ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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俺は右腕を賭けるぜ☆!!

 パレード依頼が終わってから、帰って来た平和機(ピース)()()と、予想外にもあまり損傷はなく帰って来た。

 

 今日の内に、飽きる程見た火星機(リーチャー)平和機(ピース)を比較すると、平和機(ピース)に関しては脚部関節系の摩耗と除塵の清掃整備で事足りそうだったのを見て、俺はホッと胸を撫で下ろした。

 

 普段から整備しっかりやっていてよかったぜ…………。

 

 そうしみじみと考えていると、コクピットからベローナが下りて来た。

 

「大変だったみたいだな」

 

「ああ、まさかあそこまで…………」

 

 何があったのか詳しく聞くと、火星ならではの理由が帰って来た。

 

「当然ながら、SEパイロットになれるのは、身体的精神的に健康である者だけだ。片腕が落ちたSEなんて物は珍しいというか、どの惑星にも無い」

 

「まあ、だろうな」

 

 当たり前だが、ベローナが特殊ケースである。

 両親や家庭環境の良好さ、隻腕一人でもSEの操縦に慣れさせるほどの資金力、一人でもSEの研鑽を辞めなかった異常性。

 そのどれが欠けても、今のベローナは無かっただろう。

 

「その上で、火星の文化的に、SEはその人として見られる。つまり、この一件で身体的にハンディキャップを持った人間への希望となった…………とは、マスコミの触れ込みだがな」

 

 苦々しくそう言ったベローナ。

 

「ああ、そう言いたい気持ちは分かる」

 

 俺も同じ顔をしていただろう。

 重ねて言うが、ベローナが異常だ。努力、資金、バックの大きさ──。そのどれもが再現性が無い。

 

「必死に今を生きて来ただけの身としては…………その、未来と呼ばれても、少し困る」

 

「今を生きるのも出来ない人間だっているさ、それに、どうせどっかで未来の事考えなきゃいけない時が来る」

 

 俺達には、無限の未来がある。少しばかり、寄り道していったって良いだろう。

 

「…………そうだな」

 

「そうだよ」

 

 俺は強く肯定した。ベローナは、また苦笑いしたが、今度は気恥かしさ混じりでこう言った。

 

「だが、どんな未来でも、皆と一緒が良い」

 

「それも未来だろ、今はそれに向かって頑張れば良いんじゃないか?」

 

 ベローナは、そうだなと短く返した。

 別に俺だって皆の事を憎からず思っている訳じゃないし、そう言われたら俺だって頑張るさ。

 

「まあ、今は休めよ。歩くだけとはいえ、流石に疲れるだろ? ほら、給水パック」

 

「ありがとう、あ、ゴメン開けてくれ」

 

「すまん」

 

「いいさ、疲れてるんだろ?」

 

 パイロット用の給水パックをキャッチボールした後、ベローナは話を変えた。

 

「話は変わるんだが、文化祭で太一が撃退した3人組が居ただろう?」

 

「ああ、不愉快の権化みたいな奴らな」

 

「彼女たちが所属している星進隊(プロトン)から星進闘争(アンティバトル)を申し込まれたぞ。まだ協議中だが、決まってから1時間後に試合を始めるつもりらしい」

 

「はい!? えっと、向こうが提示している条件は?」

 

「私とのタイマン戦、負けたら私がオウムアムアから向こうへ移譲することになる」

 

「お前、よくそんな状況でこんな会話出来たな!?」

 

 俺が相手の立場だったらどうする? ピピピと、俺の脳内悪辣ジェネレーターがうなりを上げた。

 

 状況を考えると、かなりの嫌がらせ。6時間動かしたSEのパイロットは、かなりの集中力を使う、だからその後に星進闘争(アンティバトル)を仕掛ける。

 

 …………ただ、俺の脳内悪辣ジェネレーターが、アンティの内容に対してエラーを吐いた。

 別に、嫌いなら移籍させる必要はない。自分の星進隊(プロトン)に入ったら後は、一介の学生が煮るなり焼くなり出来る力があるというのだろうか?

 

 一瞬でそこまで考えたが、ベローナに追加で情報を貰った。

 

「で、その話合いをする時に太一を交えて話し合いするから、呼んできてくれと頼まれたんだが」

 

「それを早く言え!? 行ってくる! ホーモット! 整備記録渡すから適当に直しといて、両脚部の清掃整備で事足りそうだから、帰ってくるまでよろしく!」

 

 と言って情報媒体をホーモットへと投げ渡して、俺は走り去った。

 

「うわぁ!? そんなもん渡すなぁ!!」

 

 そんな、悲鳴を背中に受けながら…………。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 火星教会で借りた会議室内にて、オウムアムアでは俺とミーシャとアリア、流星の4人が集まっていて、星進闘争(アンティバトル)の相手である星進隊(プロトン)イザールも4人揃ってソファーに座っている。

 

「という訳で、オウムアムアさんからは今回話題になったベローナさんの移譲と、あの改造火星機(リーチャー)の本体をアンティにしたいのですよ」

 

 にこやかにそう言ったのは、イザールのチームリーダー、アルケー・テンバラン。経営科(ビジネス)らしい。

 経営科(ビジネス)には経営科(ビジネス)、ミーシャが口を開いた。

 

「そして、アーキタイプAIにより、イザールのアンティは金と火星機(リーチャー)系の販路を献上を提案…………間違いないな?」

 

 確認を取り、イザールのチームリーダーのアルケーは、表情を崩さずそれを肯定した。

 

「私達としては、火星機(リーチャー)の販路は欲しいが、金は差し当たって困窮していない」

 

「お金は、あればあるだけうれしい物ですよ? 金星人さん?」

 

「それはそうだが、金はこちらにとって、ベローナを賭けてまで戦う理由にはならない」

 

 実の所、流星が(生徒会戦の時は俺も)おかしいだけで、星進闘争(アンティバトル)は、星進隊(プロトン)同士で話し合ってからから賭けの内容と、戦い方を決めて試合を始める。

 

 そして、その話合いに置いて中心となるのがアーキタイプAIで、賭けの内容を釣り合う様にしてこちらに提案するのだが、これは感情的な部分を抜きに、金銭面においてつり合いを取れるようにする代物だ。

 

整備科(メカニック)の移譲はどうですか?」

 

「太一、どうだ?」

 

「水金地火木土星のSE齧っているような奴は居るか? もしくは、1人で火星機(リーチャー)直せる奴とか?」

 

 俺がそう言うと、イザール所属の整備科(メカニック)が無言で首を振った。

 

「じゃあ、要らん」

 

 そう言うと、アルケーが少しだけ肩を落とす。

 俺は意地悪を言った。そんな奴、向こうとしても手放したくないだろうし、それに何よりパイロットと思しき、あの3人組のうちの1人が、こちらを見てニヤニヤしているのが腹が立って仕方ない。

 

 経営科(ビジネス)の舌戦が続く。

 

 SEと個人を強く結びつける傾向のある火星側では、今回話題になったベローナと平和機(ピース)セットで欲しい。しかし、平和機(ピース)位ならくれてやっても良いが、俺達はベローナの移籍は避けたかった。

 

 そんな平行線だったが、俺はミーシャに向かって耳打ちをする。

 

「…………正気か?」

 

「最悪の場合、何かしら働きかければ」

 

「金星のマスコミに行けば…………最悪、取り戻すための戦いが始まるが?」

 

「その位は良いだろ?」

 

 そう言うと、ミーシャはため息を吐いて、アーキタイプAIに入力したアンティの内容を変えた。

 その結果は可決。

 

「内緒話は終わりですか? ふふ、仲がよろしいんですね」

 

「ああ、アーキタイプAIの合否結果を見てくれ、こちら側の賭け対象を書き換えた。そちらの賭けの対象は変えず、こちらの賭け対象を変えた…………貴様らが負けたら、イザールの保有する全SEの()()()()貰っていく」

 

 ミーシャの言葉に、4人の内、3人がきょとんとした顔をした。

 

「ああ、奇麗にぶっこ抜いてやるからな…………()()()()()()()

 

 こう言った俺の言葉に、後もう1人が滝ような汗を流してる。

 しかし、その状況を知らずに、残りの三人は口々に肯定的な意見を出した。

 

「火星的にちょっとかわいそうだが、イザールの整備科(メカニック)チームとしては構わない、予備パーツが無い訳じゃないしな」

 

「戦闘前に無くなるのはまだしも、戦後であれば管制科(オペレーター)は構いません」

 

「そうですね、金の流出よりこちらも許容できます。これでいいのですか?」

 

 俺達に質問をしたアルケーだったが、それを思わずと言わんばかりに、声を荒げる搭乗科(パイロット)

 

「良くなっ!?」

 

「何かあったんですか?」

 

「い、いえ、搭乗科(パイロット)としては…………問題…………ありません」

 

 そうして、おとなしく座りなおす女。

 内心、邪悪な笑みを浮かべていた。言える訳が無いのである、イジメだのなんだの修飾しているが、流石に宇宙産業用の超高級ロボットの片手をぶった切ったなど、あまりにもライン越え、そんな事言える訳が無い。

 

「イザール、チームリーダーアルケー・テンバラン。アーキタイプAI可決内容で星進闘争(アンティバトル)を申請します」

 

「オウムアムア、チームリーダー真壁流星。同じく星進闘争(アンティバトル)を承認します」

 

 火星教義的に、個人とSEは強く結びついている。そして、自らの行為を踏襲する様に、右手が失われるかもしれない、と言う恐怖は、筆舌に尽くし難い物だろう。

 

 あーっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!

 

 性格の悪さではこちらが上だぁ!!

 

 

 

 

 

「なあ、ミーシャ、なんか、太一が悪い顔してない? 右腕のアンティってそんなヤバいの?」

 

「そんなんでも無いと思うんだが、どちらかと言えば、精神攻撃か?」

 

「なるほど、じゃあデフォか」

 

「戦闘の事に関して流星はクレバー過ぎないか!?」

 

 

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