。
だってパリっとしたパンツスーツなのに狐面被ってんだもの。
素顔を見られるのが恥ずかしいって言うけど、お面付けてる方が違和感バリだと思わんのか……キヴォトスクオリティって事で流そう、うん。
そんなワカモもあまり連邦生徒会については知らないらしい。
特に生徒会長は。
聞こえてくる噂によると、とんでもない実力者だとは言うが。
言ってる間にサンクトゥムタワーに到着した。
でけえなオイ。
そんで受付で来訪した目的を告げると、アポはちゃんと生きてる様ですぐに迎えが来た。
エルフ、エルフや……やっぱここ異世界だったんや。
黒髪ロングで眼鏡、ブルーアイズ。モデル体型で巨乳。
連邦生徒会の白い制服は妙にボディラインを浮き彫りにしててお清楚がおせいそになってるぞ。
何より真横に長い耳。エルフや……胸は解釈違いだが。
「お待たせしました。行政官の
「恐縮です。アビドスロジスティックス社のCEO
名刺を渡してペコリ。
なんかこう、なんだ。
真面目って感じの少女ね。
エルフって高慢みたいなイメージだが。
ワカモ、なぜ太腿ギューって抓ったし。
俺はおっぱいを見てるんじゃあない。耳を見てるんだ。
そんな感じで七神嬢の先導でエレベーターに乗り込み、景色の良い会議室めいた場所に通された。
まもなく連邦生徒会長が参りますのでお待ちをつって帰っちゃったけど。
「すげえ景色だなワカモ」
「ええ、私もここには侵入した事はございませんので新鮮です」
結構な高層階にあるみたいで、窓から景色を眺めればすげえパノラマだ。
ここ何階だよ。
エレベーターが静かであっという間についたから気付かんかったけども。
あとワカモ、普通は侵入ってしないんだよ……。
こいつ方々を彷徨ってたと言うが、基本的に不法侵入だからなあ。
うちで拾ってなかったら犯罪者にでもなってそう(名推理)
とか言ってる間にドアが開いた。
思わずそっちを見ると一人の少女がニコニコしながら立っていた。
「やっとお会いできましたねっ、せ――――
「せ?」
「いえ間違いました。伽賀さん」
「どうも。本日はお呼びいただ――――
「そう言うの割愛で、ね? 伽賀さん」
「あ、おお、うん?」
「連邦生徒会長、本日はどういったご用向きですの?」
「ふふっ狐坂さん、そんなに睨まないで。別にあなたから伽賀さんを取ったりしないよっ」
「何をおっしゃってますの!? うう……」
この女強いぞ!?
にっこり、でワカモを封殺しやがった。
あと妙に距離感が近いな。
まるで古い知り合いにでもあったような気易さというか。
全く要領を得ないが……。
そもそもガチで面識ないんだが。
それでも嬉し気な雰囲気を崩さぬまま、彼女に誘われ窓際の応接スペースに座る。
細身で割と長身。白く長いロングヘアーの内側は薄っすらとした桃色が陽光に照らされて透過し、何とも言えないグラデーションに見える。
インナーカラーって奴だろうが天然なのかお洒落でやってるのか。
無邪気な物腰とそれでいてこっちに有無を言わせない様な何かを感じるな。
「で、今日は何か商売の話ですかね?」
「いいえっ! というか普段通りの話し方でいいですよっ」
「そう? ありがとう。んじゃ遠慮なく。それで用はなんなんだい?」
「ええ、まずはこちらをどうぞっ」
「うん? タブレットかい?」
渡されたのは白い枠のタブレットだった。
それこそiPadみたいな。なんなら旧世代のminiっぽいサイズ感。
そして生徒会長は俺にログインをしろという。
このタブレット、シッテムの箱に。
彼女が口頭で告げる、中二臭い文言を読み上げると、音声認識なのか、勝手に立ち上がった。
OSなのか、A.R.O.N.Aというバイオスめいた起動画面の後にどこか幻想的な風景の教室みたいな画面が写った。
「そのシッテムの箱をあなたに保管していて欲しいんです。もしいつか、必要な人が現れたなら、あなたの判断でお渡しください」
「ふーん……意味深に言うじゃん。どういう事?」
「あ、それは私と直接交流が出来るモモトークの様な機能があります。そしてヘイローを持たないあなたに万が一の事が起きないようにする装備品の様な物、そう思っていただけると」
「うん? そいつは有難いが、どうして突然俺が呼ばれたんだろう」
「困惑は分かります。長い刻がかかりました。ですが、あなたが正解だったのです……」
「うん? 要領を得ないな」
「ふふっ、いい女には秘密の一つや二つあると言う事でお許しください」
「ふーん。まあいいけど、これ保管しとけばいいのね。オフィスの金庫にでも入れとけばいい?」
「だ、駄目ですっ。出来ればまるで恋人のようにいつも携帯頂ければと」
「あの~連邦生徒会長様? やはり貴女、伽賀様を狙ってるのでは……?」
「ワカモさんそんな目で見ないで下さい。そう言った意図はなか……ったりあったりするので気にせずに」
「あったりとはどういう事でしょう!?」
「なんだこれ……」
急にシリアス感がどこかに旅立って草。
という訳で渡されたシッテムの箱? とやらを見る。
いや草。
教室風の風景の端っこからニュっと顔を出してはサッと消える女児がいるんだがwww
今度は手だけ伸びて来た。
人差し指を伸ばして何かアピってる。
面白いから俺も指を合わせると、まあタップしたんだが、ショートカットの園児みたいなのがピョンピョン跳ねてる。
なんだこれ。
あれか、AIアシスタントみたいな感じか。
俺のスマホにも入ってるわ。ゴスロリ少女みたいな奴。
イーロン氏も絶賛するアレだ。
「結局何だったんだろうな」
「はい、何だったのでしょう」
そうして1時間程の面会は終わったんで駅に向かう俺たち。
要はシッテムの箱とやらを渡すのが本題だったらしい。
『そうですよっ! パパ』
「誰がパパやねん」
「あなた様? 急にどうされましたか……?」
「あ、いや。突然誰かに話しかけられた気がして思わずツッコんだわ」
「どうやらお疲れの様ですね……帰りの列車ではワカモの膝で休んでくださいね」
「いや膝は流石に」
「?」
「じゃあかりるわ……」
「ええっ!」
圧よ。
キヴォトスの女は皆圧しが強い、これマメな。
なんにせよシッテムの箱は生徒会長と直で連絡できるツールであるのは分かった。
モモトークみたいなモンって言ってたしな。
あの後テンションの高い生徒会長にタワー内の案内をされつつ、カフェテリアでコーヒーとケーキをご馳走になって解散になった。
ケーキはまあ普通だったな。
それよりもマンジュウはないんか。連邦まんじゅうとかちょっと箔があるだろ。
まあ話の折々で彼女が言ったのは、キヴォトスを大事に思ってる事。
そんで俺みたいな大人が子供を見守ってくれることが有難いこと。
アビドスの事は知ってたけど、立場上動けなかった事の謝罪。
これはユメやその先輩世代の事なんだろうけど。
なんにせよ、俺は変わらず商売をしながら、余裕があれば困ってる生徒に目をかけて欲しいだってよ。
特に不良たちを集めて仕事をさせてるのが一番喜ばれたな。
今後もそうするなら、学籍の付与に関する手続きには便宜を図ってくれるとさ。
そいつは素直に有難い。
過去の犯罪履歴とかを複数チェックしてるのか、今までは承認されるまでひと月以上かかってたのよ。それが短くなるならシンプルに嬉しいわね。
それにしてもこのままの勢いなら1000人規模まで増えそうだし、せいぜい俺を儲けさせてくれってな。
なんだか狐につままれた気分だが、俺たちはアビドスに帰ったのである。
「ワカモ、柴関ラーメン寄らね?」
「あなた様っ、ワカモ嬉しいっ」
「分かったから尻尾巻きつけるな歩きにくい」
「ふふっ、これは狐の求愛なのですよ?」
「10年早いんだよ」
「10年経ちましたらあなた様はみそ……」
「グーでいっとこか?」
「そ、それはご勘弁を」
そんな事を話しつつ、夕暮れのアビドスの街を歩く。
なんつーかすっかりとこの乾燥地帯の乾いた空気に馴染んじまったな。
これでサイゼリヤと山岡家が出店してくれたら完璧なのに。
いいから早く生徒会長の本名教えてクレメンス
次回投稿は今週やりすぎたので日曜くらいに投下しますね。