ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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一学期編
星進闘争はチームリーダー同士が肉眼で視認した上で合意の元に成立する。


 前世ではロボット物の作品が好きだった、アニメでは縦横無尽に鉄の塊が動き回り小説では緻密な設定がオタク魂を燃え上がらせる。

 ロボットゲームなど垂涎ものだ、重厚な操作感は深く没入出来るし、ハイスピードな戦闘がウリの作品は脳が喜びで焼き切れる感覚すら覚える。

 

 そんな俺にもし「ロボット物の世界に転生させてあげるよ」と言われれば首を2回縦に振るだろう。

 この世界に転生させたあん畜生は、「ロボット物の世界に転生させてあげるよ」と言い放ったのだが、この聡明でIQ1兆の俺が導き出した結論は。

 

 ンな訳が無ぇだろうが!!!

 

 である、ロボット物は基本的に死と隣り合わせの世界、ロボットに乗ったら死ぬ、乗らなくても死ぬ。

 

 因みに俺に拒否権は無かった。

 

 どんな世界かガクブルしながら転生していたのだが、意外にも今世は平和な物であった。と言うのも、ロボットの完成度や搭乗者の練度を競い合う巨大ロボコン学園モノギャルゲ『ソラール・エクスプローラー』の世界。

 

 言っちゃえばギャルゲ先行のロボゲーだった。

 

 履修自体は…………前世では、あまり食指が動かなかったと言うか確かアニメ化されて、ちょこちょことSNSでネタバレを喰らっても笑って過ごせた位のハマり様でしかなかった。

 

 転生特典ゼロ、原作知識もおぼろげ、しかし、ロボゲーの操作には自信がある、どんなロボゲーも中堅層位には行けたのだ。

 

 そうして親にねだってパイロットシミュレーターを受けさせてもらったのだが…………。

 

 結果座席に掛かる吐瀉物に成り代わってしまった。

 付き添いで来た幼馴染の方が良いスコアを叩き出し持ち上げられる始末。いや、もっかいやろーぜじゃない!!

 

 そんなこんなで生を謳歌して、シミュレーターゲロ事件から時が経ち10年後。原作舞台に足を踏み入れたのだ。

 

 整備科だがな!!

 

 ロボットが好きだったから資料を読み漁ってたら自然と知識が付いて、後実家が町工場だったしあと創作における極東舐めんな変態技術国家もプラスして、作中で()()最高峰のロボの専門学校であり原作の舞台である『マキナテラ学園(ハイスクール)』に入学する事になったのだった。

 

 学園に入るなり事件が! という事も無く、本当に平和な日々を過ごしていた。

 

 マキナハイスクールは高専のような物で単位制で5年、3年間単位を取得できれば大学進学も可能。

 

 そんなのだから整備科クソ忙しいと思いきや、結構今世(こっち)の俺の頭のスペックは高くゲームしまくってたせいか手先も結構器用、楽にプチ無双して機械いじりスローライフをしていたのだ。

 

 余りにも平和だったから油断していた、ロボット物は等しくどうしようも無いと。

 きっかけは、入学してから1年俺の幼馴染の誘いから始まった。

 

「なあ太一! 一緒に星進隊(プロトン)組もうぜ!」

「ああ、そんな時期か。いいよ、やろうか」

 

 星進隊(プロトン)とは、学園における部活動と卒業研究を組み合わせた学園独自のルール、1年生の下位中位成績者を除くほぼ全生徒に加入もしくは立ち上げを強制しているロボットバトル部で、5人以上50人未満の卒業単位に必須の学生グループだ。

 

 そして2年になった俺、地井 太一(ちい たいち)と目の前の幼馴染真壁 流星(まかべ りゅうせい)はそんな軽い会話の後に星進隊(プロトン)を結成する事にした。

 

「目標はどうするんだ?」

 

「優勝」

 

星進隊(プロトン)に優勝はねえだろ?」

 

「やるならてっぺんを目指さなきゃ!でも基本的に仲間内でダラダラ出来る所であれば良いよ?」

 

「目指すだけはタダか。つっても、中位の整備科(メカニック)と下位の搭乗科(パイロット)だけのチームに入る奴居るのかね?」

 

 幸先不安だという様に俺は流星に話を振ったのだが、流星は自信満々に返した。

 

「結構顔見知りはいるから何とかなる!」

 

「あーじゃあこっちも知り合いに声かけとくわ」

 

 そんな会話をしながら俺はとある2人、経営科(ビジネス)卸売科(セール)の野郎二人に声を掛けて…………。

 

「で、流星は管制科(オペレーター)1人か」

 

「アリア・エーデンタールです! よ、よろしくお願いします!」

 

「人数ギリギリやないか」

 

 気弱そうなオペレーターの自己紹介を横目に俺は流星に非難の声を上げた。流星本人はバツが悪そうな顔で後頭部をぼりぼりと掻いた。

 

「あ、そう言えば今日顔合わせだったけど、経営科(ビジネス)卸売科(セール)の人は?」

 

「ああ、癖の強い奴らだから、今は別の場所に居る。どうせ話しかけても来ねえし」

 

「あの、それって大丈夫なんですか?」

 

「成績下位で社会性が皆無だが、腕は確かだ。経営科(ビジネス)のミーシャは女子寮長室、卸売科(セール)のコルデーは中央棟1Fの購買に常に居るから気が向いたら話しかけおいてくれ」

 

 俺が気なしに言った言葉にアリアさんはすごく顔をしかめた。

 悪い、配慮というもんはこのチームにはない。

 

「んで、流星がリーダーだとして、星進隊(プロトン)のチーム名は何にするんだ?」

 

「んー、オウムアムアとか?」

 

「…………シャレ過ぎてね? まあ、いっかアリアさんもそれでいいか?」

 

「はい、問題ないです」

 

 とまあ、そんなこんなでたった5人の最低条件から星進隊(プロトン)が始動し、平和に見えたこの世界は俺にとって一変する事になる。

 

「俺は君にメンバー争奪星進闘争(アンティバトル)を申し込む!!」

 

 星進闘争(アンティバトル)は、星進隊(プロトン)同士の何かを賭けたロボットバトル。人員の引き抜きや、割り当てられた予算の譲渡や単位の取引、などなど賭けの対象は多い。

 

「雑魚とてその心意気や良し、受けて立ちましょう! 水星王城(マーキュリーパレス)第二王女の名にかけて!」

 

 俺は、このバトルを全力で止めるべきだった。そしたら、あんな悲劇が起こることも無かったのに。




ちょっとした設定

 星進隊()()競技規定
 Ⅰ-1:チーム構成
①星進隊メンバーは搭乗科(パイロット)を含めた異なる3つ以上の科に跨る5名以上、50名未満とする
※パイロットとオペレーター以外は、バトルフィールドに入ってはならない

②メンバーの内1人をリーダーとする

③リーダー以外で、2年生以上の1名を安全管理責任者とする(チームリーダーと安全管理責任者の兼任は不可)

競技規定
Ⅰ-1星進闘争(アンティバトル)総合規定
①チームリーダー同士による肉眼で視認した距離の上で合意の元に成立する。

②その上でさらに合意があれば賭けが成立し、試合内容に応じて速やかに実行しなければならない。

③賭けの対象は太陽系法に違反せず、チームリーダー双方の合意、アーキタイプAIのアンティ成立可否の3つがあれば成立する。

④競技会場は合意した星の指定されたエリアで行わなければならない。
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