ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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火星パレード依頼開始!

 ベローナのお父さんである、マルスさんに出会って、自分たちの持ち場に移動しようとしている時、俺はミーシャに話しかけられた。

 足早に移動している為、ミーシャは少し息が切れている。

 

「太一、一体どうしたんだ? なんかすごい顔をしているが…………」

 

「どうしたもこうしたも無い、火星教会で例の女が所属している企業に修理委託をしたらしい」

 

 そう言うと、ミーシャが俺を窘めるように声を上げた。

 

「土星企業で、極東出身で、腕がいいって共通点だけで、そこまで断定できないだろう?」

 

「それだけじゃ」

 

 無い。と言おうとした所で、俺は歩みを止めてしまった。

 …………伝わらない。あまりにも伝わらない。前世の知識と言う、疎外感が俺の口を止めた。

 

「ごめん、忘れてくれ」

 

「あ、ああ。また、なんかあったら言ってくれ」

 

 ミーシャが、困惑したような顔で俺を見つめて来る。

 

 俺は別に、そんな顔させたくて喋っていた訳ではない。情報が要る。ミーシャでも納得させる為の、前世由来ではない情報が。それまで雌伏の時だ。

 

 俺は、無理に笑顔を作って、ミーシャの頭を撫でて言う。

 

「ごめんな、また変な事言うと思う」

 

 俺は、その行動に「変な事言うのは確定なのか!?」とか言い返されるのを期待していたのだが。

 

「…………どこか行くのか?」

 

 気が付けば、ミーシャはそう言いながら懇願のような、哀願のような眼をしていた。

 

「ドックだ、うわ、てかこんな話してたら遅れる!!」

 

「本当だ!? すまない仕事前に!」

 

「良いって! じゃあな!」

 

 そう言って、俺とミーシャは別れた。

 なんか、変な目をしていたのが嫌だった。オウムアムアの全員、あんな目を向けて欲しくなかったから、無理やり会話を中断させてしまった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「結局こうなるのね」

 

「太一ィ! ちょっとこっち見てくれェ!!」

 

 パレード用に設置されたドックでは、今まさに、整備地獄と化していた。

 

 

 3桁のSEが並んで歩く火星パレード。

 規模が小さければ火星教会の威信にかかわる為、故障し始めたらドックに入れ、小まめな整備を施して列に加わって行く。

 

 出来るだけ完璧な状態のSEが長い列をなして行進するのが、火星パレードなのである。

 

「クソ! 地球機(ゲイザー)だったら、こんな七面倒な事しなくて」

 

火星機(リーチャー)のお膝元でそんな事言ってんじゃねえ!!」

 

「ブベラッ!?」

 

 ホーモットを殴り飛ばして、俺は檄を入れる。

 

「テメーらァ! 地球の整備科(メカニック)の実力を見せるチャンスだ! あそこにいるホーモットみたいになりたく無きゃキリキリ働け!!」

 

「「「「うす!!」」」」

 

 周囲の火星出身のメカニックが俺達に送る、冷たい目線を振り払うように失言したホーモットをぶん殴り作業に戻った。

 

 

 こう見ると、やはり地球機(ゲイザー)火星機(リーチャー)の違いが浮き彫りになる。

 

 前にも言ったが火星機(リーチャー)徹底したフレーム思想、機体自体の完成度は高く、拡張性も高い。

 まるで、鎧を着せ替えるかのように、装甲やスラスターの換装で搭乗者本人の個性を反映できる。

 

 だがしかし、整備性であれば、ユニット方式である地球機(ゲイザー)の右に出る事は無い。…………実際ホーモットの言った通り、地球機(ゲイザー)だったら、アームで固定しながら部位交換で済むが、火星機(リーチャー)ではそうは行かない。

 

 装甲やスラスター、外付けの動力機関などは、比較的簡単に取り外しできるが、フレーム自体がの整備だと…………フレームはほぼ一体型だから1か所歪むと全部見なきゃなんないし、機体直した所でOSのバランス系統を弄らなきゃだし、そもそもフレームの分解手間だし、フレームの主な材料の火星シャフトは地味に高いし。

 

 まあ、その分壊れにくいから良いんだけどさぁ。

 

「2番機右足首関節のフレーム歪んでんぞ! 清掃整備から歪み取っとけ! 4番機、肩関節に負担掛かってる! 上に許可取ってから交換しとけ! ホーモットォ! 伸びてんじゃねえ、本体直してあるから1番機のOS弄っとけ!」

 

「太一、お前、スキャナーもってきて無いんだよね?」

 

「メカニック魂があれば何とかなる! さっさと行ってこい!!」

 

 俺は、ホーモットが所属している整備科(メカニック)全員を顎で使って、仕事を熟した。

 

 と言うか、依頼でドックに入っている形なので、SEの異常を検出するスキャナーは使えない。

 俺らみたいな外部委託の星進隊(プロトン)相手では、依頼元が管理しているAIの指示に従って行動するのが主だ。

 

 しかし、AI任せだと、スキャンの時間が長い。

 しかし、俺はチートによって、フレームの歪みだのなんだのは、触れれば分かる為にさっさと終わらせられる。

 

「太一さん、もうこっち終わりそうなんだけど?」

 

「仕事してるふりしとけ」

 

 ホーモットの居る星進隊(プロトン)のアザレアに所属する他の整備科(メカニック)が、そんな事を聞いてくるが、俺は冷たくあしらう。

 そろそろ出してくれって時に仕上げれば時間が捻出できる。へっ、依頼ってちょろいもんだぜ。

 …………今の三年生(としうえ)じゃなかった?

 

 とか思っていると、ドック内に通信が入った。アリアの声がドック内に響く。

 

「す、すみません、太一さん」

 

「おー、どうした?」

 

「実は、ベローナさんがSEで故障機を回収する時に、火星パレードの行列になんやかんやあって巻き込まれてしまいまして…………」

 

「あっ。同じ火星機(リーチャー)だから、あまり見分けがつかなかったのか!?」

 

「い、いえ、逆です、違いは分かったのですが、パレードの見物客が平和機(ピース)を物凄い賞賛してて列から抜けるに抜けられなくてですね…………」

 

「どういう事!?」

 

「それはもう、熱狂的な支持を…………」

 

 

 

 ちょっとだけ考えてみたが、今から依頼終了まで6時間歩きっぱなし、平和機(ピース)、持つのか!?

 

 俺はこれ以上忙しくならないように、深く、深く祈りをささげていた………………。

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